新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

気がつけばどこにでもあった可憐な雑草、マツバウンラン(松葉海蘭)

2005-04-30 05:26:54 | 植物観察1日1題
70の手習いで始めた植物観察、いままでまったく気づかなかった花が、名前を知ったとたん急にあちこちで見えるようになります。
マツバウンランもそんな草のひとつです。海辺に咲くウンラン(海蘭)に似ていて、松葉のように細い葉を持つことからマツバウンランと名づけられたこの草は、北アメリカ原産で、日本で始めて見られたのは1941年京都伏見ということになっています。
春になると、地表の細い頼りなげな葉に似あわないほどの長い(20~60cm)花茎を伸ばし、先端に薄紫の小さな花をつけます。
道端にひっそり咲くのも、風にそよぐ群生が一面紫の波となってゆれる風情も捨てがたいものはあるのですが、名を知った後はあまりにどこででも見られるので、初めてのときの有り難味が少し薄れたのは困ったことです。

苺は成らないイチゴ:オヘビイチゴ(雄蛇苺)

2005-04-29 06:00:50 | 植物観察1日1題
淀川の河川敷にオヘビイチゴ(雄蛇苺)の花を見つけました。
バラ科キジムシロ属のオヘビイチゴは、一見ヘビイチゴ(蛇苺)に似ていますが、ヘビイチゴは葉が3枚であるの対し、オヘビイチゴは5枚で直ぐに区別できます。何よりもバラ科ヘビイチゴ属のヘビイチゴは,食べることはないにしてもちゃんと赤い色の苺をつけますが、属の違うオヘビイチゴは、花の後花床が膨らまず苺はできません。
雄蛇苺の雄は、蛇苺より大きいので付けられたという説もありますが、蛇苺のように目立つ実を為さないという意味を込めているのかもしれません。

変な名前の可愛いい花、東国鯖の尾:トウゴクサバノオ

2005-04-28 05:19:44 | 植物観察1日1題
ポンポン山北東部大原野自然公園の谷で見かけたこの花、パトロールの人にこの名を教わりましたが、なじめない名なので何回も聞き返しました。
花の形は、隣に咲いていたニリンソウに似ていますが、それよりもっと小さく、横向きに咲いた花びらは淡い黄色で、オレンジ色のオシベがよく似合っています。
山の湿った所に見られますが、個体数は多くなく、京都府のカテゴリーで、準絶滅危惧品種に指定されています。
東国に多く見られ、種の形が鯖の尾に似ているのでこの名が付いたそうですが、イメージし難い感じです。秋に再訪して確かめることにしましょう。

諸葛孔明は食べなかった「諸葛菜」:ムラサキハナナ

2005-04-27 05:46:02 | 植物観察1日1題
「諸葛菜」(ムラサキハナナ:アブラナ科)が紫の花をつけています。中国北・中部の原産ですが、帰化植物は思えないほど日本の風土に順応し、所によっては雑草化して群生しています。
諸葛菜という別名は、三国志で有名な蜀漢の宰相、諸葛亮(あざなは孔明)に由来し、智謀ある諸葛亮が軍隊の食料補給に利用したと言う言い伝えから名づけられたとされています。
しかし今中国東北部で同じく紫の十字花形をつける野草が図鑑で諸葛菜(または二月蘭)と呼ばれており、唐代に蜀で使われた諸葛菜という呼び名の野菜は、かぶらのような塊根のある植物だったとされているので、どこでどう変わったのかわかりませんが、どうやら日本の「諸葛菜」(ムラサキハナナ)は諸葛孔明が食べた野菜とは違っているようです。
他の別名に、紫金菜、大紫羅欄花(おおあらせいとう)などがあります。

ヤマブキは実をつけます

2005-04-26 06:15:51 | 植物観察1日1題
実をつけないのは、八重山吹だけ。ヤマブキは実をつけます。
「七重八重花は咲けども山吹の 実のひとつだになきぞ悲しき」は後拾遺和歌集の兼明親王の和歌で、史実かどうかは別にして大田道灌の蓑借り話で用いられて有名です。
ヤマブキは本来一重で、あまり見ませんが、一重は硬い痩果をつけるそうです。
実(蓑)のひとつだにつけないのは“八重山吹”で、オシベは花弁になり、雌しべも退化しているので実を結びません。
兼明親王は八重咲きの山吹を歌っているのですから、一重の山吹とは正確に区別しているということになります。
高槻芥川の上流石切り場近辺では長く続くヤマブキノ群落がいま真っ盛りで、川沿いを文字通り山吹色に染めています。

実の四つずつあるぞうれしき、シロヤマブキの実

2005-04-25 18:41:24 | 植物観察1日1題
白山吹が咲いています。白い花が咲く山吹という意味ですが、ヤマブキとは同じバラ科でも属が異なります。花や葉の感じは似てなくはありませんが、葉が対生、花弁や萼片が4個で、互生、各5個のヤマブキとは容易に区別できます。バラ科の基本数は5なので、バラ科の中では少し異端です。果実は4個ずつつき、黒い光沢の実がいつまでも枝先に残るため、花と実が一緒になったのがよく生け花の花材になります。
庭ではよく見かけますが、石灰岩地だけに限定されるので自生のシロヤマブキを目にすることは稀なようです。
明日は普通のヤマブキです。シロヤマブキと比較してみてください。

春の鵜殿散策の終点、眼前に満開の背割堤の桜並木が広がっていました

2005-04-24 07:01:44 | 植物観察1日1題
淀川右岸を高槻市道鵜町から京都府大山崎町まで河川敷の草花を観察しながら歩いたのが4月10日。鵜殿の葭原に、河川敷のゴルフコースに、堤防に、さまざまな草花たちが私の目を楽しませてくれていました。いくつかの希少品種にも逢えました。
その日の歩きの終点、大山崎町の三川合流地点付近からは、桂川を隔てて背割堤の長い桜並木が満開でした。
あれから2週間、季節の移り変わりは速く、山々はもう滴るような新緑です。しばらくすれば鵜殿の葦も高く青く茂り、ヨシキリの声が一段と高くなるでしょう。春の草たちが退場し、夏草が茂る頃に再び訪れることにして、13日からの鵜殿シリーズはこれにてひとまず終わります。

日本に3箇所だけ。鵜殿に生える超希少品種トネハナヤスリ(1)

2005-04-23 06:14:26 | 植物観察1日1題
1月半ほど前に焼かれた淀川右岸鵜殿の葭原に、珍しいトネハナヤスリがいっせいに芽生えていました。
このトネハナヤスリはハナヤスリ科ハナヤスリ属のシダ植物で、名前の由来である棒やすりのような胞子嚢を包むようにして、光背のような葉を一枚だけつけます。
トネハナヤスリは、いまでは淀川の鵜殿以外には、渡良瀬川の遊水地と利根川の三ケ所でしか見られないという希少種で、環境庁のレッドデータブックのカテゴリーで絶滅危惧品種ⅠA類に指定されています。
この植物、葦が茂る夏には姿を消すそうで、つかの間の春の日光を満喫しているかのようです。

私を踏まないで!

2005-04-22 05:58:08 | 植物観察1日1題

オオバコ(大葉子)は踏みならされたどこの道端にでも見られるおなじみの草です。
ずっと踏まれ続けてきたためか、葉柄を持たない大きい葉は少々踏まれても横に開いたまま平気なようです。踏まれて当然の普通のオオバコは、ほかの草が生えてるような人が踏まない場所はかえって苦手なのかも知れません。
写真のヘラオオバコは、ヨーロッパ原産の帰化植物で、その名の通りヘラ(箆)状の細長い葉を持ちます。上に長く葉を伸ばしたヘラオオバコを見ると、踏んづけるのを躊躇してしまいます。
まもなくこの長い花茎の先の穂に小さい花火のような花を付けます。

宮内庁御用達、鵜殿の葦

2005-04-21 06:15:53 | 植物観察1日1題
2月27日葦焼きで焼かれた高槻淀川右岸の鵜殿葦原ではいっせいに新芽が芽吹きすくすく育っています。
淀川右岸、大坂と京の中間にあり、良質の葦を産出してきた鵜殿の葦原は75haもあり、古くより詩歌や、文学に出てくる難波の名所です。
ここの葦は、昔より雅楽の篳篥(ひちりき)のリード(舌)に最適とされ、いまなお宮内庁樂部は、鵜殿葦以外は使いません。
最近浚渫により淀川の水位が下がったため、乾燥に強い荻(おぎ)やつる性の植物が優勢となり葦原の危機が言われています。そこで管理者の国土交通省も予予算を投じて、川水をポンプアップして日に何回か流したり、河原を掘り下げて葦の根だけを植え込むなどの対策を講じています。鵜殿ヨシ原研究所やボランチァの方々も葦原の保護育成に力を入れています。このむかごも先日グループの仲間と芦刈に参加しました。
昔ながらの鵜殿の葭原の再生が待たれるところです。
写真は、ポンプアップされた川水が流れる水路の葦の新芽です。(2005.4.16日撮影)


私が本当のオドリコソウです

2005-04-20 06:57:58 | 植物観察1日1題
鵜殿の枯れ芦の中でオソリコソウ(踊り子草)を見かけました。在来種のこのオドリコソウはシソ科オドリコソウ属ですが、同じ属で、最近近所でやたらと目に付く外来種のヒメオドリコソウ(髭もじゃの踊子:ヒメオドリコソウ:3月16日の記事参照)に比べその姿を見ることが多くはありません。
半日陰の草地に生え、ヒメオドリコソウより背が高く、花の色がわずかに赤紫を帯びた白色で上品な感じです。花笠をかぶった踊り子よりは、すらりとしたバレリーナという印象で、髭もじゃのヒメに比べてどちらが姫かといいたくなるところですが、ヒメが後から渡って来たので、オドリコソウに何かを付け足すしかなく、小さいという意味でヒメをつけたのでしょうが、両者を比べてみるとき、ここにも名づけの難しさ、安易さが見られるようです。

植物観察入門:野の豌豆三兄弟揃い踏み

2005-04-19 06:25:11 | 植物観察1日1題
淀川鵜殿の堤防でカラスノエンドウ三兄弟を見つけました。
この三兄弟、植物観察入門編の定番として取り上げられるのでよく知られています。
マメ科ソラマメ属のこの兄弟、大きいほうからカラスノエンドウ、カスマグサ、スズメノエンドウで、スズメより大きいからカラス(あるいはその逆?)カラスとスズメの中間だからカスマとは命名者もかなりおざなりです。
今更かもしれませんが、花の色は上の順で、紅紫、淡紅紫、薄い紫。花の数は、1ケ所に1~2(時に3)、1~3(2が多い)、3~7。カラスは花の柄が長いなどで区別できます。カラスの托葉は大きくて蜜を出す黒点があるのも特徴です。
字面では、烏野豌豆、雀野豌豆、かす間草とありましたが、これもなんだかしっくりこないところです。

毒草も見ようで綺麗:トゲミノキツネノボタン(刺実の狐の牡丹)

2005-04-18 11:35:43 | 植物観察1日1題
淀川右岸河川敷に咲くトゲミノキツネノボタンです。
キンポウゲ科キンポウゲ属とあれば、有毒というのが知れ渡っていて、心理的にも毒々しい花という先入観があります。でも一面に咲いトゲミノキツネノボタンを見ると結構綺麗です。
欧州原産のこの草は、果実の表面に柔らかい棘のような突起があることからこの名がつきました。キツネノボタンとは、花が小形、葉が横に伸びやすい、葉3裂多いなどで区別されます。
永年キツネノボタンのボタンを服に付ける金釦と思いこんでいましたが、最近になって、葉が牡丹のそれに似ているからだということを知りました。
でも私のイメージは「狐の釦」のほうがぴったりだと今でも思っています。