新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

セツブンソウ:節分草(見つけた!!八重咲き)

2007-02-27 09:00:27 | 植物観察1日1題

記録を見ると、寒かった去年は篠山にセツブンソウ(キンポウゲ科セツブンソウ属)を見に行ったのは雪の降る3月13日でした。(06年3月15日記事)
暖冬の今年は、もうずいぶん前から各地から開花の便りが届いています。
26日、この日も快晴で春を思わせる暖かさでした。行ったのは伊吹山の西山麓のさる。うちやられた畑やその縁は一面のセツブンソウでした。何でも伊吹山から流れ下る石灰質の土壌がこの草に適しているのだそうです。
直径2cmほどの小さく白い花の、花弁と見えるのは萼片で、花弁は退化して黄色い密腺となり、薄紫色の葯はこの密腺より長くなっています。
案内していただいた同行の友人が見つけたのが写真の10弁の八重咲きです。基本は5枚で、1枚程度多い少ないは必ずしも珍しくないようですが、倍の10弁とは大変珍しく、大発見にみんな興奮気味でした。

八重咲きセツブンソウ



フヨウ:芙蓉(残骸にも美)

2007-02-26 07:04:42 | 植物観察1日1題

真夏の太陽の下、大きい桃色の5弁の花で咲き誇っていたフヨウ:芙蓉(アオイ科フヨウ属)(05年8月11日記事)http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20050811の、果実の殻が残って冬日に光っています。
フヨウの果実は果で、直径約2.5cmの球形で、表面に長い毛が生え星状毛と腺毛が混じります。10~11月に熟して5裂します。この開いた殻はそのまま翌年まで枝に残ります。
春まだきこの頃、彩に乏しい景色ですが、枯れ残った草木にも面白い形が見えて退屈しません。

セイタカアワダチソウ:背高泡立草(枯れ穂に見出す美しさ)

2007-02-25 07:58:04 | 植物観察1日1題


アメリカ生まれの多年草で、戦後各地で日本全土を覆うばかりに繁茂し、一時は花粉アレルギーの元凶という濡れ衣まできせられ、疑い晴れたのちも今なお不人気なのがセイタカアワダチソウ:背高泡立草(キク科山ハハコ属)です。
よく目に付く草でありながら“むかご”が取り上げてこなかったのもそんなイメージのせいかもしれません。
散歩の途中ふと見かけたセイタカアワダチソウは、ため池の水面の青さを背景に白い綿のような枯れ穂を浮き立たせて、はっとするような美しさでした。
無意識のうちに敬遠していたこの草に申し訳ない気持ちになりました。

ヒマラヤユキノシタ:ヒマラヤゆきのした(やはりよそ者的な花)

2007-02-24 08:06:47 | 植物観察1日1題

庭にヒマラヤユキノシタ(ユキノシタ科ベルゲニア属)が咲いています。アフガニスタン、パキスタンからチベット
にかけて分布する常緑の多年草で、丈夫で寒さや乾燥に強く、基部は太くて短い棍棒状の根茎があり、地面を匍匐するようにして伸びます。庭の石組みや、鉢植えなどで育てられ、秋に株分けで殖やします。長さ20cmほどの葉は倒卵型で厚くて光沢があります。3~4月高さ20~30cmほどの花茎に淡紅色の花を多数固めてつけます。種間雑種ができやすいためいろいろな園芸品種ができています。
大岩軍配、大岩団扇、桜鏡などの日本的な別名がありますが、しっくりこないのかもっぱらヒマラヤゆきのしたで通っているようです。やはり外来種ということでしょうか。

クリ:栗(栗は冬芽より栗)

2007-02-23 06:26:02 | 植物観察1日1題

おなじみのクリ:栗(ブナ科ブナ属)の冬芽です。
この冬芽、よく見れば丸みのある三角形で、形も色も小さい栗の実に見えます。
芽鱗は3~4枚、枝の皮目は灰白色で沢山あります。葉痕は2列互生して半円形、維管束は多数あって少し見難くなっています。
やがてこの栗に似た芽が開き、葉をつけ、強烈な匂いの花から、イガイガに囲まれた美味しい栗の実へとつながってゆきます。

オニグルミ:鬼胡桃(鬼の芽にも防寒具)

2007-02-22 07:19:59 | 植物観察1日1題

谷沿いのオニグルミの冬芽を包む黄褐色のビロードのような毛が冬日を浴びて温かそうです。
頂芽は大きく裸芽で葉脈が見えて先端は鈍く尖ります。痕も大きくほぼT字型で維管束跡は3つのグループがあります。
5~6月、この芽が伸びて長さ50cmほどの大きい奇数羽状複葉となって開き、長さ10~20cmほどの緑の雄花序を垂れ下げ、上向きに濃赤色の花柱を持つ雌蕊を立てます。(06年6月1日記事)
この立派な冬芽は芽吹き時の豪快な葉と、それに続く花の展開を予感させています。

ウワミズザクラ:上溝桜(芽出しは早いが)

2007-02-21 07:16:11 | 植物観察1日1題

ウワミズザクラ:上溝桜(バラ科サクラ属)の冬芽がもう膨らんでいます。
丸く見える赤い落枝痕の横についた冬芽は無毛で、5~8枚あった芽鱗を押し開いて新芽が伸び始めています。この芽を失敬して切り割ってみたら、総状になった花芽がはっきりと認められました。この花芽が4月の末から5月初め頃にブラシのように見える白い花穂を作るのです。(05年5月6日記事)隣のヤマザクラの冬芽を見たら、まだ固く閉じたままでした。どうして花の遅いウワミズザクラの冬芽のほうが早く成長しているのか不思議です。


フジ:藤(紫の色を秘めて)

2007-02-20 18:45:31 | 植物観察1日1題

公園の藤棚のフジ:藤(マメ科フジ属)の冬芽です。
フジは別名をノダフジ:野田藤ともいい、ヤマフジに対するフジの総称で、いわばフジの日本純血種です。
江戸時代に、今の大阪市福島区玉川町付近に咲いていて「吉野の桜、野田の藤」といわれるくらい有名だった藤がノダフジの名の起こりになっています。
 冬芽は暗赤褐色、三角形~長卵形で、2~3枚の芽鱗に包まれます。今の段階では花芽か葉芽かは外見ではわかりません。葉痕は扁円形で維管束は3個あります。
今の時期藤の冬芽に注意を向ける人も少ないのですが、5月に開く紫の花は豪華で、まつわる話題も多く、ぜひ取り上げるつもりです。

キハダ:黄膚(中高の冬芽)

2007-02-18 07:58:42 | 植物観察1日1題

樹皮の内皮が鮮やかな黄色なのでこの名があるキハダ:黄膚(ミカン科キハダ属)は、噛むとやや甘い苦味のある内皮が、胃腸薬や外用薬に使われ、ことに関西一円では古くから家庭常備薬だった陀羅尼助の原料としてよく知られています。
キハダの冬芽は葉柄内芽といわれ、はじめは葉柄の基部に包まれていて、秋から冬、葉が落ちたあとに現れます。このため円錐形~半球形の冬芽がO字形~U字形の葉痕に囲まれて中央部に鼻高に出ています。維管束は3箇所冬芽を囲んでいます。


オオカメノキ(雪の降る前に) 

2007-02-16 07:14:13 | 植物観察1日1題

ムシカリとも呼ばれるオオカメノキ(スイカズラ科ガマズミ属)は、山地に生える落葉小高木ですが、近辺ではあまり見かけません。写真は昨年10月八方尾根の標高2千mを超える場所でとったものです。
冬芽は褐色の星状毛を密生し、維管束痕は3個あります。この冬芽、これから厳しい冬を迎えるというのに2個の葉芽(写真は角度の関係で1個しか見えない)に挟まれたやや平たい花芽がもう大きく膨らんでいます。
寒い冬を耐えて5~6月ころ枝先に直径6~14cmの散房花序をだし、中心部の小さい両性花を囲み、直径2~3cmの白い装飾花をつけます。(05年5月15日記事)

タラノキ:楤の木(美味なる予感、でも・・・)

2007-02-14 07:23:19 | 植物観察1日1題

道端にタラノキ:楤の木(ウコギ科タラノキ属)の冬芽を見つけました。まだ小さい若木ですが、立派に棘を持ち、冬眼の特徴もしっかり備えています。
大きい葉痕はV字~U字形で、維管束は1列に並び30~40個あります。円錐形の頂芽は大きく、小さい側芽がつきます。
若芽は香りがよく山菜として大人気ですが、最近の山菜ブームで芽が伸びるたびに摘まれて枯死する株も多いと聞きます。野生のタラノキの保護のために、芽の収穫は1回だけにとどめておきたいものです。

ネジキ:捩木(赤い塗箸) 2007.2.12

2007-02-12 07:29:16 | 植物観察1日1題

花の少ないこの時季の植物科観察はいきおい樹形、樹皮それに冬芽ということになります。なかでも冬芽はこの時季でなければ見られないうえ、よく見れば驚くほど面白い色や形をしているので楽しめます。
ネジキ:捩木(ツツジ科ネジキ属)の冬芽は、赤色の一年枝につき、卵形で長さ5~7mm、牙鱗は2枚向き合い、枝と同様に光沢ある赤色です。葉痕は2列互生して半円形、維管束痕は1個です。
光沢ある赤色の新枝と冬芽はヌリバシ(塗箸)、アカギ(赤木)、アカンボウ(赤ん坊?)など呼ばれ、生花の花材になります。きれいな色ですが枝葉ともに有毒といいます。
名のとおり幹は捩れよく分枝します。5~6月葉脇から長さ4~6cmの総状花序を出し米粒のような白い花を多数下向きにつけます(06年6月19日記事)。カシオシミ(貸し惜しみ)という変わった別名がありますが、由来はわかりません。ご存知の方はご教示ください。


ノキシノブ:軒忍(盛り上がる胞子嚢)

2007-02-11 07:31:40 | 植物観察1日1題

楠の大木の幹にはりついているのはノキシノブ:軒忍(ウラボシ科エゾデンダ属)です。
日本各地に分布。樹皮の上、岩や崖、墓石、家の屋根などに着生する常緑の多年草です。葉は根茎上に並び、長さ10~30cmの厚い革質です。
シノブという名のつく羊歯はいくつかあり、乾燥に強く土がなくても育つということからこの名があるといいます。
ノキシノブの名は、しばしば家の軒端にはえることから来ています。
写真に見るようによく目立つ盛り上がった胞子嚢が、目のようにしかも多数並ぶことからヤツメランの別名があり、ほかにマツフウランの名もあり、古歌にあるしのぶ草は本種であるといいます

ビロードシダ:天鵞絨羊歯(ビロードの肌) 

2007-02-09 06:51:54 | 植物観察1日1題

豊かな水と緑に恵まれた箕面の谷は、大阪湾から吹き上がる湿気の多い空気にも助けられて、草木だけではなくシダ類もことのほか多く、滝道だけでも約80種も生育しているといいます。
沢山目に付くシダですが、遊歩道の柵に生えているこの小さいビロードシダ:天鵞絨羊歯(ウラボシ科ヒトツバ属)は、教えてもらわないとなかなか気がつきません。
日本各地の岩上または樹上に着生する常緑の多年草で、葉の長さ6~10cm、厚くて革質、横に長く這う根茎からまばらに立ち上がります。
和名の天鵞絨羊歯は、葉に星状毛を密生し、ビロ-ドのような感じがあることにより、ビロードラン、ミルランなどともよばれます。

フヨウカタバミ:芙蓉傍食(野に出て盛ん)

2007-02-07 08:35:31 | 植物観察1日1題

家の前の道路の植え込みの端に桃色の花をつけているのが、フヨウカタバミ:芙蓉傍食(カタバミ科)です。
南アフリカの原産で観賞用に栽培される多年生草本で、直径1cmほどの卵形の鱗茎をつくって増えます。
わが国には明治の中ごろに花卉として渡来し、野外に逸出したものもあります。
春から夏にかけて直径4cmほどの白色~赤桃色で、中心が黄色い5弁花をつけます。
カタバミの多くが、始め観賞用に栽培されたものがいつの間にか逸出して野生化してますが、このフヨウカタバミも、家で鉢植えにしていたのが何かの都合で鱗茎が道路端にこぼれたもののようです。
家の鉢植えはとっくに消えてしまったのに、道端ではどんどん増えています。こんな形で本当に野生化してゆくということかもしれませんが、きれいな花だけに許してもらえるのかどうか複雑です。