新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ウラジロ:裏白(めでたいのはなぜ)

2006-12-31 07:51:43 | 植物観察1日1題

お正月の飾りでおなじみの羊歯はウラジロ:裏白(ウラジロ科ウラジロ属)はなぜめでたいのか、諸説がありますが思いつくままに列挙しますと
1. 年中葉色が変わらず、整然としていて、形がよい
2. 元来シダは歯朶と書き、歯は年齢を意味し、長寿の枝を表していてめでたい
3. 葉が2枚相対していているのでモロムキ(諸向き)とも呼ばれ、夫婦差し向かいで仲睦まじいに通じる
4. 2つに分かれた股から芽が伸びて、何年にもわたって代々上へ成長し末広がりになる
5. 白い小葉が並んだ様子を稔った稲穂になぞらえ豊作の象徴とみた
などがあります。
また2枚重ねて飾る地方もあるそうですが、これは二つに分かれた葉を人の股に見立て、夫婦和合、子孫繁栄を願うのだといいます。
ところで皆さんの家では昨日までにこの正月飾りを終えていますか。31日に飾るのは"一夜飾り“といってよくないこととされているそうです。ご注意を。

今年一年間のご支援に感謝申し上げます。
どちらさまもめでたくご越年あそばしますように  むかご拝

クマワラビ:熊蕨(葉先が枯れる)

2006-12-30 08:15:55 | 植物観察1日1題

この時期、葉の先端部が申し合わせたように枯れているのがクマワラビ:熊蕨です。
山地の林の中の陰湿なところに生える常緑性の多年草で、葉は束生し、長さ40~50cm、葉裏は白色を帯びます。
胞子嚢群は葉の上部から3分の1から4分の1の羽片の裏につき、胞子が散るとその羽片が他より早く枯れて巻きやがて落ちます。
和名は葉柄基部に鱗片が密生するのを、多毛な熊になぞらえたものです。

カンツバキ:寒椿(関西では獅子頭)

2006-12-29 09:11:08 | 植物観察1日1題

朝、遊びに来ていた孫たちの「おじいちゃん雪が降っている」の声に起こされました。
暖冬といわれていた今年の冬の予期せぬ初雪です。解けないうちにと急いでカメラを手に出かけました。
近所の植え込みのカンツバキ:寒椿(ツバキ科)にうっすらと雪が積んでいます。
起源のはっきりしない植物で、かなり古くから知られていますが、ヤブツバキとユチャとの雑種か、中国からの渡来種かはっきりしません。樹はあまり立たず、葉や果実に毛があります。
花は12月から春にかけて咲き、小さい八重の花弁で、花弁は1個ずつ散ります。
古くから茶花として知られ、関西ではシシガシラ:獅子頭と呼ばれています。
近年多く見られるようになったタチカンツバキは、ハルサザンカの一品種で樹形が立ち上がる性質があります。
図らずも昨日と今日、羊歯と椿の獅子頭が続きました。

シシガシラ:獅子頭(獅子のたてがみ)

2006-12-28 08:05:26 | 植物観察1日1題

四方に放射状に出た葉を獅子のたてがみに見立ててこの名がついたシシガシラ:獅子頭(ウラボシ科シシガシラ属)は、各地の樹林下に普通に見られる美しい常緑の羊歯です。
栄養葉は緑色で厚く長さ約40cm、葉柄は短く羽状に全裂します。
若葉は赤色を帯びるのでムカデグサの別名もあります。

トウゲシバ:峠芝(痴呆症に福音?)

2006-12-27 07:38:27 | 植物観察1日1題


草の様な形で峠付近に生えるということでこの名がついたというトウゲシバ:峠芝(ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属)は、トウゲヒバとも呼ばれますが、れっきとした羊歯の仲間です。
各地の山地森林に生える常緑の多年草で、茎は斜上し、基部で分枝、高さ8~20cm、葉の長さ1~2cm、幅3~5mmです。
胞子嚢は黄色くて大きく、葉腋に1個づつつきます。これを見れば羊歯の仲間ということに納得です。
トウゲシバは昔から物忘れの薬として用いられたそうで、これから抽出されたヒューペルジンAという物質は、老人性や、アルツハイマー性の痴呆の治療薬として使われているとかで、健康食品も出ています。本当に効くのなら高齢化社会の難問のひとつが解消されるはずですが・・・。

コシダ:小羊歯(昔は小遣い稼ぎに)

2006-12-26 07:50:09 | 植物観察1日1題

s葉の裏が白くウラジロに似ているが、ウラジロより小さいということで名がついたコシダ:小羊歯(ウラジロ科コシダ属)は、暖地の日当たりのよいやや乾燥したところに生える常緑性の多年草です。
根茎は地表近くを長く這い、葉はまばらに立って1mほどになります。
どこにでもあるコシダの葉柄は籠などに使われました。子供のときこの柄をあつめて店に持ってゆき小遣いを稼いだという話を聞きましたが、今ではすっかり昔話になりました。

ミヤマフユイチゴ:深山冬苺(棘で判定しましたが)

2006-12-25 07:42:40 | 植物観察1日1題

芦生の森のトロッコ道で見かけた赤い苺の実、昨日のフユイチゴとほとんど同じですが、茎にしっかりした棘がついていたので、ミヤマフユイチゴ:深山冬苺(バラ科イチゴ属)と見立てました。
図鑑などではフユイチゴとミヤマフユイチゴの区別点を、前者は葉がやや円形で浅く5~3裂し、先端が鈍頭、表面は毛がすくなく裏面に密毛、茎や葉柄に棘がないのに対し、後者は葉の先端が鋭くとがり、両面とも毛が少なく、茎や葉柄に棘がある。分果はミヤマイチゴのほうが数が少なく、やや大粒なこととしています。
区別点がすべてぴったりとはまらず、ほかにもよく似たイチゴもあり、ありふれた木ですが、同定は必ずしも簡単ではありません。ミヤマもフユも混生することが多いそうでなおさらです。深山である芦生の原生林近くで見たからという勝手な思い込みでミヤマフユイチゴとしましたが自信はありません。

フユイチゴ:冬苺(敬遠される苺)

2006-12-24 07:53:17 | 植物観察1日1題

今の時期、山道を歩くとどこにでも見られる赤い実はフユイチゴ:冬苺(バラ科イチゴ属)です。
冬に果実が熟すのでこの名があり、別名もカンイチゴ(寒苺)です。
山地の林内に生える、つる性の常緑小低木で茎は直立または斜上し高さ20~30cm、茎や葉や柄に毛を密生しますが、棘というほどのものはありません。
冬、赤く熟す果実は萼に包まれており、食べられますが、中の種子が硬く少々歯ざわりを損ねます。
食べられるというのに、冬の間中、青々とした葉、真っ赤な実で、散歩の目を楽しませてくれるのも、犬の通る道ということで敬遠されているからでしょうか。

ミヤコザサ:都笹(美しい冬の縁取り)

2006-12-23 08:01:41 | 植物観察1日1題

林のなかは木々の葉が落ちて、地表のササやシダなどが目だってきます。
冬になって葉の縁が白くなったミヤコザサ:都笹(イネ科ササ属)もそのひとつです。
主として太平洋岸の山地に群生し、高さは30~90cmで、ほとんど枝分かれしません。
茎(稈)は細く、節は球状にふくらみます。葉は薄く、長さ10~20cm、幅3cmほどの線状長楕円形~狭披針形で、裏面には軟毛が密生し手触りが柔らかいのが特徴です。
冬になると葉の縁が白く枯れますが、茎や葉は翌年には全部枯れて、夏には新しい茎が伸びてきます。
和名のミヤコザサ(都笹)は比叡山で最初に発見されたので京都にちなんでつけられたといいます。

クチベニタケ:口紅茸(世界的には珍種)

2006-12-22 07:20:55 | 植物観察1日1題

山道を歩いていると、路側の斜面に小さな丸い茸が見えました。頂部に赤い星型の隆起があり、口紅を塗ったおちょぼ口に見えます。
その名もずばりのクチベニタケ:口紅茸(クチベニタケ科)は、夏から秋にかけて山地の切り通しや斜面に群生します。土に埋もれているときは頂部の口は開いていなく、かさぶた状の鱗片が覆っていますが、これが剥がれると、星型に隆起した"口紅“を見せます。
この茸、日本では普通種ですが、世界的には珍種とされているそうです。

フウセントウワタ:風船唐綿(毛のある風船)

2006-12-21 07:18:36 | 植物観察1日1題

玄関先に出した鉢植えに秋口から異様な毛の生えた風船状の果実を見て、通る人が一様になんという草ですかと尋ねていました。
それが、妻が友人にもらった苗を育てたフウセントウワタ:風船唐綿(ガガイモ科フウセントウワタ属)です。
夏のころ、ごく薄い紅色の小さい花をつけていたのが、見る見るうちに大きい風船に膨れ上がり、晩秋、中心線から割れたと思うと、中から白い繊毛をつけた種子が現れてたちまち風に散ってゆきます。
南アフリカ原産の低小木で、樹高は1~2m、1年草または多年草として扱われることもあるようです。
別名にフウセンタマノキ:風船玉の木があります。

雑木の秋(寂び黄葉)

2006-12-20 07:11:30 | 植物観察1日1題

朝起きて西の窓を開けると、小さな里山の雑木が朝日に照らされて黄金色に輝いています。
先日、山歩きしているとき案内の方から、カエデなどの鮮やかな紅葉の後の雑木林の黄葉を“さびもみじ”というと教わりました。
帰ってから辞典や季語を調べましたが何処にも見当たりません。多分“寂び黄葉”と書くのではないかと思いますが、錆び黄葉かもしれません。
初冬の時期といい、黄葉の様子といい、ぴったりの表現で、忘れられない言葉になりました。
雑木とは、広辞苑によると“良材にならない種々雑多の木“とありますが、通常主体になるのがブナ科コナラ属のコナラ、クヌギ、アベマキなどで、一昔前までは薪炭材として里の人々にとって大事な木で、いわゆる里山の構成樹として大切に維持されてきたものです。
窓の外のこの小さい里山の雑木は、四季それぞれの変化で楽しませくれるので、私にとっては立派な有用樹です。
植物名以外のタイトルの登場は今年はじめてですが、このサブタイトルを使いたくて取り上げました。

タカノツメ:鷹の爪(人気の山菜)

2006-12-19 07:20:44 | 植物観察1日1題

落葉して明るくなった林中で、特徴ある三枚葉が黄葉してまだ枝に残っています。
タカノツメ:鷹の爪(ウコギ科ウコギ属)は山地に生える落葉高木で、高さは8~10m、互生する葉は枝先に集まってつき、普通3出複葉、短枝の基部では単葉となり、長い柄があります。
和名は、冬芽の形が鷹の爪に似ていることからきていますが、材が芋のようにやわらかいところからイモノキとも呼ばれています。このため材は経木や扇の骨などに使われる程度ですが、若芽はウコギ科独特の香りがあり、仲間のコシアブラと並んで人気の山菜となります。

エンコウカエデ:猿猴楓(猿の長い手)

2006-12-18 07:06:22 | 植物観察1日1題

秋を彩っていたモミジもあらかた散り終えた公園の一角にエンコウカエデ:猿猴楓(カエデ科カエデ属)がまだ黄色い葉をつけています。
山地に生える落葉(小)木で、イタヤカエデの変種というとおり、秋には黄葉し、葉縁に鋸歯がありません。葉の切れ込みが大変深くなっていて、葉柄も長く5~12cmになるのが特徴です。
どの図鑑でもエンコウカエデの名は木の葉の裂片が細長く手長猿の手を思わせることからいうとありますが、手長とはふつう腕が長いということですから葉柄の長さを指しているのかもしれません。別名にアサヒカエデがあります。

フユノハナワラビ:冬の花蕨(花にまがう冬の蕨)

2006-12-17 07:43:30 | 植物観察1日1題

お寺の境内、よく手入れされた苔の庭に名残の紅葉の落ち葉が散っています。
そこにいかにも遠慮がちにという風にはえ出ているのがフユノハナワラビ:冬の花蕨(ハナヤスリ科ハナワラビ属)です。
山地、原野の日当たりのよい草地に生える多年草で、地上部は夏は枯れます。胞子は10~11月ごろに熟して、胞子嚢を群生します。
和名の冬の花蕨は、冬に新葉を出し、胞子葉が花のように見えるところからきています。
去年一度取り上げましたが、あまりにも舞台装置がこの草にぴったりでしたので再度の登場となりました。