新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

アキノギンリョウソウ:秋の銀竜草(果実は上向き)

2009-10-30 09:13:12 | 植物観察1日1題

ギンリョウソウに似て、夏から秋にかけて花が咲くのでギンリョウソウモドキ:銀竜草擬の別名もあるアキノギンリョウソウ:秋の銀竜草(イチヤクソウ科シャクジョウソウ属)は、ギンリョウソウの名を頂いていますが、ギンリョウソウはギンリョウソウ属で、アキノギンリョウソウはシャクジョウソウ属ですから、少し違う仲間になります。
腐生植物で緑葉がなく、全体に白く、花は茎の先に1個つきます。はじめ花は下を向いていますが、シャクジョウソウと同じように次第に上を向き、果実(果)は上向きになります。
写真は終わりごろの草で黒褐色に枯れていますが、上向きの果実が見て取れます。

(明日から数日間休載します)


ホウキギク:箒菊(よく似る親戚筋)

2009-10-29 06:45:17 | 植物観察1日1題

秋深まる淀川の河川敷に小さい花を数多くつけたホウキギク:箒菊(キク科シオン属)を見かけました。
北アメリカ原産で明治末期に大阪で発見され、現在では各地で雑草化している多年草です。
枝が分かれて茂るさまが箒に似ているのでこの名があります。ハハキギクとも呼ばれます。
茎はよく分枝し高さは50~120cm、葉は基部から先端までほぼ同じ幅の線形で、基部は少し茎を抱きます。頭花は直径5~6mm、舌状花は白色ときに紫色、花が終わると冠毛は更にのびて総苞の外に突き出ます。図鑑の説明をここまで読むかぎりではホウキギクと思えるのですが、葉の基部が葉柄となり茎を抱かないヒロハホウキギクや、花が少し大きいオオホウキギク、雑種のムラサキホウキギクなども載っていて混乱します。
ここはすなおにホウキギクとしましたが自信はありません。


ミツバアケビ:三葉木通(食べる前に飾りました) 

2009-10-28 06:55:32 | 植物観察1日1題

小鳥が落とした種が芽生えたのか、庭に生えたミツバアケビ:三葉木通(アケビ科アケビ属)の幼木を移しかえて2階のベランダの柵まで誘引しておいたところ、4年目の今年、初めて一つだけ実をつけました。
アケビより濃い黒紫色の花をつけるミツバアケビは(06年5月9記事)、アケビに比べて、実も大きく、果皮が厚く、色も美しい鮮紫色で、味も勝ります。また、アケビ細工の蔓としては、株元から長く伸びるミツバアケビのほうがよく使われます。
紫色に熟したミツバアケビは食べるに忍びなく、妻がアケビのつるで作った籠に生けました。
中身を食べるだけではなく、果皮を油で炒めてもよいといいます。このまま部屋に飾っておくのか、食べてしまうのか、悩ましいところです。


オリーブ(平和の象徴)

2009-10-27 07:25:40 | 植物観察1日1題


駅前に珍しいオリーブ(モクセイ科オリーブ属)の街路樹があります。
ふと見上げると実が生っているのが見えました。
地中海沿岸で古くから栽培されている常緑の小高木で、高さは3~7m大きいものは10mをこえます。葉は対生し長さ3~6cmの披針形で裏面は白っぽくなります。
古代ギリシャからオリーブ油は生活の必需品で、旧約聖書のノアの洪水で、ノアが箱舟から放った鳩がオリーブの若枝をくわえて帰ったのを見て洪水が引きはじめたことを知る話など、豊穣と平和のシンボルとされて、多くの伝説が生まれ、また国連のマークやいくつかの国の国旗の意匠にもなっています。
果実は核果で、品種によって大きさや形はさまざまで、緑色から黄緑色、紅紫色になり、完熟すると黒紫色になります。完熟前に塩蔵したものはピクルスに、オリーブ油は完熟したものから採ります。
日本には文久年間(1860年代)に渡来したといいますが、今日では栽培されているのは小豆島だけだそうです。

高嶺半鐘蔓:タカネハンショウヅル(種でわかった仲間同士)

2009-10-26 08:23:16 | 植物観察1日1題


初夏、高槻北部川久保渓谷沿いの道でタカネハンショウヅル:高嶺半鐘蔓(キンポウゲ科センニンソウ属)と見立てた蔓(09年7月1日記事)に長い毛を持つそう果が付いていました。
花のあと花柱がのびて長さ3cmほどになり、毛も伸びて羽毛状になりそう果の先に残ります。
3出複葉の葉の形とこの果実を見て、庭にあるテッセンによく似ていることに気づきました。
図鑑で調べると、やはり両者とも同じキンポウゲ科センニンソウ属とあったので納得しました。



ツルマメ:蔓豆(大豆の元祖?)

2009-10-25 08:09:28 | 植物観察1日1題

野原で枝豆そっくりのさやをみかけました。
ヤブマメ:蔓豆(マメ科ダイズ属)です。日当たりのよい野原や道端などにはえるつる性の1年草で、茎は他物にからみついて長く伸びます。
葉は3出複葉で小葉は長さ3~8cmの狭卵形~披針形。
8~9月、葉のつけ根に紅紫色のちいさな蝶形花を3~4個ずつつけます。
豆果は長さ2~3cmで、さやの表面に毛が多く、少し小さいですが大豆そっくりです。
長い蔓にちいさな花をつけている姿を見るとちょっと思いつきませんが、この豆果を見ると、大豆はこのツルマメを改良して栽培化した作物でないかといわれているのもうなずけます。
ちなみに学名のsojaは「醤油の」という意味です。

ガマズミミケフシ:莢迷実毛五倍子

2009-10-24 09:07:48 | 植物観察1日1題

あるところで木や葉の様子がガマズミ:莢迷(スイカズラ科ガマズミ属)そっくりなのに、生っている果実が全面毛で覆われているのに出会い、いったいなんだろうかと気になったままでした。
後日、別のところでおなじものをみかけ、よく見ると毛むくじゃらの果実の間に赤い実があり、やはりこれはガマズミだということが分かりました。
調べてみると、ガマズミミケフシタマバエが形成したガマズミミケフシという虫こぶでした。正常果の3~4倍に肥大し、表面は白~黄白色の短毛でおおわれます。内部はスポンジ状で硬い虫室が1個あり1幼虫がみられます。落下した虫こぶ内で越冬し、5月に羽化します。
本種に限らず虫こぶの名前の多くは極めて即物的です。おそらく植物名は人と草木との長い係わり合いの中で自然に生まれたものが多いのに対し、五倍子などは例外として、人々の間で虫こぶへの関心がうすく、近代になって研究者達が見たままを名前にしたからと思われます。

むかごの日記で取り上げた虫こぶの例
クヌギハマルタマフシ
ナラメリンゴフシ
テイカカズラミサキフクレフシ      
マタタビミフクレフシ


スイラン:水蘭 (花は似ていない)            

2009-10-23 06:21:01 | 植物観察1日1題

湿地にスイラン:水蘭(キク科スイラン属)が咲いています。細長い葉を蘭の葉にたとえて水辺は湿地に多いことからこの名があるといいます。
日当たりよい湿地に生える多年草で、根茎から細い地下のつる枝を出して繁殖します。
茎の高さは30~60cm、葉は長さ約30cm幅約1.5cmで裏面は白く粉をふいています。
花は秋から晩秋、10数個からなる黄色の頭状花は径3~3.5cmで、舌状花だけでできています。

ツタウルシ:蔦漆(シカも敬遠?)  

2009-10-22 06:13:16 | 植物観察1日1題

シカの食害が主な原因と見られる立ち枯れの木で知られる大台ケ原で面白いものを見かけました。
上の部分が落ちてしまった立ち枯れに絡みついたツタウルシ:蔦漆(ウルシ科ウルシ属)が、枯れ木を包むように枝を伸ばして紅葉していたのです。
それが一本だけならそれほど不思議には思わなかったのですが、周遊コースのあちこちに見られるので、はてなと考えました。
ツタウルシが立ち枯れの木を好んで絡みつくという話も聞きませんし、絡まれたツタウルシに締め殺されてもとの木が枯れたような様子もありません。
ツタウルシはウルシ科のなかでも最もかぶれが強い木です。ここのツタウルシは通常の生きた木に絡みついたところ、絡まれた木のほうが根元の樹皮をシカに食い荒らされて枯れてしまい、かぶれるおそれのあるツタウルシだけをシカが敬遠したのにちがいないと思いつきました。
シカもかぶれるのか、あるいは他の毒を持っているのか、その辺がシカとわからないのが残念です。

ヒモゲイトウ:紐鶏頭(秘めたる話題の)

2009-10-21 06:59:44 | 植物観察1日1題

他家の庭先で見た赤い房状の花、見たときは大きなタデの変種か何かと思いましたが、植物園の名札で、鶏頭の仲間のヒモゲイトウ:紐鶏頭(ヒユ科ヒユ属)であると知りました。
熱帯アメリカ地方などの原産で、江戸時代に主として観賞用として伝来した1年草です。ギリシャ語のしおれない花の意味があるアマラントスを語源としてアマランスの名があります。
南米インカ帝国の昔からこの種子を穀物として食用にしてきたほか、花から赤色の染料を採り、その色はアマランス色と呼ばれています。

オオケタデ:大毛蓼(マムシの解毒剤?)

2009-10-20 06:54:03 | 植物観察1日1題

オオケタデ:大毛蓼(タデ科タデ属)が赤い花穂を垂れ下げています。
東南アジア原産で、むかし日本へ渡来し観賞用に栽培され、ときに野生状態になっている1年草で、茎や枝、葉などに毛が多く、全体に大型なのでこの名がついています。
高さは1~2m、葉は互生し、長さ10~20cmの卵形で、基部はハート形になります。
8~10月、長さ5~12cmの花穂に、淡紅色の花を密につけます。
花の色が濃い紅紫色のものをオオベニタデとして区別する考えもあります。
別名のハブテコブラは、マムシの解毒薬の名で、この葉におなじ薬効があることによるそうですが、あまり知られていない話です。

オオイヌタデ:大犬蓼(白花と紅花と)

2009-10-19 06:47:40 | 植物観察1日1題

川原に紅と白のオオイヌタデ:大犬蓼(タデ科タデ属)が咲いていました。
道端や荒地、川原などに生える一年草で、茎はよく分枝して高さ0.8~2mになります。茎は多くは紅色を帯び暗紫色の細点があり、節がふくれます。
花期は6~10月と長く、淡紅色または白色の小さい花が細長い穂になってびっしりとつきます。
花穂は長さ3~7cmで先が垂れ下がります。
白い花と紅色の花が一緒に咲いている姿には捨てがたいものがあり、大きいイヌタデという雑な名前が少し気の毒です。

オガタマノキ:招霊の木(巫女の神鈴?)

2009-10-18 09:11:38 | 植物観察1日1題

京都御苑でオガタマノキ:招霊の木(モクレン科オガタマノキ属)が薄赤い実をたわわにつけているのに出会いました。
和名は招霊(おきたま)の転訛で、枝を神前に供えて神霊を招祷(おき)たてまつるというのに基づきます。神に捧げるサカキの本物はこの木だという説もあるくらいで、神社の境内などによく植えられています。
高さ15m以上にもなる常緑高木で、花も果実も、間近に見る機会が少ないものです。
早春径3cmほどの香りのよい小花を葉腋に1個つけます(09年3月5日記事)

果実は袋果が集まった集合果で、長さ5~10cmのブドウの房状になり、9~10月薄赤く熟し、やがて果皮が裂開し、中には赤い実が2~3個入っています。
神様にかかわり深い木のこととて、この房状の果実の形から、巫女さんの振る鈴を連想するひとがいるのもうなづけます。


ツルリンドウ:蔓竜胆(色ほどでもない食感)

2009-10-17 07:45:08 | 植物観察1日1題

あまり草花の姿が見えない大台ケ原頂上付近で、目立っていたのがツルリンドウ:蔓竜胆(リンドウ科ツルリンドウ属)の紫色の果実でした。
山地や丘陵の木陰に生えるつる性の多年草で、茎は地面をはったり、他物に絡んだりして長さ40~80cmになります。
8~10月、葉のつけ根に長さ2.5~3cmで淡紫色の鐘形の花を1個ずつつけます。 (05年10月22日記事)果実は液果で、直径8mmほどの楕円形で、残存する花冠から突き出ます。
食べられるというのですが、さほど美味しいものではありません。

カマツカ:鎌柄(豊作だった大台ケ原)

2009-10-16 06:11:33 | 植物観察1日1題

大台ケ原東コースのあちこちに真っ赤な実を鈴なりにつけている木が目立ちました。
材が丈夫で折れにくいので鎌の柄に利用されたことからこの名があり、また材をまげて牛の鼻輪を作ったことからウシコロシの別名もあるカマツカ:鎌柄(バラ科カマツカ属)です。
山野に生える落葉小高木で高さはふつう3~5mになります。
秋に赤く熟す果実はナシ状果で、長さ8~10mmの倒卵形~楕円形で、果柄にはいぼ状の皮目が目立ちます。
初夏に多数集まって咲く白い花も捨てがたく(05年5月7日記事)、秋に熟す赤い実もよく目立ちます。今年はなぜか近所のカマツカの実付きがよくないので、大台ケ原の見事な生りっぷりに感激して3度目の登場となりました。