新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ユズリハ:譲葉(残存する古い形の花)

2013-04-20 15:40:02 | 植物観察1日1題
ユズリハ:譲葉は新しい葉が成長して古い葉が譲って落ちるので、この名があり、“代々譲る”が目出度いとして古くからこの葉を正月の飾り物に使う風習があります。
正月に1枚か2枚の葉をお金を出して買わずともと、山で掘り出した幼苗を庭に植えて置いたら胸の高さぐらいに成長し花を付けだしました。
ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木で、高さ6m内外、若枝と葉柄は赤みを帯びます。
雌雄異株で、4~5月ごろ前年枝の葉脇から長さ4~12㎝の総状花序を出します。
庭に植えたのはどうやら雄木らしく、花弁も萼も欠き、6~12個の花糸は離生し、褐紫色の葯が目立ちます。この変わった花の形は、花弁などが退化したのではなく、古い形がそのまま残ったのではないかといわれています。

ヤマモモ:山桃・楊梅(目立たない雌花) 

2013-04-19 19:41:33 | 植物観察1日1題

雄花

雌花

近くの公園に数本のヤマモモ:山桃・楊梅(ヤマモモ科ヤマモモ属)があり、初夏半数ほどの雌株に赤い実が枝いっぱいにつきます。誰が見ることもなくいたずらに地面に落ちて、通る人の迷惑になるばかりです。どうせ落ちるならと思って、雨で洗われた日に摘み取って果実酒にしたりしています。
もともと暖地の常緑林内に生える常緑高木で、庭木、公園、街路樹などにもよく使われています。
雌雄別株で、いま雄木は長さ2~3.5cmの黄赤色の花穂を出して、遠くからでもよく見えますが、雌木の花はよほど近づかないと見えません。雌花序の長さは約1cmで花被はなく花柱は赤色で1個、2裂し花の外に突き出ます。近づいてよく見てちゃんと雌花が咲いていることを確かめ、当たり前のことながらちょっぴり安心した気になりました。

クマシデ:熊四手(垂れ下がる花穂と果穂)

2013-04-18 11:26:55 | 植物観察1日1題
クマシデ:熊四手(カバノキ科クマシデ属)の新芽が伸びだし、花穂を垂れ下げています。
山地の谷あいなどやや湿ったところに生える落葉高木で高さは15mくらいになります。
同属の中で20~24対と最も多い側脈をもつクマシデの特徴は、この若い芽でも明瞭に見取れます。
雌雄同株で、雄花(写真)と雌花が別々の穂につき、どちらも垂れ下がります。雄花穂は長さ長さ3~5cmで雌花穂より大きくなります。
シデは四手、紙垂もしくは幣で、神前に供する玉串や注連縄などに垂れ下げるものを意味し、アカシデ、イヌシデなどクマシデの仲間の名は果穂をこの四手に見立てたものです。

ミヤマシキミ:深山樒(花と実を同時に見る)

2013-04-17 14:18:19 | 植物観察1日1題


カタクリの小塩山への道すがら、ミヤマシキミ:深山樒(ミカン科ミヤマシキミ属)の花が咲いていると思ったら、すぐそばにまだ赤い実をつけている株もありました。
厚くて光沢ある葉がモクレン科のシキミに似ているところからこの名があります。葉や実にアルカロイドをふくみ、食べると中毒を起こすというのもシキミに似ています。春先まで実が残っているのは、あまり鳥などに好まれていないのかもしれません、
山地に生える常緑の低木で、高さは0.5~1.5mになり、葉は枝先にやや輪生状に集まってつきます。
4~5月、枝先に直径5~6mmの白い小さな花が多数集まってつきます。雌雄別株で、雄花の蕊は直立して長く、雌株では雄蕊が退化してあまり目立たないそうですから、寫眞は雌花と思われます。

ハナニラ:花韮(手間いらずだが殖えて困ることも) 

2013-04-15 17:57:01 | 植物観察1日1題

この時季、公園や庭だけではなくどうかすると道端や堤防、河川敷などいたるところに咲いているのがハナニラ:花韮(ユリ科イフェイオン属)です。
6枚の花弁が星のように付く白または紫系の花です。
葉や茎にニラやネギのような香りがあるのでこの名があります。
とても丈夫な草なので、地植えにしただけでさしたる手間もかけずにすみますが、それだけにあちこち思わぬところに生えてきて、取り除くのに手間がかかる草花でもあります。

ムユウジュ:無憂樹(釈迦誕生の木)

2013-04-13 21:08:14 | 植物観察1日1題
4月8日の釈迦誕生日の花祭りは終わりましたが、植物園の温室で、釈迦誕生のとき咲いていたといわれるムユウジュ:無憂樹(マメ科サラカ属)が花咲いていました。
釈迦が悟りを開いたというインドボダイジュ(クワ科)、釈迦が入滅したところにあったサラソウジュ(フタバガキ科)とともに仏教三大聖樹(仏教三霊樹)のひとつに数えられています。
花色は黄色 - 赤橙色の房状の集合花で円錐花序につき、花弁は退化して、鮮やかな萼が花のように見えます。樹皮は薬用になり、現地では街路樹のほか、用途は街路樹のほか、材は建築や家具用に使われます。
釈迦の母摩耶夫人は本の牙を持つ白い象が胎内に入る夢を見て釈迦を懐妊したとされており、その出産の様も郷里に帰る途中に立ち寄ったルンビニーの園で無憂樹(アショーカ樹)を手折ろうと手を伸ばしたとき右脇から釈迦が生まれたとの伝説があります。

ミヤコアオイ:都葵(カタクリは復活したが・・・)

2013-04-12 15:50:56 | 植物観察1日1題

カタクリ咲く洛西小塩山のところどころにミヤコアオイ:都葵(ウマノスズクサ科カンアオイ属が特徴ある花をつけていました。
本州近畿地方以西(島根県まで)、四国西部に分布する常緑の多年草で、葉の長さは6~8㎝、基部は心形で、両側片が耳状に左右に張だすことがあります。表面に雲紋が出やすく、短毛が散生します。
花は淡紫褐色で直径2cmほど、萼筒の入り口がぎゅっとくびれているのが特徴です。
カンアオイ類は、ギフチョウの食草となるので知られていますが、最近自生地が激減しつつあり、その結果を受けて、これを食草とするギフチョウも減少し、いまでは絶滅危惧種Ⅱ類に分類されています。
小塩山では、ボランティアグループの活動によってカタクリ自生地の復元が進んでいますが、カタクリの有力な送粉者であるギフチョウのためにも、近辺の森でのミヤコアオイなどの食草も十分に復活してほしいものです。

アオイスミレ:葵菫(フタバアオイに似る葉)

2013-04-11 17:19:32 | 植物観察1日1題
小塩山のカタクリが満開と聞いて登ってきました。午前早くなら晴れというので朝早く出かけましたが、あいにく3月下旬並みという寒さで山上は僅かに5度C、カタクリは陽射しだけではなく、気温も10度C位ないと咲かないそうで、うつむいたまま寒い風に震えるカタクリを見ていました。
他に何かないかと見渡すと、ところどころにアオイスミレ:葵菫(スミレ科スミレ属)の花が僅かに咲き残っていました。
葉がフタバアオイに似ているのでこの名があり、ほかのスミレに先駆けて花を咲かせます。全体に毛が多く、葉は丸みがあり、基部はハート形、葉に隠れるようにうつむいて咲く花は、直径1.5cmくらいで、淡紫色~白色、側弁は唇弁を抱くように開き、距は上向きにはねます。

ニオイスミレ:匂い菫(匂いが売り物) 

2013-04-10 16:04:56 | 植物観察1日1題
スミレの仲間は、可憐な姿から香りもさこそと想像しがちですが、日本に自生するスミレではニオイタチツボスミレというのがあって、花にかすかな芳香があることになっているくらいで、基本的にはスミレの花には香りはないみたいです。
植物園に咲いていたスミレにニオイスミレ:匂い菫(スミレ科スミレ属)の表示がありました。学名もずばり Viola odorata です。
ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産で、花に芳香があり、香料として利用され、1トンの花殻400グラムの精油が採れるといいます。花を使った砂糖菓子は家庭でも簡単に作れるというのですが、その料理方法までは説明はありませんでした。
もちろん匂いを嗅ぐまでもなく、花だけでも十分観賞価値があります。

シデコブシ:四手辛夷(限られる自生地)

2013-04-08 18:25:57 | 植物観察1日1題
宇治市植物公園でシデコブシ:四手(幣)辛夷(モクレン科モクレン属)が咲いていました。
庭や公園によく植えられていますが、自生としては愛知県、岐阜県、三重県の限られた地域に分布する落葉小高木で、自生個体群は絶滅危惧II類に指定されています。
12~18個ある花びらを神事に使う四手(幣)に見立ててこの名があり、ヒメコブシの別名もあります。
花期は3~4月頃、ふつう白色ですがときにピンクを帯びます。園芸品種も多く、紅色の濃いものはベニコブシといって庭木などに珍重されます。
この植物公園で見たのは園芸種だったかもしれませんが、去年愛知県森林公園で見たものは、自生か自生でなくとも自生種だったと思っています。

愛知県立森林公園にて(2012年9月28日)

ヤドリギ:寄生木(花が咲いています) 

2013-04-07 08:29:26 | 植物観察1日1題
珍しく桜の木に低くついているヤドリギ:寄生木(ヤドリギ科ヤドリギ属)が花をつけていました。
ふつう寄生木は高い木についていることが多くて、まぢかに花を見るのは初めてでした。
落葉広葉樹に寄生する常緑の小低木で、枝は緑色で丸く、ふつう二股分岐を繰り返して丸まった樹形をつくります。対生する葉は長さ3~6cmの倒披針形で厚みがあります。
2~3月、枝先の葉の付け根に小さ黄色の花をふつう3個ずつ咲かせます。
宿主の落葉樹が葉を落とした冬でも青々としていて、不思議な生命力を感じさせるのか、洋の東西を問わずヤドリギを神秘的な目出度い木として見ています。
昨年12月9日の本欄でも取り上げましたが、古代イギリスの伝説風習にKissing Under The Mistletoeというのがあって、Xmasの寄生木の飾りの下では、女性は誰にでも遠慮なしにキスすることが許されるといいます。ルーツは北欧神話にあって、古代ヨーロッパでは、落葉した木に青々と茂り寄生木を春の精と考え、木の精が宿るとし、太陽復活の儀式植物になっていたそうです。そんなことから寄生木とその宿主を聖なるものと崇めていて、これがキリスト教に融合したものとされています。

万葉集でもヤドリギを寄生(ほよ)と呼んで、このように歌われています。
天平勝宝二年正月二日に、国庁にして饗を諸の郡司等に給ふ宴の歌一首
“あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄生(ほよ)取りて 
挿頭(かざし)つらくは 千年(ちとせ)寿(ほ)くとそ“ 大伴家持 巻8-4136



メラノキシロンアカシア:ブラックウッド (葉の変化が面白い)

2013-04-06 09:45:36 | 植物観察1日1題


宇治植物公園でほのかな芳香が流れていました。
メラノキシロンアカシア:acacia melanoxylon (マメ科アカシア属)です。
オーストラリア原産、高さ30mほどになる常緑高木で、春咲く淡黄色の花には芳香がります。
この木の特徴は葉の形に変化があることです。
幼苗やひこばえなどの枝には、マメ科植物でよく見られる羽状複葉が出ますが、やがて一枚の被針形の葉を形成するようになります。このナギの葉に似た単葉に見えるものは、実は葉柄で、複葉の部分が消えて、葉柄の幅が広くなり葉の形になったものと考えられています。このことによってこの木は、乾燥に耐える体になったものと思われます。
黒褐色を帯びた良材が得られ、建築材などに利用されるので、ブラックウッドとも呼ばれます。
本種によく似た木に相思樹:タイワンアカシア(Acacia confusa)があります。名前がよいので各地の公園などで人気がありますが、相思樹ではなくてこのメラノキシロンアカシアであることが多いという話もあります。葉の形の変化は両者共通ですが、花色はメラノキシロンアカシアは淡い黄白色なのに対して相思樹は黄色が勝つところが異なります

シイモチ:椎黐(シイの葉に似る)

2013-04-05 14:56:53 | 植物観察1日1題

植物園で見たシイモチ:椎黐(モチノキ科モチノキ属)です。葉脇のごく短い短枝に小さい蕾が固まってついています。雌雄別株で花は黄緑色、果実は直径約6㎜の赤色に熟すそうです。
本州(山口)、四国(愛媛)、九州などに分布する常緑の小高木で、珍しい樹木に入るといいます。
シイモチの名は、葉がスダジイの葉に似てモチノキの仲間ということで至極わかりやすい名であり、見ればその通りです。

モクマオウ:(松の葉に見えるのは枝) 

2013-04-04 17:47:07 | 植物観察1日1題
大阪市立大学植物園にあるモクマオウ(モクマオウ科)が、実をつけています。
モクマオウ属はオーストラリアを中心に東南アジア、ポリネシアなどに多くの品種が知られ、ここのモクマオウはカニンガムモクマオウといわれるものだそうです。
外観がマツに似ているためオガサハラマツの名もありますが、マツとは全く縁遠い植物で、葉のように見えるのは実は枝で、トクサのような節があり、葉状枝と呼ばれるものです。
雌雄異株で、集合果は球形で翼果となっています。枝先の方に蕾のようなものが見えますが、これだけではどんな花が咲くのかイメージし難い感じです。
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サルトリイバラ:猿捕茨(巻きひげはどこから?) 

2013-04-03 08:56:32 | 植物観察1日1題


サルトリイバラ:猿捕茨(ユリ科シオデ属)が、赤みを帯びたあさい黄色の新芽を出し、早くも膨らみかけた花序が見えています。
鋭いトゲに猿が引っかかるということでこの名がありますが、トゲだけではなく、葉柄の巻きひげでも他物にまきついて蔓をのばします。そしてこのトゲは表皮が変化したものとされていまが、つるは写真で明らかなように、托葉が変化したものとされています。
サルトリイバラはサンキライ:山帰来と呼ばれることがあります。中国で、病(梅毒説もある)に罹った人が山に入り、この根を食べて元気になって帰って来たという話からきているそうですが、牧野博士によると中国の山帰来はトゲがないので、日本のサルトリイバラをサンキライと呼ぶのは誤りとしています。
関西から西の方では、柏餅のカシワの代わりに、丸くて滑らかな表面をもつサルトリイバラの葉2枚でお餅をはさんで蒸しあげます。ほのかな香りがあって、カシワの葉よりも優れていると思いますが、どういうわけか田舎ではサルトリイバラで包んだ餅も柏餅といっていました。
ガンタチイバラ、カカラなどの別名があります。