新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

アキニレ:秋楡 (校庭の楡はどちら?)

2005-11-30 07:05:40 | 植物観察1日1題
アキニレ:秋楡(ニレ科ニレ属)の枝先に、扁平で周囲を翼が取りまく形の小さい種子(翼果)が沢山付いています。どちらかというと日本の北部に多く、春に花が咲くハルニレに対して、アキニレは、本洲中部以西から琉球、朝鮮、台湾、中国の温帯から亜熱帯地方に多く分布し、山地や川岸に生える落葉高木で、名のとおり初秋9月ごろ黄色い小さい花が枝先に集まって付きます。ハルニレより葉が小さく、灰褐色の樹皮は、老木になると鱗片状に剥がれ独特の模様になります。
材がケヤキのように堅いことからイシゲヤキ、また川原に多く生えるところからカワラゲヤキなどの別名があります。
その昔、舟木一夫がヒット曲“高校三年生”で歌った“楡の木陰で…”の楡は、ハルニレかアキニレかは歌では定かでありません。多分あなたが通った高校が、北の地方だったのか、本洲西部だったかで決まるということになるでしょう。


コバノガマズミ:小葉の莢蒾;(幼い日の味わい)

2005-11-29 07:01:34 | 植物観察1日1題
秋の山道を歩いているよく目に付くコバノガマズミ:小葉の莢蒾(スイカズラ科ガマズミ属)の赤い実は、子供のときに食べた思い出のある方も多いと思います。
どちらかというと本洲西部地方の日当たりのよい山野に生える高さ2~3mの落葉低木です。花も実も仲間のガマズミに似ていますが、本種はガマズミより葉が小さくて細長く、鋸歯が荒いなどで区別できます。
よく知られているガマズミですが、名前の由来はわからないそうです。漢名の“莢蒾”もなじみのない字で、探すのにひと苦労しました。
初夏、白い小さい花がびっしり集まって遠くから見るとあたかも一輪の花のようにみえます。同じように秋、真っ赤な小さい実を固めてつけ、よく目立ちます。この実は秋が深まり霜が降るようになる頃甘酸っぱく熟して、昔の子供たちは、木の名は知らないまま、よく食べたものです。先日この実で果実酒を漬け込みました。透明だったホワイトリカーはもう鮮やかな紅色にかわっています。毎日眺めて熟成を待つ日々です。(タイトルではズミの漢字が出ませんでした)

カクレミノ:隠蓑(ジャンケンポンの木)

2005-11-28 06:49:12 | 植物観察1日1題
カクレミノ:隠蓑(ウコギ科カクレミノ属)の小さい黒い実がボール状にかたまって付いています。高さ9mくらいの常緑小高木で、厚く艶のある葉は、楕円形や卵形のほかに、特に若木では2裂、3裂、5裂するものが混在するので“ジャンケンポンの木”という愛称もあります。隠れ蓑とは物事の真相を隠すという意味もあるのですが、この木の名は、この3裂の葉の形を雨具の蓑にたとえたことから来ているとされています。
夏に緑色の小花を散形につけ、果実は冬に黒く熟し、個々の実は長さ1cmたらずの楕円形で、先端に花柱が残ります。写真の実は花火のような綺麗な球形についていますが、実際には滅多にこんなに整った形にはならないようです。
最近、庭木としてもよく見かけるようになりました。

ツワブキ:石蕗(冬の訪れを告げる)

2005-11-27 07:08:35 | 植物観察1日1題
いろどりの少なくなった庭に、ツワブキ:石蕗(キク科タカラコウ属)が黄色い花を立ちあげています。厚く光沢ある深緑の葉をもち、見るからに寒々とした感じがあって冬の訪れを告げているかのようです。
福島県以南の海岸沿いに多く自生する常緑性の多年草ですが、園芸品種も多く、庭にもよく植えられています。どちらかというと下草として日陰に植えられることがおおく、ほの暗い辺りに黄色い花が目立つさまを、俳句の世界では"石蕗(つわ)あかり“などと優雅に表現するそうです。
葉は円状腎臓形で大きく、11~12月ごろ葉の中から高さ60~70cmの花茎をのばし、黄色の頭花を散房状につけます。
和名は、フキに似て、葉は光沢があるので、ツヤブキ(艶蕗)から転訛したといわれています。若葉を食用にするほか、薬用にも用いられ、葉はできものによく効き、洗ってそのまま患部に貼ればよいそうですから簡単便利です。

ボタンヅル:牡丹蔓(もう一つの仙人の髯)

2005-11-26 07:44:45 | 植物観察1日1題
センニンソウの種(11月23日記事)を見つけたので、ボタンヅルの種がないか意識して探して歩いていると、見つけました。センニンソウとよく似たボタンヅル:牡丹蔓(キンポウゲ科センニンソウ属)の果実です。夏の終わりごろ咲く白い花は(9月13日記事)センニンソウに似ていますが、ボタンヅルのほうが少し小ぶりなので良く見ればわかるというものの、牡丹に似た3出複葉の葉で区別するのが確かな方法です。ボタンヅルの果実は花と同じくセンニンソウのそれとよく似て立派な髯をもっています。どちらも立派な髯をたてていますが、種子が褐色の仙人草と、黒紫色の牡丹蔓を比べると、どちらが仙人に似ているとお思いでしょうか。


アレチウリ:荒地瓜(厄介な帰化植物)

2005-11-25 06:54:59 | 植物観察1日1題
嵐山近く松尾橋付近の桂川の堤防でアレチウリ:荒地瓜(ウリ科アレチウリ属)が繁茂しています。一目見ただけで外来種とわかるこの草の姿は、いかにも風光明媚なこの地にそぐわない感じです。
どの図鑑にもほとんど載っていないアレチウリを、ネットで検索すると、大半は駆除大作戦などというキャンペーン記事でした。1952年ごろ、静岡県ではじめて確認されたというこの草は、その旺盛な繁茂力で、全国で短期間に爆発的に広がり、各地で農作物に害を与え、また従来の生態系を乱すなど、害草として大きな問題になっている模様です。
葉や花の形は紛れもなくウリ科の特徴を示していますが、何よりも異様なのは、葉や茎の細い棘で、特に実は通常のウリとまったく異なり、鋭い棘に包まれた異様な形です。
その点昨日のカラスウリは、花も実も日本人の感性にしっくり来て、アレチウリとは大違いです。
1年生の蔓が枯れても、後に1平方m当り3000粒もの種子を残すそうで、繁殖力の大きさもわかるというものです。外来種というとすぐに害草をイメージするのが常ですが、アレチウリもまたかなりの厄介者のようです。

カラスウリ:烏瓜(霜枯れていよいよ赤し)

2005-11-24 06:56:36 | 植物観察1日1題
深まる秋、道端にカラスウウリ:烏瓜(ウリ科烏瓜属)の赤い実がぶら下がっています。晩夏の頃、夜咲くカラスウリの花(9月15日記事を求めて歩きまわっても、なかなか探し当てることができなかったカラスウリですが、今、周囲の草木が霜枯れる中で、この赤い実はよく目立ち、あれっ、ここにもあったのかという感じです。
白いレースの幻想的な花も魅力的ですが、残念ながら咲くのが夜で短時間なので、一般にはよく知られていませんが、これにひきかえ、晩秋の野を彩る紅い実はよく目立ち、活け花の花材にもよく用いられます。
直径5~7cmの赤い果実のなかに沢山入っている黒い種子は、カマキリの頭に似ていて、また大黒天をも思わせる形なので、縁起を担いで財布に入れる風習があります。また結び文の形をしているとして、玉梓・玉章(たまずさ)、結び状などの別名もあります。和名のカラスウリは、晩秋に赤く残る実をカラスが食べ残したのだろうと見立てたといわれています。
“霜枯れていよいよ赤し烏瓜”とは、むかし勤めていた会社の“文人”社長が、定年退職者に乞われて色紙に書いた句です。妙に記憶に残っていましたので副題に使わせてもらいました。

センニンソウ:仙人草(秋風にそよぐ仙人の髯)

2005-11-23 06:58:58 | 植物観察1日1題
つる植物に覆われた土手をよく見るとなにやら不思議なものがありました。真綿をかぶったような卍模様の黄色い種子は、センニンソウ:仙人草(キンポウゲ科センニンソウ属)の果実です。夏の終わりごろ4枚の白い萼片を平開していた花が、いま果実になっているのです。(9月12日記事参照)
痩果に宿存する細長い花柱にも長い白毛が密生し羽毛状になるのが仙人のあご髯を連想させるところからセンニンソウの名がついたそうです。
木枯らしが吹くころ、この髯をつけた種が風に乗って遠くまで飛んでゆくことでしょう。
したたかな子孫伝播の戦術です。

ヤマラッキョウ:山辣韮(小さい遷移)

2005-11-22 06:49:17 | 植物観察1日1題
高槻市へ移り住んだ10数年前、家の前の道路の法面が土手になっていて、そこにはモジズリ(ネジバナ)沢山咲き、ウチョウランの繁殖に必要とかで栽培家が採集に来ていたものでした。その後何年かごとに土手の植生が微妙に変化を続け、ここ数年前から秋露が降りる頃にヤマラッキョウ:山辣韮(ユリ科ネギ属)の薄紫の花が土手をうすく染めるようになっていました。ところがそのヤマラッキョウが今年はわずか数株しかなく、良く見ないとわからないくらいに減ってしまいました。イネ科などの雑草の中であまり人目を引く事もなく、ラッキョウに似た食感があり食べられるということですが、食用に採集された様子もないのに、こんなに急に消えかかっているのはどうしたことかと考えてしまいました。写真は、早朝、露に濡れた花を、来年も見られるかなと思いながら撮ったものです。

ザクロの実:石榴(東西ザクロ話)

2005-11-21 06:40:13 | 植物観察1日1題
夏、万緑叢中紅一点と赤い花をつけていたザクロ(7月26日記事参照)が、今赤い果実を付け、大きく裂けた割れ目から多数のルビーのような液果(種子の外皮)を覗かせています。 
先日一緒に歩いていた友人から、子供のとき母親にザクロを食べてはいけないといわれてきたと聞きうれしくなりました。鬼子母神伝説が本当に生きていたからです。
鬼子母神は、4人の子を成しているのに、他人の子を奪って食ったので、釈迦が彼女の最愛の末っ子を隠して戒めたので、女神が悔い改めたとき、釈迦は「汝これより人の子を食う勿れ、もし人肉を食わんと思うならばこの果を食べよ」とザクロの実を与えたとの説話より、鬼子母神は安産、育児の守り神となったというのです。その友人は幼少の頃病弱で母親が鬼子母神に願を掛けたお返しに、鬼子母神の食べ物であるザクロを食べることを自分の子に禁じたという実話だったのです。
ザクロ:石榴(ザクロ科ザクロ属)は、小アジア原産で、世界各地で栽培され、日本には平安時代薬用または観賞用として移入されたといわれます。
欧米では、お祭りにつきもののめでたい果物とされているらしく、先年亡くなったローズマリー・クルーニーが出世曲Come on-a my houseで歌っている“I’m gonna give you a marriage ring and a pomegranate”のpomegranateはザクロの実のことです。ついでに手榴弾の英語grenadeは古いフランス語のザクロから来た語で、丸い殻が割れて中から赤い火(実)が出るところがザクロとそっくりということなのでしょう。
最近、ザクロの果汁に女性ホルモンのエストロンが含まれていて、老化や更年期障害に効き目があると話題になりましたが、疑問もあるようです。
樹上の実の写真を撮りたかったのですが高くて諦め、机上の写真となりました。後でこの見事な実を頂きましたが、甘酸っぱいジュースが口いっぱいに広がり、いかにも薬効があるような気がしました。
(7月26日記事参照)

ツルアリドオシ:蔓蟻通し(蟻を通せない蟻通し)

2005-11-20 07:24:33 | 植物観察1日1題
高槻樫田の樫船神社の参詣石段の脇に小さい赤い実を見つけました。
地面にはいつくばって実をつけているのは、ツルアリドオシ:蔓蟻通し(アカネ科ツルアリドオシ属)です。
北海道から九州および朝鮮の暖帯から温帯に分布し、山地の山陰に生える多年草で、茎は長く地上をはい、節から根を下ろします。花は初夏2個ずつつき、花冠の長さ1.5cmで、4裂します。
細長く鋭い棘を持つので蟻をも刺し通すというので“蟻通し”の名を持つ同じアカネ科でアリドオシ属の常緑低木に似た実をつけるが、つる性なのでツルアリドオシ名がありますが、こちらは棘はありません。名前の由来である棘をもたないのに、実が似ているだけで本家の名前を一部借用している例です。

サンシュユ:山茱萸(季節によって変る名前)

2005-11-19 07:29:11 | 植物観察1日1題
早春3月、葉に先立って黄色い花をつけていたサンシュユ:山茱萸(ミズキ科ミズキ属)(3月25日記事参照)が赤い実を葉陰につけています。
この木は、中国、朝鮮の原産で、享保年間に薬用として日本に渡来したといわれます。グミに似た紅色楕円形の果実は、山茱萸と呼ばれて生薬の強精薬にされたそうですが、いまではこの木はもっぱら庭木として植栽されています。
春は黄色い花で、ハルコガネバナ(春黄金花)、秋は赤い実でアキサンゴ(秋珊瑚)またはアキグミ(秋茱萸)と、季節によって呼び名が変るおもしろい木です。

ゴンズイ:権萃(役立たずの木)

2005-11-18 06:49:14 | 植物観察1日1題
葉がまだ緑が濃いのに、毒々しいまでの赤い実をつけている木がゴンズイ:権萃(ミツバウツギ科ゴンズイ属)です。
インターネットでゴンズイを検索すると多くは、毒ひれを持ち漁師も捨てる役に立たない魚と出ます。昔誤ってこの木に樗の漢名のノニワウルシをあてたが、中国ではその木は役に立たない木で、おなじく役に立たない魚のゴンズイにかけたのがこの木の名の由来とされています。ほかに、最初鮮やかに赤い実が、やがて黒く汚れてしぼんでゆく姿が“天人の五衰”に似ているからだと唱える人もいますが少し考えすぎの感があります。
紅葉や果実が美しく目立つ樹木には、なぜか花の地味なものが多いといわれますが、このゴンズイも例外ではありません。果実は半月状の袋果で鮮紅色、裂開すると光沢のある黒い種子が現れ、果皮にしばらくの間ついています。
奇数羽状複葉の葉は、晩秋には華麗に紅葉するはずですが、多分それまでには、この実は小鳥たちについばまれてしまっていることでしょう。

イヌザンショウ:犬山椒 (役に立たない犬?)

2005-11-17 06:47:51 | 植物観察1日1題
草や木の名で、イヌの名がついたものは、たいてい“本物で無い””役に立たない“などの意味があります。”似ぬ“が転訛したともいわれます。イヌガヤ、イヌビワ、イヌツゲ、イヌタデ、イヌビエ、イヌムギなどと同じく、イヌザンショウ(ミカン科イヌザンショウ科)もまた人間の役には立ちません。葉や棘は一見サンショウに似ていますが、茎や葉を傷つけると悪臭があり食用にならないのです。
雌雄異株で、棘がサンショウでは互生するのに対し、イヌザンショウは互生するので区別しますが、何よりも葉の匂いを嗅ぐのが一番良い方法です。
秋、果実は赤く熟し、多数集まって枝の先端につき、裂開すると黒い種子が出ます。この黒い種もまたサンショウそっくりです。

ツリバナ:吊花(花も実も吊り下がる)

2005-11-16 06:29:31 | 植物観察1日1題
花も実もよく似たようなニシキギ属の仲間ですが、当然ながら仔細に見るとすこしずつ異なります。
ツリバナ:吊り花(ニシキギ科ニシキギ属)は、名のとおり、初夏に葉腋から集散花序を垂らし、径7mmほどの花をつけます。仲間のニシキギ、コマユミ、マユミの花は4弁ですが、ツリバナは5弁(萼片、雄蕊も5個)です。
秋、葉腋から垂れ下がる果は、仲間の他の木と同じように果柄の先の赤紫の果が割れて、赤い種衣に包まれた種子を露出しますが、果の稜は、マユミの4稜に対して5稜になっており花弁などの数に一致します。
この4日間、ニシキギの仲間を取り上げましたが、木も、葉も、花も、実もよく似ていて、観察初心者の私にとって同定は難しく自信がありません。それだけにまた、春と秋、花と実を山野で調べるのは難しくても楽しい対象です。