新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ハクサンフウロ:白山風露(どこにでもある)

2007-07-31 06:29:55 | 植物観察1日1題

信州の高原のいたるところに見られるハクサンフウロ:白山風露(フウロソウ科フウロソウ属)は、本州中部地方以北、北海道の温帯から寒帯に分布し、山地の草地に生える多年草です。
茎は直立し高さ40cmくらい、葉は長い柄があり細かく何回も切れ込みます。茎や葉柄、花柄には下向きに曲がった短毛があります。
7~8月、径2.5~3cmの花が咲きます。花の色は淡いピンクから紅紫色まで変化があります。
石川県白山に産するところからこの名がついていますが、北の地方や高地にはどこにでも見られます。
母種はイブキフウロという説もあります。

グンナイフウロ:郡内風露(山梨原産)

2007-07-30 07:36:58 | 植物観察1日1題

信州八島高層湿原にすこし時季が遅いグンナイフウロ:郡内風露(フウロソウ科フウロソウ属)の花が残っていました。
本州中部以北、北海道などの山地に生える多年草で、茎は直立し高さ70cmくらい、茎や葉に毛があります。花は初夏から夏、径2.5cmくらいで白色から紅紫色まで変化があり、雄蕊には長い毛があります。
和名は、昔山梨県にある郡内という地方で見つけられたことに基づきます。
風と露の字は季節感にあふれた涼やかな名前ですが、茶の湯の風炉のように、3方がふさがって一方だけが開けるような場所によく生育するから風炉→風露となったという説もあります。
フウロソウ科は世界に11属約650種あるそうです。

オオカサモチ:大笠持(大きい笠)

2007-07-29 06:49:53 | 植物観察1日1題

オオカサモチ:大笠持(セリ科オオカサモチ属)は、オニカサモチともいわれ、本州中部地方以北、北海道の山地に分布する大形の草本で、茎は直立し高さ1.5m~2mで、太くて中空、葉脈上に細かい毛があります。
太い茎の先に笠状に花がつくことからきています。
丸くて平たい大きな花序は、横から見ると名のとおり大きい傘を開いているようで、遠くからでもそれとわかる立派さです。

ゼンテイカ:禅庭花(知られていない本名)

2007-07-28 06:13:46 | 植物観察1日1題

信州霧が峰へニッコウキスゲを見に行きました。
梅雨明けの遅れが心配でしたが、今月初めてという快晴に恵まれて、満開のニッコウキスゲを堪能しました。
あまりにも有名なこのニッコウキスゲ、実は本名がゼンテイカ:禅庭花(ユリ科ワスレグサ属)だというのはあまり知られていません。
山地や亜高山の草原や海岸などに群生する多年草です。7月~8月、茎頭に短縮した花序をつけ3~10個の花をつけます。花被片は長さ7~8cm、橙黄色で、朝開き夕方閉じます。
このところ毎年のように夏の信州を訪れていて、ニッコウキスゲも見ているのですが、なぜか"むかごの日記“には今回が初登場となりました。あまりにも有名すぎるからかもしれません。

ミヤママタタビ(猫は好まない)

2007-07-27 06:12:03 | 植物観察1日1題

霧が峰にニッコウキスゲを見に行く途中、蓼科のあたりでミヤママタタビを見かけました。
本州中部地方以北、北海道に分布する落葉性つる植物です。枝先の葉が花の時季になると表面が白くなるのはふつうのマタタビと同じですが、花が終わるときれいな紫紅色に変わります。
猫がマタタビを好むのはよく知られていますが、このミヤママタタビは好まないといいます。
関西では見られない種類なので、仲間と一緒にわいわいいいながら写真を撮っていましたら、そばにいたハイカーから、“このごろは人間もマタタビを好むようになったらしい”と皮肉られてしまいました。
(今日からしばらく信州蓼科・霧が峰に咲く花をご紹介します)

ヒメヒオウギスイセン:姫檜扇水仙(名前負け?)

2007-07-22 06:47:45 | 植物観察1日1題

家の庭先や畑の縁などどこにでも見られるヒメヒオウギスイセン:姫檜扇水仙(アヤメ科ヒメトウショウブ属)は、別の名をモントプレチアと呼ばれる園芸植物で、南アフリカ原産で明治年間に観賞用に渡来し、今では家の周辺などに野生化したものも見られます。
高さ50~80cmの多年草で、地下に球形の根茎があり広線形の葉を2列に出します。
夏のころ茎の上部に2~3本の分枝する穂状花序を出し、赤色の花を多数つけます。ヒオウギスイセンとヒメトウショウブの雑種のため種子はできませんが、性質はすこぶる強健です。
姫、檜扇、水仙と、いまやありふれたこの帰化種にしては立派な名を頂いたものです。
(明日より4日ほど休載します)

コノテガシワ:児の手柏(裏表ないのに)

2007-07-21 07:39:47 | 植物観察1日1題

“奈良山の児手柏の両面(ふたおもて)に かにもかくにも佞人(ねじけびと)の徒(とも)”万葉集―3836。
このように児手柏は万葉の昔から心に裏表のある人にたとえられてきました。しかし今のコノテガシワ:児の手柏(ヒノキ科コノテガシワ属またはクロベ属)は、うろこ状の葉が、表裏の区別がなく平面で横にして立ち、枝や葉が子供が手を合わせて立っている姿に見えるところからこの名があり、裏表がないことになります。そんなことから万葉の歌は今のコノテガシワではなく、コナラ、カシワの若葉か、トチノキだという異説があります。
中国原産で、庭木として栽培される常緑低木ないし小高木です。雌雄同株で、花は春、初夏のころ若い球果をつけます。この球果は粉をふいたような白緑色でよくめだちますが、実がついているのが小枝のはたして裏なのか表なのか、私にはわかりません。

マルバマンネングサ:丸葉万年草(よくわかる名前)

2007-07-20 07:00:41 | 植物観察1日1題

すこし山に入った集落の道端にびっしりと生えたマルバマンネングサ:丸葉万年草(ベンケイソウ科キリンソウ属)が、黄色い星のような花を沢山つけています。
山地の岩の上や石垣などに生える多年草で、葉が丸いのでこの名があります。
対生する葉は肉厚で長さ1cmほど、表面に光沢があります。
6~7月、黄色で直径1cmほど、針状にとがった5弁の花をつけ、雄蕊は10本、子房は5個です。

セリ:芹(水辺にすずやか)

2007-07-19 06:58:00 | 植物観察1日1題

春の七草の中でも、野菜になっているすずな、すずしろは別として、食用として一番おなじみなのはセリ:芹(セリ科セリ属)です。
そのセリが水端で、びっしり小さい白い花をつけています。花のつき方をよくみると、放射状にのびた柄の先からさらに放射状に柄がのび、その先端に花がついています。このような花のつき方を複散形というそうです。
春の若菜としてのセリにまつわる話はたくさんありますが、夏のセリは話題になることもなく、この花もあまり気にされることがないようです。

ツクバネ:衝羽根(珍しい半寄生木)

2007-07-18 07:20:50 | 植物観察1日1題

花のあと長さ2~3cmにのびた苞が残り、羽根衝きの羽根のそっくりなことからこの名があるツクバネ:衝羽根(ビャクダン科ツクバネ属)は、モミ、ツガ、アセビなどに半寄生する落葉低木で、高さは1~2mになります。
雌雄別株で、雄花は枝先に散房状に数個ずつつき、雌花は枝先に1個つき、花弁はなく葉状の4個の苞が目立ちます。
果実は塩漬けにして料理に用いられるそうです。
別名にハゴノキやコギノコがあり、コギノコの胡鬼(こぎ)は羽子木板のことです。

キタマゴタケ:黄卵茸(食べられるが要注意)

2007-07-17 06:45:33 | 植物観察1日1題

箕面滝道の川側の崖に奇妙な形をしたキノコが見えました。
名前を聞くとキタマゴタケ:黄卵茸(テングタケ科)の幼菌といいます。
なるほど卵の黄身が白身の皮をまとっているような形は、一見卵のようにも見えますが、よく見ると卵としては変な形です。
すこし離れて成長した菌がありましたが、これはふつうテングタケの形をした黄色いキノコでした。
可食となっていますが、この仲間のテングタケ科には猛毒のものが多いので、あまり無理をしないほうがよさそうです。

シロソウメンタケ:白素麺茸(素麺は食べられる)

2007-07-16 06:51:35 | 植物観察1日1題

梅雨に台風が重なって雨続きのこのごろです。
キノコといえばマツタケに代表されるように、季節は秋という感覚ですが、実際は梅雨のころが一番よく出るといいます。
山みちを歩いていて誰も見返ることもないシロソウメンタケ:白素麺茸(シロソウメンタケ科)ですが、
よく見ると透き通るような白さでなかなかきれいです。
素麺よりずっと白いシロソウメンタケは立派な可食キノコです。

カライトソウ:唐糸草(美しい絹の糸)

2007-07-15 06:07:04 | 植物観察1日1題

庭でカライトソウ:唐糸草(バラ科ワレモコウ属)が咲き始めました。 
本来、亜高山から高山にかけて湿り気のある草原に生える多年草で、山での花期は秋の気配がする8~9月です。高山植物しては性質が強いのか、長年にわたり庭で花を咲かせています。
草の高さは30~100cm、葉は奇数羽状複葉で4~6対の小葉があります。
夏、茎の先に長さ5~10cmの細長い円柱形の花穂が垂れ下がってつきます。花は先端部から咲き進み、花弁がなくて花の外に飛び出た紅紫色の雄蕊がよく目立ちます。
唐糸とは中国から渡来した美しい絹のことで、美しい花糸をこれになぞらえたものです。

ギンレイカ:銀鈴花(花より実)

2007-07-14 06:30:27 | 植物観察1日1題

少し前に小さい花をまばらにつけているこの草を見たとき、なぜ銀鈴花などいう立派な名を持っているのかわかりませんでした。
ギンレイカ(サクラソウ科オカトラノオ属)は、山地の湿り気の多い日陰に生える多年草。高さは30~60cmで、茎や葉の全体に細かい紫色の点々が散らばっています。
6~7月、茎の上部にわずかに赤みを帯びた白い小さな花を総状につけます。
花はまばらで目立ちませんが、すこしたつと下から順にすこし光沢のある丸い果実をつけます。銀鈴花の名はこの丸い実からきているというのですが、それなら銀鈴草のほうがしっくりする気がします。ミヤマタゴボウ(深山田牛蒡)の別名があります。

ツタ:蔦(夏蔦の名はなぜ)

2007-07-13 07:07:59 | 植物観察1日1題

ツタ:蔦(ブドウ科ツタ属)は、冬は落葉するということでナツヅタ(夏蔦)の名でも知られています。
蔦といえば秋の紅葉とすぐ思い浮かべるのに、なぜわざわざ夏蔦の名をつけたのか不思議です。
山野に生えるつる植物で、葉に対生して出る巻きひげに吸盤があり、これで岩や木の幹にはいのぼります。つるは太いものでは直径5cmにもなります。
葉は長さ幅とも5~15cmの広卵形で、ふつう3つに切れ込み縁には粗い鋸歯がりあます。
秋の紅葉にくらべて目立ちませんが、6~7月黄緑色の小さい花をつけ、秋には直径約6mmの黒紫色の球形果実を稔らせます。
平安時代に樹液を煮詰めて甘味料を採ったので甘蔓(あまづら)と呼ばれました。果実は薄甘いが喉がチカチカすると図鑑にありましたが、はたしてどんな味なのでしょう。