新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ウメノキゴケ:梅ノ木苔(環境指標生物)

2010-02-27 08:17:12 | 植物観察1日1題

国宝尾形光琳の紅白梅図にも、はっきりと描かれている青色の苔は、一般にウメノキゴケ:梅ノ木苔(ウメノキゴケ科)といわれる地衣類の1種です。
地衣類は、コケ植物と共通性がありますが、地衣類の構造を作っているのは菌類で、菌糸で作られる構造の内部に藻類が共生しており、菌類は光合成できないので、藻類の光合成産物によって生活しています。
地衣類を代表するウメノキゴケを含むウメノキゴケ科は研究もすすんでいますが、8属130種と種類が多いので分類は難しいといわれます。
写真の地衣は、梅ノ木に付着していたので単純にウメノキゴケとしましたが違うかもしれません。
公害に弱く、大気が汚染されているところでは育たないので、環境指標生物ともいわれています。

ツバキとメジロ(鳥媒花のもてなし)

2010-02-25 08:48:14 | 植物観察1日1題

代表的な鳥媒花のツバキは、ポリネータのメジロやヒヨドリを誘うためにいろいろなもてなしを用意しています。
鳥が好む赤い花で装い、筒状の雄蕊で虫の侵入を妨げ、鳥の行動にあわせて横向きに咲き、鳥の重さに耐える丈夫な花びらと、鳥のカロリー要求に見合う多量の蜜という報酬など、サービス満点です。
夏に咲く同じ鳥媒花のザクロも同様にこれらの特徴を備えています。
メジロがしっかりと掴まっているツバキは、ワビスケツバキといわれる品種群の中でも古くから知られている「太郎冠者」という茶花で、織田信長の弟で茶人であった織田有楽斎が好んだとされ、別名を「有楽」といい、特に関西では「有楽」の名で通っています。
学名はCamellia japonica L. cv. Tarokajaです。
「太郎冠者」の名は、正月に咲くので、ツバキの呼び出しで太郎冠者と呼ぶ、と古書に記されているそうです。
花は一重咲きで中輪、花弁数7~8個、重なって二重に見えます。ラッパ状に咲き、桃色で香りがあります。枝はよく伸び庭木にも適するので人気の品種です。

キンギョツバキ:錦魚椿(金魚の尾びれ)

2010-02-23 12:40:44 | 植物観察1日1題

ツバキは自家不和合性のため、多品種との交雑が容易で、数多くの改良品種が生まれてきたことが知られています。
花だけではなく、変わった形の葉や枝の変種も生まれています。なかでも葉の形が変わっていることでよく知られているのがキンギョツバキ:錦魚椿です。
葉先が3裂してキンギョのひれ形になり、時に2~4裂します。花は一重、中輪で紅色ですが、各地に白花や八重咲きなどもあり、白錦魚、八重錦魚などと呼ばれています。
葉の裏を見ると、葉の先端部で、主脈が分かれて、ひれ状になっているのがよくわかります。
園芸種にも立派な学名がついているらしく、キンギョツバキは、Camellia japonica L. cv. Kingyoba-tsubakiとありました。またキンギョは金魚ではなく錦魚でした。(原色茶花大辞典:淡交社)


カワラハンノキ:河原榛の木(背が低いが長い花穂)

2010-02-22 14:09:41 | 植物観察1日1題

ハンノキの仲間は、湿り気のある土地に生えることが多いのですが、カワラハンノキ(カバノキ科ハンノキ属)も名のとおり日当たりのよい河原や川岸に生える落葉低木~小高木で、背が低いのが特徴です。
葉の展開前に開花する雄花序は、長さ6~8cmで、ハンノキのそれ(10年1月18日記事)よりこころもち長い感じです。雌花序は雄花序の下方(根元側)に上向きにつきます。
冬芽の先はハンノキよりやや尖ります。

カギカズラ:鉤蔓(トゲ植物シリーズ 追加)

2010-02-20 08:35:37 | 植物観察1日1題

まっすぐにとがったのをトゲとすると、トゲとはいえないかもしれませんが、鉤形にとがったトゲを持つのが、カギカズラ:鉤蔓(アカネ科カギカズラ属)です。
本州房総半島以西、四国、九州の湿気のある山地に生える常緑大つる木本で、鉤形のトゲを他物に引っ掛けてよじのぼります。
鉤は枝が変化したもので、花のない枝の葉脇につきます。不思議なことに、ふつう、鉤は2個の次が1個、その次がまた2個と交互につきます。
鉤にはリンコフィリンというアルコロイドを含み、鎮痛、鎮静効果があります。乾かした鉤が漢方薬になるというのも珍しい話です。

ボケ:木瓜(トゲ植物シリーズ 終) 

2010-02-19 06:58:12 | 植物観察1日1題

花が咲いているときは、さほどトゲには気がつきません。
このシリーズでトゲを探しているとき、ふだんはあまり気にしなかったボケ:木瓜(バラ科ボケ属)が、短枝についたつぼみの下にしっかりとトゲをつけていました。
中国原産の落葉低木の園芸植物で幹が群がって上向きにつきます。日本に自生し、茎の下部が横に伏しそこから枝をのばす少し背の低いクサボケ:草木瓜もありますが、ふつうは両方含めて単にボケと呼ぶことが多いようです。
07年1月8日07年1月8日に開花したボケを取り上げています。
このトゲシリーズ12~3回のつもりが、連載中に新たなトゲとの出会いがあり、結局20回になりました。
ほかにも季節が違うタデ科の仲間などもあります。ママコノシリヌグイ、 イシミカワ を参照ください。

ヤマウコギ:山五加(トゲ植物シリーズ⑲)

2010-02-18 08:34:30 | 植物観察1日1題

ヤマウコギ:山五加(ウコギ科ウコギ属)も立派なトゲをつけています。
本州・北海道の山野に生える日本固有種の落葉低木で、高さは2~4mになります。
葉柄が変化したとみられるトゲは、軸や枝の葉痕や葉の下に細く扁平につきます。トゲは枝から垂直にまっすぐ伸び、基部は下へ長く伸びます。
雌雄異株で、5~6月、短枝の葉の間から葉柄より短い花柄をだし、散形花序をつけます。(08年6月1日記事参照)
ウコギ科の常として、若葉は食用にされ、かつては飢饉などの救荒用に庭などに植えられたそうです。
別名に単にウコギとも、またオニウコギがあります。

メギ:目木(トゲ植物シリーズ⑱)

2010-02-17 07:26:23 | 植物観察1日1題

葉や木を煎じて目薬にしたことからこの名があるメギ:目木(メギ科メギ属)は、その鋭いトゲからコトリトマラズ、ヨロイドオシなどの別名もあります。
本州関東以西、四国、九州の山野などに生える落葉低木で、多数分枝し高さ1mくらい、稜のある枝に葉を密生し、葉の鋸歯が変化したといわれるトゲがあります。
葉は新枝に互生し、とげの付け根の短枝に束生します。4月、短枝の先に黄緑色の花をつけ、10~11月、長さ7~10mmの赤色楕円形の果実をつけます。

昨年5月に済州島で見たメギの仲間のヒロハヘビノボラズ(メギ科メギ属)を09年6月13日に取り上げています。



アリドオシ:蟻通し(トゲ植物シリーズ⑰) 

2010-02-16 07:37:23 | 植物観察1日1題

トゲシリーズでは外せないのが、この蟻をも通すという細長く鋭いとげが小枝にびっしりつくアリドオシ:蟻通し(アカネ科アリドオシ属)です。トゲは茎や枝が変化したものとされています。
暖地の山地に生える常緑低木で高さ20~60cmになります。
関西地方ではセンリョウ、マンリョウとともに寄植えにされ、“千両、万両、有り通し”といって正月の縁起物とされます。
自生地では何本かまとまって生えることが多いようです。

サイカチ:(トゲ植物シリーズ⑯)

2010-02-15 09:11:14 | 植物観察1日1題

サイカチ(マメ科サイカチ属)は、本州中南部、四国、九州などの山野や河原にはえ、また植栽もされる落葉高木で高さは10mくらいになります。
この木で目立つのはなんといっても樹皮のあちこちにつく鋭いトゲです。
枝が変化したトゲは、幹や枝に直角につき、年々成長して分岐してゆきます。トゲの分岐点には葉痕のなごりがあり、このトゲが枝の変形であることの証拠になっています。
長さ20cmにもなる豆果は扁平で捩じれ、中にある長さ約1cmの黒褐色の種子はサポニンを含み、石鹸の代用にされました。
変わった名前は古名の西海子がなまったものといいますが、西海子が何かを意味するのかはよくわかりません。

タラノキ:楤木(トゲ植物シリーズ⑮)

2010-02-14 07:55:59 | 植物観察1日1題

若芽をてんぷらにすると美味しく、最も人気のある山菜のひとつで、栽培もされるタラノキ:楤木(ウコギ科タラノキ属)は、山地にふつうに生える落葉低木で、ふつうほとんど分枝せず高さは2~6mになります。
太い軸には大小長さの違う鋭いトゲが密生し、長さ50~100cmにもなる2回羽状複葉の表面や葉柄や小葉の軸にも細かいゲがあります。
葉面や葉軸のトゲはわかりますが、高く伸びた幹全面についたトゲは、何から身を守ろうとしているのか不思議です。
メダラと呼ばれる全体に大形でトゲの少ない変種があり、中間型もあります。

カラスザンショウ:烏山椒(トゲ植物シリーズ⑬)2010.2.12

2010-02-12 18:18:37 | 植物観察1日1題

カラスが好んで食べるのでこの名があるというカラスザンショウ(ミカン科サンショウ属)は、本州、四国、九州、琉球など暖地の山野に生える高さ10mにもなる落葉高木で、奇数羽状複葉の葉は長さが80cもあり、雌雄別株、7~8月枝先に長さ13~20cmの散房花序を出し緑白花を密につけます。
葉も果実も食用にはなりませんが、黒い種子を含む灰褐色の分果は、玄関などに置いておくと芳香剤の代わりになります。
若木には鋭い棘が鬼の金棒状に数つきますが、成木ではトゲは次第になくなり、台座の部分が横長のコブとなって、遠くからでもよく目立つ独特の樹皮となります。

イヌザンショウ:犬山椒(トゲ植物シリーズ⑫)

2010-02-11 09:57:12 | 植物観察1日1題

サンショウに似ますが、茎や葉を切ると悪臭に近い臭いがあり食用にならないのでイヌの名がついたイヌザンショウ:犬山椒(ミカン科サンショウ属)は、各地の山野に生える落葉低木です。表皮が変化したトゲは互生状につき、対生するサンショウと区別されます。
成木の樹皮にもところどころにトゲが残ります。
イヌザンショウの果実期を05年11月17日に取り上げています。

サンショウ:山椒(トゲ植物シリーズ⑪) 

2010-02-10 07:26:15 | 植物観察1日1題

冬の山道で一人前に立派なトゲをつけている若木を見かけました。
樹皮を少し噛んでみてサンショウ:山椒(ミカン科サンショウ属)だとわかりました。
若葉や種子は香りが高く、古くから香辛料として利用されてきた、山地に生え、また栽培がされる落葉低木です。太い枝は「すりこ木」に使われますがどういう理由なのかわかりません。
表皮が変化してできたトゲは葉痕に対生して生じます。よく見ると葉痕はほぼハート型で維管束痕は3個、冬芽は裸芽で維管束上部に見えています。

ヤマガシュウ:山何首鳥(トゲ植物シリーズ⑩)

2010-02-09 06:29:27 | 植物観察1日1題

サルトリイバラに近い仲間にヤマガシュウ:山何首鳥(ユリ科シオデ属)があります。
この変わった名前は、葉の形が何首鳥という漢方薬になるツルドクダミ(タデ科)に似ていることからきています。
サルトリイバラと同じく表皮が変化したトゲと托葉が変化した対になる長い巻きひげで他物に絡みつきます。
サルトリイバラのトゲは微妙に鉤状に曲がりますが、ヤマガシュウは茎に直角に多数でます。