新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ヤマアイ:山藍( 藍か緑か)           20101.3.31

2010-03-31 09:20:16 | 植物観察1日1題




早春の木陰にヤマアイ:山藍(トウダイグサ科ヤマアイ属)が地味な花をつけています。
牧野図鑑によると、昔、この生葉をついて衣料を染めるのに用い、タデ科のアイ:藍が畑で栽培するのに対して、山地に産するから山藍の名がついたとありますが、もともとヤマアイには藍色の色素であるインヂゴは含まれてなく、葉で染めると緑になるそうです。なぜ山藍というのか、ある人が実験した結果、葉ではなく、根をついて、系の媒染を使うと藍色に染まったという報告があるそうです。
雌雄異株で、両性株もあり、枝先の葉腋から花柄を出し、小型の花を長い穂状につけます。雄花の萼は3裂し、雄蕊は多数、雌花では2個の棒状体と1個の雌蕊があります。
写真の雌花は花後のように見えます。

オガタマノキ:招霊の木・小賀玉の木(年季を示す樹皮)

2010-03-26 20:44:05 | 植物観察1日1題

神霊を招く木として神社によく植えられているオガタマノキ:招霊の木・小賀玉の木(モクレン科オガタマノキ属)が、今枝先に白い小さい花をつけて芳香を放っています。
この花はすでに09年3月6日に取り上げていますが、
石清水八幡宮で見たオガタマノキは、その樹皮に目を奪われました。成長が遅く10センチ太るのに百年かかるというオガタマノキのことです。これだけ立派な幹と樹皮になるまでには、何百年かかったのかと考えながらしばし見とれていました。
(明日から4・5日休みます)

ユスラウメ:山桜桃・梅桜(注目されない花)

2010-03-25 16:44:39 | 植物観察1日1題

隣家の垣根からユスラウメ:山桜桃・梅桜(バラ科サクラ属)の白い花が覗いています。
中国北部原産の落葉低木で、日本でも江戸時代初期には栽培されていた記録があるそうです。
観賞用や果樹として栽培され大きいものでは高さ3~4mになります。
花期は3月下旬~4月上旬、花は白色または淡紅色直径1.5~2cmで花弁は5個です。
ニワウメ(09年4月8日記事)(09年4月8日記事)に似ていますが、葉は倒卵形で、両面とも細かい毛が多く、花が枝を覆うようにつくニワウメに比べれば、花つきはややまばらです。
6月ごろ赤く熟す果実は子供の時の思い出のひとつですが、花の記憶はありません。



ソメイヨシノ:染井吉野(雨中に開花始まる) 

2010-03-23 18:15:19 | 植物観察1日1題

各地で例年より早い桜の開花宣言が出されています。
大阪では21日史上2番目に早いという開花宣言がありました。2日遅れて少し高台にある拙宅の前の桜が雨の中開きました。
開花宣言から1週間くらいで満開になるといわれますが、開花後の気温などに左右され、開花予想より満開予想のほうが難しいそうです。冷たい雨の開花となった今年の桜の満開はいつになるのか気がもめるところです。
あまりにもおなじみすぎるのか、今までソメイヨシノ:染井吉野(バラ科サクラ属)を取り上げていなかったことに気づきました。少し通にはヤマザクラ系が好まれ、ソメイヨシノは俗っぽいと低くmill向きもありまが、桜の代表格として人気が高いのはなんといってもソメイヨシノです。
1、樹形の美しさ
2.早い成長 10年で開花、20年で壮木、30年で名木の趣
3.一重なるも大輪で長い萼筒。 初め色濃く、満開に至って淡紅色、散り際花底より紅をさす
4.若葉を混えず、花のみが樹木を覆う姿
などが人気の源でしょう。
テングス病など病害に弱い、寿命が短い、などの欠点もありますが、桜の代表としてのソメイヨシの立場は今後も揺らぐことがないでしょう。

レンギョウ:連翹(高村光太郎が好んだ) 

2010-03-21 14:40:33 | 植物観察1日1題

家の前の堤防に植えておいたレンギョウ:連翹(モクセイ科レンギョウ属)の黄色い花が春風に揺れています。
中国原産で日本へは天和年間に入ったといわれるレンギョウは、庭に栽培され、叢生して2mくらいになり、垂れた枝は地についた節から容易に発根します。
花は前年枝の各腋に単生し、早春、枝を埋め尽くすように黄金色の花をつけます。花冠は合弁花で4深裂します。
庭に植えられているレンギョウのほとんどは外国産のシナレンギョウやチョウセンレンギョウですが、自生地が限定されているものの、固有種のヤマトレンギョウやショウドシマレンギョウもあります。
レンギョウの名は、漢名の連翹の音読みで、枝にたくさんつく花を鳥が羽を広げた姿にたとえたものですが、その中国では、連翹はオトギリソウ科のトモエソウかオトギリソウを指していたのを、日本で誤って使われるようになったといいます。
レンギョウをこよなく愛した高村光太郎の命日4月2日は、連翹忌ともいわれています。

ショカッサイ:諸葛菜(呼び名に迷う) 

2010-03-19 06:44:04 | 植物観察1日1題

ショカッサイ:諸葛菜(アブラナ科オオアラセイトウ属)の紫色の花が咲いています。
中国北部・中部の原産の1~2年草で、江戸時代にはすでに栽培されており、わが国の気候に適応し、帰化植物と思えないほど広がり、場所によっては雑草化し群生しているくらいです。
別名が多く、かつそれらが実際にも平均的に使われていて、図鑑によって異なる名前が見出しになるのがこの花です。
ショカッサイ:諸葛菜の名は、三国志で有名な宰相諸 葛亮(孔明)が、軍隊の食料補給に利用したという言い伝えによるというのですが、唐代のころから蜀(四川省地で)で使われた諸葛菜という呼び名は、蔓青(まんせい:カブラ)であったそうですし、現在の事典でも、諸葛菜は蕪青の別名として、またべつに二月藍という野菜をさす場合があるとしているそうで、少なくとも諸葛孔明がどうこうという史実はなさそうです。諸葛菜の中国での別名は“菜種の花“を意味する「菜籽花」(ツァイツーホア)だそうです。
シキンソウ:紫金草は、1939年にある日本の軍人が、激戦地となった南京郊外で孫文の陵墓がある紫金山のふもとから記念に種子を持ち帰ったことにちなんで名づけたという話があります。また日中戦争期に出た生物学者の見聞記に、中国の線路沿いに咲くこの花の和名として記したというハナダイコン:花大根の名は、いまでも通用してはいますが、同じアブラナ科の多年草で花に香りのある(Hesperis matronalis L)にも使われているため、近年ではムラサキハナナ(Orychophragmus violaceus)が標準的に使われています。
オオアラセイトウ:大紫羅欄花は、園芸でよく見かけるストックの和名であるアラセイトウからきています。アラセイトウはこの花の属名でもあります。
3~5月に咲く花は淡青紫ですが、濃淡があります。耐寒性が強く、低温にあわないと開花しません。紫色の花びらに金色の雄蕊で、アブラナ科の特徴である4強雄蕊が目立ちます。紫金草の名は案外こんなところから来ているのかも知れません。

ゼニゴケ:銭苔(嫌われ者の美しい姿)

2010-03-17 08:34:33 | 植物観察1日1題



日陰になる裏庭にはびこっているゼニゴケ:銭苔(ゼニゴケ科ゼニゴケ属)を駆除しようとして屈みこんで驚きました。3週間ほど前までは見られなかった2種類の胞子体のようなものが成長していたからです。すぐ写真にとって調べてみました。
ゼニゴケは、二叉分岐をし、気孔さえ持たず、現生する植物の中では最初に水を離れた太古の植物に最もよく似ているのではないかといわれています。
ゼニゴケは近似種の区別が難しく、ふつうは類似の構造を持つコケ類の総称として用いられることも多いそうです。
葉と根の区別があいまいないわゆる葉状体といわれ、裏側の中央より仮根を伸ばし地表に密着します。
葉状体表面に盃状の無性芽器がつくられることが多く、このなかに多数の濃緑色の無性芽ができ、湿った土地に落ちては成長してゼニゴケになります。無性芽による繁殖力が強く、庭の厄介者になっています。
雌雄異株で、円盤状で精子を作る雄器托を持つ雄株、破れ傘と呼ばれる掌状の雌器体を持つ雌株があり、条件がよければ有性生殖を行います。
裏庭のゼニゴケでは、雄株、雌株、無性芽株が観察できました。これが生育条件がよいことを意味するのであれば、少し困ったことになります。

ノースポール(摘芯で姿を保つ)

2010-03-15 10:23:32 | 植物観察1日1題

ノースポール(キク科キク属)の白い花が花壇を彩っています。
アフリカ北部アルジェリアあたりの原産で、日本には1960年ごろに入ったといわれ、比較的新しい花ですが、花つきがよく、株全体を覆うように白い花をつけることからきた「北極」という意味の名前とともによく知られ、いまでは冬から初夏にかけての花壇に欠かせない花となっています。
こぼれ種で自然に発芽しますが、それでは時期が遅く、園芸店で花つきの苗を購入するほうが早くから花を楽しめます。ただ、買った苗をそのまま植えると、すぐに徒長して花も少なく姿も見苦しくなります。
少ない目に苗を買い、思い切って花がついた茎頂の下で摘芯し、できるだけ脇芽を出すようにすれば、早春には文字通り盛り上がるような姿になり、たくさん花をつけます。少ない苗で、長い期間楽しめるお徳用なノースポールです。

イスノキ:柞・蚊母樹(やんごとなき向きの櫛に)

2010-03-12 21:58:27 | 植物観察1日1題

イスノキ:柞・蚊母樹(マンサク科イスノキ属)というと、葉より花よりもまず浮かぶのは、枝や葉のあちこちに付くいろいろな虫こぶです。
イスノキを見上げると、果物かと思うほど大きい虫こぶがたくさん付いていました。イスオオムネアブラムシが寄生してできる大きな虫こぶは、成熟すると表面が硬化し、内部が空洞になります。虫の出入り口に唇を当てて吹くとオカリナのような音が出て笛になります。この音からヒョンノキの別名があります。この虫こぶの表面には、葉脈の模様がついていて、葉が変化成長したものであることを示しています。
ほかにも葉の表面に多数の突起をつくるイスノタマフシアブラムシのほか、モンゼンイスアブラムシ、イスノフシアブラムシ、イスノアキアブラムシ、イスノキコムネアブラムシなど虫こぶ形成者のオンパレードですが、虫こぶで樹勢が衰えた話は聞きません。
この材がツゲ(黄楊)に並んで硬いことから、櫛に作られたらしく、平城宮で発掘された木櫛はツゲよりもイスノキ製が圧倒的に多く、平安時代の延喜式にも宮中でイスノキの櫛が使われたとの記述があり、現在でも皇室での儀式などではこの櫛が用いられ、天皇は一日使うと捨て、皇后は2日使って捨てるという話が伝わっています。

スノードロップ(雪の清らかさ)

2010-03-10 08:57:32 | 植物観察1日1題

雪のころに清楚な花をつけるこの花の名は、アダムとイブが追われたときに降った雪に天使が触れて変身した花との伝説からきているといいます。
和名もユキノハナ(雪の華)、マツユキソウ(松雪草)、ユキノシズク(雪の雫)などと、純白の雪になぞらえたものになっています。
ヨーロッパ中南部~小アジア原産の小型の多年草で、2個の葉の間から高さ20cmほどの花茎が伸び、白い花が下向きに1個だけつきます。
内側の花弁に緑色の斑点があるのが特徴です。

ゴマギ:胡麻木(嗅がずに当たるか)

2010-03-06 06:37:10 | 植物観察1日1題

2~3日前、ポンポン山にフクジュソウを見に行ったとき、自生地の一方通行になった道の脇に、大きめの冬芽を膨らました木が多数あったのが気になって、写真だけ撮って帰りました。
偶然、きのう図鑑のゴモジュの隣にあったゴマギ:胡麻木(スイカズラ科ガナズミ属)の冬芽の写真を見てはたとひざを打ちました。
ゴマギの冬芽の芽鱗は2対で、外側の一対は早落性で、軟毛のある内側の芽鱗だけが残る、葉痕は3角形で維管束痕は3個ということ、早くも伸び始めた新芽の表面の葉脈が凹んでいるなど、図鑑の記述と合致している部分が多く、かなりの確度でゴマギと判断するに至りました。
今度行ったとき、葉の香りを嗅ぎ、花か果実の形で、この推定が当たっているかどうか確かめるつもりです。
(明日から4~5日休みます)


ゴモジュ(ゴマの香り)

2010-03-05 07:14:00 | 植物観察1日1題

彩の少ないこの時期、花を見れば何でも目に付きます。
万博公園で見たゴモジュ(スイカズラ科ガナズミ属)の花もそうでした。九州、沖縄、台湾などに生える常緑低木で、よく分枝して茂り、高さは4mくらいになります。
対生する葉は厚くて硬く長さ3~8cmの倒卵形~楕円形です。
花は12月~3月、枝先に小さい円錐花序を垂らし、直径7~10mmの白い花を多数つけます。花冠は高杯状で、先は5裂します。
葉をもむとゴマの香りがするので、コマ樹がゴモジュに転訛したのではないかといわれています。
別名にタイトウガマズミ、コウルメがあります。

ムユウジュ:無憂樹(仏教三聖樹のひとつ)

2010-03-03 07:06:25 | 植物観察1日1題

植物園の温室でムユウジュ:無憂樹(マメ科サラカ属(アショカ属))が赤橙色の花をつけています。無憂華、無憂花、阿輸迦(アショカ)樹などの別名があります。
釈迦の母である摩耶夫人が、花盛りの無憂樹の木から一枝を折ろうとした時、左脇腹から釈迦が生まれたとされています。そのことから、釈迦がその木の下で悟りを開いたという菩提樹(インドボダイジュ:クワ科)と、釈迦がその木の下で入滅したといわれる沙羅双樹(フタバガキ科)とともに仏教の三聖樹とされています。
インドでは乙女の恋心をかなえる木,また,出産、安産、誕生・結婚にかかわる「幸福の木」とされているそうです。
丸い房になって咲く赤橙色の花は萼で、花弁は退化してありません。
花後大きな豆鞘をつけ、ソラマメ大の種子ができますが、日本では結実した記録はないといいます。

プリムラ・ポリアンサ(異型花柱の)

2010-03-01 07:14:10 | 植物観察1日1題


色とりどりのプリムラ:西洋桜草(サクラソウ科サクラソウ属)で園芸店の店先を賑わせています。この花の蕊の部分をよく見ると、二つの異なった形があることに気づきます。
サクラソウの仲間は、花粉を作る雄蕊の葯と花粉を受粉する雌蕊の柱頭の高さをそれぞれ違えた2つのタイプの花をつけ、花粉も大小2種類を作りわけています。チャールズ・ダーウインが発見した異型花柱性という性質です。
送粉者のマルハナバチが長花柱花から蜜を吸うと花粉の多くは口先に付き、このハチが次に短花柱花にいくと、口先の花粉は短い雌蕊に移り、口の基部に新たに花粉が付きます。こうしてサクラソウの仲間は自分の花粉を受粉しないようにして近親交配を避けます。さらに同じタイプの花粉では種子ができない生理的仕組みも持っています。
写真は花が多いという意味をもつプリムラ・ポリアンサ種で、ちなみに、こぼれ種で芽が出るので、どこの家にもみられるプリムラ・マイコラデス(06年3月11日記事)は、改良園芸種のため、長花柱花しかありません。
園芸店にはプリムラの仲間はたくさん並んでいますが、日本古来の野生のニホンサクラソウは、自生地が減り、絶滅危惧種に指定されています。数少ない自生地の埼玉県浦和市田島ヶ原のサクラソウは、特別天然記念物として保護されています。ところが、ここでは周囲の都市化によって、マルハナバチの訪花が少なくなり、自分で種子を作れなくなっているといいます。
植物と昆虫が作り上げてきた造形で巧妙に遺伝子の多様性を保とうとしてきたニホンサクラソウが、共同作業の相手方の減少で思わぬ危機に瀕しているのは皮肉な限りです。