新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

記事のタイトルを入力してください(必須)

2011-01-30 10:33:18 | 植物観察1日1題

クラウンゴール 1月30日
冬枯れの山道を歩いていると、葉を落としたコナラの枝に大小のこぶがたくさんついているのを見かけました。
土壌中のアグロバクテリウムという細菌が植物の根の上部や茎に侵入、感染した植物のホルモンのバランスが崩れ、細胞が無秩序に増殖してできるガンのようなこぶ状の腫瘍で、クラウンゴールと呼ばれています。
この細菌が植物細胞に送り込む遺伝子の間に、他の遺伝子をはさみ込んでおけば、一緒に送り込んでくれるので、最近のバイテクで、この細菌の力を借りて、有用植物の形質転換などを行なっているそうですから、こわい発癌物質的細菌も、使いようで大いに役立つという面白い例です。

セイヨウタンポポ:西洋蒲公英(厳冬下の繁殖)

2011-01-26 10:23:08 | 植物観察1日1題

雪が残る亀岡市の堤防で見かけたセイヨウタンポポ:西洋蒲公英(キク科タンポポ属)です。寒風の中で1本だけ綿毛をつけた種子が残っている形が面白くて写真に収めました。
春だけではなく、夏でも冬でも開花、結実して多数の種子を散布するセイヨウタンポポは、
それ以外にも繁殖に有利な様々な性質をもち、各地で勢力範囲を拡大しています。1990年代ごろから各地に在来タンポポとの雑種とみられる個体が見つかるようになり、その後も交雑が進行しているとされています。
雑種が多くなった現在では、以前のようにタンポポの同定で、「総苞外片が反り返っていればセイヨウタンポポ、反り返っていないとカンサイタンポポ」などと単純に判断することができなくなっており、さらに最近の調査では、雑種タンポポ(3倍体、4倍体)の中で総苞外片の反り返りの程度の少ないものほど雑種の割合が高いとの報告もあるとのことですから、素人にはますますややこしく、ここではカンサイタンポポではなさそうだからセイヨウタンポポとしているお粗末な次第です。

パッションフルーツ:果物時計草(キリスト受難の果物) 

2011-01-23 08:37:52 | 植物観察1日1題

植物園の温室にパッションフルーツ(トケイソウ科トケイソウ属)が実っていました。
500種もあるというトケイソウの仲間の1種で、果実が食べられるのでクダモノトケイソウの名もあります。
トケイソウの別名パッションフラワーはあまり知られていませんが、クダモノトケイソウの方は、むしろ別名のパッションフルーツで知られています。そのpassionですが、原義は、苦しむ(pass)、こと(ion)で、そこから“キリストの受難”を意味する言葉となり、さらにはトケイソウの花の房柱を十字架、3つに分かれた雌蕊を釘、副花冠を荊冠、5枚の花弁と萼片を合わせて10人の使徒、巻きひげを鞭、葉を槍に見立てて、キリスト受難の花、信仰の象徴になったといいます。
まだ味わったことのないこの果実ですが、生のままスプーンですくって種ごと食べることが多く、ジュースやジャムにもなるそうです。最近は認知症や歯周病の予防に薬効があるとかで注目を集めているとの話もあります。

ウスギモクセイ:薄黄木犀(冬にも咲く木犀) 

2011-01-21 09:18:20 | 植物観察1日1題

寺院の庭園に、モクセイのような木が薄黄色の花が咲いていました。
以前、ふつう実をつけないモクセイが実をつけているのを見かけ、ウスギモクセイとして取り上げたことがあります。(08年1月11日記事)この木は普通のキンモクセイ、ギンモクセイと同時期に咲いていたので、冬に咲いているこのお寺の木はなんだろうと思っていたところ、ある本に、ウスギモクセイ(モクセイ科モクサイ属)は2期咲きで、春にも咲くのでシキザキモクセイの名があるとあったのでこれだと得心しました。
鹿児島、熊本地方に自生し、花色は淡く、香りも少ないモクセイです。

ハツユキカズラ:初雪蔓 (初雪も冬は紅色)

2011-01-20 09:12:39 | 植物観察1日1題
ハツユキカズラ:初雪蔓(キョウチクトウ科テイカカズラ属)は、テイカカズラの斑入り園芸種で、濃い緑の葉に白い斑が入るのを、うっすらと積もった初雪に見立ててこの名がります。
丈夫な木本性蔓植物で、冬も葉を保ちますが、寒さが増すにつれて白い斑の部分が紅色をさし、それはそれで美しく見えます。
初雪蔓に雪が積んで、紅色の葉がくっきり見えていました。


ハボタン:葉牡丹(人気は小形へ)

2011-01-18 08:31:48 | 植物観察1日1題

ハボタン:葉牡丹(アブラナ科アブラナ属)は、重なり合う葉がボタンに似ていることからきていますが、原種は結球しない系統のキャベツ(アブラナ科)に属します。
江戸時代にヨーロッパから入り観賞用に品種改良されたもので、観賞期も長く、花の少ない正月の花壇や鉢植えに欠かせないものになっています。
葉が丸く寒さに強い東京丸葉系、葉が縮れる名古屋ちりめん系、その中間の大阪丸葉系から、さらに切れ込みの多いサンゴ系、クジャク系や、紅白のカンザシ系など多彩な品種が生まれています。
また最近では、本来の多年草の性質を利用して、枝分かれして長く伸びた古い茎にいくつもの小形のハボタンがつく“踊り葉牡丹”系の人気が高まっています。
前回の記事、「縮み」志向現象は、葉牡丹でも生じているようです。
写真は、古い茎が短めで“踊り”というほどではありませんが、枝分かれした昨年の茎に1株あたり数個の葉牡丹がついています。

ガーデンシクラメン(ミニに回帰)

2011-01-16 10:42:58 | 植物観察1日1題

李 御寧の“「縮み」志向の日本人”ではありませんが、ユリ、ツツジ、ツバキ、アジサイなど日本から移出された原種が、西洋で大きく豪華に改良されて逆輸入されても、日本では必ずしも人気品種になるわけでもありません。
同様に、最初珍しい花、豪華な花を追い求めるガーデナーも、やがては落ち着いたものやミニのものに好みが移ってゆくことが多いようです。
最近人気のあるガーデンシクラメン(サクラソウ科シクラメン属)もその1例でしょう。
シクラメンは主として地中海東部に自生する原種(09年12月14日記事)がヨーロッパに渡り、19世紀に栽培と改良が盛んに行われ、今日の多彩なシクラメンに繋がりましたが、本来は花も葉も小さいものです。
その性質を受け継ぎ、庭で栽培できる強さを持つ品種がガーデニングシクラメンとして売られているものといいます。ほかに特に耐寒性が強いミニシクラメンという品種もあるそうですが、外観上は見分けが難しいそうです。写真は園芸店の名札通りガーデニングシクラメンとしました。



コケサンゴ:苔珊瑚 (珊瑚の玉) 

2011-01-12 09:07:28 | 植物観察1日1題

初めて見かけた植物の名前がわからずいつまでも気にかかっていたのを、ずいぶん後になって書物などで分かったときは、もやもやが晴れた気分ですっきりします。
大阪の路地裏の長屋風の軒先の、びっしりと小さく赤い実がついた鉢植えも、そんな一つでした。
それは中南米~ニュージランド原産でクササンゴ:草珊瑚(アカネ科ネルテラ属)という匍匐性の植物でした。
花は小さくて緑を帯び、目立ちませんが、秋に熟す実は6~7㎜で葉より大きく、名の通り珊瑚の玉のようです。
現地の高山では一面地を覆って、クッションプラントの感じになるといいます。
人々が行きあう下町の路地脇に置かれた雑多な鉢植えの中で、コケサンゴの赤い実は異国の雰囲気を保って目立っていました。

マンリョウ:万両(日陰に生きる)

2011-01-10 14:54:30 | 植物観察1日1題

朝起きると庭のマンリョウ:万両(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)に薄っすらと雪が積もっていました。
千両、万両でお正月のめでたい木としておなじみですが、なぜ千両や万両なのか、どこでお金と結びつくのかは定かではありません。湯浅浩史氏によると、マンリョウの名は江戸後期になって書物に顔を出し、それも、まんりょう、まん里りゃう、万里りゃう、万量、まん竜など多様に綴られたのち万両に落ち着いたそうです。例によって植木屋さんが売りやすい名前にしたということでしょうか。
マンリョウの木を見ると、この木独特の形をしていることに気が付きます。今の時期なら頂端に一つだけ冬芽があり、下の一年生の枝は葉ばかりで側枝がなく、その下の2年生の葉はほとんどおちて、先端には赤い実がついています。
マンリョウの新しい茎は必ず前年に伸びた茎の頂端に1本だけ出て、前年の茎の途中からは伸びないようです。また新枝が出てもそれ以上分枝せず、翌年に2年生の2次側生枝に花をつけ稔ります。この実が付いた枝は風に吹かれたり日陰になって枯れて落ちるのではなく、実が食べられたり落ちたりすると落ちるといいます。
マンリョウの茎はほとんど肥大することがなく、上へ伸びるだけですが、それも限界があり、枯れた後、地中部から新しい茎が伸び出すことがあります。それやこれやは、この木が日陰で生活することに適した形をとっているのではないかと思われます。

トックリキワタ:徳利木綿(見れば納得の名前)

2011-01-05 10:31:27 | 植物観察1日1題

鶴見の“咲くやこの花館”で咲いていたのがトックリキワタ:徳利木綿(パンヤ科)です。
同じ科には熱帯果樹のドリアンや星の王子様で有名なバオパブの木があります。
南米ブラジル~アルゼンチン原産で、1963年天野鉄夫氏によってボリビアから初めて種子輸入されました。花は大きく径12~15㎝で色も鮮やか、葉も落ちないので、沖縄では花の少ない時期よく目立つといいます。
この変わった名前は、成木になると幹が太く徳利状に膨らむことと、紡錘状の果実の中に長い綿状の繊維に包まれた種子が多数包まれていることからきています。この繊維はパンヤといわれ、手触りが柔らかく暖かいので枕、クッション、救命胴衣などの詰め物に使われています。

ユキワリコザクラ:雪割小桜(一足早い春に出会う)

2011-01-03 10:28:09 | 植物観察1日1題

大阪市鶴見緑地公園内の”咲くやこの花館“で一足早くユキワリコザクラ:雪割小桜(サクラソウ科サクラソウ属)が名前の通りの可憐に咲いていました。
高山の雪が解けるとすぐに花を開くというユキワリソウの仲間で、北海道、東北、千島に分布します。
葉は広卵形で、縁はしばしば裏に巻き込み、長い葉柄は基部で急に細くなります。葉の縁には波状の鋸歯がありますがあまり目立ちません。
図鑑ではユキワリソウは日本の固有種とありますが(日本の高山植物:山と渓谷社)昨年済州島で見かけた花も現地の案内人からユキワリソウと説明を受けました。(10年6月8日記事)


ヒマラヤの青いケシ(年中咲かせる“咲くやこの花館” 

2011-01-01 00:47:59 | 植物観察1日1題



出番待ちの苗

明けましておめでとうございます。
今年もどうかよろしくお願いします。
大阪市鶴見緑地公園内の”咲くやこの花館“では、一年中にヒマラヤの青いケシ科メコノプシス属)が咲いています。
この属名がそのまま園芸名としても通用するので、特に和名は定められてなく、俗称「ヒマラヤの青いケシ」にちなんだアオイケシでとおっています。
発芽率が低く、生育環境も極めて限られていて栽培が非常に難しいことで知られていますが、ここ“咲くやこの花館”では、休眠庫、屋内人工気象室、屋外人工気象室などで約70日間もかけて国内では例を見ない開花調整をし、常時継続して各成長段階の苗を育てることで通年開花を実現しています。
温室内なら当たり前と思う冬のアオイケシの花には、裏方を務める館員の方の涙ぐましいまでの努力が秘められているのです。