新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

エゾノコンギク:蝦夷野紺菊(京で解けたエゾの気がかり)

2008-10-30 06:20:53 | 植物観察1日1題


エゾノコンギク:蝦夷野紺菊(京で解けたエゾの気がかり)2008.10.30
北海道で、青色のきれいな野菊を見かけ、エゾノコンギクですかと訪ねるとバスガイドさんが、これは普通のノコンギクでエゾノコンギクはもっと深い紺色だと教えてくれました。(10月7日記事)
そのエゾノコンギク:蝦夷野紺菊(キク科シオン属)に京都植物園で出会いました。
気になっていた花は、確かに深い紫色です。
草丈50~100cmほどの多年草。葉にはイナカガギクとは違い剛毛が生えていて触るとざらざらした感じがあります。頭花はよく分岐した枝先に数個付き、直径2~2.5cmほど。
ネットで調べると、北海道でもだんだん少なくなってきているようです。
(2日間休みます)



イナカギク:田舎菊(学者も迷う野菊)

2008-10-29 06:58:58 | 植物観察1日1題

今の時期、野辺にいろいろな野菊が咲いています。野菊はもともとキク属の野生のものをいいますが、一般にはヨメナ属やシオン属、ハマベノギク属なども含めて野菊と呼ばれます。
よく似たものも多く、秋になれば気になるものの、同定が難しくて悩みます。
写真はイナカギク:田舎菊(キク科シオン属)で、植物園の名札がありましたから多分間違いないと思います。
日当たりのよい山地に生える高さ0.5~1mの多年草で、茎には白い軟毛が密生します。葉は楕円状披針形で、先は次第に細くなって尖り、基部はやや茎を抱きます。縁にはまばらに鋸歯があり、両面ともに白い短毛が密生し、触ると柔らかい感じがします。頭花は直径2cmほどで、舌状花は白色、総苞は鐘形です。別名はヤマシロギクとされていますが、牧野富太郎は江戸時代の古い本に出てくるヤマシロギクを近縁のシロヨメナと考え、北村四郎はこのイナカギクに当たるとしているそうです。専門の大先生にして意見が分かれるくらいですから、素人が迷って当然と少し気が楽になっています。

チャノキ(またはチャ):茶の木(花が教える近づく冬)

2008-10-28 07:08:14 | 植物観察1日1題

ツバキ科の仲間に先駆けてチャノキ(ツバキ科ツバキ属またはチャ属)の花が咲いています。
中国西南部の原産で日本および中国に分布する常緑低木で、平安時代に最澄が薬用として唐から持ち帰りました。その後鎌倉時代に禅宗の栄西が製法とともに宋から持ち帰り、日本最古の茶の本「喫茶養生記」を書いたことなどから、世間に茶を喫する習慣が広まり、やがて茶道という日本独特の文化の発展につながってゆきます。
茶園では低木状に栽植しますが、暖地では自生するほか、一部野生化したものもあり、高さは5~7mほどにもなります。
花は秋、5~7弁の白い花を下向けにつけます。元来集散花序ですが、よく育たないので普通はそのようには見えず1花だけとなります。
日本では抹茶、煎茶、ほうじ茶など、西洋では紅茶、中国では烏龍茶など、製法こそ違えチャノキの葉は世界中で愛好されているのです。

タチバナ:橘(不老不死の妙薬)

2008-10-27 06:57:36 | 植物観察1日1題

第11代垂仁天皇の命を受けた田道間守が、不老長寿の霊薬といわれる常世の国の、非時の香果(ときじくのかぐのこのみ)を艱難辛苦の後に探し出し帰国したとき、すでに帝は崩御し復命がかないませんでした。田道間守は叫び泣いて自ら死(みま)かります。今、奈良西ノ京の垂仁天皇陵の堀に浮かぶ小島が田道間守の墓と伝えられます。
タチバナ:橘(ミカン科ミカン属)は、元来食用蜜柑を総称する古名ですが、我が国固有種で最も古くから存在する種として、一応ニッポンタチバナがあてられていますが、実際には暖かい海岸地方などにごくまれに自生するといわれ、めったに見られません。*
御所の右近の橘はこれに近いといわれますが、自生種より大きい果実をつけるそうです。
写真は、おなじみのウンシュウミカン(温州蜜柑)で、果皮が薄く、無種子で、美味、普通ミカンというとこれを指すほどミカン類の代表的品種です。中国中部原産のものを日本で改良したとも、我が国で偶発実生としてできたものともいわれます。“温州”はミカンで有名な中国浙江の南にある海岸の地名で、単に有名な産地の名前を借りただけとのことです。

*後日、古市の小学校に「羽曳野市の木」として植えられている「タチバナ」に実がなっているのを見かけました。キンカンより少し大振りな真ん丸い実でした。一つだけいただいて味わってみたら、たしかに蜜柑の味でした。

アキノウナギツカミ:秋の鰻攫(うなぎでもつかめる)

2008-10-26 06:28:05 | 植物観察1日1題

アキノウナギツカミ:秋の鰻攫(タデ科タデ属)、一度聞いたら忘れない変わったこの名前は、茎に下向きの棘があり、うなぎでもつかめるということから来ています。
水辺など湿地に生える1年草で、高さは0.6~1m、茎の下部は地をはい、他物にからまってのびます。互生する葉は、長さ5~10cmの卵状被針形で、基部はやじり形で、茎を抱くように張り出します。托葉鞘は長さ0.7~1cmの筒型です。
花は枝先に10数個集まって咲き、花被は5深裂し、上部は淡紅色、下部は白色です。
変な名をつけられたこの草、品のよい葉の上で、慎ましやかに花をつけていました。

ネコノチチ:猫の乳(猫の乳はこんなもの?)

2008-10-25 07:34:50 | 植物観察1日1題

名前を聞いてなんとなく想像がつくような気がするのがネコノチチ:猫の乳(クロウメモドキ科ネコノチチ属)です。果実の形を猫の乳に見立ててこの名があるといいます。実際には猫の乳房をしげしげと見たことがないのに、納得できるような気分になるのが不思議なところです。山野に生える落葉中低木で高さは5~10m、葉は互生し長さ5~10cm、側脈が目立ちます。
5~6月、葉の付け根に黄白色の小さな花を数個ずつつけます。(06年7月12日記事)
果実は秋、黄色から赤色、完全に熟すと黒色になります。

シモバシラ:霜柱(名前は本当の霜柱から) 

2008-10-24 07:05:41 | 植物観察1日1題

白い花が一方方向に花穂をつくる姿が霜柱に似ているからこの名があると思ったのは間違いでした。初冬のころ枯れ始めた茎の根元から本当に霜柱のような氷の柱が立つことからきた名前なのです。
シモバシラ:霜柱(シソ科シモバシラ属)は、山地の木陰に生える多年草で、茎は4稜形、高さは40~90cm、上部で枝分れします。花穂は長さ5~10cm、上部の葉脇から出て、一方にかたよって白い唇形花をつけます。
霜柱が立つメカニズムは、冬になって地上部は枯れても、しばらくは地中の根は生きており、植物によっては、まだまだ水分を吸い上げます。この水分が、茎の途中からしみ出し、冷たい外気に触れて凍り始める現象です。
シモバシラ以外にも霜柱をつくる植物はいくつかあり、アキチョウジなどシソ科が多いですが、シロヨメナなどキク科にも見られます。

シリブカガシ:尻深樫(実と花が同時)

2008-10-23 07:07:29 | 植物観察1日1題

堅果の底が凹んでいるので尻深の名がついたといわれるシリブカガシ:尻深樫(ブナ科マテバシイ属)は、9月ごろ開花することと、花と成長した果実を同時に見ることが出来ることで、ドングリの仲間でもちょっと変わった存在です。
山地に生える常緑高木で、高さは15mくらいになります。
雌雄同株で、花は本年枝の先端または葉脇から花序がのび、雄花序は長さ6~9cm、雄花は苞の脇に3個ずつ、花被は直径2mmほどの皿型で、雄蕊は10個、雌花序は長さ5~9cm、上部に雄花がつくこともあります。
写真は9月末ころ撮ったもので、雄花、雌花、果実がそろって見えます。

イヌタデ:犬蓼(アカマンマも草の知恵)

2008-10-22 06:23:21 | 植物観察1日1題

昭和10年、東京日日新聞が当時の7人の文人たちに依頼して、新秋の七草を選んでもらったことがありました。そのとき高浜虚子が選んだのがアカマンマでした。
幼児がままごとでアカマンマ(赤飯)に見立てて遊んだというイヌタデ:犬蓼(タデ科タデ属)は、
道端や空き地などどこにでも見られる1年草で、高さは20~50cm、茎は赤みを帯び、下部は横に這います。花は6~10月、紅紫色の小さな花が穂になってびっしりとつきます。
花穂は長さ1~5cm、実は黒く、花に包まれたまま熟します。
イヌタデに限らずタデ科の花には花びらはなく、花びらに見えるのは萼片で、この萼は花が終わっても落ちず、色もあせずに実を包みます。花穂に集まった花は一度に開かず少しずつ咲くため、花穂をよく見ると、本当の花と実の花が混じっています。実を花に見せることで、まだまだ花がたくさん咲いていると見せかけて、虫を呼んでいるのだそうです。
この話をしたら、あるひとが、“道理でアカノマンマ”といいました。座布団を1枚!。

チングルマ:稚児車(季節折々に楽しめる)

2008-10-21 06:23:24 | 植物観察1日1題

10月19日の立山室堂の朝、快晴の高原はぐっと冷え込んで一面白い霜でした。
あちこちに、長くのびたチングルマの羽毛状の果序(そう果)が、朝の光に照らされています。足元を見ると奇数羽状複葉の葉の縁が霜に縁取られてきれいな模様になっていました。
チングルマ:稚児車(バラ科チングルマ属)高山帯の日当たりのよい地下水の豊富な岩石地に生える匍匐性矮小低木で、高さ10cmくらい、花直径2cmほどの淡いクリームの5弁の花をつけます。
花後、花柱が長く伸び、はじめよじれているのが次第にほぐれて羽毛状になり、風にそよぎます。チングルマの名は、この輪状の果実を子どものおもちゃの風車に見立てた稚児車がなまったものされています。
夏の花、花後の果実、秋の紅葉(06年10月18日記事)と、季節折々に楽しめるチングルマですが、
この記事を書いていると、まだ花が登場していないことに気がつきました。やはり稚児車です。

コミカンソウ:小蜜柑草(蜜柑に似るというが)

2008-10-16 06:59:04 | 植物観察1日1題

果実を小さな蜜柑に見立ててこの名があるというコミカンソウ:小蜜柑草(トウダイグサ科コミカンソウ属)ですが、これを蜜柑と見るにはかなりの想像力を必要とするようです。
畑や道端に生える高さ5~10cm1年草で、茎は赤みを帯びます。
多くの横枝を出し、その両側に葉が規則正しく互生するので、一見羽状複葉に見えます。
葉はマメ科のような睡眠運動をします。
花はごく小さく、上部の葉脇に雄花、下部の葉脇に雌花がつきます。
雌花の子房は球形で、表面に隆起した皺があり、果は直径2.5mmほどで赤褐色、皺は果になって残っています。
(明日から4日ほど休みます)

ナツハゼ:夏櫨(ジャパニーズ ブルーベリー?)

2008-10-15 09:13:48 | 植物観察1日1題

ナツハゼ:夏櫨(ツツジ科スノキ属)が、黒い実をたわわにつけています。
日当たりのよい山地に生える落葉低木で、高さ1~2m、多数分枝して束生します。
花は初夏、若枝の先に長さ3~6cmの花序をつけ、一方にかたよって赤みを帯びた淡赤褐色の釣鐘形の花を多数下向きにつけます。(05年6月2日記事)黒い果実は液果で、直径3~4mmの球状、甘酸っぱくて食べられるので、ジャパニーズ ブルーベリーの異称があります。頂部に萼の落ちた跡が梅の花のような模様になって残ります(写真中央)。
ナツハゼ:夏黄櫨の名は、初夏の紅色の新芽の美しさを、櫨の木の秋の紅葉になぞらえてつけられた名です。


ナツハゼ:夏櫨(ジャパニーズ ブルーベリー?)

2008-10-15 09:03:14 | 植物観察1日1題

ナツハゼ:夏櫨(ツツジ科スノキ属)が、黒い実をたわわにつけています。
日当たりのよい山地に生える落葉低木で、高さ1~2m、多数分枝して束生します。
花は初夏、若枝の先に長さ3~6cmの花序をつけ、一方にかたよって赤みを帯びた淡赤褐色の釣鐘形の花を多数下向きにつけます。(06年6月2日記事)
黒い果実は液果で、直径3~4mmの球状、甘酸っぱくて食べられるので、ジャパニーズ ブルーベリーの異称があります。頂部に萼の落ちた跡が梅の花のような模様になって残ります(写真中央)。
ナツハゼ:夏黄櫨の名は、初夏の紅色の新芽の美しさを、櫨の木の秋の紅葉になぞらえてつけられた名です。


ミズヒキ:水引(仔細に見ればやはり花)

2008-10-13 07:49:04 | 植物観察1日1題

「むかごの日記」を始めて3年余、身近な植物でありながらまだ登場していないことに気づくことがよくあります。
忘れていることもありますが、たいがいは写真にすることが難しいのが理由になっています。
ミズヒキ:水引(タデ科タデ属)もそんなひとつです。
花序を上から見ると赤く、下から見ると白く見え、長い総状花序が、祝い物に使う水引に見えるのでこの名があります。
林や道端に普通に生える多年草で、高さ50~80cm、広楕円形~倒卵形の葉にはしばしば黒い斑点があります。
花被片は4裂し、上の3個は赤く、下側の1個が白で、花柱は2個です。そう果は花被片に包まれて熟し、先が鉤形に曲がった花柱が残り、これが動物などにくっつき運ばれてゆきます。

キセワタ:着せ綿(不老の願いをこめて)

2008-10-12 08:30:00 | 植物観察1日1題

着せ綿は、菊の着せ綿ともいい、菊の花に霜を当てないためにかぶせた綿で、昔、陰暦9月9日重陽の節句に、これで体を拭うと老いを去ると信じられていました。
キセワタと聞いてそんな名前の植物があるとは知りませんでした。
キセワタ:着せ綿(シソ科メハジキ属)は、山地の山野などに生える多年草で、高さ60~100cm、8~9月上部の葉のつけ根に紅紫色の唇形花を数個ずつつけます。
花は長さ3cmほどで、白い毛が密生し、毛はとくに花弁の外側に多いので、こんな優雅な名がつきました。