新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

キンエノコロ:金狗尾草(夕日に輝く)

2006-10-31 06:20:09 | 植物観察1日1題
花穂に黄金色の剛毛のある小穂が沢山つき、逆光で見るときらきら輝いて美しいので、そのまま名まえになったのがキンエノコロ:金狗尾草(イネ科エノコログサ属)です。
草の高さ30~80cm、花序は長さ3~10cmの円柱形で直立し、小穂の基部に黄金色の剛毛が密生します。キンエノコロに似ていて、小穂が少し小さいコツブノキンエノコロというのもあります。
写真は、高槻郊外原地区のこれも休耕田で撮ったものです。写真としても面白いので2~3日あとで、天候と時間を見計らってもう一度行ったのですが、刈り取られた直後でした。何事も一期一会です。

アキノエノコログサ:秋の狗尾草(大きい子犬の尾)

2006-10-30 07:08:27 | 植物観察1日1題
アキノエノコログサ:秋の狗尾草(イネ科エノコログサ属)もよく見かけます。エノコログサによく似ていますが、花穂が長めで太く先が垂れること、小穂がエノコログサほど込み合わないことなどが特徴です。最近都会付近ではエノコログサより多く見られるといいます。
名前に“秋”がついているのは花期が少し遅いことから来ています。
写真は明日香村の休耕田でのものです。あちこちで見られる休耕田はエノコログサの仲間の格好の繁殖地になっているようです。

エノコログサ:狗尾草(似るのは犬?猫?)

2006-10-29 07:12:23 | 植物観察1日1題
夏の終わりから晩秋まで、道端や草むらでブラシのような花穂をつけたエノコログサの仲間がよく目に付きます。和名は犬の子草(えのころぐさ)で、穂が子犬の尻尾に似ていることにちなみますが、一般にはネコジャラシの名で知られています。
図鑑ではエノコログサの名を持つ仲間が10種ほど載っていますがからその中でもごく普通に見られるエノコログサ:狗尾草(イネ科エノコログサ属)は、高さ30~80cmの一年草で、8~10月、茎の先に長さ4~10cmの花穂を出し一方に傾きます。
緑色の芒のような剛毛が目立つ小穂を多数つけます。小穂の剛毛が紫褐色色のムラサキエノコログサというのもあります。

イチイ:一位(比婆山で出会った植物 Ⅶ)

2006-10-28 07:26:30 | 植物観察1日1題
主峰比婆山の山頂付近の御陵と呼ばれる大岩の前に一対のイチイの大古木があり(10月22日記事)、いかにも古事記の世界らしい雰囲気をかもし出しています。
イチイ:一位(イチイ科イチイ属)は、日本各地の低山帯で他の樹木との混交か純林をつくり、また庭木や生垣など栽培もされる常緑高木です。
高さ20mくらい、樹皮は赤褐色で浅い裂け目があります。葉は長さ1.5~3cmで、上向きの枝にはらせん状に、横にのびた枝には2列の羽状につきます。
雌雄別株で、花は春、種子は花のあと肥大して杯状になった仮種皮に包まれます。赤く熟した仮種皮は柔らかくて甘く食べられますが、種子は有毒です。
この立派な名前は、昔この木で笏を作ったことから、位階の正一位、従一位にちなんでつけられといわれます。材が赤褐色で緻密なので建築材、彫刻材、器具材などに使われなじみの多い木です。

アクシバ:(比婆山で出会った植物 Ⅵ)

2006-10-27 06:55:30 | 植物観察1日1題
名前を聞いても漢字名の見当がつかなかったこの木、あとで図鑑を当たっても、アクシバ:(ツツジ科アクシバ属)の名の由来として、枝が緑色で丈が低い木だから青木柴からの転訛、この木の灰で灰汁を作ったので灰汁柴からなどとあるものの、どの本にも漢字名は載っていませんでした。
アクシバは山地の疎林に生える落葉小木で、よく分枝し高さ30~90cm、若い枝は緑色で古くなると黒褐色となります。
液果は8~10月、直径8~10mmの球形で赤く熟し、先端には萼片が残ります。うす甘くて食べられます。
6~7月に咲く紅色と白の花は、4裂する花冠が開花すると外側に渦巻状に反り返り、なかなか凝った意匠のようです。まだ見たことがないのでいつかは出会いたい花です。

マツムシソウ:松虫草(比婆山で出会った植物 Ⅴ)

2006-10-26 06:12:55 | 植物観察1日1題
出雲峠の草原にマツムシソウ:松虫草(マツムシソウ科マツムシソウ属)の花が咲き残っていました。深まる秋に蜜を吸う虫たちなにやらもせわしげです。
山地の草原に生える2年草で高さは60~90cmになり、根生葉はロゼット状で冬を越します。
頭花は紫色で直径4cmほど、上向きに咲きます。縁の小花は5裂し、外側の裂片は大きく、中心部の小花は筒状で等しく5裂します。
キク科ではありませんがキクと同じように小さい花の集合です。キク科に進化する前の形だとする説もあります。
日本アルプスなどの高山では花径も大きく色も濃いタカネマツムシソウがあります。(05年8.28記事)和名の由来は、本によっては、マツムシが鳴くころに咲くからとの説がありますが、別に、巡礼などが使う仏具の“松虫鉦”に花の形が似ているからという有力な説もあります。

ウメバチソウ:梅鉢草(比婆山で出会った植物 Ⅳ)

2006-10-25 07:10:26 | 植物観察1日1題
比婆山系烏帽子山から下った出雲峠でウメバチソウ:梅鉢(ユキノシタ科ウメバチソウ属)の群落に出会いました。去年友人に案内され地元高槻の北部へ見に行ったときは、あるはずのところに見当たらずがっかりしたことがあっただけに喜びもひとしおでした。
ウメバチソウは日本各地、シベリア、中国、ヒマラヤからヨーロッパなどの暖帯~寒帯に広く分布し、丘陵から高山帯の日当たりのよい湿地に生える多年草で、根生葉は長い柄があり長さ幅とも2~4cmの広卵形です。花は夏から初秋、高さ10~40cmの花茎の頂きに直径2~2.5cmの白い花を1個つけます。
和名の梅鉢草はこの純白の5弁の花の形が梅鉢紋に似ているところから来ています。
面白いのは雄蕊の形で、雄蕊は5個、花粉を出さない仮雄蕊5個は先が糸状に12~22裂し先端に小さい球状の黄色い腺体がつきます。この仮雄蕊が7~11裂するのがウメバチソウの高山変種であるコウメバチソウ(05年8月30日記事)ですが、両者の区別は必ずしも容易ではないといいます。

ユキザサ(比婆山で出会った植物 Ⅲ)

2006-10-24 06:24:27 | 植物観察1日1題
白い花を雪に、葉を笹の葉に見立ててこの名があるユキザサ:雪笹(ユリ科ユキザサ属)が、赤い実をつけています。
山地の林の下に生える多年草で、高さ20~30cmになり、花穂や葉の裏面に毛があります。
5~7月多数いていた白い花は、秋に直径5~8mmほどの赤い果実となって熟しています。
比婆山のユキザサの多くはすでに霜枯れていましたが、ところどころに残る緑の葉と赤い実はミズナラの純林の下でよく目立っていました。

アカモノ(比婆山で出会った植物 Ⅱ)

2006-10-23 06:46:42 | 植物観察1日1題
主峰比婆山に連なる烏帽子山(1225m)の頂上付近は、中国山地特有の草原地帯になっています。
その遊歩道沿いにアカモノ(ツツジ科シラタマノキ属)が、一輪だけ遠来の客を気遣うように季節はずれの花をつけていました。
北海道、本州、四国の山地帯~高山帯下の林縁に生える常緑低木で、上部で分枝し高さ10~20cmになります。互生する長さ1.5cm~3cm、幅1~2cmの卵形~広卵形の葉は皮質で、上部の葉脇に白い鐘形の花が1個ずつ下向きにつきます。
花柄と萼は濃い紅色、花は純白でわずかに紅色の条が入るなかなか派手なカラーコーディネーションで、登山道の脇などに群生するとよく目立ちます。
和名は実が赤くて食べられることから赤桃が転訛したものとされており、イワハゼの別名もあります。
雪も近いこの時期、ただひとりだけ咲くこの花に声援を送りたい気持ちになりました。

ブナ(比婆山の植物Ⅰ)

2006-10-22 06:20:26 | 植物観察1日1題
10月19・20日と広島県民の森比婆山にブナの原生林の秋を訪ねました。
比婆山県民の森は広島・島根両県にまたがる国定公園地域で海抜800m~1300mの高さにあり、別名御陵ともいわれる主峰比婆山(1256m)は、イザナミノミコトがこの地に葬られたという「古事記」の記述のとおり、頂上にはそのお墓とされる大岩があり、その前のイチイの古木や、ブナ林の原生林とともに、古くより神の宿る霊山として信仰の対象としなってきた雰囲気をよく残しています。
信仰の山として守られてきた比婆山のブナの純林は、昭和35年に国の天然記念物に指定されました。
日本ではブナ林の下に生えている植物相から日本海型と太平洋型の2つがありますが、比婆山のブナ林は下生えにクロモジが多く見られるブナ・クロモジ型のブナ林といわれ、日本海型と太平洋型と双方の下生えが混じっている珍しいブナ林とされています。
頂上付近のブナ、少し下のミズナラの見事な黄葉、様々な木の実、咲き残った草花などが一日の山歩きの目を楽しませてくれました。明日以降もそのいくつかをご紹介することにします。

オオバスノキ:大葉酢の木(食べ損なった実)

2006-10-19 06:21:04 | 植物観察1日1題
“食べられますよ”と栂池自然園の散策道でガイドさんが黒い小さい実を指さしています。
オオバスノキ:大葉酢の木(ツツジ科スノキ属)の果実です。亜高山帯~高山帯の低木林やハイマツ林の林縁などに生える落葉低木で、高さは約1mになります。
本州中部以西の山でよく見られるスノキやウスノキの母種といわれています。
ガイドさんによると、みんなが食べてゆくのか木道沿いの実はあらかたなくなってしまったそうです。そんな話を聞いては、ひごろなんでも口にしてやろう主義のむかごもさすがに遠慮して写真だけを撮ることにしました。(旅行につき明日より2日間休載します)

チングルマ:稚児車(花に劣らず美しい紅葉)2006.10.18

2006-10-18 07:14:59 | 植物観察1日1題
栂池の湿地のあちこちに真っ赤な絨毯のような場所があります。
チングルマ:稚児車(バラ科チングルマ属)が紅葉しているのです。
高山帯の日当たりがよく地下水の豊富な岩石地帯に生える高さ10cmくらいの匍匐性矮小低木で草ではありません。
可憐な白い花、名前の由来となっている長い羽毛状になって風に揺れる花後の花柱、そしてこれらに劣らず美しい秋の紅葉で山歩きの人を楽しませてくれます。
今紅葉している葉は、奇数羽状複葉で小葉は3~5対あり、厚くて光沢があり、秋の陽射しを受けて照り輝いて見えていました。

ゴゼンタチバナ:御前橘(繁殖にはエネルギー)

2006-10-17 06:59:32 | 植物観察1日1題
栂池自然園の木道脇のところどころに赤い実をつけた草が霜枯れた林床に彩を添えています。
ゴゼンタチバナ:御前橘(ミズキ科ミズキ属)です。
亜高山の針葉樹林下か高山帯野ハイマツの下などに生える高さ10cmほどの多年草です。
夏、白色の4個の花弁に見える総苞をもつ花をつけますが、花がつき、果実が生るのは輪生状に6個の葉をつけている茎で、葉が4枚の茎には花も実もつきません。花や実をつけるには充分な成長と栄養の蓄積が必要ということでしょう。
はめ込みの花の写真は昨年同じところで撮影したものです。いずれも6枚の葉がついていることがお分かりになると思います。
和名は最初に発見されたのが白山の御前峰で、タチバナは果実の形をなぞらえてつけられたといいます。

ダケカンバ:岳樺(白い木肌で秋を彩る)

2006-10-16 07:06:23 | 植物観察1日1題
全山紅葉の栂池高原に、多くは葉をあらかた落とした白い木肌のダケカンバ:岳樺(カバノキ科カバノキ属)が、独特の風景を作っています。
ダケカンバは名のとおりシラカバより高所に生える落葉高木で高さ10~20m、直径15~70cmになり、孤立して成長した木は円錐形樹幹にをつくり、高山の森林限界付近では風や雪の影響で幹がねじれたようになるものが多くなります。
特徴ある樹皮は灰白褐色または赤褐色で薄い紙状に剥がれます。これを色紙や書物の表紙などに用いたところからソウシカンバ:草紙樺の別名があります。
遠景の山肌を彩るダケカンバの白い樹形にご注目ください。

ウラジロナナカマド:裏白七竈(乾けばよく燃える)

2006-10-15 07:48:30 | 植物観察1日1題
10月の八方尾根、栂池高原を赤く彩るのはナナカマド:七竈(バラ科ナナカマド属)の仲間です。春の芽だし、秋の紅葉、落葉後の残る赤い果実がいずれも美しく、北国を代表する木のひとつです。
ナナカマドの名の由来は材が燃えにくいので七度竈に入れても燃え残るからというのが定説ですが、実際には乾いた木はよく燃えるそうで、上質の炭を作るために7日間炭焼き窯で蒸し焼きにするからとの説もあります。
栂池自然園の遊歩道沿いではナナカマドより葉裏が粉白色なのでこの名があるウラジロナナカマドのほうが多いように見えました。ガイドさんの説明によるとナカマドとの区別点は、奇数羽状複葉の小葉がやや丸みを帯び、半分より先に鋸歯があることや、赤く熟す果実はナナカマドより少し大きく先端がおへそのようにくぼんでいて上向きにつくことなどだそうです。
もう少し高い山では低木のタカネナナカマドも見られます。