新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ダイサギソウ:大鷺草(鷺はスリムが優雅)

2009-09-30 06:54:01 | 植物観察1日1題

植物園に咲いていたのはダイサギソウ:大鷺草(ラン科ミズトンボソウ属)です。
サギソウ(07年9月4日記事)に似て大形であることからこの名があります。
関東地方以西の日当たりのよい草地で多少湿り気のある場所に生える地生ランで、高さ50cmくらいになり、地下に楕円形の塊根ができます。茎は直立し、5~6個の葉をつけ、下部の葉は大きく、上部の葉は小さく披針形になります。
8~10月、茎頂に総状花序を立て、白色の花を10個ほどつけます。
花の直径は2cmほどあり、唇弁は前方に突き出し扇形で3裂します。
花の形こそサギソウに似ていますが、全体に太めで、とくに茎の太さが目障りで、清楚さではサギソウに一歩譲るといえます。


ニラ:韮(古事記にも出ているという)

2009-09-29 07:13:32 | 植物観察1日1題

畑の縁にニラ:韮(ユリ科ネギ属)の白い花が咲いています。
中国やインドなどにも広く分布する多年草で、日本でも山野に生えていますが、多くは畑で栽培されています。
全体に特有の臭いがあり、葉は幅4mmくらいで2列に並び立ちます。
花は秋、高さ30~40cmの花茎を出し、半球形の散形に径6~7mmの花を密生します。
花被片の先は尖り開出します。
古名にカミラ、コミラ、ミラがあり古事記にも出てくるそうです。「葷酒山門に入るを許さず」の葷はニラやネギなど臭いの強い野菜を指しますが、あまりにも美味だから、あるいは単に臭いが修行の妨げとなるのか、精力がつきすぎて妄念が生じるというのか、なぜこれらを食することをタブーとしたのかはよく分かりません。

モロヘイヤ:シマツナソ:縞綱麻(知られていない本名)

2009-09-28 08:33:27 | 植物観察1日1題

農家の家先の畑にモロヘイヤの花が咲いていました。
若い葉や茎に独特の粘りがあり、ビタミンなど栄養成分に富む野菜として、最近人気のあるモロヘイヤですが、本来はジュートと呼ばれて南京袋などの原料になるシマツナソ:縞綱麻というシナノキ科ツナソ属の繊維原料植物であることはあまり知られていません。
日本で栽培されるようになったのは1980年ごろと新しく、ほとんどは食用です。
ツナソ属植物の葉は、単葉で互生し、縁に細鋸歯があり、しばしば、基部の1鋸歯が剛毛状に発達し、「葉耳」とよばれる1対の針状の付属体がつきます。「シマツナソ」も、葉の基部に「ちょび髭」様の針状の突起がついています。
夏、小さい黄色の5弁の花を多数つけ、その後、名前の由来にもなっている10本の溝がついた細長い果実がつきます。
シマツナソがシナノキ科というのも面白いのですが、いまごろ山道で見かけるカラスノゴマ(07年10月26日)も同じシナノキ科だとうことを聞きました。両者の花を見比べてみると、どこか似通ったところがありました。

ダンギク:段菊(よく分かる名だが菊ではない)

2009-09-27 09:06:04 | 植物観察1日1題

庭に、少々花つきが貧弱ですが、ダンギク:段菊(クマツヅラ科カリガネソウ属)が咲いています。
日当たりのよい草地に生える多年草で、花が段々につくのでこの名があり、紫色の花が美しいので、花壇などにも植えられ、切花にもなります。
野生のものは高さ30mmほどですが、栽培されるものは60cmくらいになります。全体に軟毛があり灰緑色に見えます。
9~10月、上部の葉のつけ根に紫色の小花が集散花序にびっしりとつきます。花冠の長さは約7mmで5裂し、裂片の下部の1個は大きく縁は細かく裂けます。

アコウ:赤榕(食べておいしい)

2009-09-26 06:59:35 | 植物観察1日1題

珍しい植物が続きます。
高知の牧野植物園でアコウ:赤榕・雀榕(クワ科イチジク属)の果嚢が熟していました。
本州、四国、九州から琉球の海岸近くに生え、台湾、中国南部からジャワにかけての亜熱帯から熱帯にかけて生える常緑高木で、はじめはほかの木に寄生し、幹や枝から気根を出し、高さは20mほどにもなります。常緑樹ですが、春いっせいに落葉し、まもなく新葉が出ます。
雌雄異株で、花は春、イチジクに似て花嚢といわれる球状の小さい袋に入っています。
送粉は共生するイチジクコバチが行います。花嚢は葉腋のほか幹や枝にもびっしりつきます
花嚢は果期にも形は変わらないまま、白い斑点が入った淡紅色の直径1.5cmほどの果実になります。赤黒く熟した果実は甘く皮のまま食べられます。


ヒゴタイ:平江帯(熊本に生えても肥後ではない)

2009-09-25 06:44:31 | 植物観察1日1題

昔大陸と陸続きであった名残で本州愛知県、岐阜県、岡山県、四国、九州および朝鮮に隔離分布していたというヒゴタイ:平江帯(キク科ヒゴタイ属)も、今では九州のごく限られた地域にしか残ってないといいます。
熊本県阿蘇郡にヒゴタイ公園というのがあるくらいですから、九州でも珍しい草のようです。
日当たりのよい山野にごくまれに生える多年草で高さ1m内外、茎と葉裏に白い綿毛が密生します。
花は夏から秋、頭花は1個の筒状花からなり、頭花が集まって直系約5cmの球状の花序となります。筒状花の花冠は深く5裂します。
名前を聞いたとき、九州に多いことから肥後タイ?と思ったのですが、平江帯でした。平江帯の由来はわからずじまいです。

トウテイラン:洞庭藍(洞庭湖の水の色)

2009-09-24 07:04:47 | 植物観察1日1題


この時期、あちこちの植物園で「今この花が咲いています」などの掲示がよく出ているのが、トウテイラン:洞庭藍(ゴマノハグサ科クガイソウ属またはルリトラノオ属またはクワガタソウ属)です。各植物園がわざわざ開花を知らせるのは、この花が日本固有種で、現在時自生が確認されているのは、隠岐島、京都府久美浜町、鳥取県羽合と泊村の4ケ所に限られている珍しい草だからでしょう。
和名の洞庭藍の藍は、中国の洞庭湖の美しい瑠璃色の色の水にちなんだものです。
海岸に生える高さ40~60cmの多年草で、江戸時代には観賞用として栽培されました。
全体に白い綿毛に包まれ、対生する葉は幅1.5~2cm、長さ5~10cmの倒披針形でほとんど柄がありません。8~9月、茎の先に穂のような総状花序を出し、青紫色の小さな花を密につけます。珍しい割には、京都府のレッドデータブックでは要注目種にとどまっています。図鑑によって属名がいくつにも分かれるのも珍しいことです。

トウシキミ:唐樒(タミフルの原料?人類を救うか)

2009-09-23 06:09:59 | 植物観察1日1題

薬科大学の植物園にトウシキミ:唐樒(シキミ科シキミ属)の花が咲いていました。
トウシキミはダイウイキョウ(大茴香)、ハッカクウイキョウ(八角茴香)、あるいはスターアニスなどとも呼ばれ、ふつう8個の袋果が放射状に集まることから、「八角」の名で中国料理の香辛料となっています。
八角はまた薬用にも使われ、胃腸の働きを活発にし、風邪・咳止めにも薬効があるとされます。
新型インフルエンザで一躍注目さているタミフルの原料のシキミ酸は、このトウシキミの果実を乾燥させたもので、タミフルはこのシキミ酸を原料に10回におよぶ化学反応を経て生産されるといいます。
タミフルは最近化学的に合成する方法が開発されたという話もありますが、人類の命の綱ともなりうるタミフルの原料のほとんどを中国産のトウシキミに依存しているとすればなにやら心もとないところです。

オオボウシバナ:大帽子花(友禅染の下絵絵の具)

2009-09-22 07:21:27 | 植物観察1日1題

薬科大学の植物園に、オオボウシバナ:大帽子花(ツユクサ科ツユクサ属)の花が咲き残っていました。
むかしからツキクサとも呼ばれ染物に使われたツユクサ(05年9月11日記事)の園芸品種で、花が大きく、特に友禅や紋染めの下絵の絵の具に用いるために改良され、鑑賞用にもなっています。
今でも滋賀県草津地方では、実際にこの花の汁を採って紙を染めた青花紙をつくり染めものに使っています。
一般にはアオバナ(青花)と呼ばれ、含まれる色素は青色系のアントシアニンで、水溶性で色落ちしやすいところが下絵描きに適しています。
全株壮大、高さ50cmくらいになります。花は直径4cmくらい、青色の一日花です。

アイ:藍(藍より出でて藍より青し)

2009-09-21 08:04:56 | 植物観察1日1題

ある薬科大学の植物園で見かけたアイ:藍(タデ科タデ属)です。
あまりにも変哲のないタデで、有名な「藍より出でて藍より青し」の言葉以上に、どこがあの藍色になるのか不思議です。
インドシナ原産といわれ、日本には非常に古くから中国より伝えられ、有用植物の一つとして栽培されてきた1年草で、茎の高さは50~60cm、滑らかで紅紫色を帯びます。
夏から秋、花柄を出しイヌタデに似た紅色の小花を穂状につけます。
葉を発酵させると、含まれる配糖体のインヂカンが水と空気で酸化され、藍色染料のインディゴが形成されます。
草木を原料にする伝統的な染料が化学染料にとって取って代わられるなかで、藍や藍染めは根強い人気に支えられて、徳島県の特産品になるなど、いまも商業的に生産が続けられています。

キタヤマブシ:北山附子(今津のトリカブト)

2009-09-20 07:05:13 | 植物観察1日1題

5月の末、湖北今津ビラデスト家族村にある平池(だいらいけ)へカキツバタの自生地を見に行ったときのことです。池の周りにトリカブトらしい草が一面に生えていました。
花時はさぞ見事だろうと思って行って来ました。ところがその多くは立ち枯れてしまい、咲いている花もまばらで、大いにがっかりしました。
ここのトリカブトは、資料では、ヤマトリカブト群の一つで、キタヤマブシ:北山附子(キンポウゲ科トリカブト属)といい、北日本に分布する種類で、この辺りや比良山系で見られます。茎は高さ0.6~2m、時に3m以上、林縁では斜上し、草原では直立する。葉は5~7中裂するのが特徴で、長さ幅とも3~4センチ、散房花序または円錐花序につき、普通上から順に咲く。となっています。
附子(ぶし・ぶす)とは、トリカブトまたは近縁植物の塊根(子塊)を指す漢方名からきています。この仲間は、アルカロイドを含み、猛毒を持つものが多く、根は勿論、茎や葉にも注意です。
またこの仲間は、異種間での交雑がおきやすく、分類が複雑で、同定が難しい種のひとつで、近くでは金剛山などでみられるカワチブシ、伊吹山のイブキトリカブトなどがあります。キタヤマブシの茎は斜上もしくは垂れ下がるのに対し、イブキトリカブトは茎が直立することで区別するとされますが、茎の立ち方は単なる環境の違いであって、両者は同じものだとする見解もあるそうです。

イヌハギ:犬萩(イヌでも希少種)

2009-09-19 05:10:27 | 植物観察1日1題

ハギに比べると品がなく、鑑賞に値しないとところからイヌの名がついたというイヌハギ:犬萩(マメ科ハギ属)は、各地の河原や海岸の砂地に生える多年草で、茎の下部は木質化します。
茎は直立し高さ60~90cm、葉脈が目立ちます。
夏から初秋、黄色を帯びた白色の花を枝先に総状に集まってつけ、葉脇に閉鎖花を多数つけます。
軽蔑したような名がついていますが、自生が少なくなり、各地で絶滅危惧種にしていされて、いまでは希少種となっています。
イヌハギに対してネコハギがありますが、(06年9月16日記事)こちらはイヌに比べて毛が多くはえているからといいます。

マルバハギ:丸葉萩(葉より短い花序)

2009-09-18 08:24:41 | 植物観察1日1題

マルバハギ:丸葉萩(マメ科ハギ属)は、各地の日当たりのよい山野に生える落葉中低木で、高さは2mくらい、多数分枝して枝はのびて開出し、垂れ下がることもあります。
互生する3出複葉の小葉は、名前のとおり楕円形または倒卵型で、多くは先端が少し凹みます。
花はヤマハギのように長い穂にならず、基部の葉より短い花序が葉のわきに固まってつます。
ヤマハギもマルバハギも野山で普通に見られるハギですが、葉の形と花序の長短が区別点になります。

ヤマハギ:山萩(葉より長い花序)

2009-09-17 13:54:09 | 植物観察1日1題

山野のあちこちで萩の花が咲きこぼれています。
萩(マメ科ハギ属)は、ハギ属のうちヤマハギ亜属の総称で、ヤマハギ、マルバハギ、ミヤギノハギ、キハギなどを指します。
ハギは秋の七草のひとつで、万葉集で最も多く142も詠われていて、古くから身近な花として愛されてきたことがうかがえます。
ハギは生え芽(はえぎ)で、株からすぐ芽が出るという意味といいます。古くは芽子、芽、波疑、波義など書かれましたが、秋に咲く草という意味の国字の“萩”という字が現れるのは比較的新しく平安時代になってからです。平安時代以降ハギは鹿と組み合わせて歌に詠まれることが多く、鹿がハギを妻として訪れるという言い伝えがあり、ハギは”鹿の妻“鹿鳴草(しかなぐさ)”などと呼ばれ、一方鹿のことを”萩の夫(つま)“ともいうそうです。
写真のヤマハギは各地の山野の草地にふつうに見られる高さ1~2mの落葉低木で、多数分枝します。葉は長さ2~4cmの楕円形または広卵形で先は丸くなります。
花序は基部につく葉より長くなります。

ヒツジグサ:未草(2時よりは早い開花)

2009-09-13 07:28:57 | 植物観察1日1題

奥茨木の山間の池にヒツジグサ:未草(スイレン科スイレン属)が咲いています。
大阪近郊で自生するヒツジグサを見るのは珍しいことです。
未の刻(午後2時ごろ)に開花するというのでこの名がありますが、実際にはもっと早く開花し、夜になると閉じ、これを2~3日繰り返します。
池沼に生える多年草で、葉は根生し、長い柄があり長さ10~20cmの広楕円形で水面に浮かびます。花は根生する長い花柄の先に1個頂生し、直径約5cmの白い花をつけます。
漢名は睡蓮ですが、ふつう睡蓮と呼ばれるときは、自生種を親として生み出された美しい花をもつ多数の園芸品種を指すことが多いようです。