新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

トチノキの古木 (樹齢2千年の巨木・綾部君尾山にて①) 

2005-10-31 06:50:28 | 植物観察1日1題
10月も末、雨を突いて京都綾部市東部の山深く、君尾山のトチノキ:栃の木・橡の木(トチノキ科トチノキ属)の古木を見にゆきました。
樹齢2千年といわれる巨木は、気の遠くなるような長い年月の風雪に耐えて来た歴史を、根元で大きく裂けた空洞で表現していました。
トチノキは、川沿いや湿り気の多い谷などに生える落葉高木で、大木になると樹皮に波型の模様が現れ、大きく割れて剥げ落ちます。長い葉柄の先に天狗の団扇のような葉を付け、秋には鮮やかに黄葉します。
見上げると高い頂の梢に付いている葉は、トチノキ特有の大きな葉ではなく、なんとなく小ぶりの感じがしました。さすが高齢で、大きな葉をつける活力が失われたのかもしれません。
この木はこれから先何十年、何百年生き続けられるのでしょうか。悲壮感も漂う老木に思わず声援を送ったことでした。


メハジキ:目弾き (子供の目張り?)

2005-10-30 07:01:05 | 植物観察1日1題
道でメハジキ:目弾き(シソ科)を見かけました。
本州、四国、九州の平地の草原に生える2年草で、茎葉には長い柄があって、3個に深くしばしば基部まで切れ込んでいます。茎丈は大きいもので1mを超えます。
花は小さく、萼の長さは6~7mm、花冠は薄い紅色で長さ15mmぐらいになります。
茎に弾力があり、子供がこの茎を細く切ってまぶたの上下に張るように付け、目が大きく開くということで遊んだことからメハジキの名がついたといいます。でもこのごろは、田舎の子供でもこんな遊びはしないでしようし、多分大人でも知る人はいないでしょう。
この草は又、一名ヤクモソウ(慈母草・益母草)といわれ、産前産後の出血どめ、強壮、利尿、解毒などの薬効があるそうです。

ツルニンジン:蔓人参(面白い花後の形)

2005-10-29 06:53:16 | 植物観察1日1題
10月9日、高槻市の奥、流れ谷でツルニンジン(キキョウ科ツルニンジン属)に出会い釣鐘型の花が面白く何枚か写真を撮ったのですがみなブレやピンボケの失敗でした。
撮り直そうと、一週間後もう一度訪れたのですが、花は終わっておりがっかりでした。
でも花弁の落ちた後が、結構面白い形をしています。太い根が高麗人参に似ているところからツルニンジンの名がありますが、図鑑には花や根の形は載っていますが、種はありません。この形からどんな種が出来るのか、もういちど見に行くことにしましょう。

カマツカ:鎌柄の実(牛殺しににも可愛い実が)

2005-10-28 06:55:56 | 植物観察1日1題
カマツカ:鎌柄(バラ科カマツカ属)が実をつけました。
5月白い梅のような小さい5弁の花をたくさんつけていたいのが(5月7日付記事参照)、今、赤や黄の実をつけて小鳥の訪れを待っています。
実の天辺に萼片の痕跡を残してバラ科の特有の実の形を示しています。
材が硬くてつよいので牛殺しの別名があるカマツカですが、花といい実といい、名にそぐわない可愛いものです。

クロハナヒキオコシ:黒花引き起こし(重病人を引き起こす)

2005-10-27 06:20:07 | 植物観察1日1題
丹後半島でクロハナヒキオコシ:黒花引き起こし(シソ科ヤマハッカ属)の群生に出会いました。
ヒキオコシは、弘法大師が、倒れていた修験者にこの草の絞り汁を飲ませた忽ち元気になり立ち上がらせることが出来たという伝説からきた名です。
強烈な苦味があり、かつては全草を粉末にしたものが"延命草“の名で売られていたそうです。日本に広く分布するとありますが、当地高槻では最近見られなくなったという話も聞きます。
クロハナヒキオコシは、このヒキオコシ仲間で、黒に近い濃紫色5~6mmの小花をまばらにつけます。こちらは北海道や比較的寒い地域の自生します。丹後半島の波見地区では道端に一面群生が連なっていました。

ムカゴミズ:(ウワバミソウ)(変り種のむかご)

2005-10-26 06:49:37 | 植物観察1日1題
昨日のムカゴイラクサと同じ場所にムカゴミズがありました。
この草は、イラクサ科で、普通ウワバミソウまたはミズといわれて春先には野草料理で人気の草です(6月25日記事参照)。
秋になると茎の節が膨らんで珠芽(むかご)になり、秋が深まるころ、節が離れて地面に落ちて根を出し、それが新しい苗になります。
そのことから、ウワバミソウ(ミズ)は、秋の季節には特にムカゴミズと呼ばれるそうです。
何種類かのむかごの中でも、節ごと落ちて根付く点が少し変わっています。
昨日今日と私のハンドルネームのむかごにすこしこだわってみました。


ムカゴイラクサ:むかご棘草(もうひとつのむかご)

2005-10-25 06:56:21 | 植物観察1日1題
むかご(零余子)といえばヤマノイモ(10月4日記事参照)がよく知られていますが、むかごは珠芽といわれる脇芽の一種で、茎に相当する部分に養分を貯蔵して小さな球塊になり、母体からたやすく離れて無性的に新しい新個体を生じるものとされています。
ヤマノイモ以外に身近なものではオニユリ、シュウカイドウ(9月28日記事参照)などがむかごを生じます。
丹後半島の谷奥でみかけたムカゴイラクサ(イラクサ科)もまたそのひとつです。同じ科のイラクサは山地にどこにでも生える多年草で、この草の葉や茎の棘毛に触れると蟻酸でちくちくするため棘草と呼ばれますが、ムカゴイラクサはこれによく似ていて、秋にむかごを生じるのでこの名がついています。
見た目にはヤマノイモのむかごによく似ていますが、名前が名前だけに、五感を駆使して観察するのがモットーの私ですが、試食は見合わせました。

ウスノキ:臼の木(真っ赤な臼で何を搗く?)

2005-10-24 06:47:20 | 植物観察1日1題
山を歩いていて、足元の低木の葉裏に小さい真っ赤な実を見つけました。
近づいてよくよく見ると実の先端が5角形に凹んで実に面白い形です。
調べてみるとこの木は、ウスノキ:臼の木(ツツジ科スノキ属)とのこと、成る程と、その名に納得しました。
カクミノスノキの別名もあり、同属のスノキ(酢の木)とは、木や、花や、葉の形がよく似ていて普段は区別し難いのですが、秋になればスノキは黒紫色であるのに対し、ウスノキは写真の通りですからよくわかります。
ウスノキもスノキも実は熟せば食べられます。

ヤマボウシ:山法師(食べられる法師の頭)

2005-10-23 07:00:18 | 植物観察1日1題
6月の山に真っ白の花で目立っていたヤマボウシ:山法師(ミズキ科)(6月3日記事) が、今丸く赤い実をつけています。
初夏、白い4個の総苞の中心で蘂のように見えていた20~30個の黄色の小花が、秋、丸い集合果になっているのです。
赤く熟した実はさくらんぼほどの大きさがあり、甘くて結構食べられます。公園などで見かけたら試してみてください。
因みに、町中でよく見かける花水木、別名アメリカヤマボウシも、今、赤い楕円形の実を沢山つけています。同じヤマボウシでも、こちらは鳥が食べるだけで、人間には食べられません。

ツルリンドウ:蔓竜胆(実は食べられます)

2005-10-22 06:49:46 | 植物観察1日1題

山道を歩いていると、足元にツルリンドウ:蔓竜胆(リンドウ科)が花をつけていました。
普通の竜胆の深い青色とは少し違った淡い紫色です。
茎がつる性で細長く、40~80cmに伸び、地面を這ったり、ほかの植物にからまりますが、花はリンドウに似ているのでこの名があります。
8~10月に咲く花は、葉腋に1個ずつ付き、筒状です。花筒の長さ2.5cm~3cm口部は5裂し、裂片の間に小さい副片があります。
まもなく長い柄をつけた赤紫色の長球形の液果をつけます。この実はわずかに甘みがあり食べられるそうです。

サルトリイバラ:猿取茨(実が色づきました)

2005-10-21 07:11:00 | 植物観察1日1題
サルトリイバラ:猿取茨(実が色づきました)2005.10.21
5月10日の記事で取り上げたサルトリイバラ(ユリ科シオデ属)が赤い実をつけています。雌雄異株で5月の写真は雄花でしたが、当然ながら実は雌株に付きます。
本名と同じくらい別名のサンキライ(山帰来)でも知られていますが、山帰来は中国、インドに自生する“棘なしサルトリイバラ”を指し、サルトリイバラによく似ているが棘がないものだそうですからサルトリイバラをサンキライというのは正しくないといえます。本来の山帰来の根茎は生薬として、今では過去の病気になった梅毒に効くといわれ、山に捨てられた重症の患者がこの根をかじったら治り、山から帰って来たので山帰来の名がついたという相当怪しい説もあります。
赤い実は食べられるそうですから一度試してみることにしましょう。


ナンバンハコベ:南蛮繁縷(異国風の名を持つ純日本種)

2005-10-20 07:00:51 | 植物観察1日1題
高槻の奥、せせらぎの里の道端でナンバンハコベ(ナデシコ科)が咲いているのに出会いました。山の林の縁などに生える多年草で、茎は細つる状に伸び、多くの枝をだしてほかの草木に絡まります。
8~9月、直径2cmほどの白色の花が横向きに咲きます。花弁は5個で細長く、それぞれ離れ離れにについて反曲し、先端は2裂します。萼は筒状広鐘形で、花が開くと丸く膨らみ、先が5つに裂けます。中央にある雌蕊の基部には、もう緑の丸い果実が見えます。秋が深まるとこの果実は黒く熟します。
名前は、この変わった花の形を異国風と見て"南蛮“と呼ぶようになったそうですが、じつはこの草、外来種ではなく、れっきとした日本在来種であるというのも面白いところです。

クリ:栗(最も美味、ドングリの王者)

2005-10-19 06:58:06 | 植物観察1日1題
初夏、ひも状の花序に薄黄色の花を噴水状につけ、強烈な匂いを放っていたクリ(ブナ科クリ属)が、実る季節になりました。
一般にドングリといわれる約20種類ほどのブナ科の木の実のなかで、文句なしにもっとも美味しいのはクリです。ドングリの中でマロングラッセなど高級洋菓子に使われるのはクリだけです。
クリは、縄文時代よりもっとも重要な食料であったばかりでなく、材は腐り難いので、建築用材、家具、土木、船舶、などに広く使われ、とくに、最近まで鉄道の枕木に使われていたことは良く知られています。
また、殻のまま干して臼で搗き、殻と渋皮を去ったものを勝栗(搗栗)といい、搗きと勝に通ずるところから出陣や凱旋の祝いや、正月の祝儀などに用いられました。
鋭いイガイガに守られているのも美味しいクリを狙う外敵に備えるためでしょう。このイガは総苞片が成長したもので、秋4裂し中にある1~3個の栗の実が顔を覗かせます。
虫にとっても美味しいはずで栗の実にはよく虫が潜んでいます。芭蕉が「夜ル窃(ひそか)ニ虫は月下の栗を穿つ」(よるひそかに むしはげっかの くりをうがつ)と嘆じたように私たちをがっかりさせるものです。
写真の栗、イガが開いて1個だけぶら下がるように残っていました。白い粉が盛り上がっていましたので中にいやな虫がいるに違いありません。

ゲンノショウコ:現の証拠(飲めば忽ち効き目あらたか)

2005-10-18 07:12:10 | 植物観察1日1題
薬効があるとされる草は数え切れないほどありますが、千振(センブリ)、十薬(ドクダミ)と並んで、どうかするといまでも普通の家に陰干しした草が貯えられていたりするのが、このゲンノショウコ:現の証拠(フウロソウ科)です。
これを煎じて飲むと、健胃、整腸、下痢、腹痛に卓効があるとされ、効き目がすぐ出るので“現の証拠”の名で古くから民間薬として重宝されています。
どこの道端ででも見られ、夏から秋にかけて咲く五弁の花には、紅紫色、淡紫色、白色があります。
果実は直立し、熟すと壁が縦に5裂し、裂片は種子を巻き上げてこれを飛ばします。その後の花柱の形が神輿の屋根に似ているところから、神輿草の別名があります。

アケボノソウ:曙(夜明けの山の端に残る星々)

2005-10-17 07:22:00 | 植物観察1日1題
高槻の奥、出灰地区の谷沿いで綺麗な模様のある白い花に出会いました。
曙草(リンドウ科センブリ属)です。
遠めにはさほど目立たない花ですが、近づいて仔細に花弁を見ると造形の妙にはっとする思いです。
アケボノソウは、全国各地の湿地にはえる越年草で、茎は直立して高さ60~90cm、9~10月、茎の上部に有柄の白花をつけます。
5つに裂けた花弁にある紫黒色の細かい点を夜明けの星に見立てて曙草の名が付いたそうです。この花の地色は白ですが、よく見ると花弁の先端近くに10個以上の紫黒色の細点があり、これより中心に近いところに円形の緑色の斑点が2個並んでいます。
この緑色斑を地上の山に、紫黒色の細点を星に見立て、夜明けの空をイメージして曙草と名づけたとしたら、数多い山野草の名の中でも秀逸の部に入ることは間違いないでしょう。