新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

スイフヨウ:酔芙蓉(酔いに紅さす美人の頬)

2005-09-30 06:50:07 | 植物観察1日1題
夏の間咲き誇った芙蓉がようやく衰えかけた今の時期、代わってスイフヨウ(アオイ科)が咲きはじめます。
中国南部から東南アジアにわたって植えられている園芸植物でわが国では西日本中心に多く栽培されています。
フヨウの変種で、植物体はフヨウと同じですが、早朝の白色が、日中は薄桃色になり、夕方には紅色に変わりしぼみます。翌日にはさらに色を増し、2日目にはほとんど落ちてしまいます。
よく見ていると、朝方真白だった花は、昼前にはもううっすらと紅を指してきます。
酒に酔って頬を染めることにたとえられて名がつけられたのですが、花の様子をみていると、酔っているのは、ふくよかな若い美人に違いありません。
今日咲いた花のそばには、すでにしぼみ果てた昨日の花が残っています。移ろいやすい
美人の容色を語っているようでもあります。

ツルムラサキ:蔓紫(人気のネバネバ3兄弟)

2005-09-29 06:29:11 | 植物観察1日1題
休耕田の傍らの雑草の中にツルムラサキ(ツルムラサキ科)が、花をつけていました。いつかお百姓さんが植えたのが移り住んで野生化したのでしょうか。
熱帯アジア産のつる性1年草で、
落葵(ラオコエイ)とも呼ばれインドのほうれん草の別名もあるツルムラサキは、土臭い独特のにおいと、ぬめりがあり、モロヘイヤ、オクラと共に夏のネバネバスタミナ野菜として人気があります。
紫色の蔓から出た光沢のある葉の腋から花穂が立ち上がり、先端が薄紅色の白い花をつけています。みな蕾のように見えますが、穂の下方に実らしきものが付いているのもあります。帰って調べてみますと、花には花柄も花弁もなく,萼が肥厚した3~4mm粒状花となり、それも全部は開かないのだそうです。蕾と見たのは花というわけです。
古く中国では、紫黒色に熟した果実の汁で布を染めたり、女性が唇に塗ったりしたそうです。和名の由来は紫の蔓からではなく、紫色の汁を含んだ実から来たということです。

シュウカイドウ:秋海棠(美女の涙)

2005-09-28 06:17:50 | 植物観察1日1題
裏庭の片隅に今年もシュウカイドウが咲きました。
シュウカイドウ:秋海棠(シュウカイドウ科)は、江戸時代の初期に中国から渡来したといわれていますが、庭の茂みの影に薄紅色の花を点在させて秋の訪れを告げる姿は、どこか日本人の心情に訴えるものがあります。
シュウカイドウは雌雄異花で、雄花をつける枝は上に伸びて数も多く2個の大きい萼片と2個の小さい花弁を持ちます。雌花をつける枝は、垂れ下がっていていますが、雌花は上手に栽培しないと咲きにくいそうです。
花が垂れ下がって咲くことが、春に咲く海棠に似るということで秋海棠の名があり、同じことから瓔珞草ともいいます。
中国の古い話に、ある女性が恋人に会えずに会えず毎日北窓で泣いていた所、その涙のこぼれたところに草が生え、その姿はいかにも女性が泣く痛ましい姿に似てなまめかしいので断腸草(断腸花)と名づけられました。これが今の秋海棠というのです。
葉腋にむかごが付き、それがこぼれて翌年発芽します。手入れ要らずで楽ですが、ほったらかしの我が家では、雌花が開くことはなさそうです。

良く見れば興味ある草、エノキグサ:榎草

2005-09-27 06:23:10 | 植物観察1日1題
田んぼの縁を歩いていると、少し赤っぽい目立たない草を見かけ、写真に撮って詳しい知人に名を聞きました。葉の形も葉脈もエノキ似ていることから名がついたエノキグサ:榎草(トウダイグサ科)でした。その人に言うには一見変哲も無い雑草だが形態的には面白い植物だと聞いてあわててもう一度見に行きました。
日本全国からアジア大陸東部に分布する一年生の草本で、生育する場所は広範です。
特徴があるのは、8~10月に咲く花で、雄花は淡紅色~褐色の細く長い穂を作り、その下部に少数の雌花があって、編み笠状の苞葉に抱かれています。このことからアミガサソウという別名でも知られています。この苞葉は、やはりトウダイグサ科の特徴を示しているといえます。
子房は3室に分かれ、表面意は小さなこぶ状の突起があり、その上に軟毛が密生しています。3通に分かれた子房の上に付いているのが花弁に相当する花被です。
も一度行って撮り直してきた写真ですが、そこまで詳しく写し切れていないのが残念です。

効き目てきめん?タンキリマメ、痰切豆 

2005-09-26 06:28:14 | 植物観察1日1題
万博公園の此処かしこに、黄色い花をつけた蔓を見かけました。
タンキリマメ:痰切豆(マメ科)は、山や野にはえるつる性の多年草で、全体に逆向きの
軟毛があります。葉は3枚の小葉に分かれており互生しています。小葉の裏面に葉黄色に光る小さな腺点があり特徴点になっています。7~9月に葉より短い花序に黄色で長さ8~10㎜の花を10~20個つけます。
この草の美しいのは秋に実る赤い実のサヤで、花よりもこの方に特徴があります。中に黒光りする種子が2個入っています。この豆が名前の由来である痰切豆で、豆を煎じて咳止め、痰切りの薬に用いるということです。

大宮人の長柄傘、ツルボ:蔓穂

2005-09-25 06:27:52 | 植物観察1日1題
公園の土留めの隙間に薄紫色の花穂を立ててツルボが咲いています。
ツルボ:蔓穂(ユリ科)は春のヒヤシンスと類縁の深いユリ科の多年草で、地中には、黒っぽい皮をかぶった鶉の卵ほどの球根があります。春秋に2季に分かれて出る葉のうち、秋のは普通に向き合った2枚だけで、その間から花茎を出し、花序は下から順に咲き、しだいに伸張して高さ20~40㎝に達します。
薄紫の花は、花被6個、雄蕊6個でちゃんとユリ科の約束を守っています。
和名の由来は明らかでありませんが、並び立つ穂が連なるから“連穂”説、結実するとき花軸が蔓のように伸びるから"蔓穂"説などがあります。
別名のサンダイガサ(参内傘)は、花穂の形を、昔、殿上人が参内するとき、従者に持たせる長柄の傘をたたんだ姿に見立てたものです。

葉をちぎれば矢筈模様、ヤハズソウ:矢筈草

2005-09-24 06:51:12 | 植物観察1日1題
どこの道端でも見える草ですが、丈20~30㎝でよく枝別れして茂っていますが、花つきは良くなくごく小さいので良く見ないと見落としそうです。
ヤハズソウ:矢筈草(マメ科)は、日本全土に普通に生える一年草で、小葉は長楕円形で先は丸く長さ20~17㎜です。花は薄紅色で長さ約5㎜。長さ8~10㎜の葉には、はっきりした線があり、この葉を指で引っ張るとその線のまま、矢の弦をかける部分である矢筈の形にちぎれるのでこの名があります。
仲間に、葉は幅が広く、葉先がハート型に凹むマルバヤハズソウもあります。

不人気はなぜ? ヒガンバナ:彼岸花

2005-09-23 06:12:30 | 植物観察1日1題
今日は彼岸の中日。秋のお彼岸といえばヒガンバナ、うっかり花時を見過ごすことが無いので毎年有名な場所へカメラを提げて出かけます。
ヒガンバナ:彼岸花(ヒガンバナ科)は別名の梵語の“天上に咲く花”の意から来た「曼珠沙華」でも有名ですが、500とも1000とも言われる地方名の多さでも知られています。
綺麗な花なのに、有毒であることや、墓地や寺院に多く見られ、血を思わせるような赤一色なのが日本人の美意識に合わないのか、死人花、幽霊花、鬼花、毒花、痺花、などといわれ敬遠されることが多いようです。
でも属名のLycorisはギリシャ神話の海の女神リコリスに見立てて命名されたもので、リコリスの名で園芸店に出る彼岸花の改良種の方は、海外はもちろん、わが国でも人気があります。
別名“葉見ず花見ず”の名のように、晩秋に生える葉は翌年春には消えて、秋、彼岸のころに高さ30~40㎝の花茎を立て、頂きに数花をつけます。長さ4㎝くらいの6個の花被片は強く外曲し、縁は波状になります。雄ずいは6個あり、花外に長く突き出ます。三倍体のため結実しません。
有史前帰化植物といわれ、田んぼの畦などに群生しているのは、飢饉に備える救荒植物として(鱗茎を水洗いしてリコリンなどの有毒成分を除いて澱粉を食べる)、あるいは畦を鼠害から守るためなどといわれています。



花も捨てがたい、イタドリ:虎杖

2005-09-22 07:02:33 | 植物観察1日1題
戦時中で何も食べるもののない子供のころ、春先に赤紫色の斑点の付いた小さいたけのこのような若い茎をポンと折り、酸っぱいので塩をつけて食べたものでした。
その時代、大人はこの草の葉を干して刻み煙草の代用品にしていました。
こんな思い出ばかりのイタドリ(タデ科)虎杖、疼取でしたが、先日道端で改めてその白い花を見て結構綺麗なことを発見し少しうれしくなりました。
雌雄異株で(写真は雄)、夏から初秋にかけ葉腋から花穂が伸び、複総状ときには円錐状に白色のの小花をつけます。花は、花弁は無く萼片だけです。花が紅色のはベニイタドリ別名名月草と呼ばれます。
どこにでも見られるイタドリは地方名も多く5百を数えるそうです。田舎(和歌山)でゴンパチといっていた草が一般にイタドリと呼ばれていることを知ったのはずいぶん後のことです。大阪へ出てからはゴンパチの語はまったく聞かなかったので気になってネットで調べて見ると十津川の方言集に載っていたので紀伊半島方面では使われていることがわかり少し安心しました。疼取とも書かれるので痛み取りから来た名の説があるそうですが、そんな薬効が無いとのことで少し怪しいようです。
写真の綺麗な蝶は実は蛾で、キンモンガ(チョウ目アゲハモドキ科)だそうです。

甘い香りの獰猛なつる草、クズ:葛

2005-09-21 06:22:46 | 植物観察1日1題
森影を歩いているとどこからか強く甘い香りがしてきます。見上げるとクズ(マメ科)が赤紫色の総状の花をつけていました。秋の七草の例にもれず、クズにまつわる話は数多くあります。中でも有名なのが「恋しくば尋ね来て見よ和泉なる信太の森の恨み葛の葉」で知られる葛の葉伝説です。安倍保名に助けられた狐が化けて妻となり、子を産みますが正体が露見し子を残して去ります。その子が後に陰陽師の安倍晴明になるという狐の悲話がもとになっています。
3小葉の大きな葉をつけ、地上に、樹上に長い茎を伸ばします。マメ科の常として窒素固定を行うので成長力は極めて旺盛で、ある調査によれば茎の延べ長さが1500mに達することもあるとのことです。その葉が、晴天時には左右の小葉の表面を合わせて畳み込み水分の蒸散を防ぎ、夜間は小葉の裏を合わせてたたんで寝るという面白い動きをします。
旺盛な成長力で、樹を覆いつくしやがては枯らすこともある獰猛な害草ですが、根は塊根 を形成し20%もの澱粉を含み、これからとったのが本当のくず粉で、今でも吉野地方などで実際に作られて高級な料理や菓子に使われています。クズの名の語源となったといわれる国栖(くす)という地名も吉野にあります。
この根はまた葛根(湯)として漢方で用いられ、また昔は茎の繊維を用いて葛布にしましたが今では織る人もほとんどいなくなっているそうです。

大根には似ていない、ダイコンソウ:大根草

2005-09-20 06:17:26 | 植物観察1日1題
木陰の道端に黄色い花が咲いています。ダイコンソウ:大根草(バラ科)は、日本全土から中国にかけ分布し、根出葉は冬の間ロゼット状に地表に広がり、奇数羽状複葉で、托葉は卵形で長さ7~12mm、周りに鋸歯があり、頂小葉は多くは先が3つに割れています。時に付属小羽片を交えて大根の葉に似ます。このことから大根草の名がついたそうですが、見た目には八百屋で見かける大根とは似ても似つかぬ感じです。
7~8月ころ、枝先に径1.5cm内外の黄色い花をつけます。萼裂片は5個、花時には反曲し、小花柄とともに短毛が密生します。花弁は5個でほぼ円形、雌蕊・雄蕊が多数つきます。果実は、長さ約2mmで、毛があり、先に花柱の一部が残り鉤となっているため動物に付着し運ばれます。
大根草の園芸種、アカバナダイコンソウは園芸店でよく売られていますし、チリダイコンソウ、ヨウシュダイコンソウなど外来系の園芸種もあります。

道端のしたたか者、スベリヒユ

2005-09-19 06:23:14 | 植物観察1日1題
まだ暑さが残る道端で、スベリヒユ(スベリヒユ科)が夏負けもせず、地面に這い蹲るようにして小さな花をつけてがんばっています。
畑の雑草であるが、路傍や荒れ地にも生育しているスベリヒユは、葉は厚ぼったく、光沢がり、茎も多肉質であり、暑さや乾燥に強い対応能力を持っています。
C3、C4、CAMと3態ある植物の光合成の仕方のなかで、このスベリヒユはc4であると同時にCAMでもあるという進んだ方法をとっており、このことが痩地にも強く乾燥にも耐えるこの草の強さの秘訣とみる学者もいます。
園芸店で人気の松葉ボタンやポーチュラスと呼ばれる花スベリヒユなどは、このスベリヒユの改良種です。
スベリヒユの名の由来は、“滑りヒユ”の意で、ゆでて食べるとき粘滑であるとか、葉や茎が滑らかであることから来ているとも言われます。別名の“5色草”というのは、葉は緑、茎は赤、花は黄色、種は黒、根が白いということから来ています。
昔から食用にされていたようで、ゆでてよく水に晒し、和え物、お浸し、酢の物、汁の実に、あるいはてんぷらにもなり、食材の少ない夏場の野草料理に欠かせません。もっとも便通に薬効あるこの草は食べ過ぎると下痢をするので要注意です。

小さくても一人前、スズメウリ:雀瓜

2005-09-18 06:56:36 | 植物観察1日1題
少し湿っぽいところに生えるスズメウリ:雀瓜(ウリ科)が、低い木にからんで小さい白い花とこれも小さい丸い実を吊り下げています。
カラスウリに似ていて小さいから、あるいは実が雀の卵に似ているからこの名がついたという両説があります。
しかし雀瓜の花はカラスウリのように白いレースがあるわけでもなく、昼日なかに咲いていて夜咲くカラスウリとはぜんぜん違います。
径6mmくらいの小さい白色5弁の花は、細い花柄につり下がり、雌花は付け根に緑の子房があるのですぐわかります。隣にすこし丸くなった実も付いています。よく見れば、かすかにウリ科特有の縦縞が認められて、小さくてもウリ科の一員であることを主張しているようです。
初冬、実は灰色となり径約15mmほどになります。
写真、葉と花と実に同時にピントを合わそうと欲張って、石の上に這っているところを撮りました。

物想う寄生植物、ナンバンギセル:南蛮煙管 

2005-09-17 07:06:11 | 植物観察1日1題
ススキの叢の根元で、葉を持たない、肌色の花茎に紅紫色の筒型の花を横向きにつけているのがナンバンギセル:南蛮煙管(ハマウツボ科)です。
ススキなどイネ科の根に寄生する、肉質無毛の活物寄生植物で、全体に赤みを帯び、葉は退化して自らは光合成する能力がなく、ごく短い茎は地表面近くに隠れています。
秋、直立する20~30cmの花の柄を出し、上端に1個の花をつけます。花は横向きに咲き、やや押された形の長さ3~5cmの筒形で、うすい紅紫色となり、萼は方形で先は尖ります。
卵形のさく果の中に詰まっているのは、ごく細かい種子ですが、寄生で成長するので、種自身に無用の栄養を蓄える必要がないということでしょう。
ナンバンギセルは、花の全形が昔の南蛮船の船員のマドロスパイプに似ているからつけられた名ですが、別名に俳句などでよく用いられる「思い草」があります。横を向いた花の様子を物思いにふけっていると見立てたのだという人もいますが、元をたどれば、万葉集の「道のべの尾花が下の思草今さらになぞ物か念はむ」の思草は何を指すのか種々論議があった中で、明治36年に出た前田曙山の「園芸文庫」という本で、ほかの花はススキの原にも生えるが、尾花の下にしか生えないものナンバンギセルのみである主張してより、万葉の思草はナンバンギセルであるとのいうのが定説になったというのが正しいようです。

昔懐かしい天花粉、キカラスウリ:黄烏瓜

2005-09-16 07:52:07 | 植物観察1日1題
8月の終わりごろ、信州白馬村で、車の中から畑中の1本の木にまつわりついている蔓に沢山白いものがついているのを見つけました。あらためて近づいて見ると直感どおりカラスウリでした。しかし本当のカラスウリなら日が上がる前に凋むと聞いていたので、図鑑持参で再度訪れますと、葉や、花の形などからどうやらこれはキカラスウリ:黄烏瓜(ウリ科)らしいということがわかりました。
キカラスウリの花は、写真のようにカラスウリほどレース糸が長くなく小ぶりの感じですし、少し黄色味を帯びているように見えます。
花の寿命はカラスウリより長く、翌日の昼前まで形を保っています。
果実が黄色だからこの名があるのですが、昔はこの塊根から汗疹に用いた天瓜粉(天花粉)を作っていたそうですから、年配の方は誰でも幼少時にはこのキカラスウリのお世話になっているはずですね。