新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
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ササユリ:笹百合(神に奉る淨らかな花)2006.6.25

2006-06-25 05:27:31 | 植物観察1日1題
普段あまり目立たない草花を間近に見たときの驚きはすぐ何とか記事にしようと思うのですが、
一目見てあまりにも整った美しい花になると、下手な写真や記事では失礼に当たるのではと躊躇します。
ササユリ:笹百合(ユリ科ユリ属)もそのひとつで、去年から今年にかけて何箇所かで出会いましたがつい後回しになっていました。
日本特産種で、本州中部地方以西から九州にかけて分布する山地の草原に自生するユリで、細い披針形の葉がササの葉に似ているのでこの名があります。早く咲く、あるいは5月に咲くからという別名のサユリ(小百合)もまた聞くからに美しい清純さを感じさせる語感です。
6~7月淡紅色~白色で漏斗状鐘形の花を1~7花横向きにつけます。色が美しく、芳香があり、気品があるユリですが普通では栽培が難しく、自生の数も年々減っているのは寂しいことです。
古事記にも登場する古くから親しまれた花で、6月17日に奈良市の率川神社で行われる三枝(さいぐさ)祭りは、本社である三輪山から摘み取られてきたササユリが主役の美しい伝統行事です。
(三枝とは佐葦(さい)でササユリの古語。神武天皇が三輪山の麓、ササユリの乱れ咲く狭井川のほとりで五十鈴姫命と結ばれ妻とする。のちこの五十鈴姫命は推古天皇が建てた率川神社に祀られた)
昔は2千本ものササユリが疫病除けとして参拝者に頒けられそうですが、自生が少なくなった今では、祭事に使われるササユリすらが、大神神社でバイオの力で栽培されたものが届くと聞きます。
写真のササユリは、花株が多からず少なからず、咲きごろも、咲いている周囲の様子も気に入って
やっと採用する気になりました。関東以北にはないというササユリ、これを見ることができるだけでも当地に住む値打ちがあるというものです。