新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ラッパイチョウ:喇叭銀杏(古代の植物の名残り)

2012-11-28 16:25:33 | 植物観察1日1題
秋になれば、奈良東大寺の裏大仏池のほとりに散り敷くイチョウに遊ぶ鹿は、カメラマンの人気の撮影対象です。
何本かあるここのイチョウ(イチョウ科イチョウ属)の1本の根元を探すと葉の縁がくっついてラッパ状にクルリと巻とまいた葉がいくつか見つかりました。ラッパイチョウです。
中生代(約2億5千万年~6千万年前)の生き残りといわれるイチョウは、裸子植物で1属1種、精子で繁殖すること、幹や茎から乳柱(気根状)を下垂すること、葉の切れ込みの変化が多く、まれに奇形的に葉に種子がつくオハツキイチョウや、このようなラッパイチョウが生じるなど、古い植物としてのいくつかの特徴を持っています。
ラッパイチョウはどの木でも生じるものではありませんが、特定の株それも根元を探すと案外簡単に見つけることができました。
どうして根元に多いのか不思議に思っていたら、誰かが、ラッパイチョウはその形状から風に乗って飛ばされずに、そのまますとんと落ちるので根元に多く散っているのではないか、といったのでなるほどと納得しました。


大仏池の秋

ウドカズラ:独活葛(こんな実がついていました)

2012-11-27 21:12:09 | 植物観察1日1題
何回か奈良春日山原始林を歩いているのに、季節はずれだったり、幹が高かったりして、なぜか葉や果実を見ることができなかったウドカズラ:独活葛(ブドウ科ノブドウ属)が、同じ春日山原始林を少し入ったところに、ほかの木を覆うように広がっているのを同行の方に教えてもらいました。
本州紀伊半島以西、四国、九州に分布する落葉性のつる性植物で他物からみついてよじ登ります。
葉が羽状複葉でウコギ科のウドに似ているからこの名があります。
よく見ると、赤や黒の果実が房状についています。夏、大形の集散花序をだし、小さな両性花が集まってついていたのが今熟しているのです。果実は液果で直径約7mmの球形で、熟すと赤色から黒色に変化します。
幹から直角に出ることも特徴で、これは09年12月12日に取り上げています。

カラスザンショウ:烏山椒(黒い芳香剤)

2012-11-23 21:43:22 | 植物観察1日1題

夏、羽状複葉の葉の上に白い花をつけていたカラスザンショウ:烏山椒(ミカン科サンショウ属)(10年8月2日記事)が実をつけています。
少し遠いのでよく分かりませんが、果実は3個の分果に分かれ、熟すと赤い果皮が裂けて黒光りする種子が露出します。
和名はこの種子をカラスが食べることからきたともいわれ、鳥によって散布された種子はよく発芽し、裸地のパイオニアプラントになっています。
果皮ごとまとまって落ちた種子を玄関に置いておくと天然の芳香剤になります。
枝には鋭い棘があり、大木になっても樹皮にいぼ状の棘が残ることでも知られています。


ミズタマソウ:水玉草(光の水玉)

2012-11-20 20:00:08 | 植物観察1日1題

ミズタマソウ:水玉草(アカバナ科ミズタマソウ属)は、山野の日蔭または半日蔭に生える多年草で、茎は単一で直立し高さ40~60cm、8~9月白色または淡紅色の小さい花をつけます。
目立たない花ですが、よく見ると、花弁、萼片、雄蕊が2個ずつある珍しい2数性となっています。(10年8月10日記事)
果実にカギ状に曲がった白い毛が密生していて、露などに濡れると、まるで水玉のようになるので水玉草の名で知られています。
そのミズタマソウが秋の陽を浴びて白く光っていました。水がなくても光のミズタマソウとなっていました。


ニコゲヌカキビ:和毛糠黍(触って納得)

2012-11-17 07:52:16 | 植物観察1日1題

この地域の在来の植物相の保全に力を入れているという兵庫県立三木山森林公園内の道端に北アメリカ原産の多年生.性植物ニコゲヌカキビ:和毛糠黍(イネ科キビ属)が生えていました。
これにはいくつかの変種があるそうですが、葉に触るときめの細かいビロード状でいかにも柔らかく、文字通り和毛(にこげ)そのものでした。
しゃがみこんで写真を撮っていると、保育園児の一団が通りかかり「何をしているの」というので、葉をちぎって渡し「触ってごらんお母さんのほっぺたのようにすべすべしているでしょう」といいましたらみんな大喜びでした。
「草や木は何を食べているのですか」「木はどうしてあのように大きくなるのですか」など次々と無邪気で難しい質問を浴びせてきたのでたじたじしながらなんとか答えていると「おじさんはどうしてそんなことを知っているのですか」と聞かれて、「それは君たちの年ごろから一所懸命の勉強したからだよ」と答えたら怪訝な顏をしていました。

ノアサガオ:野朝顔(豪華な野生種)

2012-11-11 08:58:44 | 植物観察1日1題
">秋も深まったというのにまだあちこちのお宅で濃紺の朝顔が咲いています。
ノアサガオ:野朝顔(ヒルガオ科サツマイモ属)の仲間のようです。
ノアサガオは沖縄原産といわれ、海岸近くの草地や崖などに生える多年性つる植物で、繁殖力が強く、関東以南では越冬し古い茎はやや木質化するので宿根草となっています。
多くの園芸種があり「琉球アサガオ」「オーシャンブルー」「宿根アサガオ」などなどの名で流通しています。
草勢はきわめて強く、蔓は数メートルの高さにまで伸び、垣根や家の壁面などをカーテン状に覆い尽くします。葉もアサガオより大きく、掌大のハート形で、花は多数が房咲きして豪華に見えます。
花期は長くて6~12月、柄が短く、萼片が反り返らない点でアサガオと区別されます。
結実しにくいので繁殖は通常挿し木でおこないます。

ワルナスビ:悪茄子(牧野博士に嫌われた) 

2012-11-09 10:22:45 | 植物観察1日1題

ワルナスビ:悪茄子(ナス科ナス属)が黄色い実をつけています。
北アメリカ原産の多年草で、昭和の初めに関東地方で発見され、今ではやや暖かい地方に広く帰化しています。地下茎でふえるので繁殖力が強く、また茎や葉に刺が多いので畑の害草として嫌われています。
このいかにも嫌われ者のような名をつけたのが牧野富太郎博士で、氏の「植物一日一題」でこう言っています。
“ワルナスビとは「悪る茄子」の意である。
 前にまだ、これに和名のなかった時分に初めて私がなづけたもので、時々私の友人達に この珍名を話してわらわしたものだ。が しかし「悪ルナスビ」とは一体どういう理由で、これにそんな名を負わせたか、一応の説明がないと合点がゆかない。…
 (これを)我が圃中に植えた。さあ事だ。それは見かけによらず悪草で、それからというものは、
 年を逐うてその強力な地下茎が土中深く四方に蔓こり始末におえないので、その後はこの草に愛想を尽かして根絶させようとしてその地下茎を引き除いても引き除いても切れて残り、それからまた盛んに芽出って来て今日でもまだ取り切れなく、隣の農家の畑へも侵入するという有様。イヤハヤ困ったもんである。それでも綺麗な花が咲くとか見事な実がなるとかすればともかくだが、花も実もなんら観るに足らないヤクザものだから仕方ない。こんな草を負いこんだら災難だ。“
と花も実も散々です。
嫌われた末に堤防でひっそりと黄色く丸い実を枝先に並んでつけているワルナスビを見ているとなかなか愛嬌があるようにも思えるのですが…。

ヒオウギ:檜扇(枕詞になった?漆黒の種子) 

2012-11-07 09:46:01 | 植物観察1日1題
ヒオウギ:檜扇(アヤメ科ヒオウギ属)の果皮が裂けて黒光りする実が顔を出しています。
別名、烏扇、射干ともいわれ、本州以南、中国、インド北部の山地にも自生する多年草ですが、観賞用として庭でも栽培されています。
草丈60cm~1mで、広剣状の葉は粉白緑色で2列に互生し、下半分は昔貴婦人が使った檜の扇に似ていることからこの名があります。
真夏に咲く黄赤色地に暗紅色斑点がある花は(08年8月17日記事)、縁起がよいのか、京、大阪では夏祭りの花として欠かせません。
秋に実る倒卵形の朔果の中に、直径5mmほどの真っ黒い球形の種子ができます。これを昔からウバタマ、ヌバタマ(射干玉)といい、黒い、暗いという意味で髪や、夜の枕詞になっています。
萬葉集で“ぬばたま”を詠った歌は79首の多きに上りますが、ヒオウギそのものを詠ったものはなく、すべて枕詞や比喩的に用いられています。もしかしたら、ヌバタマの語でいまのヒオウギを意味することになったのは万葉時代以後のことかもしれません。

タコノアシ:蛸之足(花より果実で知られる)

2012-11-05 16:03:44 | 植物観察1日1題



準絶滅危惧(NT)のタコノアシ::蛸之足(ベンケイソウ科タコノアシ属)が生えているというので、淀川右岸鵜殿の葭原へ見に行ってきました。
湿地や沼、休耕田などに生える多年草で、小さな花がびっしり斜めにひろがり、秋には全体が赤く染まり、特に果実が茹でたタコの足の吸盤のように見えるのでこの名があります。
高さは30~80cm、葉は互生し長さ3 ~10cmの狭披針形で縁には細かい鋸歯があります。
花期は8~9月、花は直径約5mmで花弁がありません。花のつく枝ははじめ渦巻き状になっていますが次第にほぐれ斜めに開きます。
多肉ではないのにベンケイソウ科と聞いて少し意外でしたが、調べてみると、かつてはユキノシタ科であったのが、花の形態などからいまではベンケイソウ科に入れることが多くなっているといいます。
数が少ない割には変わった名前でよく知られていますが、サワシオンというきれいな別名もあるそうです。

ハヤトウリ:隼人瓜(種はひとつ)

2012-11-03 08:06:34 | 植物観察1日1題
奥茨木の農家の背戸にハヤトウリ:隼人瓜(ウリ科ハヤトウリ属)が実をつけていました。
もともとはメキシコ原産でマヤ・アステカの時代から栽培されて食用にされ、熱帯地域では広く栽培されて食用にされた古い歴史を持つ野菜だそうです。
和名のハヤトウリは大正時代にアメリカを経由して鹿児島県で試作されたことから古代日本にこの地に居住した薩摩隼人の名に由来するといいます。
たくさんつく洋ナシ形の果実の中には大きい種子が一つだけはいっており、発芽まで果肉と種子が分離せず、栽培には実のまま土に埋めます。一株で数百個も実がなるのでセンナリウリの別名もあります。
日本では粕漬けなどの漬物することが多いですが、生のまま塩もみをしてサラダにしたり、炒めてキンピラ風にしても美味しいことなどは昨夜の読売新聞にありました。

オオカラスウリ:大烏瓜(大きいわけではないカラスウリ) 

2012-11-02 07:13:49 | 植物観察1日1題

高野山不動坂で見かけたカラスウリの仲間です。
崖下の遠いところにあった高木にからみついていたので確かめようがなかったのですが、葉の切れ込み具合などからオオカラスウリ:大烏瓜(ウリ科カラスウリ属)と見立てました。
暖地に生えるつる性の多年草で雌雄異株、葉は心形または腎心形で、掌状に5~7裂し、表面には密に短剛毛があります。
縁がレース状に細裂する花は、ほかのカラスウリの仲間と同様ですが、花が昼も開いていること、花柄に大きな苞葉がありふちがふさ状に裂け、萼裂片に鋸歯があるのが特徴といいます。
液果は楕円形~球形で長さ5~8cm、朱赤色となります。
初めてなのに遠くからしか見ることができなかったのが残念でした。