新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

記事のタイトルを入力してください(必須)

2010-11-30 07:07:27 | 植物観察1日1題

初夏、高槻北部川久保渓谷沿いの道でタカネハンショウヅル:高嶺半鐘蔓(キンポウゲ科センニンソウ属)と見立てた蔓(09年7月1日記事)に長い毛を持つそう果が付いていまし花のあと花柱がのびて長さ3cmほどになり、毛も伸びて羽毛状になりそう果の先に残ります。
3出複葉の葉の形とこの種子は、よく庭で見られるテッセンやその在来種のカザグルマに似ています。両者とも同じキンポウゲ科センニンソウ属ですから当然といえますが、くるりと渦を巻いたようなタカネハンショウヅルのそう果を見ていると、これも何やら風車にも見えてきました。


キッコウハグマ:亀甲白熊(花より目立つそう果)

2010-11-29 07:29:51 | 植物観察1日1題

5年越しで花に出会えたというキッコウハグマ:亀甲白熊(キク科モミジハグマ属)の記事を書いたのはつい先日の11月15日でした。http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20101115
自宅から少し離れた神社に生えていて、何回となく行っているのになかなか花に会えなかったのであんな記事になりました。
われながら執念深いと思いながら、近くでの紅葉狩りの帰りに、その神社の境内を覗いてみると、立派な果穂をつけているのを見つけました。穂はそう果の集合果で、総苞片が付属しています。
身をかがめて写真を撮っていると、傍らにいくつか花をつけている株も見えました。
多くは閉鎖花からという果実の集まりに比べて、咲いている花はいかにも小さく、めだたないものでした。

シロモジ:白文字(3裂する葉に特徴)

2010-11-28 12:30:16 | 植物観察1日1題

これも山門水源の森で見かけたシロモジ:白文字(クスノキ科クロモジ属)の冬芽です。
この森はどういうわけか、このシロモジのほか、タカノツメ、コシアブラなど黄葉する木が多く、独特の秋景色となっています。
シロモジの葉の多くは大きく3つに7切れ込んで先端がとがり、切れ込みの基部が丸くポケット状になるのが特徴です。
クロモジは樹皮の斑紋を文字になぞらえてその名があり、これに比べてシロモジは、樹皮が白っぽいのことからきており、別名のアカヂシャは、アブラチャンのシロヂシャに対しての名とされています

オオバクロモジ:大葉黒文字(日本海側に多い)

2010-11-27 08:02:04 | 植物観察1日1題

湖北山門水源の森で見かけたオオバクロモジ:大葉黒文字(クスノキ科クロモジ属)と思われる木の冬芽です。
峰を越えれば福井県というこの森は、寒地性と暖地性の多様な植生群落を形成しており、ユキバタツバキ、エゾユズリハ、ハナヒリノキなど日本海型あるいは北国系の植物が目立ちます。
クロモジよりも葉が大形で長さが13㎝にもなるというオオバクロモジも日本海側に多いことで知られています。
何種類かあるクロモジの仲間ですが、中間型も多く、形態的によく似通っており、一本の木でも葉の大小に変異があるなど区別が難しいとされています。
ここでは、土地柄からして素直にオオバクロモジとしましたが、確信はありません。

エゾユズリハ:蝦夷譲(ユズリハの小人) 

2010-11-26 09:32:35 | 植物観察1日1題

福井県との県境に近い湖北の山々は積雪が多いこともあって、日本海型の植物が多く、多様な植生群落を形づくっています。
箱館山で見たエゾユズリハ:蝦夷譲葉(ユズリハ科ユズリハ属)もそんな一つです。
多雪地帯の林床に多い常緑の低木で、下部で分枝して株立ちになり、高いものでも1~2mくらいにしかなりません。
ユズリハに似ていますが、葉はやや薄くて小さく、長さ9~15㎝で、支脈の数は少なくなっています。
ユズリハは本州では太平洋側に多いのに対し、エゾユズリハは日本海側に多く、比較的はっきりした地域分布になっています。
ヒナユズリハの別名があります。

マルバフジバカマ:丸葉藤袴(牧野記念庭園に外来種)

2010-11-22 12:57:30 | 植物観察1日1題

牧野富太郎の伝記小説、大原富枝の「草の褥を」読んで感激し、一度は訪れたいと思っていた東京練馬の「牧野記念庭園」へ行ってきました。
牧野富太郎が、大正15年から昭和32年94歳でこの世を去るまで、この地に住まいし、数々の研究成果おさめた邸宅跡は、いま練馬区立牧野記念庭園として一般公開されています。(牧野記念庭園については「むかごの高槻」をご覧ください)
当たらず少し淋しい感じです。
その中でマルバフジバカマの名札の見慣れない白い花が気になりました。
帰って調べてみると、マルバフジバカマ:丸葉藤袴(キク科ヒヨドリバナ属)で、在来種ではなく、北アメリカ原産で、昭和初期ごろに箱根周辺で発見された帰化種ということがわかりました。
フジバカマの葉が3裂しているのに対して、本種は丸場なのでこの名があるというのですが、フジバカマはフジバカマ属であるのに対し、本種はヒヨドリバナ属で花色も白く、どうしてフジバカマの名がついたのか不思議です。
牧野旧邸に咲いていたこの花、さぞかし博士が愛でた古来からの花かと思ったのですが、帰化種と聞いてすこしがっかりでした。

キッコウハグマ:亀甲白熊(5年越しで出会った花)

2010-11-15 18:13:06 | 植物観察1日1題

草株は何度も見ているのに、花を見たいと思っても、なかなか出会えないことがあります。
11月初旬、大阪府民の森くろんど園地の山道でやっと念願がかなったキッコウハグマ:亀甲白熊(キク科モミジハグマ属)もそんな花でした。
各地の山地の木陰などに生える多年草で、地下茎は細く地をはい、茎は高さ10~20㎝、葉は長さ幅とも1~3㎝、葉柄は葉身の2倍あります。花の形は変化が多く、名前の由来になった亀甲型のものからハート形、卵形などがあります。
花は秋、白い管状花が3個ずつあって一輪花のように見えます。閉鎖花もつきます。
和名は葉が亀甲型で、花が“はぐま”(白熊)に似ているということですが、この“はぐま”はヤクの尾の毛のことで、中国から渡来し、払子に作ったり、旗、槍、兜などの装飾につかわれたものです。
やっと会えたと勇んで写真を撮ろうとしたら運悪くカメラが電池切れ。やむなく同行の方の写真を拝借する羽目になりました。

カナリーヤシ:カナリー椰子(フェニックスで知られる)

2010-11-13 06:13:56 | 植物観察1日1題

ある大学の構内で、カナリーヤシ:カナリー椰子(ヤシ科ナツメヤシ属)がオレンジ色の果実をたわわに垂れ下げていました。
アフリカの西に浮かぶカナリー諸島原産の常緑高木でこの名がありますが、フェニックスの名でも親しまれ、南国を象徴する木とし宮崎市など各地で植えられています。
幹は太く、葉柄が落ちた跡が細長い菱形状の模様になって残ります。葉は長さ4~5mの羽状複葉で、葉の基部には鋭い棘があります。
雌雄別株で、花期は4~6月、葉の付け根から長さ2mほどの大きな花穂が垂れ下がり、淡黄色の小さな花が多数つきます。
果実は長さ2㎝ほどの楕円形で、オレンジ色に熟します。

ハナカタバミ:花傍食(野で忘れられた美女) 

2010-11-12 07:02:28 | 植物観察1日1題

金網の柵で囲まれた空き地にハナカタバミ:花傍食(カタバミ科カタバミ属)が咲いていました。
アフリカ喜望峰原産で、日本へは江戸時代末期に渡来し、九州に帰化し当時は観賞用として栽培、今では西日本中心に広まり、暖地では野生化もしています。
葉は根生し、葉柄の先に3小葉をつけます。10月頃花茎を伸ばし、散形花序に3~10輪の緋紅色径2.5~3㎝の5弁の花をつけます。冬は中止し春再び花をつけます。
蕾の時と花後の小花柄は下に垂れます。
和名は花が美しいことからついたのですが、元観賞用が逸出して、どこでも見られるようになったいまは、あまり注目されなくなっているようです。
かくいう“むかご”も、とっくに取り上げているものと思っていましたが、調べてみると今回が初めてでした。


オジギソウ:お辞儀草(棘があるはじらいの草)

2010-11-11 06:31:22 | 植物観察1日1題

府立大学農学部の農場に、大きいオジギソウ:お辞儀草(マメ科ネムリグサ属)の大きい株がありました。
これも暖かかった秋のせいか、花と熟した豆果が同時に見られました。園芸品種としておなじみのこの草は、南アメリカ原産で、天保12年に渡来、元来は多年草ですが、観賞用として栽培されるのは1年草として扱われているようです。茎は高さ30㎝くらい、茎にも豆果にも細毛ととげがあります。
偶数羽状複葉の葉は、触れると小葉が先端から1対ずつ順番に閉じて、最後は全体がやや下向きに垂れ下がります。
一連の運動は小葉の柄の付け根にある葉枕といわれる特殊な構造によるもので、夜葉を閉じるネムノキなどの就眠運動と同じ動きです。
学名のMimosaは本来人真似を意味するオジギソウの学名ですが、現在の日本では、ミモザはアカシア類のことを指すようになっています。
小種名のpudicaは、内気なという意味だそうで、別名もネムリグサのほかに、含羞草、知羞草、怕羞草などこの草の面白い動作を表しています。

ヤブツルアズキ:藪蔓小豆(豆果の形で区別)

2010-11-10 08:38:43 | 植物観察1日1題
暖かかかった秋のせいか、道端のヤブツルアズキ:藪蔓小豆(マメ科アズキ属)が、遅い花と豆果を同時につけていました。
竜骨弁がくるりとねじれる花のつくりはノアズキ(06年月7日記事)に似ていますが、ノアズキは豆果が長さ約4㎝の広線形で短毛が密生するのに対し、ヤブツルアズキは長さ4~9㎝の線形と長細で、無毛であることで区別されます。
ちょうどヤブツルアズキの豆果の左上にノアズキの豆果も見えていて、その違いが確認できました。
学名上はアズキ(Vigna)で、アズキの変種となっていますが、アズキが野生化したという説とアズキの原種がこのヤブツルアズキだという2つの考えがあるそうです

ヤシャビシャク:夜叉柄杓(会えれば幸運) 

2010-11-08 06:40:54 | 植物観察1日1題
9月中ごろ飛騨天生高原へ観察旅行した時の記録はシリーズで“むかご”の9月19日から10月3日まで掲載しましたが、一つだけ記事にできず心残りの植物がありました。
少しグループに遅れて、湿原のほとりでガイドが木の上を指して説明していた植物を見損なったことです。後から聞くと、ヤシャビシャク:夜叉柄杓(ユキノシタ科ズグリ属)という希少種で、図鑑でも、出会えたらとても幸運と書いている珍しい植物だったからです。
一月ほど後で同じ場所へ行った友人からその写真が送られてきました。ちゃんと歩いていたら自分もこの木を撮っていたはずと屁理屈をつけて、むかご”開設以来5年間で2度目の他人の写真を使わせてもらうことになりました。
落葉広葉樹の樹上や、老木上に生える落葉低木で、樹幹から垂れ下がり、長さ50~100cmになります。4~5月、短枝の先に淡緑白色の花弁状の萼片に包まれた小さい花をつけます。
果実は液果で、10~11月に熟し、直径7~10㎜、表面に針状の腺毛が残ります。
槙野図鑑では、夜叉柄杓の名は果実の形に基づくとありますが、夜叉はヤシャブシと同じで果実の表面が凸凹(この場合は腺毛)していることというのはわかるにしても、柄杓の形には見えません。ヒシャクは、ヒサゴでヒョウタンのことだとしている説もあるそうですから何とか納得です。

タチドコロ:立野老(種で“タチドコロ”に分かる) 

2010-11-06 09:11:37 | 植物観察1日1題



つる植物にはよく似たものが多く、識別に苦労します。
ひげ根を老人の髭に見立てて、海老とともに長寿を祝う正月の飾りに使われたので、野の海老で野老と書いてトコロと読むこの仲間もいくつかあります。
単にトコロとも呼ばれるオニドコロ(06年8月4日記事)によく似ているのがタチドコロ:立野老(ヤマノイモ科ヤマノイモ属)です。
丘陵や山地に生えるつる性の多年草で、茎がはじめ直立するのでこの名があります。
三角状卵形の葉は、オニドコロに比べて先が鋭くとがること、基部が心形に膨らみふちには細かい波状の鋸歯があることでも区別できますが、決め手は3個の翼がつく種子の形です。オニドコロでは種子の片側に翼が付くのに対して、タチドコロでは種子を中心にして周囲に翼が付きます。

カシュウイモ:何首烏芋(苦くはないが) 

2010-11-04 06:56:31 | 植物観察1日1題

大阪府立大学の農園に植えられていたカシュウイモ:何首烏芋(ヤマノイモ科ヤマノイモ属)です。
昨日のニガカシュウの栽培品種で、ニガカシュウに比べてむかご(珠芽)が大きく、大きいものでは2㎏にもなります。ニガカシュウと違い芋にもむかごにも苦味がなく、食用にされますが、栽培したことのある人の話ではあまりおいしいものでもなかったそうです。
宇宙芋、エアーポテトなどの名もあり、むかごが上の方にできることからきているという説もありますがあてにはなりません。

ニガカシュウ:苦何首烏(ご用心!苦いむかご)

2010-11-03 09:33:39 | 植物観察1日1題

京阪樟葉駅近くの淀川左岸一面に生えていたのが、ニガカシュウ:苦何首烏(ヤマノイモ科ヤマノイモ属)です。
温帯から亜熱帯に分布し、山すそや川岸に生える蔓性の多年草で、地上部は冬には枯れます。
何首烏(かしゅう)は、タデ科のツルドクダミの塊根の漢方名で、本種の塊根がこれに似ているということからきているそうです。
ハート形の葉は大きいもので幅9㎝位で互生します。葉脇に大きいむかご(肉芽)ができますが、ヤマノイモのむかごとは違って、名前の通り苦くて食べられません。
うっかり食べて失敗しないためには、ヤマノイモと違いニガカシュウの葉は互生で、大きい心形であること、むかごの表面にでこぼこがあることになどで判別します。