新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

モウソウチク:孟宗竹(竹に雪折れあり)

2011-02-28 08:35:57 | 植物観察1日1題

筍用によく手入れされた竹藪の竹の先端の曲がる部分がカットされているのを見かけることがあります。こうすることで下部の葉や、地面にも日光がよく当たりことで良質の筍ができるのかと勝手に推測して筍農家の人に確かめると、返事は、もっぱら雪折れの害を防ぐためとのことでした。
柳に雪折れなしといいますが、竹の稈も柔軟性があり、力学的にも理にかなう中空になっているので、雪折れ対策と聞くと意外な感でした。
近年にない豪雪が続いた今年の冬、湖北今津町の竹藪でその竹折れに出会いました。
実際に実例を見て、筍農家の話が納得できました。


ツタンカーメンのエンドウ(豆ご飯で味わう古代エジプトのロマン)

2011-02-27 11:49:33 | 植物観察1日1題

エジプトの反政府デモの混乱に乗じた暴徒により、エジプト考古学博物館で、ツタンカーメン王の副葬品などの盗難や損壊があり、世界中を心配させました。幸い被害は軽く、早期に再開にこぎつけたと報じられています。
こんな時期に、あるところで、ツタンカーメンのエンドウ豆(マメ科エンドウ属)の花と実を見かけました。
この変わった名前のエンドウは、エジプトの発掘で発見された副葬品の中でみつかり、この豆を持ち帰った発見者が、自国に持ち帰り発芽、栽培に成功した種子が各地に広がり、日本にも1956年に入ったとされています。
背丈、茎、葉、豆の形、色は、普通種と同じで、ワインレッドといわれる美しい花をつけます。鞘の形も普通種と同じですが、色は紫色を帯びます。
わが国でも急速に広がったツタンカーメンのエンドウの楽しみは、なんといってもこの豆でつくるエンドウ赤飯のようです。
この豆でご飯を炊くと、初めは普通のエンドウご飯と変わりませんが、不思議なことに保温すると徐々に赤飯に変色します。
発見された時の事情、炊きあがった後で色が変わる豆ご飯の不思議さなど、ツタンカーメンのエンドウは、手軽に古代エジプトのロマンを楽しむことができる人気の豆となっています。

スギ:杉(春先に紅葉の謎)

2011-02-25 06:44:11 | 植物観察1日1題

今年のスギ花粉の飛散予想は、東海地方や近畿地方の一部では、非常に少なかった昨シーズンに比べ、10倍以上にもなると予測されるとか、花粉症の人にとっては憂鬱な春となりそうです。
そのスギ:杉(スギ科スギ属)の木全体が今の時期、赤褐色に色づいています。よく見ると枝先についている雄花穂の色だけではなく、葉全体が赤褐色です。
冬、スギの葉の日の当たる部分が赤色に代わる理由については、必ずしも定説がないようですが、一般に考えられているのは、葉の中の葉緑素の生成には太陽光線が必要とされるが、反面案外光に弱くて、光線で分解されてしまう。しかし、気温の高い時期では、次々新しくつくられるので、葉は緑色をして光合成が順調に行われる。気温が低下してくると光で分解される一方、生成の方が次第に追いつかなくなり、葉の中の葉緑素が減少して、あまり目立たなかったほかの色素が表面に出て赤褐色になるというのです。同じ杉の木でも日の当たる部分と、日陰の部分では、変色に程度に差があるのはそのためだというのです。春も彼岸のころになると、陽射しは強くなるのに、気温の方がまだそれほど高くないのでこの現象はさらにはっきりでるという説明です。
たしかに、冬から春先にかけて赤く変色したスギの葉は、落葉することなく、やがて緑色を取り戻します。この現象はサツキ類などでも顕著に出るほか、他の樹木でも大なり小なりみられます。

アオモジ:青文字(蕾も花も楽しめる)       

2011-02-23 18:31:42 | 植物観察1日1題

去年の暮ごろ、生駒山南面元山上「千光寺」周辺を歩いていて、蕾をつけたアオモジ:青文字(クスノキ科クロモジ属)の群落に出会い、花時にもう一度来て、花を見たいものだと書きました。(10年12月11日記事)
そのアオモジが、花材として蕾の枝で活けられていたのが一月ほどして室内で開花しました。
小枝が青色をしているのでこの名があるアオモジは、雌雄別株で、山野では3~4月葉が開く前に淡黄色の花を開きます。雄株は花が枝にびっしりつき、雌株は花数が少なくぱらぱらといった感じになります。
白い小さな花が固まってつき、よく見ると花弁状の総苞片が目立ちます。花被片は長さ約3㎜の楕円形で6個、雄蕊(雌株では仮雄蕊)は9個あります。
果実や材にはレモンのような芳香と辛味があり、ショウガノキとかコショウノキと呼ばれることもあります。
(冬枯れで記事ネタが不足しつい1週間もサボってしまいました。このため体調不良かとご心配していただいた向きもあり恐縮しています。スローペースにはなっていますが、元気でおります。)


イタリアンサイプレス:西洋糸杉(死の予感?)

2011-02-15 08:36:48 | 植物観察1日1題

公園の一角に何本かのイタリアンサイプレス:Italian cypress(ヒノキ科イトスギ属) が植わっていました。
セイヨウイトスギ、ホソイトスギとか単にイトスギともよばれますがヒノキ科の針葉樹で、地中海東部からイラン北部に自生するほか、公園、庭園などにも植えられます。
側枝は直立し、特徴ある狭円錐形樹形となります。
この木は、レバノンスギともにノアの方舟に使われたことで知られていますが、欧州では、また死や哀悼の象徴とされ、墓地によく植えられます。
晩年のゴッホがイトスギをよく描いたことも知られています。精神的に窮地に陥ったゴッホは、自ら志願してサン・レミの精神病院に入院します。その間ゴッホは糸杉を題材にしたいくつかの作品を描きます。
なかでも、サン・レミ最後の作品となった「糸杉と星の見える道」は、病む心の中の死の予感、自殺願望を感じさせるものとして語られています。
何気ない公園の立ち木にまつわる話を思い出すことも観察の楽しみの一つです。

ジョウビタキ:尉鶲(梅にウグイスならぬ)2月13日記事のタイトルを入力してください(必須)

2011-02-13 18:07:44 | 植物観察1日1題
11日、珍しく大阪市内でも積雪と聞いて、大阪城の梅園へ行って来ました。
雪がやんでから家をでたので、ついたころには天守閣の雪も半ば融けている状況でしたが、雪の梅園を見ようと同じ思いの見物客やカメラマンで大賑わいでした。
梅園の一角にカメラマンが群がっているので何かと思い近づくと、ウメの小枝にジョウビタキ:尉鶲(スズメ目ツグミ科)が止まっていました。結構長い時間真近に止って、さながらカメラマンに愛想を振りまいているようでした。
帰って図鑑を見ますと、黒い翼に大きな白斑があるので俗にモンツキドリともいう、というのはよいとして、また人を恐れないのでバカビタキ、馬鹿鳥などと呼ぶとありました。
こんな名で呼んだら、せっかくサービスをしてやったのにと鳥に叱られるかもしれません。
寒中、植物の話題もないまま、野鳥の記事で代用しました。

クレマチス・アンスンエンシス:冬咲きクレマチス(寒い庭に寒々と咲く)

2011-02-10 08:36:20 | 植物観察1日1題

寒さが続き彩の少ない庭に冬咲きクレマチス(キンポウゲ科)の白い花が咲きました。
名札には冬咲きクレマチス:クレマチス・アンスンエンシスとあって、中国雲南省原産ということですが、冬咲きクレマチスにもいろいろ品種があり、咲く時期も多少異なっているようです。また、冬咲きクレマチスには落葉性と常緑性があるそうですが、拙宅のそれは、一株の中に枯れ葉と青い葉が混在して、葉が枯れた蔓にも花が咲いており、葉脇には冬芽も膨らんでいて、落葉、常緑双方の性質を併せ持っているように見えます。
花柄の中ほどに小さな苞が一対あり、下向きに咲く花は花弁を欠き、花弁に見えるのは4個の萼片で、花の形はハンショウヅルにそっくりです。
クレマチスの名がついていますが、例によって業者の営業政策上、ハンショウヅルより、クレマチスの方が売りやすいと考えたのでしょうか。

シロバナタンポポ:白花蒲公英 (在来タンポポの異端?)

2011-02-08 15:53:32 | 植物観察1日1題

立春の日、明日香村の田んぼの畔を歩いているとシロバナタンポポ:白花蒲公英(キク科タンポポ属)の花が咲いていました。近畿では必ずしも多くはないシロバナなので、よく目を引きます。同じ株にすでに綿毛になったそう果が何本か立っています。
寒い時期には年中花をつけるセイヨウタンポポが目につきますが、在来種のシロバナタンポポがこんなに早く花をつけ、実さえできているのには少し驚きました。
図鑑を見ると、在来種なのにセイヨウタンポポと同じように単為生殖をするとありました。花期が早いのもどこかでセイヨウタンポポとつながっていることがあるのかなどと考えましたがわかりません。

アセビ:馬酔木(無防備な花芽) 

2011-02-06 16:00:17 | 植物観察1日1題

アセビ:馬酔木(ツツジ科アセビ属)の花芽が膨らんで開花の近いことを告げています。
3月になればそろそろ咲き出すので何の不思議もないのですが、一般に前年に花芽をつけ冬越しする木の多くは、蕾を芽鱗や軟毛で覆って、寒さや病虫害を避けながら越冬しますが、11月ごろできるアセビは初めから、無防備な裸の蕾になっています。
よく知られているようにアセビには全体にアルカロイドの1種アであるアセボトキシンを含んでおり昆虫や動物の食害から身を守っています。
大事な蕾を長期間裸で晒しているのは、この自衛能力に自信があることからきているのかもしれません。

テングス病のマダケ  

2011-02-02 13:19:09 | 植物観察1日1題



                               初期のテングス病

前回の記事もそうでしたが、冬枯れの野山を歩いていると、よく目につくのが異常な植物です。
マダケの竹林が一面白く立ち枯れたようになっています。
テングス病(天狗巣病)に犯されている様子です。この病気は、Aciculosporium take Miyake病原菌によるもので、近年各地のマダケ林で猛威を振るっているといます。
この病気にかかると、最初は、ほうきやつる状の枝が大量に生じ房状になり、竹が弱ると落葉が始まり、さらに進行すると竹の桿全体が落葉し立ち枯れ状態になります。
竹の花が咲いているという話は、たいてい初期のテングス病を見ての誤認だそうです。
テングス病はタケのほか、ソメイヨシノなどサクラ類、ツツジ、シイ、カシ、キリなどにも発生しますが、それぞれ病原菌は異なります。
テングス病は、長年放置されて人手が入らない竹林に多く発生するといいます。最近問題になっているナラ枯れ現象も里山に人手が入らなくなって増えましたが、自然に帰った筈の林が病原菌や害虫に犯されやすくなっているというのは、どうしたことなの