新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ハクサンボク:白山木(白山ではなく海岸に多い)

2013-02-27 14:05:27 | 植物観察1日1題

佐世保、九十九島を見渡せる海岸沿いの灌木のあいだに、つややかな常緑の葉で花芽が開き始めた木を見かけました。
庭木によく植えられているハクサンボク:白山木(スイカズラ科ガマズミ属)のようです。庭木としてはおなじみですが、自生のこの木を見るのは初めてです。
石川県のハクサンに産すると誤認してこの名があるといますが、図鑑によると沿岸地の海岸林に多いとあり、納得できました。

ネジキ:捻木(美芽はマッスでも)

2013-02-25 08:39:34 | 植物観察1日1題
木々の芽が動き始めた早春の雲仙温泉、白い湯けむりが噴き出す雲仙地獄周辺は厳しい環境のせいか、生育するおおくが中低木で樹種も限られているようでした。
中でも目立ったのは赤い冬芽を膨らましたネジキ:捻木(ツツジ科ネジキ属)です。
ネジキの冬芽は、赤色の一年枝につき、卵形で長さ5~7mm、牙鱗は2枚向き合い、枝と同様に光沢ある赤色です。葉痕は2列互生して半円形、維管束痕は1個です。
誰がいい始めたのかわかりませんが、サイフリボク(‘12年2月21日記事)、コクサギ('12年2月22日記事)と共に3大美芽の一つにされている光沢ある赤色の新枝と冬芽は、ヌリバシ(塗箸)、アカギ(赤木)、アカンボウ(赤ん坊?)など呼ばれ、生花の花材にもなります。近づいて見る赤い冬芽はもちろんですが、マッスで見る伸びた赤い枝先も、春の訪れを感じさせて柔らかな美しさです。

名のとおり幹は捩れてよく分枝します。5~6月葉脇から長さ4~6cmの総状花序を出し米粒のような白い花を多数下向きにつけます(06年6月19日記事)。カシオシミ(貸し惜しみ)という変わった別名がありますが、由来はわかりません。
きれいな色ですが枝葉ともに有毒といいます。



コーヒーノキ:コーヒーの木(利用されない甘い果実)2月18日

2013-02-18 10:55:09 | 植物観察1日1題
植物園の温室にコーヒーノキ:コーヒーの木が赤い実を熟していました。
アカネ科コーヒーノキ属の属する植物の総称で、主に栽培種のアラビカコーヒーノキとロブスタコーヒーノキなどを指し、また多数の野生種がアフリカ大陸西部~中部からマダガスカル島と周辺諸島にかけて分布しています。
光沢を帯びた葉の常緑で、ジャスミンに似た香りの白い花を咲かせ、コーヒーチェリ―と呼ばれる鮮やかな赤~紫または黄色の実をつけます。
熟した果実は甘くて食べられますがほとんど利用されることはなく、もっぱら果実の中に向い合せに2個入っている種子がコーヒー豆として利用されます。
30何年前、古くからの臨海工業地帯の会社に勤めていて、銀行から出向してきた方が、近所に喫茶店がないと嘆くのを不思議に思いました。世の中が変わりその会社でもコーヒーのサーバーが設けられたりして、いつの間にか自分もコーヒーのない生活は考えられないようになっていました。
どうやらコーヒーの普及は経済発展と民度の向上に連動するもののようです。

コウヤボウキ:高野箒(高野山より古い箒の材料)

2013-02-16 10:11:54 | 植物観察1日1題
山道をあるいているとコウヤボウキ:高野箒(キク科コウヤボウキ属)の果実がまだ風に飛ばされずに残っていました。
コウヤボウキ:高野箒)は、山中の雑木林などの半日陰に普通にはえる草本状の落葉小低木で、やや木質の草本とする扱いもされています。
晩秋、短い1年枝の先に1個ずつつく頭花は、うすい紅色またはほとんど白色で、総苞の長さ13~14mmで短筒形、中には10数個の小筒状花があります。(‘05年11月12日記事)
コウヤボウキの名の由来に、弘法大師が、果物と竹(筍)は美味しすぎるので、修行の妨げになると高野山で植えることを禁じたので竹箒の代わりにコウヤボウキで箒を作ったとか、高野に参詣する人を食う大蛇がいたので大師が怒り竹箒の中に閉じ込めてしまった、それ以来高野では竹箒を使わずコウヤボウキで代用したなどの話がありますが、あまりにも嘘っぽく信じられません。
古い言葉にある玉箒(たまはばき)は、一般にコウヤボウキを指すものとされています。
いつぞや正倉院御物展で、蚕室を履くのに使われたという、コウヤボウキを束ねて箒にし、ガラスや真珠などをつけた「子日目利箒」(ねのひのめどきほうき)という銘の玉箒を見たことがあります。
万葉の昔、正月の初子(はつね)の日に、この玉箒で蚕室を掃く儀式がありました。
「初春の初子(はつね)の今日の玉箒(たまばはき)
   手に取るからに揺らく玉の緒 」   巻20-4493 大伴家持
は、天平宝字2年(758)初子の日に孝謙天皇から廷臣に「玉箒」を下賜され、詔旨に応えた大伴家持が詠んだとされています。
高野山の麓に近い私の郷里では実際にコウヤボウキで箒を作っていましたが、万葉の昔から箒に使われてきたコウヤボウキの名が、弘法大師伝説に由来するというのには少々無理がありそうです。

ゴボウ:牛蒡(今も残る果実)

2013-02-14 18:12:28 | 植物観察1日1題
久し振りの陽気に誘われて、散歩のあしを少しのばして歩いていると、道端の畑の片隅に棘っぽい花殻のような枯草を見かけました。いつぞや同じ場所で花時にこのような植物を見たことがあると思いだし、(’08年7月25日記事)畑仕事をしている婦人にたずねると、思ったとおりゴボウ:牛蒡(キク科ゴボウ属)ですとの返事が返ってきました。なんでも収穫時に残った株を畑の片隅に植えたのが毎年芽をだし花をつけるということでした。ふつうゴボウは長い根を伸ばすために、高い畝をつくって栽培するのですが、たまたま残り株を平地に植えたため掘ることもできず、そのまま何年も残ったのでしょう。
手に取って割ってみると、中にはたくさん種が詰まっていました。冠毛で飛んでゆくでもなく、刺で引っかかるでもなくて、この時季まで枯れた茎にくっついていて、どういう風に種子散布をするつもりかと少し気になりましたが、たぶん完全に野菜化したゴボウには自力で種子散布をする必要がないということかと勝手に解釈しました。

ユズリハ:譲葉(引き際が近い)2月6日

2013-02-06 13:18:36 | 植物観察1日1題


春になって新しい葉が成長すると、いっせいに古い葉が譲って落ちることから、代々譲ってゆくのでめでたいとして葉を新年の飾り物にするユズリハ:譲葉(ユズリハ科ユズリハ属)が、赤い冬芽を膨らませています。
頂上に大きい葉芽、その下の各々の葉脇に小さく丸い花芽がついています。よく見るとなかなかユニークな冬芽です。
常緑高木または低木で、葉は互生、雌雄別株で花序は総状、花弁はなくときに萼も退化しています。
かつてはトウダイグサ科にふくめられていましたが、DNE系統では、カツラ科やマンサク科との類縁が示されています。
ユズリハ科にはユズリハ属しかなく、そしてこの属は東アジアの温帯から東南アジアにかけて約10種があるだけの小世帯であり、そのうちヒメユズリハ(’09.11.26記事)、エゾユズリハ(’10.11.26記事)
など5種が日本に産します。

カカオ(変わるバレンタインチョコ)

2013-02-01 17:24:22 | 植物観察1日1題

2月ともなると、百貨店の菓子売り場などは特設売り場を設けてSt.バレンタインデイのチョコレートの大売出しです。
もともと欧米でもこの日に愛する人に贈り物をする風習があるそうですが、この日に女性から男性へそれもチョコレートを贈るという日本独特の習慣は、何十年か前に商魂たくましい洋菓子屋やデパートが考え出したことです。昔からの伝統的な行事や風習が失われる中で、商売に絡められると奇妙な風習がいつの間にか人々の中で確固たるものになるのは皮肉なことです。かつては女性から意中の人に贈る本命チョコが主な話題でしたが、最近では同性異性を問わずお友達に贈る友チョコが大半を占めているといいます。形を変えつつもバレンタインチョコの風習は根強いようです。
このチョコレ-トの原料になるカカオ(アオギリ科)の実が植物園の温室で実っています。
中南米原産の常緑高木で高さは4~10mになり、花は幹および太い枝に直接房状に多数つき、小輪で黄色地に赤褐色の線条があり、一年中次々と開き、結実します。果実は長さ約30センチメートルの紡錘形で、表面に縦溝とこぶがあり、初め緑白色で、のちに赤、黄、橙(だいだい)、紫などに熟します。太い枝や幹の直接生るので幹生果と呼ばれます。花が咲いても結実率は1%にも満たないということですが、ここでは太い幹の1ケ所に3個も固まってついていました。
中の種子を水につけて発酵させ干すと赤みを帯び特有の芳香が出ます。これをカカオ豆といい、焙煎し殻を除いてすりつぶしたのがカカオペーストで、ココアやチョコレートの原料になります