新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

スギ:杉(有用樹変じて迷惑樹に)

2009-03-30 06:54:53 | 植物観察1日1題

人工林では最大の面積を占めるスギ:杉(スギ科スギ属)は、建築材として重要な樹種の一つであり、樹皮は社寺の屋根に使われたり、葉は線香に、酒樽や杉玉として酒造業にもかかわりが深いなど古来重用されてきましたが、最近は花粉症の元凶として、早春に煙のように花粉を撒き散らす画像が繰り返し放映されたりして、すっかり悪役となってしまいました。
雌雄同株で、雄花は淡黄褐色で枝先に多数つき、雌花は緑色で直径2~3cmの球形で枝先に1個ずつつきます。
最近花粉の少ない品種が開発されたと聞きますが、それに切り替わるのはいつのことやらわかりません。スギ花粉の季節は終わり、今ははヒノキ花粉です。花粉症の悩みはまだまだ続きそうです。

ハナイカダ:花筏(冬芽に潜む蕾)

2009-03-29 08:06:34 | 植物観察1日1題

散った桜の花びらが、水面に連なって流れるのを筏に見立てこの名があるというというハナイカダ:花筏(ミズキ科ハナイカダ属)はいかにも優雅な言葉です。
そっと開いてみると、驚いたことにもうしっかりした花芽が幼い葉芽にちゃんと乗かかってみえていました。
花時には葉の主脈の中央部分に直接花がつく形になりますが、(06年5月25日記事)冬芽の中の花芽には花柄のようなものが見えます。成長するにつれてこの部分が退化してゆくものとおもわれます。なにやらこの花の進化の過程を物語っているようでもあります。

ムラサキサギゴケ:紫鷺苔(捉えた花粉は離さない)

2009-03-28 13:52:20 | 植物観察1日1題


ムラサキサギゴケ:紫鷺苔(ゴマノハグサ科サギゴケ属)は、湿り気の多い土地に成育し、匍匐性のランナー(走出枝)を伸ばして横に広がります。
春4~5月ごろ淡紫色、淡紅色の唇弁花をつけます。白花もありこれがサギゴケで、鷺が舞う姿に似るとしてサギ、コケのように横へ広がるのでコケと名づけられたといいます。花が紫なのがこのムラサキサギゴケで、こちらのほうがよく見かけます。
観察をはじめたころ、河川敷に群生する見事な紫鷺苔を記事にしました。(05年4月16日記事)
(05年4月16日記事このところ取り上げる品種も2度目、3度目となり、いきおい見るところも細かいところに注意が行きます。
上唇弁のすぐ下に丸く口尾を開いた雌しべの柱頭があります。ペン先などでこれにそっと触れると、見る間にきりりと口を結びます。
花粉をつけたハナバチなどが柱頭に触れたとたんに柱頭が閉じて、もらった花粉をしっかり受け止める仕掛けです。
田んぼのあぜで這い蹲って苦労して写真を撮っていて、通る人に変な顔をされてしまいました。


アオイスミレ:葵菫(春一番乗りのスミレ)

2009-03-26 07:52:56 | 植物観察1日1題

早春、スミレの中で先頭を切って花を咲かせるのはアオイスミレ:葵菫です。
葉がフタバアオイに似ているというのでこの名があります。全体に毛が多く、葉は丸みがあり基部はハート形になります。
花は直径1.5cmほどで淡紫色~白色、側弁は唇弁を抱くような形に開き、花柱の先が曲がるのが特徴です。距はでこぼこが多くて後部が太くぴんと跳ねます。
花のあと送出枝を伸ばし、新しい株を盛んにつくります。

スミレの花の構造 (隠してじらすは何故?)

2009-03-24 07:08:35 | 植物観察1日1題

スミレはだれでも知っている花ですが、アップで見ると「構造はかなりユニークだ。雄しべの葯の先には黄褐色の膜が5枚重なりあって雌しべを取り囲んでいる。葯は初期に花粉をロウト状の膜に花粉を出してしまう。ハチは距の中にある蜜を吸おうとして、雄しべと雌しべの下に口を伸ばすと、召し絵母船単位口が触れロウトに隙間ができて花粉が頭の上にこぼれ落ちてくる。」と本にあるとおりなかなか複雑です。
スミレの種の大半は閉鎖花生産されるといいます。ここまでややこしくして、送粉者を招くにはどれだけの意味があるのかなどと考えてしまいます


スズシロソウ:蘿蔔草(確かにX形)

2009-03-22 07:43:01 | 植物観察1日1題

早春、まだほとんど草花も開かない道端にスズシロソウ:蘿蔔草(アブラナ科ヤマハタザオ属)の花が咲いています。
山地の谷川付近や岩上などにはえる多年草で、花のつく茎は直立し、花のおわりころ根元から長い匍匐枝を出し粗い鋸歯のある葉を互生します。
花は早春、総状花序に白色の4弁花を開きます。和名はこの花がダイコンの花に似ていることからきています。
ジュウジバナ・十字花ともいわれる、アブラナ科の花は、花の形は正しくは十字ではなくX形と聞きました。しかし多くは十字形かX形か判然としません。
しかしこのスズシロソウを見ると、確かに十字よりX、それも幅がつづまったXということがよく分かります。

カブ:蕪(花は黄色)

2009-03-21 07:08:45 | 植物観察1日1題

近所の畠の縁に、抜き捨てられた何種類かの野菜がしぶとく花を咲かせていました。
ダイコンの花は紫がかった白い花なのに、ダイコンに近いと思ったカブ:蕪(アブラナ科)の花は意外にも黄色でした。ハクサイもミズナも黄色です。
名前は不明ですが菜の花用に栽培されたのではないかと思われる、縮れた花弁の花もありました。
菜の花の系統は総状花序となっていて、下から順に咲き上がり、ひとつの花序に蕾、花、果実がついて、蕾から花、花から果実までどのように進むのかを一度に観察できます。
このことから「ナノハナの花序には時間が詰まっている」といわれます。

ナノハナ:菜の花(4強雄しべ)

2009-03-20 07:33:19 | 植物観察1日1題

“菜の花畠に入日薄れ・・・”童謡でおなじみの菜の花ですが、ナノハナという品種はなく、広義ではアブラナ、カブ、コマツナ、ハクサイなど黄色い花をつけるアブラナ科の仲間を指し、狭義ではその中で観賞用として早咲き、切花用などとして改良された園芸品種をさすことが多いようです。
アブラナ科の花は、花弁が4個十字形につくので十字形花といわれ、かつてはアブラナ科をジュウジバナ科と呼んでいました。花の基数は2の倍数の2数性で、花弁が4枚、萼片4枚、雄しべは6本あり、うち4本が長い4強(4長)雄しべとなっています。

フラサバソウ(毛むくじゃらで外人名)

2009-03-18 06:56:41 | 植物観察1日1題

フラサバソウ(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)がごく小さい花をつけています。
この変わった名前の草は、フランスの植物学者フランシェとサヴァティエが日本植物目録(1875年)に長崎で採集したと記録があり、長い間実物が見つからず記録の誤りとされたこともありましたが、1937年に長崎で採集された標本が見つかり、2人の名をとってフラサバ草と命名されたといういわくがあります。
どこにでもあるオオイヌノフグリの仲間ですが、必ずしも珍しい草でもなさそうで、探せば見つけることもできます。
淡青紫色の花は直径3~4mmと小さく、萼の縁や葉に長い毛があるのが特徴です。
毛むくじゃらとバタ臭い名前、まるで外来種そのものですが、外来種には含まれていないようです。

ユキヤナギ:雪柳(柳に水と受け流す)

2009-03-17 06:57:44 | 植物観察1日1題

クアップローズで花を見ると、意外な顔であることに驚くことがありますが、可憐さが失せることもあります。
早春、一面雪をかぶったように白い小花をつけるユキヤナギ:雪柳(バラ科シモツケ属)もそんな花です。
別名コゴメバナともいわれる小さい花も、近づいて見るとはっきりした5弁で、間違いなくバラ科の花です。
本来は、川岸の岩場や岩礫地に生える落葉小低木で、増水した濁流に水没しても、幹や枝が折れないように、細くてしなやかなつくりになっています。庭や公園などに広く植栽され、時には野外に逸出して自生となっています。

セントウソウ:仙洞草(分からない名前の由来)

2009-03-15 07:37:34 | 植物観察1日1題

雨の中、伊吹山麓にもうセントウソウ:仙洞草(セリ科セントウソウ属)が咲いていました。
わが国に広く分布する多年草で、2~3回3出羽状複葉の葉は全体に柔らかい感じがします。花は早春、葉の間から長さ10cmほどの茎を出し、その先に数個の白く小さい花をつけます。
写真はすこしピンボケですが、一見白い点に見えるこの花も、よく見れば、曲がった花びら、花弁より長く突き出る薄紅色の葯などちゃんと花の形をしていました。
別名のオウレンダマシは葉がキンポウゲ科のオウレンに似ていることからつきましたが、本名のセントウソウ:仙洞草の名前の由来は分かっていないそうです。

スハマソウ:洲浜草(今年は早いユキワリソウ)

2009-03-13 20:52:22 | 植物観察1日1題

伊吹山山麓へセツブンソウを見に行きました。ことしは暖冬で積雪もすくなくかったせいか、去年、一昨年と同じ時期だったのに、花はほとんど終わっていました。その代わり以前この時期には見えなかったスハマソウ:州浜草(キンポウゲ科ミスミソウ属)が真っ白な花をつけていました。
ユキワリソウ(雪割草)ともいわれる山野の樹林内に生える多年草で、葉には長い柄があり、葉身は3浅裂し、基部は心形になります。葉の先端が尖るのをミスミソウ(三角草)といいますが、
中間形が多く区別は難しいといいます。
花は茎頭に1個つき、直径1~1.5cm、花弁状の萼片が6~10個、雄しべ雌しべは多数つきます。
花弁、花色ともに変化が多く、太平洋側ではおもに白色、日本海側にはさまざまな花色や大型のものが見られるそうです。
多彩な園芸種があって、愛好家も多い花です。

ホトケノザ:仏の座(仏様も省エネ)

2009-03-10 18:12:06 | 植物観察1日1題

道端にごく普通に見られるホトケノザ:仏の座(シソ科オドリコソウ属」は、世界各地の温帯地方に広く分布する小型の越年草です。
筒状の紅紫色の花を仏様に見立て、葉柄のない半円形の対生葉を蓮の台と見てこの名がついたといわれます。
春の七草にかぞえられるホトケノザは本種ではなく、菊科のタビラコ(田平子)のことだというのはよく知られています。
3~6月、紅紫色の細長い唇形花を数個ずつ輪生します。やや少し濃い色のつぼみのように見えるのは閉鎖花で、開花することなく自家受粉で種子を作ります。閉鎖花の方が開放花よりずっと多いそうで、開放花で遺伝的劣性を防ぎ、閉鎖花で省エネを図りながら子孫を増やす二刀流の戦略です。
葉が段々につくことから三蓋草、三階草、ほかに仏のつづれ、宝蓋草などの別名があります。

ネコヤナギ:猫柳(春の日を浴びて)

2009-03-08 06:27:20 | 植物観察1日1題

水辺のネコヤナギの雄花序が白い綿毛の中から紅色の葯を出しています。
日本各地および朝鮮、中国に分布し、おもに日当たりのよい川辺にはえる雌雄異株の落葉低木で、やわらかい花穂を猫や犬の尻尾に見立てて、コニャンニャン、コロコロ、チンコロなどのかわいい地方名があり、日本だけではなく、英名でもプッシーとかプッシーウィロウなどと呼ばれているそうです。芽の芽鱗(表皮)は1枚で合わせ目がなく、花穂が出た後もしばらく先に残ります。
花の南面部が膨張し先端が北を向くので、コンパス・プラント、方向指示植物、磁石の木などともいわれます。

オガタマノキ:招霊の木(一円玉の意匠)

2009-03-05 19:58:31 | 植物観察1日1題
<cener>
神社の境内にオガタマノキ:招霊の木(モクレン科オガタマノキ属)が、白い花をつけています。
和名は枝を神前に供えて神霊を招くということからきており、神に捧げるサカキの本物はこの木だという説もあるくらいで、神社の境内によく植えられています。
高さ15m以上にもなる常緑高木で、早春径3cmほどの香りのよい小花を葉腋に1個つけます。
この時期、高木で花らしい花?をつけるのは珍しく、いつも見逃してばかりで、ちゃんと写真を撮れたのはこれが初めてです。
この木が、一円アルミ貨のデザインに使われていることはあまり知られていませんが、よく見てもこれがオガタマノキとは判然としないので無理からぬことといえそうです。