新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

キンカチャ:金花茶(金色のツバキ)

2009-02-27 07:19:02 | 植物観察1日1題

近年話題となっているキンカチャ:金花茶(ツバキ科)は、中国より導入された黄色い花をつけるツバキの仲間ですが、ヤブツバキとは形態や性質は異なります。
葉は大きく、長さ10~20cm、幅4~7cmの狭楕円形で光沢があります。花は直径5~7cmとやや小さく、花弁数は9~11個の一重咲きで純黄色です。
ベトナム北部にあるとされていた金花茶が、国境を接する中国の低い丘陵地に見られることが1965年に発表されたあと、内外の研究者によって調査が行われ、今では広西、雲南、貴洲に20を超える黄色い花の咲く品種があることが分かっているそうです。
中国では「茶花」は茶の木ではなく、ふつうはツバキ(山茶)を指します。金色のツバキを「金茶花」とするのは不思議ではありません。

メキャベツ(鈴なりの豆キャベツ)

2009-02-25 09:39:51 | 植物観察1日1題

街角でメキャベツ(アブラナ科アブラナ属)の鉢植えを見かけました。
野菜として食べたことがあっても、植わっているのを見たことがなかったので写真に撮らせてもらいました。
ベルギーで古くから栽培されていたものがブリュッセルで品種改良が進み、19世紀になってヨーロッパに広く普及した比較的新しい野菜です。英名をブリュッセル・スプラウツといい、イギリスでの栽培が盛んで、フランス料理でもおなじみです。
キャベツは地際で葉が結球して一つの大きい玉になりますが、メキャベツは伸びた茎の葉腋に直径2~5cmの小さな玉が隙間なく鈴なりになります。これは、本来腋芽として伸びてゆくはずの芽が球状に変化したもので、この様子から子持ち甘藍、姫甘藍、子持ち玉菜などの別名があります。
ビタミンCがキャベツの3倍もあるとかで、もっと使われてもよい野菜のひとつです

カカオ(幹に生るチョコレートの素)

2009-02-24 07:16:04 | 植物観察1日1題

今年もSt.バレンタインデイのチョコレートの話題で賑わいました。
もともと欧米でもこの日に愛する人に贈り物をする風習があるそうですが、この日に女性から男性へそれもチョコレートを贈るという日本独特の習慣は、何十年か前に商魂たくましい洋菓子屋やデパートが考え出したことです。昔からの伝統的な行事や風習が失われる中で、商売に絡められると奇妙な風習がいつの間にか人々の中で確固たるものになるのは皮肉なことです。
このチョコレ-トの原料になるカカオ(アオギリ科)の実が植物園の温室で実っていました。
中南米原産の常緑高木で高さは4~10mになります。
花は幹および太い枝に直接房状に多数つき、小輪で黄色地に赤褐色の線条があり、一年中次々と開き、結実します。果実は長さ約30センチメートルの紡錘形で、表面に縦溝とこぶがあり、初め緑白色で、のちに赤、黄、橙(だいだい)、紫などに熟します。太い枝や幹の直接生るので幹生果と呼ばれます。
中の種子を水につけて発酵させ干すと赤みを帯び特有の芳香が出ます。これをカカオ豆といい、焙煎し殻を除いてすりつぶしたのがカカオペーストで、ココアやチョコレートの原料になります。



ナニワズ(“なにわ”にも咲く)2009.2.22

2009-02-22 08:09:03 | 植物観察1日1題

セツブンソウを見に行った篠山市の郊外のお庭に、(ナニワズ:ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)
が咲いていました。
もともと本州新潟県以北、北海道、千島、サハリンに分布する落葉低木で、まばらに太い枝を分
枝します。雌雄異株で、花は春、黄色花が枝先に集まってつきます。
いつぞや北海道礼文島でこの花をナニワズと教えてもらったとき、“難波津”と聞き、こんなところにある木がなぜ大阪に関係するような名前がついているのかと怪訝に思いましたが、調べてみると、この名は、おなじジンチョウゲ科のオニシバリ:鬼縛(別名ナツボウズ)(06年3月30日記事)に対する長野県の方言で、北海道で長野県人が本植物をこのように呼んだことに始まるとのことでやっと納得しました。
別名のエゾナツボウズ、エゾオニシバリを最初に聞けば悩むこともなかったにと思います。
それにしても、そんな北方の木が関西で結構見られるのは少し不思議です。いわゆる園芸品種かもしれません。

セツブンソウ:節分草(今年も行きました)

2009-02-20 06:50:18 | 植物観察1日1題


植物観察を始めてこの方、毎年早春、篠山市の町外れにセツブンソウ:節分草(キンポウゲ科セツブンソウ属)を見に行くのが恒例になりました。
節分のころに咲くのでこの名があり、主に石灰岩地の樹林内に群生する高さ5~15cmの多年草です。茎の上部にふぞろいに細かく切れ込んだ葉が2個対生します。花期は2~3月、茎の先に直径2cmほどの花を1個つけます。
白い花弁のように見えるのは萼片で5個あり、花弁は黄色の蜜腺に変化しています。雄しべの葯は紫色で、白い萼片とのコントラストがきれいです。
はだらに残る雪の間に咲くこの花は、初夏には地上部は枯れてしまいスプリングエフェメラル(春の儚い命)といわれます。


オオイヌノフグリ:大犬の睾丸(花は小さくとも)

2009-02-18 06:57:30 | 植物観察1日1題
<cener>
寒空の下、オオイヌノフグリ(ゴマハグサ科クワガタソウ属)の青い花が咲いています。
ユーラシア、アフリカ原産の2年草。明治初期に西洋から来た帰化種で、全国的に広がっています。在来種のイヌノフグリより花が大きいのでこの名がつきました。在来種イヌノフグリの名はその種子の形がふぐり(睾丸)に似ているから来たものですが、可愛い花に似つかわしくなく少し可哀相です。
瑠璃唐草・天人唐草・星の瞳、海外ではロードスター(道端の星)などきれいな別名もありますが、どういうわけかあまり知られていません。
日が当たると開き曇ると閉じる一日花で、朝咲いて夜には花冠は落ちます。花柄は細く、花冠から1個の雌しべと2本の雄しべが突き出ていて、雄しべの花糸は円柱型で鎌状に曲がっています。花柄はミツバチの重さに耐えず曲がるので、ミツバチはあわてて雄しべにしがみつき、その瞬間に雄しべの葯がミツバチの頭に触れて花粉がくっつきます。受粉を確実にする花の構造です。

フクジュソウ:福寿草 (早い今年の開花)

2009-02-16 06:49:23 | 植物観察1日1題


暖冬の今年、山の花も早いというので、12日ポンポン山西山稜の自生地へ福寿草(キンポウゲ科フクジュソウ属)を見に行ってきました。
ボツボツ開き始めという状況で、去年より2~3週間ほどは速いようです。
福寿草は旧暦の元日ころに咲くのでガンジツソウ(元日草)の別名もあり、春を呼ぶ目出度い花として広く愛好されてきました。
ギリシャ神話で、大地母神アフロディテに愛されたアドニスは、狩の途中、二人の仲をねたんだ軍神アレスの仕掛けた猪と戦い、牙で突き殺された時に血が滴り落ち、それが真っ赤なアネモネになりました。
アドニスが流した真っ赤な血から生え出した花としては、赤い花色を持つアネモネがぴったりです。ところが、学名上アドニス属(Adonis) は、フクジュソウ属となっています。アドニスをフクジュソウ属に使ったのはリンネですが、西アジアからヨーロッパにかけて数種の1年生の赤いフクジュソウが分布するとかで、あながちおかしいとは言い切れないようです。

スイセン:水仙(銀の台に金の盃)

2009-02-14 07:48:34 | 植物観察1日1題

房咲きのスイセン:水仙(ヒガンバナ科スイセン属)が花盛りです。
属名Narcissusは泉に映った自分の姿に恋して死ぬギリシア神話の青年の名であることはよく知られていますが、漢名の音読みという和名の水仙の由来はいまひとつわかりません。
中国では唐代にすでに西方のナルキッソスが知られていたとの説があるそうですが、もともと「水仙」は、中国では水にかかわりのある神や仙人をさす言葉だそうで、水仙という呼び名が詩文に多く現れるのは唐代に続く宋代に入ってからといいます。
水仙が属す短子葉植物は一般に3の倍数で花が成り立っています。外側からがく片3、花びら3、雄しべは前に3本後ろに3本、雌しべは1本で子房は3室に分かれています。写真の一重の房咲き水仙を別称で「金盞(きんさん)銀(ぎん)台(だい)」(金の盃と銀の台座)というのはぴったりの表現です。


ハンノキ:榛の木(ヨーロッパでは妖精の木)

2009-02-12 06:54:25 | 植物観察1日1題


春は名のみの里にハンノキ:榛の木(カバノキ科ハンノキ属)の花が咲いています。
日本各地、朝鮮、台湾、中国の温帯から暖帯に分布し、林野の湿地に好んで生える落葉高木で、今の時期枯れ木のようですが、近づくと枝先いっぱいに、ひも状の黄褐色の雄花穂が垂れ下がっているのが見えます。花期は1~3月と早く、葉が開く前に開きます。雄花穂は長さ4~7cmでひも状に垂れ下がり、下方に小さい雌花が上向きにつきます。
隣に樹脂を分泌して少し粘る冬芽があり、2年枝には松かさを小さくしたような枯れた果穂も残っています。
根に放線菌が寄生して根留ができ、これが空気中の窒素を取り込むため、やせた土地でもよく成長するので、河川の堤防や、崩壊地の修復などに植えられます。
古代にはこの木の果穂を黒褐の染料に用い、万葉集には榛(はり)の名で14首出ています。
シューベルトの「魔王」の原題は「ErlkÖnig」(Erleはハンノキ、kÖnigは王が結びついたもの)で由来は定かではありませんが、北欧の古い伝説が起源といわれます。
またヨーロッパでは「妖精の木」とも呼ばれていますが、古代ケルトで、長く穂のような雄花が妖精を隠しているといわれたことからきているそうです。
今ではあまり顧みられませんが、昔は東西ともに人々に近い木だったようです。

ライラック:ムラサキハシドイ(白くてもムラサキ?)

2009-02-10 07:15:04 | 植物観察1日1題

ライラック(モクセイ科ハシドイ属)の花芽が膨らんでいます。
ヨーロッパバルカン半島原産で、日本へは明治中期に渡来し、冷涼で乾燥した風土を好むので東北、北海道など北国でよく育ち、中部以西では花つきや香りで劣るとされています。
ライラックは英名、フランス名はリラでなんとなくしゃれた雰囲気ですが、和名はムラサキハシドイと野暮ったく、園芸店では和名で売ることはまずありません。
今では500余りの品種があるそうで、花色も豊富です。
当たり前のことかもしれませんが、左の紫色花は蕾も紫がかり、右の白花のは蕾も青白くなっています。

クモマグサ:雲間草(ビルの雲間?)

2009-02-08 18:41:07 | 植物観察1日1題

高槻にあるJT生命誌研究館の昆虫食草園の一角に、白と赤が目立つ草花がありました。
名札にはクモマソウとあります。少しいぶかりながら写真を撮って帰り、図鑑をあたると、とクモマグサ(ユキノシタ科ユキノシタ属)とあって、我が国の固有種で、北アルプスと御嶽山など高山帯の礫地や岩場に生え、葉は楔形で先端が3つの切れ込みがあり、7~8月に花茎をのばし白い花を咲かせるとあります。
葉の先端が3つに切れ込むのは同じですが、花の様子も花の時期も高山植物のそれとは異なるようです。
園芸関係を調べると、園芸種の洋種クモマグサだというのがありました。園芸店では単にクモマグサで販売されているそうです。
それにしても、生命誌研究館の食草園でこの園芸種だけが栽培されていたのはどういう訳か不思議です。

ノビル:野蒜(古代人の食卓に)

2009-02-06 07:02:56 | 植物観察1日1題

道端の土手にノビル:野蒜(ユリ科ネギ属)が育っています。
あちこちに普通に見られる多年草で、全体に柔らかく、ニラのような強いにおいがあります。
白い鱗茎を生で食べたり、葉を含めて“ぬた”にしたりして食べます。
子どものとき田舎ででよく食べたのを思い出し、何回か摘みましたが、道具がないと肝心の鱗茎がうまく採れず、しなびた袴や葉の先を整理するのにも手間ひまがかかり、どうしても食べようという意欲が薄れてしまいました。
古事記の応仁天皇の「いざ子ども野蒜摘みに蒜摘みに我行く道の…」や、
万葉集の「醤酢(ひしほす)に蒜搗き合(か)てて鯛願ふ
  我にな見せそ水葱(なぎ)の羹(あつもの)」長意吉麿 巻16-3829
(醤に酢を加へ蒜をつき混ぜたたれを作って鯛が欲しいと願っているこの私に
水葱の羹など見せないでくれ)
などがあり、ノビルが古くから食用とされていたことを物語っています。


ヒトツバタゴ(わかったナンジャモンジャ)

2009-02-04 07:06:17 | 植物観察1日1題

以前から市バスの窓から見えるある木が気になっていました。その木は造園業者の庭にあって、初夏白い線状の花を枝いっぱいにつけます。
遠眼に見るその花は、ナンジャモンジャの木の別名で知られるヒトツバタゴ(モクセイ科ヒトツバタゴ属に似ています。(05年5月5日記事(05年5月5日記事)
昨年秋、近くを通ったとき、が枝もたわわといった感じで紫色の比較的大きい実がついていました。図鑑ではヒトツバタゴは雌雄異株となっており、1本だけのこの木が実をつけるのが不思議で、別の木ではないかと思ったりしました。
年が明けてこの話を植物に詳しい知人にしたところ、早速見に行ったらしく、ヒトツバタゴに違いないと思うと報告がありました。何でも冬芽が万博にあるヒトツバタゴと同じだそうです。
長野県、愛知県、岐阜県、対馬、朝鮮半島、中国に隔離分布し、瑞浪市、恵那市、蛭川村の自生地と対馬では天然記念物に指定されています。六道木の別名があり、ヒトツバタゴの名は
タゴと呼ばれる同じモクセイ科のトネリコに似ていることから来ています。
ナンジャモンジャという名は、正体がわからない木をそう呼んだもので、各地でいろんな木がこの名で呼ばれているといいますが、広く知られているナンジャモンジャはこのヒトツバタゴです。
こんどは、花時にバスを降りて見にゆきたいと思っています。
(写真は昨秋撮影のものですが、今もこの実は残っています)



マンサク:満作(合掌作りを支える)

2009-02-02 17:33:31 | 植物観察1日1題



庭のマンサク:満作(マンサク科マンサク属)が咲いています。
名前の由来は、春一番に咲くから“まず咲く”の転訛、黄色い花が一面に咲くので“豊年満作“から、あるいはねじれた花弁がシイナ(不稔でしなびた籾や果実)に似ていることを嫌って逆に満作となったなどの説があります。
山地に生える落葉小高木で、花の少ない時期に変わった形の花を咲かせるので庭木にも用いられます。葉に先立て開く黄色の花の花弁は長さ1~1.5cm、幅2mmほどの線形、萼片の内側と雄蕊の葯は暗紫色を呈します。
世界遺産の飛騨白川郷合掌造りの大きな屋根を支えている骨組みの結束は荒縄とこのマンサクの枝というのは驚きです。ネソといわれるこの枝は切り取ってすぐ使うとよく曲がって結わえやすく、何十年経ってもぼろぼろにならず緩むこともないといいます。
写真は、春先まで枯れ葉が残るシナマンサクという品種です。


マンサク:満作(合掌作りを支える)

2009-02-01 08:45:14 | 植物観察1日1題




庭のマンサク:満作(マンサク科マンサク属)が咲いています。
名前の由来は、春一番に咲くから“まず咲く”の転訛、黄色い花が一面に咲くので“豊年満作“から、あるいはねじれた花弁がシイナ(不稔でしなびた籾や果実)に似ていることを嫌って逆に満作となったなどの説があります。
山地に生える落葉小高木で、花の少ない時期に変わった形の花を咲かせるので庭木にも用いられます。葉に先立て開く黄色の花の花弁は長さ1~1.5cm、幅2mmほどの線形、萼片の内側と雄蕊の葯は暗紫色を呈します。
世界遺産の飛騨白川郷合掌造りの大きな屋根を支えている骨組みの結束は荒縄とこのマンサクの枝というのは驚きです。ネソといわれるこの枝は切り取ってすぐ使うとよく曲がって結わえやすく、何十年経ってもぼろぼろにならず緩むこともないといいます。
写真は、春先まで枯れ葉が残るシナマンサクという品種です。