新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

オガラバナ:麻幹花・苧殻花(信州花紀行・こぼれだね⑥)

2011-08-31 11:14:55 | お知らせ」

コキンレイカが咲いていた(一昨日記事)蓼科山の北東部大河原峠へ通じる道沿いで、赤い花のようなものをつけた木がありました。車を止めて近づくと、花と見えたのはカエデ科のプロペラ果でした。
オガラバナ:麻幹花・苧殻花(カエデ科カエデ属)は、北海道と本州奈良県以北の高地に自生し、ミネカエデとともに、最も寒冷な地域に生育するカエデとされています。
材が麻幹(麻の皮をはいだ茎・盂蘭盆の飾りになったり、迎え火などに焚く)のようにもろいということからオガラバナの名がありますが、実際にはそれほどもろくもないそうです。
7月、新枝の先に細長い総状花序を直立し、雄花と両性花が混じった100~200花を開きます。翼果の翼は鋭角に開き、やはり総状に直立します。別名は穂咲楓です。
(暑かった8月も今日で終わりです。これで今年の信州の花シリーズも終わります)

ハンゴウソウ:反魂草(信州花紀行・こぼれだね⑤)

2011-08-30 06:15:41 | お知らせ」

乙女湖畔の湿地にハンゴンソウ:反魂草(キク科サワギク属)が咲いていました。
山地のやや湿った草地や林縁に映える多年草で、本州中部以北北海道に分布します。
茎は直立して1~2m、葉は全裂から深裂し、裂片は細長くて鋸歯があり先は尖ります。
7~9月、茎の先に大形の散形花序をつくり多数の頭花をつけます。
総苞は筒形で基部に小形小苞片があり、舌状花は黄色で5~7個、花冠は長さ1.3㎝ほどで、先は小さく3裂します。
反魂とは、死んだ人の魂を呼び返すことで、長い指のような葉が少し垂れ下がるのを幽霊に見立てたというのですが、少し無理がありそうです。


コキンレイカ:小金鈴花(信州花紀行・こぼれだね④)

2011-08-29 06:21:31 | お知らせ」

蓼科山の北東部、7合目登山口から大河原峠へ通じる道沿いの岩場に、黄色い花が群れになって咲いていました。どうやらコキンレイカ:小金鈴花(オミナエシ科オミナエシ属)のようです。
北陸から東北地方の山地の岩場に生える多年草で、ハクサンオミナエシ(白山女郎花)、モミジバオミナエシ(紅葉葉女郎花)の別名があります。
対生する葉は長さ5~12cm、掌状に中裂し、裂片には大きな欠刻と鋸歯があります。
7~8月、茎頂に黄色の小花を集散花序に多数つけます。小花は径約5㎜で、筒部は短く、基部の下方がふくれるだけの小さな距になります。
関東以西の太平洋側山地の岩場に生えるキンレイカは、花径約6㎜、基部に2~3㎜の距があります。

キバナノヤマオダマキ:黄花の山苧環(信州花紀行・こぼれだね③)

2011-08-28 18:24:58 | お知らせ」

筒型の花の形を、紡いだ麻糸を中が空洞になるようにまきつけた苧環(オダマキ)に見立ててこの名があるオダマキ:苧環(キンポウゲ科オダマキ属)は、ミヤマオダマキの改良品といわれ、その碧青色の花が好まれて、昔から広く人家に栽培されてきました。
その原種といわれる仲間が、花色や花の形をちがえて各地の高山~亜高山地帯に分布しています。萼片と花弁の下部が紫色、花弁の上半分が白いミヤマオダマキ、萼片が褐紫色、花弁上部が淡黄色で基部が痩せた距になり褐紫色のヤマオダマキ、距がないリシリオダマキななどがありますが、写真は蓼科高原一帯でよく見られたもので、図鑑では、まれに見られるとされているキバナノヤマオダマキ:黄花の山苧環です。

ホソバノキソチドリ:細葉の木曽千鳥(信州花紀行・こぼれだね②)

2011-08-27 06:18:29 | お知らせ」

八ヶ岳連峰中央部を横断するメルヘン街道の麦草峠の草原に、ホソバノキソチドリ:細葉の木曽千鳥(ラン科ツレサギソウ属)がたくさん咲いていました。
本州中部地方以北北海道などの亜高山帯に生える多年草で、高さ20~30cm、7~8月に咲く花はキソチドリより小形で径3~5㎜の黄緑色で、背萼片と側萼片は兜状になり、側萼片は長楕円形で背萼片よりも長くて反り返り、約1.5㎝の距はふつう前方にやや湾曲します。
緑の草原に緑の花で、なかなか目立たない地味な花を撮るのに苦労していましたら、通りかかった老夫婦が名前を教えてくれました。
キソチドリの名は木曽で初めて発見されたことによりますが、地域的な変異が多く、キソチドリの名がついた品種もいくつかあるようです。

テガタチドリ:手形千鳥(信州花紀行・こぼれだね①)

2011-08-26 07:13:44 | お知らせ」

八千穂高原に咲いていたテガタチドリ:手形千鳥(ラン科テガタチドリ属)です。
本州中部地方以北、北海道の亜高山帯~高山帯の草地に生える多年草で、高さは30~50㎝、地下に手の形をした白色多肉根と線形のひげ根があるのでこの名があり、チドリソウともいいます。
7~8月、淡紅紫色の花を穂状に密生してつけます。唇弁は3裂して先は丸く、側萼片は平開します。

ミヤマクロユリ:深山黒百合(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑳)

2011-08-25 07:02:03 | お知らせ」

千畳敷カールの周遊路を行き交う人たちのなかで、誰云うともなくあそこにクロユリが咲いているという情報が流れていました。どうやら数多い高山植物の中でもクロユリ(ユリ科バイモ属)は別格の人気のようです。
以前利尻島に咲くクロユリをとりあげたことがあります(07年5月30日記事)。北海道のクロユリには、海辺にも咲くエゾクロユリと呼ばれる低地型のものがあり、全体に大形で高さは50㎝にもなり花つきも3~7個と多く、花色も黒さが勝ちます。
これにたいし、高山型はミヤマクロユリと呼ばれ、高さは20㎝ほどで、花も1茎に1~2個と少なく、花色はやや黄色をおびます。
越中富山の城主佐々成政が、その愛妾小百合と小姓竹沢熊四郎の仲を疑って2人を斬殺し、小百合の一族をも殺します。小百合はその死に臨んで憤怒の形相ものすごく「立山に黒百合が咲けば佐々の家は滅亡しよう」と叫んだが、最終的にはこの予言が的中したという有名な伝説や、織井茂子「黒百合の歌」で”恋の花“とうたわれるなど、よく知られている花ですが、黒っぽい花が珍しいだけで、独特の悪臭もあり人気先行の感が否めません。
(これで中央アルプス千畳敷カールの花のシリーズを終わります)

ミヤマクロスゲ:深山黒菅(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑲)

2011-08-24 17:23:01 | お知らせ」

八丁坂のところどころに黒い穂をつけていた草はミヤマクロスゲ:深山黒菅(カヤツリグサ科と見ました。
本州中部地方以北、北海道の高山帯の草地や砂礫地に生える多年草で、高さは12~25㎝、葉は茎とほゞ同長で幅3~5㎜。小穂は2~3個つき垂れ下がることが多く、鱗片は濃紫褐色~黒紫色、頂小穂は雄性で、側小穂は雌性、雌花の鱗片は狭卵形で芒状にとがります。

コガネイチゴ:黄金苺(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑱)

2011-08-23 07:40:06 | お知らせ」

灌木の下にコガネイチゴ:黄金苺(バラ科キイチゴ属)が咲いていました。
ガイドブックには、分布は少なくハイマツの下などをよく探さないと見つからないとあっただけに少しうれしくなりました。
茎は細長くのび、葉は3枚に分裂し、左右の葉はさらに2分して5枚掌状に見えます。
花弁は本来5弁ですが、1枚は退化して4枚になります。
赤く熟す果実は径約3.5㎜の核果が数個集まり、下に萼片が残ります。
和名は光沢のある果実を見立てたものともいいますがいまひとつはっきりしません。

ミヤマキンポウゲ:深山金鳳花(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑰)

2011-08-22 07:19:44 | お知らせ」

雪解けの雪田周辺などに、大群落で金色のお花畑をつくるのがミヤマキンポウゲ:深山金鳳花(キンポウゲ科キンポウゲ属)です。低地のウマノアシガタに似ていますが、茎の下部の毛が寝ることと、葉の裂片が細いことで区別されます。昨日のシナノキンバイにも似ますが、葉の裂片が細いことのほかに花に光沢があることや花弁の形がそろっている点が異なります。
千畳敷カールではそれほど群落は見当たりませんでしたが、この花を見て10年ほど前、スイスのユングフラウヨッホから下りグリンデルワルトでツアーのグループと別れ、妻と二人でアイガー北壁を背にクライネシャイデックまで半日のハイキングを楽しんだ時の一枚の写真を思い浮かべました。

当時は植物に格別の興味も知識もなかったのですが、そのとき、振り返って見たアイガーをバックに広がる黄色い花の大群落はずっと気になっていました。あの花はこのミヤマキンポウゲの仲間に違いないと、ネットで調べてみると確かにありました。アルプスで見たのは英名でGlobe flower、Butter cup日本名は西洋キンバイ、類似の日本花はミヤマキンポウゲとありました。

シナノキンバイ:信濃金梅(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑯) 

2011-08-21 08:52:08 | お知らせ」

高山を彩る花々の群落で、白と並んで遠くからでも目立つのが黄色い花です。
シナノキンバイ:信濃金梅(キンポウゲ科インバイソウ属)も頑張っています。
本州中部地方以北、北海道分布、高山帯の草地にはえる多年草で高さは30㎝くらい、根葉は長い柄を持ち、掌状に深く5裂します。茎は葉より高く柄のない茎葉がつきます。
夏、径4㎝位の黄金花を開き、萼片は花弁状で5~7個、花弁は雄蕊より短く、雄蕊のまわりにつきます。
花びら(萼片)の大きさや形は不ぞろいです。
(参考:伊吹山のキンバイカ09年8月19日記事、)

オオヒョウタンボク:大瓢箪木(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑮)

2011-08-20 08:00:11 | お知らせ」

オオヒョウタンボク:大瓢箪木(スイカズラ科スイカズラ属)が咲いていました。
亜高山~高山には生える落葉低木で、高さは1~2m、葉は長さ5~12㎝の長楕円形で対生します。
花は長さ15㎜位で2個並んでつき、はじめ白くのち僅かに淡黄色を帯びます。
果実は9月中旬、真っ赤に熟します。果実は2個がくっつくので、この仲間の多くはヒョウタンボクの名がつきます。園芸種も多くて、庭に植えているヒョウタンボクは紅色の花で、この果実をとり上げたことがあります(07年6月18日記事)。千畳敷カールのヒョウタンボクは、低地のものより葉が大きいのでオオヒョウタンボクと呼ばれていますが、別にオオバヒョウタンボク(別名アラゲヒョウタンボク)というのもあり、少々紛らわしくなっています。

ヒメクワガタ:姫鍬形(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑭)

2011-08-19 06:32:32 | お知らせ」

千畳敷カールを周遊する大勢の観光客の誰もが気づかないような草陰に咲く小さな花を見つけるのは何やら楽しい気持ちになます。
昨日の記事のツマトリソウもそうでしたが、下草の陰でひそやかに咲いていたヒメクワガタ:姫鍬形(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)のその一つです。
本州中部地方以北の高山に生える多年草で、茎は基部で枝分かれし、下部は地上をはって広がります。上部は斜上して、長さ7~18㎝、茎、葉ともに細毛があり、卵形の葉には鋸歯が目立ちます。花は夏、花冠は径5~7mm淡紫色で2本の雄蕊があります。
果実の先がへこまないのをシナノヒメクワガタといいますが、中間型もあるといいます。

ツマトリソウ:褄取草(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑬)

2011-08-18 07:57:22 | お知らせ」

千畳敷カールの周遊路沿いの木の陰に、ほとんどの観光客が気づかないくらいひっそり咲いていたのがツマトリソウ:褄取草・端取草(サクラソウ科ツマトリソウ属)です。
花びらのふちがほのかな紅色に縁どられるところから、着物の褄を連想して、この雅びな名がありますが、実際には赤みがさす花はほとんど見られないといいます。
亜高山から高山にかけての草地や針葉樹林帯の下草として生える多年草で、高さは10㎝ほどになり、葉は茎の上部にやや輪生状につきます。
6~7月、葉の付け根から長い柄をのばし、白色の花をつけます。萼は7個の披針形の裂片に裂け、花冠は径1.5㎝ぐらいで7裂し平開します。雄蕊7本雌蕊1本で、このように7を基数とするのは種子植物としては珍しいそうです。

ハイマツ:這松(信州花紀行・中央アルプス駒ヶ岳⑫)

2011-08-17 07:50:07 | お知らせ」

山でハイマツ:這松(マツ科マツ属)がみられるのは高山に限られ、通常この自生地を分岐点としてこれから上を高山帯と呼ばれます。
名のとおり匍匐性の常緑灌木で、時として亜高山の森林内に下降しても決して直立しません。
幹は地上を這い長さ10~15m、高さ1m内外で、四方に広がり群生します。葉は5葉で、3稜状で鞘はなく、側面に白緑色の気孔帯があります。
雄花は暗紫紅色で本年枝の中下部に密につき、雌花は淡紫紅色で本年枝の先に1~2個付きます。
球果は翌年の秋に熟し、ホシガラスが好むことで知られています。