新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

キツネノカミソリ:狐の剃刀(名前の由来は葉)

2008-03-29 06:36:54 | 植物観察1日1題

道端に彼岸花に似た細長い葉を出しているのはキツネノカミソリ:狐の剃刀(ヒガンバナ科ヒガンバナ属)です。ヒガンバナよりは葉色が白っぽく葉幅もすこし広くなっています。和名は、春先に伸びだして、7~8月の花どきには枯れてしまうこの葉の形からきているそうですが、どこが似ているのかといわれると答えに窮しそうです。
夏、葉が枯れた後、花茎が伸びて高さ30~50cmになり、オレンジ色の花をつけます。
全国に広く分布し、原野や山麓に生える多年草ですが、当地ではキツネノカミソリより、花が大形で、雄しべが花より長くて外に突き出るオオキツネノカミソリのほうが多いようです。(05年8月7日記事)

ダンコウバイ:檀香梅(鬱金の名がぴったり)

2008-03-27 08:22:41 | 植物観察1日1題

木々の冬芽は膨らんでいるものの、まだ芽吹きにはすこし早いというこの時季、色彩の乏しい落葉樹林に、一角だけ黄色く色づいたところが目を引きます。
ダンコウバイ:檀香梅(クスノキ科クロモジ属)が、衆に先がけて鮮やかな黄金色の花を枝一面につけているのです。
山地に生える落葉小高木で、高さ3~7m、葉は互生し、長さ5~15cmの広卵形で、ふつう浅く3つに切れ込み、特徴ある形になります。
雌雄別株で、花期は3~4月、雄花は6~7個ずつ、雌花は5~6個ずつ集まってつきます。よく目立つ金色の花からウコンバナ(鬱金花)の別名もあります。
花も葉もよく目立つダンコウバイ、何回目かの登場となりました。

コショウノキ:胡椒の木(頂けない和名)

2008-03-25 06:33:05 | 植物観察1日1題


谷筋の道端の岩場にコショウノキ:胡椒の木(ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)の白い筒状花を見つけました。友人の情報で付近を捜しあぐねていた末の出会いは感激ものでした。
暖地の山地に生える常緑の低木で、高さは1mほどになり、長さ6~10cmの倒披針形の葉は枝先に集まって互生し、やや厚くて光沢があります。
雌雄別株で、1~4月枝先にジンチョウゲに似た白い花を10個ほど集まってつけます。
清楚で控えめな純白の花をつけ、芳香を放つこの木は、春まだき、花の少ない野山で、まるで貴婦人のような気品があります。
それにしては、初夏に赤く熟す果実が非常に辛いからとしてつけられたコショウノキの和名はこの花には不似合いです。
ただ、学名がDaphne kiusiana で、ダフネはアポロに追いかけられ月桂樹になったギリシャ神話の娘と知って、この木のためにすこしほっとしています。
道端につつましやかに咲くこの花、心無いハイカーたちに見つかって折られたりしなければよいのですが。

セリバオウレン:芹葉黄蓮(雌か雄か両性か)

2008-03-23 09:27:54 | 植物観察1日1題



篠山市郊外の竹やぶの縁にセリバオウレン:芹葉黄蓮(キンポウゲ科オウレン属)が沢山咲いていました。よく見ると同じように見える花の形がすこし違っているグループに分かれます。
帰って調べてみると、図鑑によって①両性花と雄花がある②雌雄異株と同株がある③雌雄異株で雄花には雄しべが多く雌花には雌しべが多い、などと表現が異なっています。
写真で雄花と思われるのは花弁状の萼片が5個、雄しべは多く葯は白色ですっきりしたきれいさです。
別に目立つ雌しべが赤っぽい小豆色のと緑っぽいとの2つのグループがあります。いずれもはっきりとした雄しべがあるので両性花と思われます。
いくつか写真を撮って帰りましたが雌しべだけの雌花というのは見つかりませんでした。
図鑑によって異なる花の形、素人観察者には、この小さい花にも色々の工夫があるということだけでも知ればよしとしましょう。

イタビカズラ:つるに生るイチジク

2008-03-21 06:32:42 | 植物観察1日1題

お寺の土蔵に這いついたイタビカズラ(クワ科イチジク属)の実(果嚢)が生っています。
暖地に生える常緑のつる植物で、枝から気根を出して他物にはいのぼります。
葉は互生し、長さ10cm内外の長楕円状披針形で先は尖り裏は白っぽくなります。
6~7月葉の付け根にイチジクを小さくしたような緑色の花嚢をつけます。花嚢は直径5~6mmで中にはびっしり小さな花が入っています。雌雄別株ですが外からは区別できません。
イチジクの仲間なので、イヌビワのように特定の蜂と絶対的共生関係を持って、相互に利用しつつ子孫を残します。イタビはイヌビワの別名だそうですが、板碑(卒塔婆?)に絡みつくからという説もあります。
仲間のオオイタビの大きい実は熟すと甘く美味しいそうですが、イタビカズラの実が食べられるかどうかはどの本にも書いていません。このお寺のイタビカズラも高いところにあって試しようもないのは残念です。

スズシロソウ;蘿蔔草(古語で得)2008.3.20

2008-03-19 07:07:41 | 植物観察1日1題

春の花がまだ咲きださない寂しい道端にスズシロソウ;蘿蔔草(アブラナ科ヤマハタザオ属)の小さく白い花を見つけました。
山地の谷沿いに生える多年草で、高さは10~25cm、根生葉は倒卵状へら形で長さ3~7cm、茎葉は1~2cm、粗い鋸歯があります。
総状の花序に白色の4弁花を開きます。花後走出枝を出します。
花がダイコンに似ていることからスズシロ草の名がついています。別にダイコンソウという名のバラ科の草があります。どちらの名が先についたのかは知りませんが、古風で響きのよい古語をもらったスズシロソウのほうが随分得をしているようです。

オトコヨウゾメ:(不思議な名前)

2008-03-18 18:25:52 | 植物観察1日1題

オトコヨウゾメ(スイカズラ科ガマズミ属)の冬芽が今にも開きそうです。
山野の日あたりのよいところに生える落葉低木で、高さは1~3mになります。冬芽の芽鱗は黒紫色~暗紅色でつやがあり無毛です。若い枝は赤みを帯び、古くなると灰黒色になります。
5~6月枝先に薄紅色を帯びた白い花を5~10個ずつ垂れ下がってつけます。
この変わった名前の由来は定かではありませんが、ガマズミ類をヨソゾメ、ヨツゾメなどと呼ぶ地方があり、ガマズミ似ていて、本種の果実が細く痩せていて食用にならないことから男を冠してオトコヨウゾメとなったのではないかとの説があるそうです。
16日に取り上げたガマズミの冬芽が粗い毛に包まれているのに、オトコヨウゾメの芽鱗は無毛です。毛深くないほうがオトコと呼ばれるのはちょっと不思議です。

ガマズミ:莢迷(粗毛に包まれた冬芽) 

2008-03-16 07:30:57 | 植物観察1日1題

ガマズミ:莢迷(スイカズラ科ガマズミ属)の冬芽が膨らんでいます。先端に頂芽を1個つけ、側芽は対生し、粗い毛に包まれています。山野にふつうに生える落葉低木で、高さ2~4mになります。葉の両面とも毛があり、とくに脈上に多く、裏面には全面に腺点があるので、別名もアラゲガマズミとなっています。
よく見ると芽鱗の間からわずかに赤みを帯びた葉芽が顔を覗かせています。
やがて白い花を咲かせるガマズミですが、内に秘めた色素は、秋に熟す真っ赤な果実のそれのようです。

フクジュソウ:福寿草(サンルームで遊ぶ蜂)

2008-03-14 08:52:04 | 植物観察1日1題

積雪で遅れていたポンポン山西尾根のフクジュソウ:福寿草(キンポウゲ科フクジュソウ属)が一斉に開き始めました。
蜂が忙しく花を巡っています。フクジュソウは、落葉樹の林下で、陽光を浴びて温度が上がると開きます。光沢のある花びらはパラポラアンテナのように太陽光を集めて、花の中は外気より10度ほども暖かくなります。花には蜜がありませんがハナアブの仲間が黄色を目印に訪れ、日光浴をしながら花粉をなめていくという仕掛けになっているそうです。
フクジュソウは萼片と花弁の区別がはっきりせず、萼片は外側の濃褐色から内側に向かって次第に黄色くなります。萼片と花弁との未分化はモクレン類にも見られ、一般に初期段階の花の特徴とされてます。
また、めしべを作る心皮が合着せず、一枚ずつバラバラで沢山あります。これはキンポウゲ科の特徴で、原始的な花では1心皮内の胚珠が多いのですが、フクジュソウやケキツネノボタンなどは子房内の胚珠が1つで、そのかわりに子房数を多くして、1花の種子を増やしています。
無心に咲いているこの春の使者を見ている間、それやこれやの話は念頭から離れてしまっていました。

セツブンソウ:節分草(雪間の春)

2008-03-12 17:27:36 | 植物観察1日1題

3月8日仲間と丹波篠山へセツブンソウを訪ねました。
雪の多かった今年は、まだそこかしこに残雪がありました。例年なら同じ時期に咲くキクザキイチゲ、アズマイチゲなど仲間のスプリングエフェメラル(春の儚い命)たちは、花にはすこし早いようでしたが、セツブンソウ:節分草(キンポウゲ科セツブンソウ属)だけは、名のとおり節分の頃に咲く花とあって満開でした。
山地の木陰などに生える多年草で、多くは石灰岩地に群生します。葉は5角形の各片に中央部が深く切れ込んだ形で各裂片は羽状化し、花の下には切れ込みのある輪状の総苞葉があり、上に1花をつけます。5枚の白い花弁と見えるのは萼片で縦しわがあります。花弁は退化して黄色の蜜腺になっており、薄紫色の葯はこの花弁(蜜腺)より長くなっています。中心の紫と黄色が白い花弁によく似合っています。
ここ3年、毎年セツブンソウを訪ねて春の息吹に触れるのを楽しみにしています。この“むかご”
も3年連続の出稿となりましたが、雪間に咲く今年のセツブンソウも気に入っています。
06年記事
07年記事

ユキワリイチゲ:雪割一華(雪を割る紫の花)

2008-03-10 06:09:03 | 植物観察1日1題

この何年か、早春に丹波篠山に咲く花を訪ねるのが慣わしになっています。
その中のひとつユキワリイチゲ:雪割一華(キンポウゲ科アネモネ属)は、晩秋に新葉を出して冬越しし、雪の中にすでに芽を出していることから"雪割り“の名があります。
今年は篠山の郊外でも雪が多かったとか、8日に行ったときもそこかしこに残雪がありました。雪割りといっても、雪に埋もれていては花も遅いらしく、いつもの場所のユキワリイチゲは葉はあってもほとんどは蕾でした。
たまたま昼食に立ち寄ったレジャー園地内の小川沿いに陽を受けて開花しているユキワリイチゲに出会いました。花弁と見える萼片が紫色を呈するのでルリイチゲの名もあるこの草ですが、陽が当たらないと開花しません。色を見て、そういえばこの草を何回も見ているのに紫色の“花びら”をばっちり見たのは初めてだったのに気がつきました。

ミゾコウジュ:溝香薷(大阪では絶滅要注目種)

2008-03-08 06:59:37 | 植物観察1日1題

万博公園森の舞台の周りの湿地にミゾコウジュ:溝香薷(シソ科アキノタムラソウ属)のロゼット状の根生葉が見られました。鮮やかな緑の葉には細やかな皺があり縮緬状を呈しています。
湿った田んぼの畦や川岸などに生える越年草で、冬に目立つこの大形の縮じれたロゼット状根生葉は花時にはありません。茎は4角で、高さ30~70cm、全体に毛があります。
花は初夏、花冠は長さ4~5mm、紫色の唇形花が穂になってつきます。(07年5月21日)環境省レッドデーターブックの準絶滅危惧種に指定されていますが、淀川河川敷などでは結構よく見られ、大阪府では要注意品種になっています。
別名はユキミソウですが由来はわかりません。

コマツナ:小松菜(冬菜の代表)

2008-03-06 07:04:37 | 植物観察1日1題

散歩道沿いの畑でコマツナ:小松菜(アブラナ科アブラナ属)が咲いていました。
古くは中国から渡来し、野菜として栽培される越年草です。ウグイスナ(鶯菜)ともいわれますが、東京江戸川区小松川付近で多く産出されたことから一般にコマツナ(小松菜)として通っており、耐寒性が強いので、フユナとも呼ばれて、冬の青物野菜として重宝されます。
菜の花など十字花科の仲間は、萼片、花弁が各4個、雄しべ6、雌しべ2、中の子房は2室といずれも2の倍数です。
6本ある雄しべのうち、外側の2本は短く、内側に4本の長い雄しべがあります。4強雄ずいといわれる形です。


インドボダイジュ:印度菩提樹(本当の菩提樹)

2008-03-04 07:02:03 | 植物観察1日1題

奈良市菅原の喜光寺の境内で、インドボダイジュ:印度菩提樹が植えられているのに出会いました。
インドボダイジュは、クワ科の常緑高木で、インド、ビルマなどに産します。高さは30mに達し、大きい葉は心臓形、革質、平滑で光沢があります。
植物園などの温室で見かけたことがありますが、露地に植えられているのは初めてです。
釈迦がこの木の下で悟りを開いたということで、誕生時の無憂樹、涅槃時の沙羅双樹とともに釈迦の三聖樹のひとつとして知られています。
ただインドボダイジュは南国の植物のため、わが国では自然に冬越しさせるのは難しく、寺院などにあって菩提樹といわれている木は、おおくは和名のボダイジュを含め本当の印度菩提樹と似ても似つかないシナノキ科(落葉樹)の木です。
喜光寺のインドボダイジュも霜に当たって、ほとんどの葉は枯れたまま木に残っています。慣れぬ異国の気候に痛めつけられ哀れでしたが、下の方に僅かに緑の葉が残り、何とか冬を越せそうですので安堵しました。

ヤドリギ:宿生木(ちゃっかり者が縁起物に)

2008-03-02 07:19:12 | 植物観察1日1題

琵琶湖畔の大きなエノキの大木にヤドリギ:宿生木(ヤドリギ科ヤドリギ属)が着生していました。
ケヤキ、エノキ、ブナ、など落葉広葉樹によく寄生する常緑小低木で、葉を落とした冬樹のうえで緑色の枝と葉がよく目立っています。
枝はふつう2股の分枝を繰り返してまるく茂ります。葉は対生し、長さ3~6mmの倒披針形で厚みがあります。雌雄別株で花期は2~3月、晩秋に熟す果実は半透明の淡黄色で、果肉に粘り気があり、鳥の糞とともに排泄されてもその粘り気で、木に付着するという算段です。
他木に寄生して生長し、寒い冬にもよく目立つところから、この木には強い生命力が潜むとして、とくに海の向こうでは呪術的な縁起植物になっているといいます。