新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

エゾエンゴサク:蝦夷延胡索(利尻・礼文の花⑤)

2007-05-31 06:27:14 | 植物観察1日1題

最盛期にはまだ早いこの時季、礼文の野山を彩るのがエゾエンゴサク:蝦夷延胡索(ケシ科ムラサキケマン属)です。本州東北地方から北海道、千島、サハリン、オホーツク沿岸に分布する多年草で、高さは10~30cm、1~3回3出複葉の葉の小葉は線形から広卵形と変化があります。
花色の変化が多く、北海道では鮮やかなブルーが主ですが、紅紫色や白色などもあります。
エンゴサクの名のつくケシ科の仲間にはいくつかあり、中国ではこれらによく似た植物が漢方で延胡索といわれるところからきていますが、日本のエンゴサクに同じ薬効があるかどうかはわかりません。

クロユリ:黒百合(利尻・礼文の花④)

2007-05-30 07:06:10 | 植物観察1日1題


利尻島仙法志御崎の海岸に咲くクロユリです。
クロユリ:黒百合(ユリ科バイモ属)は、黒いユリという意味ですが、実際は暗赤褐色~濃紫褐色です。利尻・礼文に咲くクロユリはエゾクロユリといわれ、海辺にも咲くくらいで、低地型に属し、大柄で花付きもいいのですが、3倍体で種ができず、球根で殖やします。これに対し高山型はミヤマクロユリといい、花は1~2輪とつつましく、2倍体で種もできます。
花として珍しく黒っぽいのでよく知られ、昔からよく伝説に出てきたりします。最近ではクロユリといえばすぐ“恋の花”と続きますが、織井茂子「黒百合の歌」の1節です。もっとも雌雄異株のこの花は、独特の悪臭があり、恋人に捧げるにはふさわしくないようです。

レブンコザクラ:礼文小桜(利尻・礼文の花③)

2007-05-29 07:15:58 | 植物観察1日1題

礼文島でお目当ての花のひとつはレブンコザクラ:礼文小桜(サクラソウ科)です。
春、一番にかわいらしいピンクの花をつける小桜たちは、利尻の山ではエゾコザクラ、礼文島にあってはレブンコザクラが知られていましたが、近年利尻の岩場でもレブンコザクラが自生していることがわかりました。礼文の風衝草原に咲く典型的なレブンコザクラは写真のように1株の花数が多くぼんぼりのように見えますが、背が低い花数が少ない利尻形が礼文でも見られるようになっています。
異なるタイプの花が同一の場所に咲いているのをみると、同じ種でも僅かな生育条件の違いで遺伝的に分化が進んでいることがわかり興味深いものです。

リシリヒナゲシ:利尻雛罌粟(利尻・礼文の花②)

2007-05-28 07:10:29 | 植物観察1日1題
利尻と礼文はごく近い位置関係にありながら、そのどちらかにしか生育しない花がいくつかあります。
利尻の名のつくリシリヒナゲシ:利尻雛罌粟(ケシ科)もその一つです。利尻岳の高山帯の岩礫地に特産する多年草で、全体に粗い毛があり、分枝して大きな株をつくります。高さ10~20の花茎に黄緑色の4弁の花を1個つけます。
険しい利尻岳の高所でこの花を見ることは一般には容易ではなく、いまでは両島の海岸のコンブ干し場(無砂干場)などで育てられているのを見ることができます。

オオバナノエンレイソウ:大花の延齢草(利尻・礼文の花①)

2007-05-27 08:17:52 | 植物観察1日1題

花の浮島といわれる利尻・礼文に花を訪ねました。
新千歳からバスで稚内へ近づくころ、車窓からもオオバナノエンレイソウ:大花の延齢草(ユリ科エンレイソウ属)の群落が見えるようになります。
エンレイソウ属は雑種を作りやすいことで知られていますが、オオバナノエンレイソウは本州北部と北海道に分布しよく群生します。
ふつうのエンレイソウより全体に一回り大きく、とくに花は直径6~8cmと白くて大きいので遠くからでもよく目立ちます。葯が花糸よりずっと長いのも特徴です。

ミゾコウジュ:溝香薷(どっこい生きている)

2007-05-21 07:06:48 | 植物観察1日1題

淀川の川岸にミゾコウジュ:溝香薷(シソ科アキノタムラソウ属)が咲いています。
湿った田んぼの畦や川岸などに生える越年草で、冬に目立った大形のロゼット状の縮じれた根生葉は花時にはありません。茎は4角で、高さ30~70cm、全体に毛があります。
花は初夏、花冠は長さ4~5mm、紫色の唇形花が穂になってつきます。
ミゾコウジュは環境省レッドデーターブックの準絶滅危惧種に指定されていて、淀川河川事務所のHPでも、一時絶滅したと思われたミゾコウジュが帰ってきたと嬉しそうに書いています。
昨日の、ナヨクサフジの蔓延ぶりを見た直後、すぐ近くにミゾコウジュの群落を見つけたときは建設省ならずとも嬉しくなりました。

ナヨクサフジ:なよ草藤(なよとはいえぬ)

2007-05-20 07:22:45 | 植物観察1日1題

淀川河川敷の道を歩きますと、両側にナヨクサフジ:なよ草藤(マメ科ソラマメ属)のムラサキ色の花が延々と続いています。
ヨーロッパ原産で、飼料や緑肥として栽培される1年生草本で、1943年に天草島での帰化が報告され、今では、本州から沖縄にかけ広く道端や河川敷に進出しています。
花期は春から夏、長さ1.5cmほどの紫色の蝶形花を1方向に穂状につけます。
ナヨクサフジは、旗弁の爪部が舷部より長く、萼筒の基部は膨らんで後ろに突き出て、柄が下側につきます。
あちこちに分布を広げ、どうかすると秋の終わりごろまでも花をつけているなど、名に似合わずしたたかな外来種です。

チガヤ:茅 (幼い日の思い出)

2007-05-19 07:50:21 | 植物観察1日1題

いま思えば、何が美味しかったのか不思議ですが、子供のとき、まだ葉鞘に包まれた若いチガヤの花穂(ツバナ:茅花)をよく食べたものです。味よりも柔らかい舌触りを楽しんだのかも知れません。
チガヤ:茅(イネ科チガヤ属)は、日当たりのよい草地や土手などに群生する多年草で、束生し、根茎は地中を這います。
花は晩春、葉に先立って長さ10~20cm、幅1cmほどの円柱形の花穂を出します。花穂は銀白色の長い毛に覆われていて、花の頃は赤紫色の雌蕊と雄蕊の葯がよく目立ちます。

ホタルカズラ:蛍葛(昼光に目立つ蛍)

2007-05-18 06:55:46 | 植物観察1日1題

よく目立つ青紫色の花を蛍の光にたとえたというホタルカズラ:蛍葛(ムラサキ科イヌムラサキ属)は、丘陵から山地にかけて日当たりのよいところに生える多年草で、高さは15~20cm、互生する葉は倒披針形で両面とも粗い毛があります。
春咲く花は、径1.5cmくらいで、裂片には白い稜があります。
ホタルソウ、ホタルカラクサ、ルリソウなどの別名があります。

アカメヤナギ:赤芽柳(時季遅れの柳絮)

2007-05-17 06:57:22 | 植物観察1日1題

淀川の川岸にアカメヤナギ:赤芽柳(ヤナギ科ヤナギ属)の果実が裂開し、柳絮を飛ばし始めています。
綿毛の中をよく見ると細かい種子が見えます。
日当たりのよい湖沼や川岸に生える落葉高木で、若葉が紅色を帯びるのでこの名があり、葉が丸みがあるのでマルバヤナギ:丸葉柳の名もあります。托葉は大形で新枝のうちは目立ちますが早く落ちます。
雌雄異株で、春、葉が伸びてから開花し、柳の仲間では最も遅い開花になります。

ヒメコバンソウ:姫小判草(小判シリーズ そのⅣ)

2007-05-16 07:12:04 | 植物観察1日1題

道路端のコンクリの隙間にヒメコバンソウ:姫小判草(イネ科コバンソウ属)の穂が斜陽を浴びて揺れています。
ヨーロッパ原産の高さ10~60cmの1年草で、5~7月、円錐状の花序をつけ、小さい小穂が多数垂れ下がります。小穂は長さ幅とも約4mmの三角状卵形で淡緑色ときに淡紫色を帯びます。
この小穂がコバンソウに似ていて、小さくて愛らしいところから姫小判草、また、小穂を手にとって振るとかすかに音を立てるところからスズガヤの別名もあります。


コバンソウ:小判草(小判シリーズ そのⅢ)

2007-05-15 08:42:41 | 植物観察1日1題

不思議に覚えているのですが、10何年前西国33ケ所巡り結願の美濃谷汲山華厳寺の近くでコバンソウ:小判草(イネ科コバンソウ属)の種を採って帰り、庭に蒔いたところ、数年を経ずして家の外の土手などに一面にはびこって驚いたことがあります。この写真もそのときの子孫のはずです。
ヨーロッパ原産の1年草で、5~7月、小穂が熟すと黄褐色になり、形が小判に似ているのでこの名があります。小穂を俵に見立ててタワラムギ(俵麦)とも呼びます。
よくドライフラワーにされるなど観賞用として栽培もされますが、あちこちに野生化しています。
せっかくの小判もこれだけ多くなると有難味も薄れるというものです。


コバンンノキ:小判の木(小判シリーズそのⅡ)

2007-05-14 05:53:53 | 植物観察1日1題


高槻川久保渓谷にコバンノキ:小判の木(トウダイグサ科コミカンソウ属)が赤紫色の小さい花をつけていました。
川岸や崖地に生える落葉低木で高さは2~3mになります。小枝に葉が2列に並んで互生するので、羽状複葉のように見えます。
雌雄同株で、4~5月葉脇に小さな花を数個ずつ束生し、小枝の基部には雄花を、上部には雄花と雌花がつきます。雄花の萼片は暗紫色、長さ約1.5mmで平開し、雌花の萼片は淡緑色で平開しません。
楕円形の葉の形が小判に似ていることからコバンノキの名があります。
写真、小枝の先のほうに2個の雌花が見え、元の方に小判型の緑の若葉がまだ垂れ下がった形になっています。

ゴウダソウ:合田草・大判草(小判シリーズそのⅠ)

2007-05-13 07:23:26 | 植物観察1日1題

道路に植え込みの中に紫色の十字花が咲いていました。オオアラセイトウ(諸葛采)に似ているようでも葉の様子が違います。何かなと思っていましたらやがて扁平な円形の径3cm莢をつけ、中の種子が透けて見えます。それでこれがいつか聞いたことがある大判草だということがわかりました。
アブラナ科ゴウダソウ属の合田草、別名大判草は、これを日本に入れた人の名を取ってゴウダソウ;合田草といわれます。4~5月に上部で分枝した枝に紫紅色の十字花を総状花序につけ、芳香があります。
楕円形の薄い莢が風に揺れる姿は、さながら小判が揺れているようです。
莢が熟すと隔膜が銀色になるところから英名でもシルバー・シリング(銀貨)の名があります。日本での別名は銀扇草です。

ハナウド:花独活(白い花のレース)

2007-05-12 07:10:36 | 植物観察1日1題

淀川右岸鵜殿の葭原にハナウド(セリ科ハナウド属)の群生があり、白い花をつけています。
川岸や林のふちなどのやや湿ったところに生える越年草でときに多年草。高さ1~1.5mの茎は中空で粗い毛があります。大形の3出または羽状複葉で、小葉はさらに切れ込みます。
5~6月、大形の複散形花序に白い小さな花を多数つけます。花序の外側の花は内側よりも大きく、とくに外側の花弁は大きく先が2つに切れ込んでいるのが特徴です。
一般にセリ科の草は判別が難しいものですが、このハナウドは、花期が早いことと花びらの切れ込みで区別のしやすい草といえます。