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赤坂山山麓でヒメヤシャブシ:姫夜叉五倍子(カバノキ科ハンノキ属)が、黄色い花穂を吊り下げていました。崩壊地など荒れた場所に多く生える落葉低木~小高木で、ヤシャブシ(06年3月3日記事より葉がやや細く、側脈が20~26対と多いのが特徴です。(06年3月9日記事)
雌雄同株で、垂れ下がっているのが雄花序で黄褐色、雌花序は雄花序の下につき淡緑色で下垂します。花はハンノキに似ていますが、ヤシャブシと同じく雄花序には柄がありません。
ヤシャブシより小ぶりだから名にヒメがついたのでしょうが、姫と夜叉がひとつの名になっているのは面白いところです。
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オオバキスミレ:大葉菫(スミレ科スミレ属)も主に近畿以北の日本海側・北海道の低山から亜高山にかけて林の下など生える多年草です。
和名は葉が広くて大きいことからきていますが、赤坂山ではまだ時期が早いのか、花が小さめだけに葉の大きさが目立っていました。
葉は茎の上部に3~4個つき、長さ5~10cmの卵形で、先は急に細く尖り、基部はハート形です。花期は6~7月、直径1.5cmほどの黄色で、側弁の基部は有毛です。
地方的な変化が多く、名前も色々な地方名があります。
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ナガハシスミレ:長嘴菫(スミレ科スミレ属)も、日本海側の多雪地帯の山地に多いスミレで、北海道南部と本州の主に日本海側鳥取県まで、四国の一部に分布する多年草です。
花の後の長い距がくちばし状にぴんと突き出てよく目立つのでこの名があり、別名のテングスミレもこれからきています。
葉は先が鋭く尖ったハート形、花は4~5月、直径約1.5cmでやや平たい形です。
特徴的な長い距は、蜜溜まりともいいます。これは花と昆虫(送粉者)の共進化といわれる、長い年月のうちに、両者が変化してきた形です。スミレの仲間はいずれも距を持ちますが、形も長さもまちまちです。どちらが花にとって有利なのか一概にいえないところが自然の面白さかもしれません。
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葉の形がフタバオイ属のウスバサイシンに似ているのでこの名があるスミレサイシン:菫細辛は、日本海側の多雪地帯の山地の林などに生える無茎性の多年草です。葉は花に遅れて開き長さ3~5cmのハー形で、先が尖り、花後は長さ14cmほどにもなります。
地下茎は太くて長く地方によっては粉にしてトロロのようにして食べるといいます。
花は3~5月、直径2cmほどと大きふつう淡紫色、側弁の基部は無毛、長さ4~5mmで太くて短い距があります。
赤坂山ではいくつかのスミレに出会いましたが、これを含めいくつかは日本海地方特有のものでした。
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早春、まだ木の芽だしも見えない単色の山のあちこちに白い花をつけた木を見かけます。
千 昌夫の「北国の春」の連想でしょうか、多くの人はコブシの花が咲いているといいます。でも この辺ですこし北方の山に咲いているのはたいていコブシの仲間のタムシバ(モクレン科モクレン属)です。コブシと似ていますが、花の下に葉がつかず、葉は細長く裏面が白っぽくなります。
花芽は大きく白っぽい毛に包まれています。花は4~5月、葉の展開の前に直径10cmほどの芳香のある白い花をつけます。外側の花被片3個は小さくて萼状、内側の6個は花弁状、雄しべと雌しべは多数あり、らせん状に花床につくところなどはコブシと同じです。
葉を揉むと芳香があり、そのことからカムシバ、ニオイコブシなどの別名があります。
この花を見かけても、多くは山中のそれも花が高い位置にあって近づけなかったのですが、赤坂山では花や蕾を手に取るように見ることができたのは幸運でした。
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湖北赤坂山の登山道のあちこちを彩るのがオオイワカガミ:岩鏡 (イワウメ科イワカガミ属)です。
丸くて光沢のある葉を鏡に見立ててこの名があります。山地~亜高山の樹林や岩場などにはえる多年草です。
赤坂山のイワカガミは、日本海側に多く分布する、葉が大形で長さ、幅とも8~12cmになるオオイワカガミと思われます。
4~7月、葉の間から高さ10cmほどの花茎をのばし、淡紅色の花を3~6個つけます。花は直径1.5cmほどの花をつけます。花冠のふちは細かく切れ込みます。
花と同時に出る赤い新葉が目立ちます。
赤坂山では山麓から山頂近くまで分布しており、中腹以上ではこれからも長く楽しめそうです。
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花の山として有名な湖北赤坂山(823.8m)に遅い春を訪ねました。
頂上付近の山襞にはいまも残雪が残り、この日もガスの中、強い寒風にさらされて震え上がりましたが、色々な草木が花をつけて私たちを迎えてくれました。そのいくつかをシリーズでお伝えします。
頂上付近で、淡い桃色のフリルのついた花をつけているのがイワウチワ:岩団扇(イワウメ科イワウチワ属)です。
山地に生える小形の多年草で岩場に多く、葉が丸くて団扇のような形なのでこの名があります。
葉は長い柄があり、直径2.5~8cm基部が心形で、ほぼ円形、厚くて光沢があり、ふちには波状の鋸歯があります。
4~6月、高さ3~10cmの花茎の先に淡紅色の花を1個横向けにつけます。花は直径3cmほどでふちには細かい切れ込みがあります。
北陸から近畿地方には葉の長さが幅より広く、基部が円形またはくさび状のトクワカソウと呼ばれるものがありますが、区別しにくい個体もあります。
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山道で山野草の野写真を撮っていると、通りかかったハイカーから、この辺にレンプクソウがあると聞いて探しているのだがと問いかけられました。あいにく知りませんと答えましたが、気になったので、その界隈に詳しい人に頼んで翌日連れてもらいました。
レンプクソウ:連福草(スイカズラ科レンプクソウ属)は、北半球の温帯に広く分布し、本州近畿地方以北、北海道の山地に生える高さ8~17cmの多年草で、1科1属1種の植物です。
白色の白い地下茎をのばし、先端に小さい球茎をつくって殖えます。根生葉は2回3出複葉で長い柄があり、小葉は羽状に中裂します。
花は春、通常5個の黄緑色の小花が頭状につき、先端の1花は花冠が4裂(4数性)、側方の4花は5裂(5数性)します。写真は花茎が倒れていて、見えているのは側方の花です。
和名は、昔この草の地下茎が福寿草に連なっていると見間違えた人がつけたといわれ、別名はゴリンバナ(五輪花)です。
花は直径4~6mmとごく小さく色も黄緑色でまったく目立ちません。果たしてくだんのハイカーは首尾よく見つけられたのか、ちょっと気になりました。
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ヒゴスミレ:肥後菫(スミれ科スミレ属)は日当たりのよい草地や道端などに生える多年草で、葉が5つに切れ込み、さらに細かく切れ込んでいるのが特徴です。よく似たエイザンスミレは葉の切れ込みが大まかで、全体が3つに分かれています。
花期は4~5月、花は芳香のあるものが多く、直径1.4cmほどでふつう白色です。
葉の形が面白いこともあってよく栽培されていますが、野生種より花の形が丸みを帯びるといいます。
写真は植物園で見たヒゴスミレですが、野生種か栽培種かはわかりません。
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葉の裏面が紫色を帯びていることから、紫背の名がついたシハイスミレ:紫背菫(スミレ科スミレ属)は、低地から山地の日当たりのよい道端のほか、林の中などの半日陰にも見られます。葉は無毛で、長さは1.5~5cmで、幅の狭い卵形披針形や卵型などいろいろあり基部は深いハート型になるとあります。
花は直径1.5cm内外で紅紫色、花の色は濃淡の変化が多く、距は細長く上へハネ上がるものが多くなります。近畿地方を境にして東日本に多い変種のマキノスミレ(牧野菫)は、ふつう葉がシハイスミレより細長く先が尖ります。写真の花を見ているとマキノスミレのようにも思えてきます。
葉裏が紫ならばらシハイスミレで区別しやすい種類と思っていましたが、どのスミレも同定は難しいものです。
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万博公園に、スミレに似ていますが、全体に小さいのでミメスミレ:姫菫(スミレ科スミレ属)と思われる花を見かけました。
ヒメスミレは、道端や畑、石垣など日当たりのよい乾いたところに多く見られる無茎性の多年草で、花期の葉は長さ2~4cmの細長い三角状で、基部は浅くハート状にくぼみ、下部には鋸歯があります
また葉柄に翼がないことでもスミレと区別できます。花のあとの葉は大形で下部が大きく張り出します。
和名はスミレに似てより小さいことからきています。