新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ウツボグサ:靭草(荒野に立ち尽くす落武者)

2006-06-22 06:14:46 | 植物観察1日1題
家の前の道路を隔てた土手に、一面ウツボグサ:靭草(シソ科ウツボグサ属)の蕾が立ち上がって楽しみにしていたのに、ある日、市の草刈業者が来て、機械で一斉になぎ倒してしまいました。
それでも、立ち木の根元に1本だけ僅かに刈り残されていたのがまもなく花を咲かせました。
ウツボグサは山野の草地や道端に生える多年草で、葉は対生し、長さ10~30cmの長楕円形。6~8月、茎の先に花穂を作り、紫色の2唇形の花を密につけます。苞片の間から出る花は長さ2cmくらい、上唇は前に曲がり、下唇は開出して反曲します。
靭草とは、花穂を武士が矢を入れるうつぼ(靭)に見立てたものです。夏、花が枯れ黒っぽくなってもそのまま立っていることから、カコウソウ(夏枯草)の別名があり、利尿剤としても用いられます。花が終わるとまもなく茎の基部から匍匐枝を出します。
刈りつくされた土手に一本だけ咲くウツボグサは、さながらたった一人生き残った落ち武者が、激しかった戦の場に、矢も尽きた靭を背にして立っている風情です。
乱れ咲く群生もいいのですが、昨日のオカタツナミソウと同様、独りだけ咲く姿も捨てがたいものがあります。