新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ザイフリボク:采振木(ジャムになる西洋もの)

2009-06-30 06:17:04 | 植物観察1日1題

公園で赤い実をたくさんつけた木を見かけました。
表示は単にザイフリボクでしたが、正しくはセイヨウザイフリボク:西洋采振木(バラ科ザイフリボク属)で、北アメリカ北東部原産の園芸果樹です。原産地では6月にこの実を収穫することからJUNE BERRYと呼ばれて、ケーキに使ったり、ジャムに加工されたりします。
果実は熟すと赤から黒色になり、日本の果物店でも売られています。
一方わが国に自生するザイフリボク:采振木は、個体数は少なくないのですが、花の時期を逃がすとなかなか見つからず、この春いつも通る近所の山道で、初めて数本のザイフリボクを発見し感激したりしました。こちらの果実も最終的に熟すと黒紫色になりますが、こちらは食べることはしないようです。


ノグルミ:野胡桃(直立する雄花穂が囲む雌花穂)

2009-06-29 06:46:36 | 植物観察1日1題

羽状複葉の高木の枝の先に、黄白色の花穂が何本かかたまってついています。
ノグルミ:野胡桃(クルミ科ノグルミ属)です。
日当たりのよい林縁などに生える落葉高木で、奇数羽状複葉を互生し、小葉は3~7対、長さ5~10cmの披針形、ふちに重鋸歯があります。雌雄同株で、花は6~7月、太くて長さ約2cmの雌花穂は中心に1個つき、これを取り巻くように長さ5~8cmの雄花穂が8~10個つきます。
クルミ科で雄花穂が直立するのは本種だけです。
雌花穂は、花後松ぼっくりに似た果穂となり(08年7月14日記事)、堅果が落ちた後も残る果穂は、樹皮ととも染料として利用されます。

ツチアケビ:土木通(花を見て納得)

2009-06-28 07:15:05 | 植物観察1日1題

奈良桜井市の山深く入ったところに、ツチアケビ:土木通(ラン科ツチアケビ属)の株があちこちにあり、黄褐色の花をつけていました。
葉緑素を持たない腐生植物で、果実の色や形がアケビに似ていることからツチアケビの名があり、同様理由でヤマノカミノシャクジョウ:山の神の錫杖の名もあります。
10月ころ熟す果実は色も形もウインナソーセージにそっくりでよく知られていますが(07年10月17日記事)、花をじっくり見たのは今回が初めてでした。
ツチアケビの花は長さ1.5~2cmで、唇弁は黄色、肉質、内面は黄色でとさか状の隆起線があり、両側は内側に巻きます。中央の丸いずい柱の先には赤い葯も見えます。
異様な色と形のツチアケビも、花だけをアップで見ると、ランの花そのものです。これを見ているとツチアケビがラン科だということがすごく納得できました。

ウンコウソウ:芸香草ヘンルーダ(変な名前も漢字で見れば)

2009-06-27 07:08:49 | 植物観察1日1題

近所の養護施設の庭先に黄色い花をつけていたのがウンコウソウ:芸香草:ヘンルーダ(ミカン科ヘンルーダ属)です。
この草の名前(和名)を耳で聞いたときは何かの間違いではないかと思いましたが、ウンコではなく“芸香草”と書くのだと知り、忘れ難い名前となりました。
地中海、ヨーロッパ南部原産で、ヨーロッパでは古くは魔よけや興奮剤に、また眼精疲労、頭痛腰痛、湿疹薬として、また料理、殺虫などに利用される利用価値の高いハーブでした。
属名のRutaはギリシャ語に由来し"自由にする、くつろがせる“の意味があるといいます。
ミケランジェロやダ・ヴィンチも目の薬として愛用し、眼精疲労から来る頭痛を和らげていたという話も伝わっています。
しかし最近ではこの草の毒性や過敏症が指摘されて以前ほど利用されなくなったといいます。
となると、この施設のウンコウソウ、花もさほどでもないのに、何のために植えられていたのか少し不思議でした。

ヒヨクソウ:比翼草(睦まじく対で咲く)

2009-06-26 05:54:13 | 植物観察1日1題

谷沿いの道を歩いていて、連れの友人が、刈りとられた道の端に、かろうじて谷側に残ったヒヨクソウ:比翼草(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)を目ざとく見つけて知らせてくれました。
山地の日当たりのよい草地などに生える多年草で、茎や葉、花柄などに白い軟毛があり、6~7月、対生する葉の付け根から1個ずつ細長い花序をのばし、この対になった花序が目立つので比翼草の名があります。花は淡紫色で、直径約8mm、名前の割には慎ましやかな花です。
比翼は、互いに翼を並べる2羽の鳥のことで、和服の世界でも比翼仕立や比翼紋などでおなじみです。
この言葉、元をたどれば、ご存知、白居易の長恨歌の末尾部分「天に在りては願わくは作らん比翼の鳥 地に在りては願わくは為らん連理の枝」のいわゆる「連理比翼」から来ており、夫婦または男女の深く睦ましい契りのたとえとなっています。
一方の連理には小葉が対生するレンリソウ(マメ科)があります。

コショウノキ:胡椒の木(ジンチョウゲもこんな実?)

2009-06-25 06:56:38 | 植物観察1日1題

早春ジンチョウゲによく似た花をつけ芳香を放っていたコショウノキ:胡椒の木(ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)(08年3月25日記事)が、赤い実をつけていました。
雌雄別株で、仲間のジンチョウゲは、形態的には両性花でありながら日本ではほとんど結実せず、このため雌雄別株ともいわれていますが、同じく雌雄別株のコショウノキは実付きがよいようです。
果実が辛いことがコショウノキの名前の由来だそうですが、実際には辛くないといいます。
この実の写真を撮って1週間後に同じ場所へゆきましたら鳥に食べられたのかすっかりなくなっていました。果実は有毒といいますが、鳥には無毒のようです。

コアジサイ:小紫陽花(紫を演出するのは雄蕊)

2009-06-24 06:53:21 | 植物観察1日1題

この時期山道を歩いていると、よい香りが流れてきます。
その先に薄紫色のコアジサイ:小紫陽花(ユキノシタ科アジサイ属)が見えました。
本州関東以西の谷間などに生える高さ1~2m落葉低木で、膜質で表面に光沢があり大きな鋸歯がある葉をつけます。
6~7月に咲く花には装飾花はなく、すべて両性花なのが特徴です。
萼片、花弁とも5個、花柱3個、雄蕊10個は花弁より長くて目立ちます。
花弁はほわずかに紫を帯びた白色であまり目立たず、コアジサイの紫を演出しているは、もっぱら濃い紫色の雄蕊の花糸なのです。

ミヤマウグイスカグラ:深山鶯神楽(果実も毛深い)

2009-06-23 06:49:49 | 植物観察1日1題

ミヤマウグイスカグラ:深山鶯神楽(スイカズラ科スイカズラ属)が赤い実をつけています。平地に多く見られるウグイスカグラは全体的には無毛、毛が散生するのがヤマウグイスカグラ、この二つは分布域もほとんど同じで、中間型もありあえて区別する必要がないとの見方もあります。
これに対して、ミヤマウグイスカグラは、東北地方、日本海側に多く、山地に生育します。
若い枝、葉柄、葉の両面、花冠や子房、花柄、苞にも腺毛が目立つのが特徴です。(4月29日記事)
岡山自然保護センターで見たミヤマウグイスカグラの果実は、見事に毛(腺毛)が生えていました。あまりきれいで食べるのははばかられましたが、十分食べられるはずです。

サイハイラン:采配蘭(戦も一服?垂れ下がる采配) 

2009-06-22 03:56:44 | 植物観察1日1題

木陰にサイハイラン:采配蘭(ラン科サイハイラン属)が、紅紫色の細長い花を垂れ下げています。
采配は、軍陣で大将が打ち振って士卒指揮するのに用いた具で、厚紙を細かく切って柄につけたものです。花被片が細長く切れた形を采配に見立ててこの名があります。
日本各地から広く温帯から暖帯に分布し山地の木陰に生えます。
高さ40cm前後、葉は越冬後、開花と前後して枯れ、新しい葉が冬を越して翌年まで残ります。
花は春、高さ30~50cmの花茎10~20個の花を総状につけ、最盛期横に張り出す花被片は、後に下向きに垂れ下がります。


キーウイフルーツ (異国の鳥に似る)

2009-06-21 07:09:37 | 植物観察1日1題

サルナシの花を見た帰り道、農家の庭先にサルナシの仲間のキーウイフルーツ(マタタビ科マタタビ属)が花をつけていました。
日本でもすっかりおなじみになったキーウイフルーツは、別名シナサルナシといい、原種の中国原産オニマタタビをニュージランドで品種改良したものです。
キウイの名はニュージーランドに生息する飛べない鳥のことで、果実の色や形がこの鳥に似ていることによります。
雌雄別株で、5~6月葉腋に花が下向きにつきます。花は直径3~4cmと大きく芳香があります。
写真は当然ながら両性花で、すでに子房が大きく膨らみ始めています。

サルナシ:猿梨(猿でなくても食べてみたい)

2009-06-20 05:18:16 | 植物観察1日1題
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高槻北部、中畑の細い谷の上に垂れ下がったサルナシ:猿梨(マタタビ科マタタビ属)に、四郎花が咲いていました。
日本各地の山地の林内に生える落葉つる植物で、茎は長く伸びて枝分かれし、太いものは径15cmにもなり、長さ2~8cmの葉柄は淡紅色を帯びます。
雌雄異株で、5~7月上部の葉腋に白い花を下向きにつけます。
果実は甘酸っぱく、仲間のキーウイフルーツよりもはるかに美味というサルナシ、一度味わいたいと思いながら、高所に実ることが多く、まだ味わったことがありません。
つるは丈夫で徳島祖谷にかかるかずら橋でも、シラクチヅル(カズラ)といって、このつるが使われています。
和名は果実がナシに似て猿が食用にするという意味で、コクワの別名もあります。
写真は、雄花で黒色の葯が目立ちます。

クモキリソウ:雲切草(虫の形の花)

2009-06-19 06:23:35 | 植物観察1日1題

高槻北部の道端でクモキリソウ:雲切草(ラン科クモキリソウ属)を見つけました。
全草浅い緑色で草の中にまぎれて、同じ道は何回も歩いているのに、気がついたのは今回が初めてでした。
2年ほど前に蓼科高原の御泉水で初めて見て以来の出会いです。昨日のアマニュウもそうでしたが、信州の高原で見た草を地元で見ることは嬉しいことです。
林内に生える多年草で、長さ5~15cmの広卵形の葉は2個接して互生し、縁は細かく縮れています。6~8月淡緑色の花が総状に5~15個つきます。萼片、側花弁とも長さ約8mmで細い管状、唇弁はまるく下方に反り返ります。ずい柱の先端はカマキリ状で、黄色い花粉塊が見えます。
和名は雲散草の転訛、またはこの仲間は花が昆虫に似ているところから虫の名を冠することが多く、この草も蜘蛛散草からの転訛という説もあります。
普通は淡緑色の花でアオグモと呼ばれますが、クログモといわれる淡暗紫色の花をつけるのもあります。

アマニュウ:甘ニュウ(高槻に北の植物?)

2009-06-18 06:24:07 | 植物観察1日1題


高槻北部の道を歩いていて見かけた大型のセリ科の白い花、セリ科の常として判別が難しく、何人かの人に尋ねた結果、3出複葉の小葉が丸いのが特徴でアマニュウ:甘ニュー(セリ科シシウド属)ではないかということになりました。
図鑑では、本州中部地方以北、大山、石鎚山などに分布するというのが気になりますが、もしそれだとすると、北国や高山に生える草が高槻の山奥でも見られたということになり、ちょっと嬉しくなる話です。
和名のニューはアイヌ語で、この茎に甘みがあることによるそうで、小種名のedulisも食用を意味します。
今度行ったら食べてみて甘いかどうか確かめるつもりです。

カキノハグサ:柿の葉草(凝った花のつくり)

2009-06-17 06:57:49 | 植物観察1日1題

神戸市西部の小高い山でカキノハグサ:柿の葉草(ヒメハギ科ヒメハギ属)を見てきました。
本州東海道、近畿地方の山地のやや乾いたところに生える多年草で、葉がカキの葉に似ているところからこの名があります。
茎は単一で直立し高さ20~30cm、葉は薄く滑らかで長さ8~17cmになります。
面白いのは花の形で、黄橙色の3個の花弁は長さ約2cmで合着し、下の竜骨弁の先には房状の付属体がつきます。5個の萼片のうち両側の2枚は花弁状の翼になり、残りの3個は普通の萼となります。
どうしてこの草がヒメハギ科なのかと思っていましたが、花弁の先端の房を見て納得です。
大きさから見てカキノハグサの方が兄貴分の気がしますが生育地が限られているので、広く分布するヒメハギに科名・属名を名乗る名誉を譲ったということでしょうか。
(ヒメハギ:06年5月11日記事参照)

カキノハグサ:柿の葉草(凝った花のつくり)

2009-06-17 06:51:57 | 植物観察1日1題

神戸市西部の小高い山でカキノハグサ:柿の葉草(ヒメハギ科ヒメハギ属)を見てきました。
本州東海道、近畿地方の山地のやや乾いたところに生える多年草で、葉がカキの葉に似ているところからこの名があります。
茎は単一で直立し高さ20~30cm、葉は薄く滑らかで長さ8~17cmになります。
面白いのは花の形で、黄橙色の3個の花弁は長さ約2cmで合着し、下の竜骨弁の先には房状の付属体がつきます。5個の萼片のうち両側の2枚は花弁状の翼になり、残りの3個は普通の萼となります。
どうしてこの草がヒメハギ科なのかと思っていましたが、花弁の先端の房を見て納得です。
大きさから見てカキノハグサの方が兄貴分の気がしますが生育地が限られているので、広く分布するヒメハギに科名・属名を名乗る名誉を譲ったということでしょうか。
(ヒメハギ:06年5月11日記事)