新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ナツヅタ:夏蔦(吸盤模様)

2013-01-28 08:58:26 | 植物観察1日1題

夏、一面ナツヅタ:夏蔦(ブドウ科ツタ属)の緑の葉に覆われていた万博旧鉄鋼館の壁は、すっかり落葉した蔓だけが残りコンクリートが露わになっています。
近づいてみると壁に張り付いている吸盤が何かデザインのような模様になっていました。
ナツヅタは、葉に対生してでる巻きひげに吸盤があり、これでいろいろなものにはいのぼります。
大きく広いコンクリートのざらざらした壁は、ナツヅタが本来期待した以上に張り付きに好適な対象になっているに違いありません。

トベラ:扉(おなじ仮種皮でも被子植物、裸子植物で異なる立場)

2013-01-26 14:17:32 | 植物観察1日1題

枝に悪臭があり、魔よけとして正月や節分に門口の扉に結わえるというトベラ:扉?(トベラ科トベラ属)の枝先に何やら変わった形のものが残っています。
トベラの果実は、晩秋から初冬にかけて熟すと外側の果皮が3裂し、仮種皮といわれる赤い粘液に覆われます。(05年12月30日記事)今の姿は外果皮が開き切った姿です。
一部の植物の種子は、種皮の外側に胚柄やその付近からできた仮種皮というもので覆っています。
これらは2色効果を発揮していることが多く、事実トベラの赤い種子は野鳥が特に好むとされています。
裸子植物のイチイやイヌマキなどで裸出した胚珠の周りを.囲んでいる肉質のものも仮種皮とよび、これに包まれた果実状の種子を仮種皮果とよぶことがありますが、同様に仮種皮を持つても被子植物のトベラ、アケビ、ナンキンハゼ、マユミなどは仮種皮果とはいいません。
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ハクウンボク:白雲木(一皮脱いでも毛皮で守る)

2013-01-23 10:20:55 | 植物観察1日1題

初夏白い花が多数穂になってつく姿を白雲に見立ててこの名があるハクウンボク:白雲木(エゴノキ科エゴノキ属)の冬芽がふくらんでいます。
一般に冬芽は多数の芽鱗で保護されるのが普通ですが、この木ははじめその役割を葉柄の基部にゆだねています。葉柄内芽といわれるこの形は、ウリノキ、スズカケノキ、ニセアカシア、ユリノキなどでもみられます。
晩秋になり落葉すると初めて芽が外に現れますが、この時大切な茎頂部は褐色の長毛に覆われた幼葉につつまれていて、毛皮のコートに包まれて冬をすごします。
寫眞を見ますと、大きい方の主芽(仮頂芽)の下に小さい副芽があり、冬芽の根元をマフラーのように取り巻く落葉した葉柄痕が見えます。
ハクウンボクでは、葉が芽鱗にまで特殊化しなくて、早くに成長が止まった小形の葉がそのまま茎頭を保護しています。このような芽を裸芽といいますが、画鱗を持たない代わりに長い毛が断熱の役割を果たしているようです。

ハナミズキ:花水木(ぎゅっと詰まった春)

2013-01-20 17:35:17 | 植物観察1日1題


愛用のデジカメの故障や頼まれごとなどもあってすっかりご無沙汰してしまいました。
厳しい寒さで、例年なら正月には咲いているフサザキスイセンも、今年はまだ花茎がようやく立ち上がってきたというところです。
庭のハナミズキ:花水木・アメリカヤマボウシ(ミズキ科ミズキ属)の蕾も固く寒風に震えています。
失礼してその一つを割ってみました。
花芽にはコブシやツバキのように1個だけの花をふくむのもありますが、ハナミズキやヤマボウシは1個の花芽中に頭状に並ぶ20~30個もの小さな花をふくんでいます。
もっとも花といってもハナミズキの花弁に見えるのは4個の総苞片で、花は中心に集まってつく小さいものですが(‘06年5月7日記事)、ルーぺで見ると直径わずか5~6㎜の小さな花芽の中にたくさんの春がぎっしり詰まっているかんじでした。



サネカズラ:実葛(ユーモラスな姿)

2013-01-04 16:42:47 | 植物観察1日1題

初詣に行った小さい神社の森の裏を歩いていると、葉に隠れるように赤いものが見えました。
今の時季何かと近づいてみると、どうやらサネカズラ:実蔓(モクレン科またはマツブサ科、サネカズラ属)の実?でした。
両耳を立てた人形のようなユーモラスな形をしています。どうやら秋、京和菓子の“かのこ”に似た赤い集合果をつけていたサネカズラ(‘10年2月13日記事)が、個々の果実を小鳥に食べられたりして芯だけが残り、たぶん熟すことなく“しいな”で終わったものが耳の形で残ったようです。
冬がれの野で見かけたこの奇妙な形のもの、何もないこの時季とて今年最初にとりあげることになりました。