新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ショウブ:菖蒲(邪気を斬り払う剣)

2006-05-31 05:43:52 | 植物観察1日1題
今日は、旧暦の5月5日、菖蒲(端午)の節句です。
子供の頃のこの日、菖蒲を蓬と一緒に屋根にさしたり、菖蒲湯に入って無病息災を祈りました。
菖蒲も蓬も香気が強く、邪気を防ぐと考えられ、特に陰暦の5月は梅雨の季節で多雨多湿、害虫や病気が多いのでこれを払うため、刀剣の形のショウブで悪魔を斬るの意もこめられています。やがて、この刀の形の葉と、言葉の尚武が結びついて、近世以降菖蒲(端午)の節句は男子の節句になります。
ショウブ:菖蒲(サトイモ科ショウブ属)は、水辺に生える大形の多年草で、葉は根茎部の先端に群生し、高さ70~80cmで剣状、中脈が目立ちます。
花は5~6月、花穂は長さ4~7cmで、小さい両性花がびっしりつきます。花茎や花穂の基部からのびた長い苞が葉と同じ形なので、花穂は葉の途中についているように見えます。
古くは葉の脈からアヤメ(文目)と呼ばれましたが、ショウブはサトイモ科で、アヤメ科のアヤメやハナショウブとはまったく異なる種です。
別名に、葺草(ふきぐさ)、軒菖蒲(のきあやめ)、あやめ、あやめぐさ(古名)などがありますが、漢字名の“菖蒲”は中国ではセキショウ(石菖)のことで、ショウブは“白菖”書くそうです。ショウブの名にまつわる話はかなりややこしいのです。

ジャケツイバラ:蛇結茨(名に似ず華麗な花)

2006-05-30 06:08:40 | 植物観察1日1題
日当たりのよい川原沿いなどで、この時期には珍しい真黄色の花のかたまりがよく目立ちます。ジャケツイバラ:蛇結茨(マメ科ジャケツイバラ属)は、本州山形県以南、四国、九州などの山野や川原に生えるつる性の落葉低木です。高さ1~2mで、つる状の枝に鉤状の鋭い棘があります。葉は2回偶数羽状複葉で長さ20~40cm、葉軸にも棘があります。
晩春、枝先に長さ20~30cmの総状花序をたて、鮮黄色の花を開きます。花弁は5個で平開し、中に紅色の長い雄蕊があるのが特徴です。
果実は、曲がった長楕円形の豆果で春遅くまで残ります。(17年3月6日記事)茎が曲がりくねっているので蛇がとぐろを巻いていると見立ててこの名があり、カワラフジの別名もあります。
棘は非常に鋭く、今年もまた、写真を撮るときわかっていながら衣服を引っ掛けて難儀しました。

ハルリンドウ:春竜胆(春もまた良し)

2006-05-29 05:33:02 | 植物観察1日1題
今年の5月は五月晴れに程遠い梅雨のような天気が続きます。
栗東自然観察の森を訪れた日も、台風崩れの低気圧が残り雨模様でした。ハウスで自然観察の講義を受けていたとき急に陽が射してきたので、リーダの方がすぐ外へ出ようといいます。
ついてゆくと、湿地のようなところにハルリンドウ:春竜胆(リンドウ科リンドウ属)が差しはじめた陽を浴びて可憐な青紫の花を開いていました。
北海道を除く全国の産地に広く分布する越年草で、丈は10~15cmくらいになり、写真でははっきりしませんが基部の根生葉は卵型または狭卵形でロゼット型に開出します。
春、茎の頂に長さ2.5~3.5cmの頂部が5浅裂した青紫の花をつけ、リンドウの仲間の常として花びらの間に小さい副片があります。
これもリンドウの仲間の常ですが、陽が当たらないと開花しません。この日は陽が射し始めた直後で、花は半開きそれも少数でしたが、明日になればもっと沢山大きく開くので見事だとのこと。それでもリンドウの仲間で一番美しいといわれる透きとおるような青紫色の花は見る人を十分満足させるものでした。
サワギキョウの別名もあります。

ミツバウツギ:三葉空木(空木でないウツギ)

2006-05-28 07:01:45 | 植物観察1日1題
この時期山野で見かける白花の低木の多くはウツギの名前がつき、大方はユキノシタ科かスイカズラ科の二つのグループに属しますが、このミツバウツギ:三葉空木(ミツバウツギ科ミツバウツギ属)は、ウツギに似た花をつけて、葉が3小葉なのでウツギの名がありますが、いわゆる空木とは仲間はずれの木です。
日本各地、山地の樹下に生える落葉低木で、高さ2~3m、小葉の長さ3~7cm長卵状楕円形でふちには芒状の鋸歯があります。
花期は5~6月、枝先に長さ8mmほどの白い花が多数集まってつき垂れ下がるような形で咲きます。花弁と萼片はともに5個ありますが、平開はしません。
果実は長さ2cmほどの平たい風船状で、空木の仲間とは際立った違いを見せます。この実は夏の間から日当たりのよいところでは赤く色づき、結構目立ちます。

マルバウツギ:丸葉空木・丸葉卯木(雄蕊の形に注意)

2006-05-27 06:12:59 | 植物観察1日1題
この時期、山野のどこでも白花の低木が目につきます。その多くはウツギ:空木の名がついています。
このマルバウツギ:丸葉空木・丸葉卯木(ユキノシタ科ウツギ属)もその仲間で、ウツギより葉が丸いのでこの名があります。
本州関東以西、四国、九州の日当たりのよい谷川沿いなどに生える落葉低木で、高さ1.5mくらい、若枝葉、花序に星状毛があってざらつきます。
花は晩春、枝先に長さ5cmくらいの円錐花序を立て、直径1cmほどで5弁の白い花が多数つきます。雄蕊の花糸は基部に向かって幅が広くなっており、多種との区別点になっています。
筑紫空木の別名があります。

ギンラン:銀蘭(いぶし銀の良さ)

2006-05-26 05:40:28 | 植物観察1日1題
ギンラン:銀蘭(いぶし銀の良さ)万博公園の自然学習の森のに、ギンラン:銀蘭(ラン科キンラン属)が咲いています。
明るい樹林のやや乾き気味のところに自生する多年草で、わが国では、北海道から九州まで分布しますが、九州南部より南にはありません。
花が黄色い仲間のキンランと同じようなところに生えますが、花が白いのでギンランの名があります。キンランより少し小ぶりで、茎は直立して高さ15~20cmm、葉は数が少なく3~5個、楕円形で先が尖りキンランより軟質です。4~5月ごろ、茎頂に長さ1cm内外の小さい白花をつけますが、完全に開くことはありません。
実は去年、自宅近くの散歩道でたった1本咲いているキンランを見つけ大喜びでした。気になって今年も何回か見に行きましたがもとの場所からは消えていました。自然に消えたのか、盗掘されたのか、いずれにしても寂しい想いです。

ハナイカダ:花筏(花、筏に乗る)2006.5.25

2006-05-25 05:53:06 | 植物観察1日1題
“花筏”は散った桜の花びらが、水面に連なって流れるのを筏に見立てていう、いかにも優雅な言葉です。
木の名前のハナイカダも、花をのせた葉を筏に見立てたもので、うなずける名ですが、地味な色と形を見るかぎり “花筏”から来るあでやかな語感とはすこし違うような気がします。
ハナイカダ:花筏(ミズキ科ハナイカダ属)は、山地に林内の多湿なところに生える落葉低木で、高さ1.5mくらい、束生、分枝します。
葉は長柄、単葉で互生し長さ6~12cmの楕円形で、芒のある低鋸歯です。
初夏、葉の表面の主脈の上に、径4~5mmの淡緑色で小さい花をつけます。雌雄異株で、普通雄花は数個、雌花は1~3個で、花弁は3~4個あります。(写真は雄花)
秋、石果は黒く熟し、6~7mmの長楕円形です。
別名のママッコは、果実を米粒に見立てたものといいます。地方によっては若芽を食用にするそうです。

ギンリョウソウ:銀竜草(複雑な栄養源)

2006-05-24 05:50:43 | 植物観察1日1題
ギンリョウソウ:銀竜草(複雑な栄養源)2006.5.24
今年の異常気象は、冬から春と続き、5月は早くも梅雨模様で里も山も湿っぽい感じです。
そのためか、茨木市奥、見山の郷近くの林下で、梅雨時に多いギンリョウソウ:銀竜草(イチヤクソウ科ギンリョウソウ属)が白い茎を立ち上げていました。
葉緑素を失った白い蝋細工のような異様な色と形は、一度目にすると忘れがたく、山歩きの人の間では結構名を知られています。
日本各地の林中の落ち葉の中に生える腐生植物で、高さ10~15cm、葉は退化して鱗片状に互生します。
5~8月、茎の先に白い花が1個下向きにつきます。全体は異様な色と形ですが、花にはちゃんと黄色い雄蕊と紫色の雌しべ(柱頭)を整え、(写真Ⅱ)たっぷりと蜜も用意してハチ達を待っています。液果はつぶれて種子を散らすなど普通の草と変わるところはありません。
たいていの図鑑では、ギンリョウソウを腐生植物としており、語感からは栄養を枯葉などの腐植物から取っているように思われています。しかし最近の研究では、マツ、ブナなどの根の外生菌根がキノコの1種であるイグチの菌糸に取り込まれ、この菌糸の栄養をギンリョウソウが取り込むという関係が推定されるようになっています。
さすれば、別名のユウレイタケというのは、まんざら見当違いの名前とはいえなくなります。

シラン:紫蘭(野では見られない野生種)

2006-05-23 06:09:30 | 植物観察1日1題
狭い我が家の庭で、放って置いても増えすぎるので、家内にすっかり嫌われて道路を隔てた土手に追いやられたシラン:紫蘭(ラン科シラン属)が、紫紅色の美しい花をつけています。
庭によく植えられているので園芸品種だと思われがちですが、れっきとした野生種だそうです。
本州中部から西部の山地の湿った土地に自生する多年草で、扁形鱗茎から長楕円形の葉を5~6個伸ばします。葉は膜質で先は尖り平行脈がはっきりしています。
5月、20~30cmの花茎の先端に花を数個つけます。紫紅色の花被片は6枚あり、唇弁には白いひだが何本も走ります。唇弁のすぐ上に雄蕊と雌蕊が合着したずい柱があります。
花にもぐりこんだハナバチが後戻りするとき、ややへこんだ柱頭の縁に触れて背中に接着剤がつき、その直後に接着剤が葯に触れて今度は花粉塊がつくという仕掛けだそうです。
白花の紫蘭(?)もあり、古くから園芸植物として栽培されていて、宗達など琳派の画家により描かれた絵がいくつも残っているということです。
地中の偽球茎は白球根と呼ばれ漢方薬に、また粘性があるので七宝細工の接着剤に使われます。

トチノキ:栃の木(日本のマロニエ)

2006-05-22 06:03:36 | 植物観察1日1題
昨日の話の続きです。
マロニエの近くに日本のトチノキも咲いていますよというと、彼女らはぜひ見たいといいます。大きな葉の間から、白い花がびっしり集まったこれも大きい花穂が上向きにつき、花弁の基部がほんのり赤みを帯びています。ベニバナトチノキとはずいぶん違います。洋風と和風の違いですねというと納得顔でした。
30cmほどもある円錐形の花穂には、直径15mmくらいの百数十個の花がつきますが、ほとんどが雌蕊を欠く雄花で、少数の両性花がつきます。花は8日間ほど咲きつづけ、初め黄色の花びらの斑点が日がたつにつれて赤くなります。これは送粉者のハチなどにもう蜜がないという信号だそうです。若い花に送粉者を誘う省エネ戦略です。
トチノキ:栃の木(トチノキ科トチノキ属)は、日本各地の谷沿いなどに生える30mほどにもなる落葉高木で、5~9枚の小葉からなる大きい掌状複葉をつけます。
栗のような形をした果実は渋くて有毒ですが、何遍も水にさらすなどして食用にされ、縄文の古くから栗と並んで重要な食料のひとつとなってきました。いまでも地方に行くと栃餅や栃煎餅として売られています。材はくせがなく、いろいろな用途に使われるなど、私たちと関係の深い木です。
ウマグリという別名がありますが、英語のhorse chestnut そのままです。
秋の黄葉や(10月31日記事)大きい冬芽(12月13日記事)などもよく目立ちます。

ベニバナトチノキ:紅花栃の木(やはり洋風)

2006-05-21 06:04:07 | 植物観察1日1題
ベニバナトチノキ:紅花栃の木(やはり洋風)2006.5.21
万博公園の世界の森で、いっぱいに鮮やかな赤い花をつけている木の写真を撮っていますと、二人連れの中年の女性が通りかかって、何の木かと尋ねますので、これはベニバナとチノキといって、パリなどヨーロッパの街路樹で有名なマロニエ(セイヨウトチノキ)とアカバナアメリカトチノキとの交配でできたものだと話しました。
するとその婦人は、納得顔で、これがマロニエですか、つい最近スペインへ旅行した時、現地の街路沿いにこの木が一杯花をつけていたので気になっていた、尋ねてよかったといいます。こちらはこちらで、今は、ヨーロッパでも、マロニエに代わってベニバナトチノキが植えられていることを教えられたわけです。(よく見るとこの木の下に“マロニエ”と彫った大理石の銘板がありました。トチノキの仲間を総称してマロニエといっているのでしょう)
1920年ごろ作り出されたベニバナトチノキ(トチノキ科トチノキ属)は、木全体が大きくならず、小さい頃からよく花をつけるので、最近は、トチノキやマロニエ(セイヨウトチノキ)に代わり、街路樹や公園樹に多用されています。
この木は結実することは少ないのですが、日本のトチノキの実と違って、これらあちら系のマロニエの果実には棘があるのが特徴です。以前友人がパリから拾って帰ったマロニエの実をもらい、あまりにも栗に似ているので齧ってみたら、猛烈なエグさで、何度口をゆすいでも消えず往生したことがあります。

バイカウツギ:梅花空木(4弁でも梅に似る?)

2006-05-20 05:53:28 | 植物観察1日1題
バイカ(梅花)の名がついた草木は何種類かあり、いずれも梅の花に似ているところからその名が来ているのでしょうが、いま庭で咲いているバイカウツギ:梅花空木(ユキノシタ科バイカウツギ属)は、上品で芳香があり、全体の感じこそ梅に似てなくはありませんが、明らかに4弁花なので、梅花空木だと説明すると怪訝な顔をする人もいます。
本州、四国、九州の山地に生える落葉低木で、高さ2mくらい、2又に分枝し、若枝には毛が生えます。対生する葉は、長さ4~8cmで、3本の葉脈が目立ちます。
花は、初夏、小枝の先に総状花序につき、径2.5cmくらい、萼片、花弁ともに4枚で、雄蕊20本くらい、花柱の先は4裂します。
空木の名があるのに、枝の内部は空洞ではなく白い髄が詰まっています。このこともこれが梅花空木といっても信じてもらえない理由のひとつでもあります。

ナワシログミ:苗代茱萸(見かけはおいしそうだが)

2006-05-19 05:19:02 | 植物観察1日1題
苗代の頃に実が熟すところからこの名があるナワシログミ:苗代茱萸(グミ科グミ属)は、どこにでも見られる木ですが、肝心の実付きはあまりよくないみたいで、葉裏を探してやっとところどころで見つかるという感じです。
本州関東地方以西、四国、九州および中国に分布し、海岸や山野に生える常緑低木で、庭木としても使われています。
短枝は棘に変わることが多く、長さ5cmくらいの葉は縁が波状の皺があり、若枝、葉裏、萼に銀白色の星状鱗片が密生します。
秋に咲く花は花弁がなく、萼筒の先端が4裂します。
果実は翌年、初夏に熟し食べられます。写真の実を食べてみましたが、中の種子は思ったより大きくて果肉が薄い上渋みがあり、さほどおいしいものとは思えませんでした。

メキシコマンネングサ:メキシコ万年草(黄色の星団)

2006-05-18 05:58:52 | 植物観察1日1題
葉の肉が厚く、ここに水や養分が十分蓄えられているので、引き抜いて捨て置いても枯れずに根付くところからマンネングサと呼ばれるものは何種類かあります。
道路わきの縁石の間で、黄色く小さい星のような花を、これも大きい星形になった柄に多数つけているのは、メキシコマンネングサ:メキシコ万年草(ベンケイソウ科キリンソウ属)です。メキシコの名がついていますが原産地は必ずしも明らかではないといいます。
栽培されていたものが野性化したと見られ、日当たりのよい道端や空き地、土手などでよく見られます。
草の高さは10~15cm、線形の葉はふつう基部では4輪生しますが、花のつく枝では互生します。
花期は4~5月、花弁は5枚で長さ約4mm、葯は裂開前は濃黄色、開花後は赤みを帯びます。