新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ツリバナ:吊花(花も見てください)

2011-05-30 20:18:06 | 植物観察1日1題

植物を季節で分けている図鑑では、多くは花の季節に載っていますが、中には花より果実で知られているものは、当然ですが、実りの時期に載せられています。
ハナという名がついているツリバナ:吊花(ニシキギ科ニシキギ属)もそんなひとつです。日本各地に分布する落葉低木ないし小高木で、枝は緑紫色を呈します。
花は初夏、葉脇から集散花序をだし、まばらに径7㎜程の緑白色~淡紫色の花をつけます。長さ5~15㎝ほどの細い柄があり、花盤が発達します。花弁、萼片は5個、雌蕊は1個です。
5つに割れて、朱赤色に包まれた種子が顔を出す果実(05年11月16日記事)ほどは目立ちませんが、ツリバナの花もつつましやかな美しさがあります。

ニオイバンマツリ:匂蛮茉莉(昨日今日明日) 

2011-05-28 16:56:27 | 植物観察1日1題

冬の間すっかり葉を落として、もうだめかとも思っていたニオイバンマツリ:匂蕃茉莉(ナス科バンマツリ属)が、若葉が伸びだしたとたん花をつけてよい香りを放っています。
中米、南米、西インド諸島原産の、半耐寒性の低木で、明治末期に渡来し、観賞用に栽培されています。強い芳香があることから、ジャスミンの代表種のマツリカ(モクセイ科)(5月22日記事)になぞらえて、“蕃”、西洋から来た茉莉の名がついています。
面白いのは花色の変化で、初めの紫がだんだん淡くなり、数日後には白に変化し、一見咲き分けているように見えます。
このことから別名は、“きのうきょうあした”、英名もズバリyesterday-today-and-tomorrowです。

ギョウジャニンニク:行者忍辱(修行の助けか、妨げか)

2011-05-27 08:41:05 | 植物観察1日1題

いつぞや礼文島の笹原のあちこちで山菜取りの人を見かけ、何をとっているのかと尋ねるとギョウジャニンニク:行者忍辱(ユリ科ネギ属)とのことでした。少し葉を食べてみると強烈な臭いでした。
近畿以北の本州の日本海側、北海道に多く分布する多年草で、強い臭いがあり、行者がニンニク代わりに食べたというのでこの名があります。
春、若芽を採り、そのまま味噌をつけて生食、ゆでておひたしや和え物に、鱗茎は刻んで味噌和えやてんぷら、炒めものと北国の人々には欠かせない山菜となっているそうです。
6~7月、高さ50~60㎝にのびた花茎の先に白い小さな花を多数球状につけます。この蕾と花茎も食用にされます。
“葷酒山門に入るを許さず”の葷はネギ、ニラなどの臭気の強い野菜のことで、不浄なもの、心を乱すものとして、修行者は近づけてはいけないとの意味だそうですが、ニンニクの代わりにギョウジャニンニクを食べた行者は、精がついて修業がはかどったのか、はたまた修行の妨げとなったのかどちらだったのでしょうか。
図鑑では、和名を行者大蒜と書いたのと行者忍辱としたのがありました。ちなみに“忍辱”は六波羅密の一つで、侮辱、迫害を忍受して恨まないことだそうですから、“行者忍辱”を食べた行者は、たぶん他人の非難に耐えてでも、精のつくこの食材を好んだのでしょう。

アサツキ:浅葱(観賞に耐える野菜)

2011-05-26 10:54:17 | 植物観察1日1題

畑の片隅に丸い紫色の花をつけているものを見かけました。
園芸種の花かと思って近づいてみると、アサツキ:浅葱(ユリ科ネギ属)でした。
小さな紅紫色の小花が丸く集まった姿は、花としても結構観賞に耐えるものです。
ユーラシア大陸原産で、日本各地に自生し、野菜として栽培もされる多年草で、地上部は1年生、長さ1~2cmの鱗茎があり、いずれも食用にされます。
花は6~7月、俗にネギ坊主といわれる密集した散形花序に開きます。花序は紫色の膜質の総苞に包まれ、のち開いて、紅紫色の小花を開きます。花被片は卵状披針形で先が鋭くとがり、雄蕊6個は内部にとどまって目立ちません。
和名の浅ツ葱(アサツキ)は葉色がネギより浅い緑という意味で、浅黄色(浅葱色)の言葉はここからきています。

コトネアスター (植え込みにひそかに咲く)  5月24日

2011-05-24 10:22:27 | 植物観察1日1題


道路沿いの植え込みに、白い小さな花が見えました。コトネアスター(バラ科コトネアスター属またはシャリントウ属)です。
コトネアスターはヨーロッパ、アジアに広く分布する低木で、約80種あるといわれるものの総称で、写真はこの中のダンメリといわれているもののようです。
この仲間は低木で横に広がり、秋に熟す赤い果実が美しいので最近植込みやグランドカバーによく使われています。http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20070510
匍匐性が強く、秋枝一面に赤い実をつけるベニシタン(horizontalis種)(07年5月10日記事)や、赤い果柄で垂れ下がるように実をつけるオータムファイヤーなども知られています。
案外覚えやすいこの名前のコトネはラテン語でマルメロ(セイヨウカリンとも呼ばれるバラ科の落葉高木で、果実が甘酸っぱくて香気があり、砂糖漬けなどにされる)、アスターは似て非なるものという意味だそうです。

フタリシズカ:二人静(三人なら?)

2011-05-23 08:45:39 | 植物観察1日1題
道端にフタリシズカ:二人静(センリョウ科センリョウ属)が花をつけています。
山野の林内に生える多年草で高さは30~60㎝になります。
どちらもセンリョウ科に属しますが、ヒトリシズカの花(07年4月9日記事)、センリョウとよく似た花で、葉が出かけの時に、白い糸状の雄蕊を3個水平にのばすのに対し、フタリシズカは、
成葉になって花が咲き、その花も白い3個の雄蕊が丸まって子房を抱く形になります。
葉も、ヒトリシズカが茎先の2対の葉が十字対生につきますが、基部が接近しているので4枚輪生のように見えるのに対し、フタリシズカは、2対の葉の基部が少しずれてつくので輪生とは見えません。またヒトリシズカの葉は暗緑色なのに対して、フタリシズカは葉に光沢がありません。
花穂が1個のものが多いヒトリシズカに対して、こちらは2個のものが多いのでフタリシズカの名がありますが、1個から5個ほどつけるのもあります。
3個以上ついていたら“静か”ではなく“姦しい”とでもいうのでしょうか。

マツリカ:茉莉花(ジャスミンティーの素)

2011-05-22 08:13:32 | 植物観察1日1題


強烈な香りのハゴロモジャスミンを取り上げた翌日、見学した薬科大学の薬用植物園で、ジャスミンの代表種マツリカ:茉莉花(モクセイ科)が白い花をつけていました。近づくと上品な芳香が漂ってきました。
インド、アラビア原産の常緑低木で、熱帯や亜熱帯では最もポピュラーなジャスミンでいろいろな用途に用いられています。
夏に枝先に白色で径約2㎝の花をつけます。花冠裂片は円形または長楕円形で5~9枚で八重咲もあります。またフィリッピンでは、サンバギターと呼ばれ国花となっています。葉を摘むと1週間ほどで白から褐色に変わりますが、香りは残ります。花がいたみやすい熱帯地方で、いたんだり枯れてもなお香りを漂わすこの花の人気があるのもうなづけます。
マツリカの日本でも知られている利用は中国料理で出されるジャスミンティーです。ウーロン茶に乾燥した花びらが入っていて、湯を注ぐとジャスミンの香りがひろがります。
モウリンカ(毛輪花)、アラビアンジャスミンなどの名もあります。

ハゴロモジャスミン:羽衣ジャスミン(日本ではジャスミンの代表)

2011-05-19 20:46:18 | 植物観察1日1題

隣家の塀から垂れ下がった蔓に白い花が咲き、強い芳香を放っています。
ハゴロモジャスミン:羽衣ジャスミン(モクセイ科ソケイ属)は、中国雲南省原産のつる性の常緑低木で、栽培が容易なことから庭や植木鉢によく植えられることから、単にジャスミンと呼ばれることもありますが、本来ジャスミンとはモクセイ科ジャスナム(ソケイ)に属する200種以上の総称で、熱帯・亜熱帯に産し、葉は複葉、黄・白などの筒状花を開き、特有の佳香があるもので、オウバイ、ソケイ、マツリカなどが含まれます。
中国料理でおなじみのジャスミンティーは、緑茶などにジャスミンの1種のマツリカ(茉莉花)の花を混ぜて香りをつけたもので、それほど高級茶ではないとされています。
本当は縁遠いのに、わずかな特徴が共通するためにひとくくりにされる植物群があります。ジャスミンもその一つで、カロライナジャスミン(5月8日記事)はフジウツギ科、マダガスカルジャスミンはガガイモ科、ときどきジャスミンに混同されるニオイバンマツリ(匂蕃
茉莉)はナス科です。2010年から11年にかけて、チュニジアで一青年の焼身自殺事件に端を発した民主化運動が、長期独裁政権を倒すという事件が起き、それがエジプトやリビアなどに波及したことは世界的なニュースでした。発端になったチュジニアでの運動は、ネット世界でジャスミン革命と名付けられました。ジャスミンがチュニジアの国花だったからです。

シャクヤク:芍薬(花を咲かすは肥次第)5月17日

2011-05-17 13:48:58 | 植物観察1日1題

わが庭に20年ほども植わっていて、枯れもしないが、滅多に花をつずつけても一つだけだったシャクヤク:芍薬(ボタン科ボタン属)が、今年はなんと1株に9個もみごとな花をつけました。芍薬は根が広がらず肥食いなので、株の真上からたっぷり肥料をやれといわれてこの2年ほど実行したからに違いありません。
中国北部からシベリア南部にかけて分布する多年草で、高さ60~80㎝になり、紡錘形に肥大した塊根から数本の茎を直立し、茎頭と上部の葉脇に直径10㎝内外、花弁数は10個ぐらいで、ふつう白色または淡紅色、雄蕊の多くは黄色の一重咲きの花をつけます。
我が国へは古くから渡来し、もともとは根を薬用にするために栽培され、のち園芸植物として発展し、変化に富んだ花形、豊富な花色があって、広く観賞されます。
立てば芍薬…と美人の形容に使われる芍薬ですが、豪華な園芸種よりも、原種に近いと思われる一重,薄紅の質素な我が家のシャクヤクを気に入っています。花が終わったらたっぷりとお礼肥えをやるつもりです。

クサノオウ:草の黄・瘡の王(鏡花に見せたかった)

2011-05-16 08:53:48 | 植物観察1日1題

山里の土手一面に黄色い花が咲いていました。近づいてみるとクサノオウ:草の黄・瘡の王(ケシ科クサノオウ属)でした。
草地や林縁に生える越年草で、高さは30~80㎝、茎は中空で、茎や葉に縮れた毛が多く、葉は互生で羽状に深く切れ込みます。5~7月、枝先に直径約2㎝の黄色の花を数個つけます。
クサノオウという和名は,茎や葉を傷つけると黄色い乳液が出るために「草の黄」だとも,また,皮膚病の一種である丹毒(瘡・くさまたはかさ)に効果があるので「瘡の王」がなまったとも言われています.本種の乳液はアヘンと似た作用を持つアルカロイドを含んでいて、開花期に全草を天日乾燥したものを漢方で白屈菜といい、鎮痛、鎮静、湿疹などの薬効があるとされます。
作家の泉鏡花は,明治36年に書いた「白屈菜記」で、胃がんで苦しむ師・尾崎紅葉のためにクサノオウを探し回ったことを詳しく語っているそうです。
鏡花がこの土手のクサノオウの群落を見たらさぞかし喜んだことでしょう。



ツクバキンモンソウ:筑波金紋草(不思議な名前)

2011-05-14 16:05:38 | 植物観察1日1題

枚方市東部の山里の路傍でツクバキンモンソウ:筑波金紋草(シソ科キランソウ属)のちょっとした群落にであいました。ニシキゴロモ(09年5月9日記事)の変種で、ニシキゴロモが主に日本海側に生えるのに対し、ツクバキンモンソウは太平洋側に多く、葉脈がはっきりと濃い紫色になり、葉裏は全体に紫色になります。
花色は白~7淡紅紫色で、花冠の上唇が1㎜ほどとごく短いのが特徴で、雄しべがむき出しになっています。
この変わった名前の由来が気になりますが、調べてもわかりませんでした。

アカヤシオ:赤八染(御在所岳を染める)5月12日

2011-05-12 09:08:46 | 植物観察1日1題



御在所岳へアカヤシオ:赤八染(ツツジ科ツツジ属)を訪ねました。
10年ほど前に中禅寺湖近くの明智平でみたアカヤシオの印象が長く記憶に残っていて、それがゴールデンウイークの鈴鹿山系で見られると聞いて出かけたのです。
アカギツツジともいわれ、山地の岩場などに生える落葉低木でよく枝分かれし、高さは2~5mになります。4~5月葉の出る前、直径4.5~6㎝の広い漏斗状の淡紅紫色の花をやや下向きにつけます。花弁はミツバツツジなどに比べると丸みがあり、花柄には長い腺毛がまばらにあり、花糸の下部に白い毛が密生します。
芽吹き前の落葉樹林をバックに、あちこちにちりばめられたアカヤシオのピンクが霧の中に浮かび上がって、夢の世界を現出していました。
(5月11日の”むかごの高槻“も御覧ください。)

コクサギ:小臭木(花にも臭気) 

2011-05-11 11:52:01 | 植物観察1日1題


この数日なんとなくいい匂いのある植物を取り上げることになっていますが、今日のコクサギ(ミカン科コクサギ属)は木のなかでもよくない匂いの代表種でしょう。
枝や葉をもむと特有の臭気があるのでこの名がありますが、今咲いている黄緑色の花も同じ臭気をあたりに流しています。
雌雄別株で雄花は穂になってつき、雌花は1個ずつつきます。雌花の子房は緑色で、4個の心皮はなかば合着し、柱頭は4裂します。このかたちがコクサギの独特の果実(09年1月18日記事)に形成につながっています。

サンショウ:山椒(雄花も有用)

2011-05-09 18:24:29 | 植物観察1日1題

旬の盛りの筍料理に欠かせないのが単に木の芽ともいわれるサンショウ:山椒(ミカン科サンショウ属)の新芽です。
里近い山道を歩いていると、野鳥が種を運んできたのか、野生のサンショウが結構目につきます。
栽培されるサンショウは多くは実山椒を採るためですから雌株が主ですが、野生はたいてい雄株です。しかし雄の花も花山椒といわれて、実山椒とともに京料理や佃煮に欠かせない香辛料となっています。
葉は互生し、長さ15~18㎝の奇数羽状複葉で、小葉は5~9対の卵状の長楕円形、先端は鈍く、縁には波状の鋸歯があり、へこんだ部分に明るい腺点があり、裏面にも油点が少しあります。雌雄異株で、初夏、枝先に小さな黄緑色の小花をつけます。
写真は雄花で、花被片より長い雄蕊が目立ちます。
古名のハジカミは、辛くて顔をしかめる様子とか、ハジは果実がはじけることを、カミはニラの古名で辛味をあらわすからなどといわれています。

カロライナジャスミン(毒性にご注意)

2011-05-08 14:39:10 | 植物観察1日1題

隣家の塀から垂れ下がったカロライナジャスミン(マチン科ゲルセミウム属)に、黄色いラッパ状の花がたくさんついています。
北米南部からグァテマラあたりの原産で、名の通りサウスカロライナ州の州花となっています。丈夫で育てやすく、よく目立つ花をたくさんつけるので、最近あちこちで見られるようになっています。イエロージャスミン、イブニングトランペット、トランペットフラワー、カロリナソケイ、ニセジャスミンなどの別名があります。
つる性でいい香りがすることからジャスミンの名がついているのかもしれませんが、ジャスミンティーにされるモクセイ科ソケイ属のジャスミンとは全く異なる種で、かなり強い毒性を持っているので、間違ってもジャスミンティーのような用い方をしてはいけません。