新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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ホタルブクロ:蛍袋(巧妙な仕掛けで虫を呼ぶ)

2006-06-29 06:24:30 | 植物観察1日1題
子供たちがホタルを捕らえて花筒に入れて遊んだところからホタルブクロ:蛍袋と書くというのですが、それよりも提灯を意味する古語の“火垂る”を語源とするほうがより近いとの有力な説もあります。
ホタルブクロ(キキョウ科ホタルブクロ属)は、山野に生える高さ40~80cmの多年草で、茎や葉、萼に粗い毛があり、互生する葉は長さ5~8cmで、根生葉は花時には枯れてしまいます。
6~7月、白または淡紅色の釣鐘形の花を下向けにつけます。このように特殊な形をした花をつけるのは進化的に進んだ植物とされ、特定の送粉者との結びつきが強くなります。
雄性先熟で、蕾の段階で雄蕊は成熟して花粉を吐き出し、未成熟の雌蕊の花柱にべったりつきます。
やがて花が開き、訪れた蜂など昆虫たちはうつむいた花柱にしがみついて奥の蜜を吸うときに体いっぱいに花粉をつけます。この段階ではまだそこの雌蕊は未成熟で先端が閉じられたままなので受粉されません。花粉をつけた昆虫は花から花へと移るうちに、成熟して花柱の先端が3つに割れた雌蕊に行きあたると、そこで目出度く受精となります。自家受粉を避ける雌雄異熟というシステムです。
写真は少し失礼して下方からの盗撮です。内部にはすでに成熟し先端が3つに割れた花柱が覗いています。筒の内面には昆虫の足がかりになるまばらな毛が生えており、蜜源に到る蜜標が点々と描かれています。
学名のCampanyula 小さい鐘という意味のラテン語です。この仲間を英語ではベルフラワー、ドイツ語ではグロッケン・ブルーメ、いずれも鈴形の花の意味です。
ホタルブクロは萼片の間に3角形の付属体があり、上にめくれていますが、少し標高の高いところに生えるよく似たヤマホタルブクロは、付属体がなく、その部分がぷっくりと膨れているので区別できます。色の変化も多く、筒の先が開かないもの、筒が八重になったものなど多くの改良種があります。写真は庭で撮りましたが、区別点から見るとヤマホタルブクロの系統に属することになります。