新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ハタザオ:旗竿(旗竿は真っ直ぐ)

2008-05-31 07:30:51 | 植物観察1日1題

ヤマハタザオ、ハクサンハタザオ、イブキハタザオなどハタザオの名がつく草を見て、何で旗竿なのかといぶかしく思っていましたが、元祖?ハタザオ:旗竿(アブラナ科ハタザオ属)を見て納得しました。本家のハタザオは、文字通りほとんど枝分かれしない茎に、寄り添うように、上部の葉、花、果実がつき、全体が真っ直ぐな棒のように見えます。
各地の山地の草原や海岸の砂地に生える越年草で、茎は単一、高さ70cmぐらい、下半部だけ有毛で、苗は根生葉が束生してロゼット状になります。花は初夏、黄色をおびた白色、長角果は長さ4~6cmになります。

クチナシグサ:梔子草(名の由来で納得) 

2008-05-30 06:09:49 | 植物観察1日1題

名前を音で聞いただけでは何のことか分からず、由来と漢字名を知れば忘れることがない草が、クチナシグサ:梔子草(ゴマノハグサ科クチナシグサ属)です。
萼に完全に包まれた果実の形がクチナシ(梔子)のそれに似ていることで、この名がついています。
日当たりのよい草地や林内に生える、これも半寄生の2年草で、茎は地を這って長さ10~35cmになります。
花は初夏、葉腋につき、淡赤色、花冠は長さ10~13mmの唇形、上唇の先は2裂して反り返ります。
別名にカガリビソウがあり、こちらは赤い若葉をかがり火に見立てたものです。

カナビキソウ:鉄引草(楽をするが用心深い)

2008-05-29 07:13:58 | 植物観察1日1題

箕面の山中で見かけたカナビキソウ:鉄引草(ビャクダン科カナビキソウ属です。
山野の日当たりのよい草地に生える多年生の半寄生植物です。葉緑素を持ち自分で養分を作るのに、他の植物に寄生する、用心がよいのか、ぬけめがないのか分からないタイプの草です。
茎の高さは15~25cm、葉の長さ1~3cm、花は春から晩春にかけてで、外面は淡緑色、内面が白色の小さな花を1個ずつつけます。葉のような形の苞1個と、小苞2個があります。

オオツクバネウツギ:大衝羽根空木(不ぞろいな羽根)

2008-05-28 07:11:58 | 植物観察1日1題

ツクバネ、コツクバネときて、次はオオツクバネウツギ:大衝羽根空木(スイカズラ科ツクバネウツギ属)です。
ツクバネウツギとよく似ていますが、区別点はいくつかあります。
ツクバネウツギが生えるような里地では見られず深山で見られます。花もツクバネウツギより大きく、5個の萼片のうち、1個が非常に小さいか、欠けるのが特徴です。
写真は、湖北朽木の蛇谷ケ峰でのものです。

コツクバネウツギ:小衝羽根空木(少ない羽根)

2008-05-27 06:26:56 | 植物観察1日1題

昨日のツクバネウツギ:衝羽根空木に似ていて、花期も同じなのがコツクバネウツギ:小衝羽根空木(スイカズラ科ツクバネウツギ属)です。
ツクバネウツギは名前の由来である萼片が5個あるのに対し、本種は2~3個なので容易に区別できますが、
名のとおりツクバネウツギより花が小さく、色が黄色であることも区別点になります。キバナコツクバネの別名もあります。
本種は種内の変異がいちじるしく、花の色、葉の大きさ、毛の様子などによって多くの変種が記録されているそうです。写真の花もかなり黄色が勝っています。愛媛県の特産にキバナツクバネウツギというのがあるそうですが、多分そこまでは行かないと思います。

ツクバネウツギ:衝羽根空木(正月まで残るかな)

2008-05-26 06:59:55 | 植物観察1日1題

低地では終わったツクバネウツギ:衝羽根空木(スイカズラ科ツクバネウツギ属)が、すこし高いところではまだ咲いていました。
山地に普通に見られる落葉低木で、高さは2mほどになります。
名前の由来は、果実の先端に5個の萼片が宿存し、羽根つきの羽根(衝羽根)に、また木の姿がウツギ(空木)に見えることからきています。
花は5月ごろ、枝先に長さ2~3センチのクリーム色の筒形花を2個ずつつけ、花の内側には黄赤色の網目状の模様が入ります。
別名はコツクバネで、ビャクダン科のツクバネに対する古い語です。

スズラン:鈴蘭 (このあたりでは珍しい自生)

2008-05-25 07:23:58 | 植物観察1日1題

奈良県桜井市嵩方地区に自生するスズラン:鈴蘭(ユリ科スズラン属)を見てきました。
高原の草地などに多い多年草で、毒草なので牛馬が食べず、牧草地などに群生して、本場ではあまり見向きもされない厄介者となっているスズランですが、自生が珍しい関西では、キミカゲソウ(君影草)の別名とともに、可憐純情な花として見る人の思いもまた格別です。
葉は普通根元に2個つき、花は長さ6~8mmで、よい香りがします。庭によくあるドイツスズランと違い、花茎は葉より低くなります。ちょっと失礼して、ローアングルで花を撮らしてもらいました。
ここのスズランは、地元のNPO「山野草の里作りの会」により保全されています。すぐ隣の奈良市都祁吐山町と宇陀市室生区向淵のスズランは南限自生地として国指定の天然記念物となっていますが、熊本県阿蘇市や岡山県などにも南限を自称するところがあり、必ずしも奈良県が南限とは限らないようです。
EICの環境用語の“自生地”に「生育が特殊な環境に限定された種の場合、自生地の縮小、分断、孤立、消滅と進行し、地域個体群さらには種の存続自体が危険となる」とありました。当地では絶滅寸前と危惧されるここのスズランを守る方々のご努力に感謝です。

ツルキジムシロ:蔓雉蓆(キジが座る) 伊吹北尾根の花々(終)

2008-05-24 07:07:52 | 植物観察1日1題

キジムシロ:雉蓆(バラ科キジムシロ属)は丸く広がる株を、キジが座る筵に見立ててこの名があります。この仲間は、黄色の5弁花が多く、萼片の外側に副萼片があるのが特徴ですが、花はいずれもよく似ていて、小葉の数や、毛の有無、匐枝の有無などが区別点となります。
伊吹山のキジムシロは、中腹以下ではキジムシロ、以上山頂まではキジムシロより小形で、イチゴノのようにランナーをのばすツルキジムシロが繁茂するとされています。
写真は、山頂下の駐車場付近でのものでランナーがあり、ツルキジムシロと見立てました。


イブキハタザオ:伊吹旗竿(毛深さで判定)  伊吹北尾根の花々⑦ 

2008-05-23 06:52:55 | 植物観察1日1題
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5月の伊吹山のいたるところに咲く白い花は、イブキハタザオ:伊吹旗竿(アブラナ科ヤマハタザオ属)です。
母種のハクサンハタザオは、白山だけではなく、いたるところに生えていておなじみですが、変種のイブキハタザオは草丈10~30cmの多年草で、茎や葉に白い星状毛を密につけるのが特徴です。
伊吹山で最初に発見されたのでこの名があり、山頂付近の日当たりのよい岩場などを彩っています。

イブキガラシ:伊吹芥子(ヤマガラシとも)伊吹北尾根の花々⑥ 

2008-05-22 06:52:17 | 植物観察1日1題

伊吹山ドライブウエイ沿いに、一面の黄色い花をつけていたイブキガラシ:伊吹芥子(アブラナ科ヤマガラシ属)ですが、頂上付近になるとまだほとんど蕾でした。
山地の礫地や、湿った草原に生える多年草で、高さ20~30cm、根生葉は羽状に中~全裂し、頂小葉は丸くて大きく、茎葉の基部は茎を抱きます。花序は多数つき、花後に伸びます。
イブキガラシは、ヤマガラシの変種と考えられていますが、見分けは困難とされます。ここは素直に、伊吹山に生えているからイブキガラシとしましょう。

ヒメレンゲ:姫蓮華(蓮の花に似る葉) 伊吹北尾根の花々⑤ 

2008-05-21 06:55:08 | 植物観察1日1題

伊吹北尾根の登山道の岩の間にひっそりとヒメレンゲ:姫蓮華(ベンケイソウ科キリンソウ属)が黄色い星形の花をつけていました。コマンネンソウともいい、山地谷沿いの湿った岩の上などに生える多年草です。
花期は5~6月、茎の先に直径1cmほどの黄色の花を多数つけます。花弁は5個、雄しべは花弁より短く、花粉を出す前の葯の色は赤色です。花後送出枝をだし、先端にロゼットをつけて越冬します。和名の姫蓮華は、葉の群がりを蓮の花に見立てたものとされていますが、この形を指しているのではないかと思います。
図鑑では」雄しべ10個は2列に並ぶとありますが、写真ではうまく写せていません。しかしある図鑑に載ったヒメレンゲの写真の撮影場所は伊吹山となっていましたので、変な自信を持って取り上げました。

サンカヨウ:山荷葉  伊吹北尾根の花々④ 

2008-05-20 06:53:19 | 植物観察1日1題

すこし高い山に咲く花は、うまく花期に合わないとなかなか見る機会がありません。サンカヨウ:山荷葉(メギ科サンカヨウ属)も、夏山では何回かきれいな藍色の果実を見ておなじみなのに、花を見たのは今回の北尾根が初めてでした。
本州鳥取大山以北、北海道の深山の木陰に生える多年草で、高さ30~50cmとなり、葉は茎の中部くらいから上に楯状に2個つき、幅20~35cmの広腎臓形で2深裂し、不ぞろいな鋸歯があります。
花は6~8月、散房花序に3~10個つき、萼片6個、雄しべ6個、白い花弁も6個です。伊吹北尾根では花はあらかた終わっていて未熟な果実となっていましたが、ひとつだけ発育不良のような小さい草に、花が残っていました。
和名の山荷葉は、漢名から来たといわれますが、その漢名は本種ではないといいます。


ツクバネソウ:衝羽根草(変わった雌しべの形) 伊吹北尾根の花々③

2008-05-19 06:46:39 | 植物観察1日1題

写真を撮って帰って、図鑑で調べてみると、写っている姿がそのまま図鑑の説明にあると、当たり前にしても嬉しくなります。伊吹北尾根で見たツクバネソウ::衝羽根草(ユリ科ツクバネソウ属)もそんな花でした。
山地の樹下に生える多年草で、高さは15~40cm、葉は4個が輪生し、長さ4~10cmの長楕円形で先は尖ります。
花期は5~8月、花は輪生した葉の中心から出た花柄の先に1個つきます。萼片は披針形で4個、花弁はなく、雄しべは8個、めしべは1個で赤紫色、花柱は長くて、4個に分かれます。
果実が黒く熟し、輪生した葉の上につく姿が羽根つきの羽根に似ているのでこの名があります。

ヤマブキソウ:山吹草(非で似たるもの) 伊吹北尾根の花々②

2008-05-18 07:20:46 | 植物観察1日1題

名だけは知っているが、初めて出会ったのに、ああこれだとわかる草のひとつは、ヤマブキソウ:山吹草(ケシ科クサノオウ属)です。
山地の樹下に生える多年草で高さは30~40cmになります。ヤマブキに似た草花ということでこの名がついていますが、意外にもクサノオウと同属で、柔らかな茎葉をもち、茎葉には黄色の液を含んでいます。
4~5月、頂部葉腋の各節に4cmくらいの花柄を持った黄色花が1~2個つきます。花は4個の花弁からなり、花径は3~4cm、雌しべ1個、雄しべは多数です。
本物のヤマブキ木本では花は5弁、こちらは草本で花は4弁、基本的な要素が違うことを感じさせないほど、よく似たものどうしです。


ヤマトグサ:大和草(日本人による日本の草)伊吹北尾根の花々① 

2008-05-17 07:18:23 | 植物観察1日1題

5月15日、仲間と伊吹北尾根に花々を訪ねた日は、素晴らしい五月晴れで、山頂付近から滅多に見られない白山、御岳、さらには乗鞍など北アルプスの山々まで遠望されました。何回となく登った伊吹でも初めての経験でした。(この景色は「むかごの高槻」でご覧下さい)
その伊吹北尾根で見かけた花々のいくつかをシリーズで取り上げます。
草の間に、見過ごしそうになるのが、ヤマトグサ:大和草(ヤマトグサ科ヤマトグサ属)の花です。
名前からしてそれと分かるように、日本特産種で、日本人によって初めて学名をつけられた植物ということで、大和草(日本草の意)の名があります。命名者は牧野富太郎と大久保三郎です。
林の下などに生える多年草で、高さは15~30cm。長さ1~3cmの卵形の葉を対生します。
花期は4~5月、雌雄同株で、花には花弁がなく、雄花はくるりと巻いた3個の萼片があり、多数の雄しべが垂れ下がります。雌花も花弁はなく2mmほどのU字形の花柱があるだけで、小さくて肉眼では目立ちません。
垂れ下がった雄しべが風に揺れます。それもそのはず、ヤマトグサは風媒花なのです。