新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

アベマキ:(和製コルク

2007-01-30 08:46:51 | 植物観察1日1題

いわゆる団栗らしいドングリを代表するのは、クヌギとアベマキですが、クヌギはともかくアベマキの名は一般にあまり知られていないようです。
クヌギとアベマキの区別点として、葉の裏面が、クヌギは緑色に対し、アベマキは星状毛が密生し灰白色をしているなどがありますが、アベマキの樹皮が灰黒色で縦に深く裂け、コルク層が著しく発達していることも大きい区別点です。戦時中実際にこれでコルク栓を作ったそうです。
アベマキ:(ブナ科コナラ属)は、山地に生える落葉高木で、和名のアベマキは、アバタの意味でこの樹皮の形状からきているといいます。別名にコルククヌギ、ワタクヌギがあります。
写真はこれも神峰山寺の森のもので、古木にふさわしい堂々たる皺でした。

カゴノキ:鹿子の木(鹿の子模様の)

2007-01-28 07:52:16 | 植物観察1日1題

これも神峰山寺の森に立派なカゴノキ:鹿子の木(クスノキ科ハマビワ属)があります。
黒っぽい樹皮がまだらに剥げ落ち、そのあとの新しい部分が白っぽく、鹿の子模様になるのでこの名があります。
各地の山地に生える常緑の高木で大きいものは20mにもなります。このため葉の形を間近に見ることがあまりありませんが、特徴あるこの樹皮で判別がきわめて容易な木といえます。
雌雄異株で、夏、葉のつけ根に淡黄色の小さい花を密につけ、秋には赤い実をつけますが、あまり注目されることがなく、やはりカゴノキは肌色で目立っています。

サルスベリ:猿滑・百日紅(名前そのものの樹皮)

2007-01-26 07:11:03 | 植物観察1日1題

木登り名人の猿でもすべる滑らかな木肌ということから名前がついているのは、おなじみのサルスベリ:猿滑・百日紅(ミソハギ科サルスベリ属)です。
幹全体の樹皮が剥がれてすべすべになり、肌色~橙色を基調にしたまだら模様になります。
普通幹はよく曲がり、また老木では縦向きのうねが出ることがよくあります。高槻郊外神峰山寺境内で見かけたこのサルスベリは、カエデの高木の間に育ったせいか幹は真っ直ぐに立っています。図鑑ではサルスベリより幹が通直で高木になり、樹皮に白色が強い傾向がある同属のシマサルスベリというのがあるそうですので、あるいはこれかまたはこれとの交雑種かも知れません。
サルスベリは剪定しても萌芽力が強く、同じ箇所で毎年剪定するとその部分がこぶ状になります。これが園芸でこぶ作りといわれる仕立てです。
この原理で、奈良公園のサルスベリは、地上近くの新芽が年々繰り返し鹿に食われるので鹿の届く範囲の幹はこぶだらけになっています。このため奈良公園のサルスベリはサルスベラズと呼ばれているそうです。奈良へ行かれたら確認してみてください。

カリン:花梨(木肌も楽しめる)

2007-01-24 16:36:49 | 植物観察1日1題

葉が落ちて、花も少ない冬の季節、特徴ある木肌がよく目立ちます。高槻郊外神峰山寺で見かけたカリン(バラ科ボケ属)もその一つです。
樹皮はうろこ状に剥がれ、緑、橙、褐色などのまだら模様になり、老木では縦方向にうねが入ります。
カリンは食用にはされないまでも芳香のある果実はよく知られ、晩春に咲く薄紅色の花もなかなかのものですが(05年4月28日記事)、冬は冬でこの特徴あるキハダで、私たちの目を楽しませてくれます。
しばらく面白い木肌をシリーズでご紹介しましょう。

ハラン:葉蘭(ハランかバランか)

2007-01-22 08:49:46 | 植物観察1日1題

弁当持参で出かけることが結構多いのですが、おかずの仕切りに例の緑色のビニール(バラン)を使っていたので、妻に、家に沢山あるのだから形はともかくせめて本物のハラン使ってくれと頼みました。面白いことに商売などではビニールをバラン、本物をハランといっているようです。
その本物のハラン:葉蘭(ユリ科ハラン属)は、中国原産で古くから日本各地で庭などに栽培されている多年草です。葉は、長さ30~40cm、主脈が隆起し左右不対称で、生花の花材、料理の彩り、食物を包むなどに使われます。
葉は誰にもおなじみですが、花や実は半ば土に埋まっているためあまり目立ちません。
この時季、根元を探すと去年春咲いた花が緑色の丸い果実になっています。
写真の、左右の緑色の球が果実、中ほどの茶色の粒が中に入っていた(多分前年の)種子、上の白いものは春に咲く蕾です。マルムシ(ダンゴムシ)なども見えて少々汚らしい写真ですが、実、種、蕾がそろっていたのであえて採用しました。
白い蕾がどんな花になるのか、しっかりフォローすることにしましょう。

ブロッコリー(食べるのは確かに蕾)2007.1.20

2007-01-20 17:09:59 | 植物観察1日1題


散歩の道すがら、畑に薄黄色の花を見かけました。ブロッコリー(アブラナ科)の花です。
キャベツの1変種で、固まってつく緑色の花蕾を食用にします。食べるときには蕾を食べているという意識はあまりありませんが、このように薹が立って、下から順に十字形の花が咲き上がっているのを見ると、間違いなくブロッコリーは蕾を食べているのだなあと実感できます。
ミドリハナヤサイ、メハナヤサイの別名があり、同様に白色の蕾を食用にするカリフラワーの原型といわれています。

ヒラタケ:平茸(食べるまでが大変)

2007-01-18 07:23:06 | 植物観察1日1題

家の前の土手に何本か植わっているヤマナラシ(ヤナギ科ヤマナラシ属)の幹に大きな茸が重なって生えているのに気がつきました。
昨年、同じものを万博公園で見かけ、詳しい友人にサンプルを送って同定を頼んだりしているうち、再度行ったときには誰かにすっかり採られてしまっていてがっかりしたことがあったので、今度こそはと、先ず採集した上で、複数の友人に見てもらったところヒラタケ(ヒラタケ科)に間違いないとのお墨付きを頂きました。
ヒラタケは寒茸ともいわれ、主に晩秋から冬にかけ広葉樹まれに針葉樹の枯れ木などに多数重なりあって発生する中~大形の菌で、饅頭型から半円形に開き、柄は短く側生、偏心生、中心生で時に柄を欠きます。優秀な食菌で、「シメジ」の名で市販されます。
同定のお礼に、友人に半分進呈しましたら、早速その夜、すき焼きに入れたら美味しかったとのメールです。それまで絶対いやだと言っていた家内もこれでやっと料理をしてくれることになりました。
翌晩、毒見(?)の済んだヒラタケを当家ではバター炒めで味わったことでした。

ビワ:枇杷(忌みか縁起か)

2007-01-16 07:04:34 | 植物観察1日1題

ビワ:枇杷(バラ科ビワ属)の花が咲いています。花序の中軸、柄、萼にびっしりついた褐色の綿毛のおかげで白い花びらこそあまり目立たない感じですが、花の少ない時季だけに全体としてはそれなりの存在感があります。
暖地に自生するものもありますが、果樹として広く栽培されている常緑高木で、庭にもよく植えられます。互生する葉は枝先に集まってつき、長さ15~20cmの倒披針形で厚く、斜めに並んだ側脈が目立ちます。
花期は晩秋から初冬、枝先に白い花が集まって咲き、芳香があります。果実は初夏に熟し食べられます。
学名にジャポニカがついているように小粒のものは昔から日本に自生し平安時代にも食べられた記録があるそうですが、今食べられているビワのほとんどが中国から渡来した改良種だといいます。
ビワは果肉のわりに種が大きく結構値段もするからか果物としてはあまり人気があるように思えませんが、中国ではモモ、ライチとともに三生果の一つになっています。 
ビワを屋敷内に植えると病人が絶えないなどと一般に忌み木にされていますが、別に、日かげの湿地でも常緑大木になり、葉が消炎薬、入浴剤になり、実生でも結構食べられる実が生るなどで、縁起のよい有用木として好む地方もあるそうです。
和名は漢名の枇杷の音読み、葉形や果実の形が楽器の琵琶に似ているからどの説があります。

ミツデウラボシ:三つ手裏星(韓国では稀少種?)

2007-01-14 06:56:57 | 植物観察1日1題

ミツデウラボシ:三つ手裏星(ウラボシ科エドゼンダ属)は、道端のやや日当たりのよい岩や崖の上に生える常緑の多年草で、根茎は太くて短く、横に這い鱗片を密生します。葉の長さは5~15cm、発育のよいものは名のとおり3裂しますが、悪いものは単葉にとどまります。
ある人の話では、韓国ではこの羊歯が、非常に珍しいものとしてガラスケース入りで展示されていたそうですが、わが国ではそれほどでもないようです。

ホオズキ:酸漿・鬼灯(網の中の鬼の灯)

2007-01-12 07:13:55 | 植物観察1日1題

近所の畑に霜枯れしたホオズキ:酸漿・鬼灯(ナス科ホオズキ属)を見つけました。
アジア原産といわれる多年草で、古くから庭などで栽培され、古事記にも登場し、各地で鬼灯市が開かれるなど、人々に親しまれているおなじみの植物です。
花のあと、萼が袋状にふくらみ果実を包みます。赤橙色にふくらんだ萼は、切花にされ盆花となります。
晩秋になると萼は網状の脈だけになり、袋の中の赤い果実が透けて見えます。
和名の起源として、果実を鳴らすとき頬を突き出すようにするから“頬突き”、ホウ(カメムシ)が好むから、文月(7月)に赤くなるから“フウズキ”からなどがありますが、どれも決め手にはならないみたいです。

オカメザサ:(ササではない福笹)

2007-01-10 07:13:41 | 植物観察1日1題

昨日9日は宵戎です。ふと思いついて近くの神峰山寺へオカメザサの写真を撮りに行きました。
このオカメザサの名は浅草酉の市で阿亀の面をつけて売られたことからきているといいます。
テレビのニュースで見るかぎり、戎っさんで授かる福笹は小さいのはこのオカメザサ、大きいのは普通の竹の枝を使っているように見えます。ところがこのオカメザサも小形で一見ササのように見えますが分類的にはタケに属します。普通タケとササは、タケノコが生長して若竹になるとき、桿鞘(タケの皮)が落ちてしまうのをタケ類、桿鞘が成長後も付いているのをササ類として区別します。オカメザサはタケノ皮が剥がれ落ちていますので、ササではなくタケ類ということになります。
どうやら戎っさんのは福笹ではなく福竹といったほうが正しいようです。
オカメザサはササという名のタケであり、反対にヤダケ、メダケなどはタケという名のササです。
皮の落ち方もカンチクのように中間的なものがあり、タケかササかは名前でも形態でも明確に区別することは結構難しいのですが、人間が勝手に分類しようとするからややこしいだけで、タケもササも自身は知らぬことです。
オカメザサは、原則各節に5本の細く短い枝を出しその先に1枚ずつ葉をつけます。このことからゴマイザサ、ほかにブンゴザサ、メゴザサなどの別名があります。

ボケ:木瓜(ボケてはいない)

2007-01-08 07:19:44 | 植物観察1日1題

雪がちらつく中、ボケ:木瓜(バラ科ボケ属)が咲いています。
中国原産の落葉低木の園芸植物で幹が群がって上向きにつきます。日本に自生し、茎の下部が横に伏しそこから枝をのばす少し背の低いクサボケ:草木瓜もありますが、ふつうは両方含めて単にボケと呼ぶことが多いようです。
早春去年の枝先に径3cmほどの花を葉に先立ってつけますが、どうかすると晩秋の頃から花を見ることができます。
多くの園芸種があり、花色も濃紅、朱赤、淡紅、白、絞りと美しく、香りのよい果実は果実酒に用いられたりしますが、ナシ、リンゴ、カリンなどと同じように、中間宿主であるイブキ類が近くにあるとそれとの間で病原菌が移動して起きる赤星病にかかりやすい弱点があります。
和名は中国名のモッカ(木瓜)からといわれ、ボケにはモケ、カラボケ、クサボケにはシドミ、ジナシなどの別名があります。

マンリョウ:万両(元は赤い白万両))

2007-01-06 08:05:34 | 植物観察1日1題

センリョウと共に正月の縁起物としておなじみのマンリョウ:万両(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)、
こちらは一昨日のセンリョウと違って、双子葉植物の合弁花類に属し、植物学的には何の変哲もない木です。
マンリョウにも、白い実の変種がありますが、特別の名はついていないようです。
マンリョウの実は鳥たちにとってもあまりと美味しいものではないらしく、翌春ごろまで残っているものですが、我が家のマンリョウはさらに長く、2年分の実がまだ残っています。
玄関先に植わった赤と白のマンリョウ、新しい白実の左下にぼんやりピンク色に見えるのは一昨年のものです。時がたつと白い実も先祖がえりしてだんだん赤みが増してくるようです。


キミノセンリョウ:黄実の千両(千両の秘密)

2007-01-04 08:37:22 | 植物観察1日1題

センリョウ:千両(センリョウ科センリョウ属)は、マンリョウ:万両と並んで、きれいな実、つややかな葉、お目出度い名前で正月の飾りとしておなじみです。ところが両者は、実の付き方が千両は葉の上、万両は下という違いだけではなく、植物学的にはまったく遠い仲間です。
センリョウは双子葉植物中の離弁花類に属しますが、その花はひどく原始的で花弁がなく、雌蕊の体の横に雄蕊がいきなりくっついているような形をしています(06年7月8日。写真の黒い点はその雄蕊の跡です。
この旧式の花は珍しいものですが、春先に白い花(実は雄蕊)をつけるヒトリシズカがこれと同じだといいます。このため分類的にはヒトリシズカもセンリョウ科センリョウ属になっています。
センリョウは今ひとつ珍しい原始性をもっています。それは材部に導管(根から吸収した水を通す管で細胞の上下の隔壁が消えて管になったもの)がまったくなく、仮導管(管の途中に細胞壁の仕切りが残り水は横に開いた穴を介して通る)だけで成り立っていることです。進化的に古い段階の裸子植物は仮導管から材はできていますが、進化の進んだ被子植物は本来導管主体になっています。つまりセンリョウは立派な被子植物で双子植物でありながら材の部分では原始段階で足踏みしているということになります。
この無導管の事実は第二次大戦中に日本の植物を調査した米国で発見されたといいますから、この身近な植物を日本人自体がよく知らなかったというのは面白い話です。

松竹梅:献歳植物・歳寒三友 

2007-01-01 00:49:05 | 植物観察1日1題

明けましておめでとうございます。
お蔭さまで「むかごの日記」も3年目を迎えました。
その間まがりなりにも毎日出稿を続けてこられたのも、多くの皆さんのお励ましあってのことと感謝しております。
2年間でとりあげた植物の数も6百余種、さすがに身近なものはあらかた終わった形になり、少々ネタ切れの様相を呈してきました。
寄る年波もあり、今年こそは毎日などとがんばらず、気楽にゆこうというのが、きわめて実行容易な新年のリゾリューションです。引き続きよろしく御願い申し上げます。

早春の万博公園、めでたい松竹梅が一目で見ることができる場所があります。
松竹梅は、霜雪に会うも節を変えず四時緑を保ち、あるいは寒に先駆けて香気ある花を雪中に開くことなどが、繁栄、招福にむすびついて、古くから「歳寒三友」とよばれる縁起植物、献歳植物の筆頭に挙げられてきました。
この松竹梅、牧野富太郎博士によると、偶然にも実に巧みに高等植物の三大部門が選ばれているといいます。すなわち
松:針葉樹で裸子植物
竹:被子植物で単子葉類
梅:被子植物で双子葉類
だというのです。これに正月飾りの褐藻類のコンブ、羊歯植物のウラジロを加えれば、それこそ植物界の代表者の揃い踏みということになりますね。