新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ウシオハナツメクサ:潮花爪草(薄紅のマニュキュア)

2007-04-30 06:26:20 | 植物観察1日1題


仲間と大阪南港を歩きました。埋め立て地の常として荒涼とした景色を想像していましたが、さすが年月が経つと緑化も進み、結構木陰があったりして、楽しい散歩もできそうです。
それでも海に近いので、海辺特有の植物があり、流通センターになっているので、帰化植物がめだつなど、この地特有の植生相を呈しています。
濠端の遊歩道の敷石の隙間に茎を広げて先端に淡紅色の5弁花をつけているのが、ウシオハナツメクサ:潮花爪草(ナデシコ科ツメクサ属)です。ヨーロッパ原産の一年草で、茎は基部からよく分岐して株になります。ウシオツメクサではないかとも思いましたが、こちらは地を這って先端で立ち上がるとあるのでウシオハナツメクサとしました。
日本のツメクサは、地面近くに小さい白い花をつけ、あまり気にもされない地味な存在ですが、この外来種は、かがみこんでよく見るとなかなか美人です。

ヤマフジ:山藤(左か右か)

2007-04-29 07:09:56 | 植物観察1日1題

万博公園の渓の上に浅紫のヤマフジ:山藤(マメ科フジ属)が咲いています。
フジ(ノダフジ)に比べて、花穂が短く、花が上下ほぼ同時に咲きそろうことで区別されますが、何よりもはっきりするのは、蔓の巻きかたが、ヤマフジが左巻き(左手の拳を上から見て親指の方向と同じ)なのに対して、フジは反対の右巻きだということです。ところがこの左巻き、右巻きは人によって、図鑑によってまちまちで、下から見て巻きあがっていく方向を見るとヤマフジは右巻きになるというのです。見る人の位置関係から巻きかたが逆になるのですが、植物は下から伸びていくので後者のほうに分があるというひとと、わかりやすさからいえば拳説に利があるというのと意見が分かれています。
どちらでもいいようなものの、藤の花を見ると先ずどちら巻きかを見る妙な癖がついてしまいました。

カスミザクラ:霞桜(晩春の山を彩る)

2007-04-28 06:16:41 | 植物観察1日1題

牡丹桜などを除けば里桜も山桜もあらかた散り果てたのに、新緑に染まった山のところどころに、かすかに白い姿を見せているのがカスミザクラ:霞桜(バラ科サクラ属)です。
ヤマザクラより少し標高の高いところに生え、四国や九州にはごく少ないといいます。
ヤマザクラと混同されがちですが、樹皮は拝褐色、葉の裏面は白くなく、淡緑色でやや光沢があること、ハのふちに粗い重鋸歯があることなどで区別されます。
開花時の花の様子から霞桜の名があり、花柄や葉柄に毛があるものが多いことから、ケヤマザクラの別名がもあります。
花は白色のものが多く、ヤマザクラよりかなり花期が遅くて、当地では4月下旬になります。
写真は家に近い散歩道に咲くカスミザクラです。山深く咲くことが多いだけに間じかに見えるここの花を毎年楽しみにしています。

コンロンソウ:崑崙草(白雪さながら)

2007-04-27 07:17:39 | 植物観察1日1題

家から程近い散歩道で白い十字花のコンロンソウ:崑崙草(アブラナ科タネツケバナ属)が咲いているのを見つけました。いつも歩いているのに今まで気付かなかったのは、笹原の蔭に咲いていたからです。
花の白さを中国崑崙山の雪の白さにたとえた名前といわれています。
山地や川沿いの湿ったところに生える多年草で、高さは30~70cm。茎や葉の両面、花柄、萼などにけがあります。葉は長い柄のある奇数羽状複葉で互生します。小葉は5~7個あり、長楕円形披針形で先は鋭くとがります。4~7月、花弁の長さ5~10mmの白い十字花を開きます。名前の由来のとおり真っ白な花です。

ズミ:酢実(上高地の風物)

2007-04-26 07:04:22 | 植物観察1日1題

上高地に小梨平というところがあります。コナシ:小梨が沢山生えているところという意味です。
ズミ:酢実(バラ科リンゴ属)は、コナシ、コリンゴ、ミツバカイドウなどの別名がある山地の日当たりのよいところに生える落葉高木です。よく枝分かれして高さ5~8mになり、枝に棘があります。
葉は長さ3~10cmの長楕円形または卵形長楕円形ですが、3~5つに大きく切れ込むこともあります。
万博公園の水車小屋の近くにこの辺では珍しいズミの木があり、いま花をつけています。
花弁は5個、つぼみはピンクですが開くと白くなります。花の直径は2~3.5cmで、3~7個ずつ束になってつきます。
果実が黄色のものをキミズミといい、樹皮を煮出して染料や絵の具にされることから、ズミの名は「染み」から変化したともいわれ、またリンゴの台木としても用いられます。

ハクサンハタザオ:白山旗竿(箕面に咲く)

2007-04-25 06:20:26 | 植物観察1日1題


新緑の箕面を歩きました。
道端のあちこちに小さく白い十字花をつけた草が咲いています。花が小さくてなかなか焦点が合わず苦労しながら歩いてゆくと、やがてだんだん増えて密生する場所があり、全体を狙って何とか写真が撮れました。
ハクサンハタザオ:白山旗竿(アブラナ科ハタザオ属)低山から高山まで広い範囲で分布する多年草で、高さ10~30cm、根元の葉はへら形で羽状に浅く切れ込みます。
3~7月花弁の長さ5~6mmの白い十字花をつけます。
和名は石川県白山に産するからといいますが、分布は広く本州、北海道から朝鮮におよびます。

ホクリクネコノメソウ?:北陸猫の目草(教えてください)2007.4.24

2007-04-24 05:31:21 | 植物観察1日1題

高槻川久保渓谷の道沿いに見かけたネコノメソウの仲間です。
私としては“上部の苞葉は広卵形で黄色、その中心に小さな花が集まり、花に花弁がなく、浅緑色の萼片が4個ある。蕊は8個で萼片より長く、葯ははじめ暗紅色でのち花粉を出すと黒紫になる。”というホクリクネコノメソウ:北陸猫の目草(ユキノシタ科ネコノメソウ属)についての図鑑の記述に合うような気がするのですが、仲間では、ボタンネコノメソウとかイワボタン(ミヤマネコノメソウ)などとの声もあって決まりませんでした。
昨日いったように、ネコノメソウの仲間は地方によって多様な別種があり駆け出し観察者泣かせです。


ヤマネコノメソウ:山猫の目草(山とは限らない)

2007-04-23 07:18:25 | 植物観察1日1題

裂開した果実の形が猫の目に似ていることからネコノメソウの名を持つ仲間は変種が多く、地方により多くの特徴ある品種がみられます。
もっとも一般的なのがネコノメソウですが、これによく似たヤマネコノメソウは、葉が互生し、走出枝(ランナー)を出さないなどでネコノメソウと区別されます。
山野の湿ったところに生える多年草で、高さは10~20cmになります。花後に根元に2~3mmの肉芽をつけます。

カラクサケマン:唐草華鬘(唐からの渡来ではない)

2007-04-22 06:05:13 | 植物観察1日1題

ムラサキケマンに似て白い筒状の花の先端だけが紅紫色なのがカラクサケマン:唐草華鬘(ケシ科カラクサケマン属)です。
唐草の名がついていますが、ヨーロッパ原産の一年草草本で、広く世界に分布します。日本には明治時代後期に渡来したといわれています。
互生する葉は3回羽状に分裂します。花は茎の上部に総状につき、花弁は4個、細長く左右対称になります。
ムラサキケマンに類似しますが、ムラサキケマンの果実は長楕円形で複数の種子を含むのに対し、本種は果実に1個の種子を含むので区別できるといいます。


オオキバナカタバミ:大黄花傍食(逃げ出した厄介者)

2007-04-21 07:05:42 | 植物観察1日1題

何年か前に、近所から頂いて鉢植えにしていたオオキバナカタバミ:大黄花傍食(カタバミ科カタバミ属)が、知らぬ間に外に逸出し、道路わきの植え込みで花を咲かしているのを見たのはつい2~3年前と思っていたのに、今年は路沿いにびっしりと黄色い花をつけました。
南アフリカのケープタウンあたりの原産で、世界各地で観賞用に栽培されていたのが、世界各地に帰化している多年草で、葉に斑点があることで他のカタバミと区別されます。
日本には1961年に鹿児島で帰化状態にあることが確認され、本州以南で市街地や道端に見られるとされています。
ムラサキカタバミやイモカタバミなど観賞用のカタバミの多くは逸出し野生化しており、地下の鱗茎で増えるため、除去が難しく嫌われ者になってます。
家の前のオオキバナカタバミ、自分の手落ちで家から逃げ出したということで少なからず責任を感じていましたが、すでに各地で野生化しているらしいことを図鑑で知り、少しは気が休まりました。


フウ:楓(和菓子のような花)

2007-04-20 06:56:50 | 植物観察1日1題

公園のフウ:楓(マンサク科フウ属)の花が咲いています。
中国中南部、台湾原産で日本には江戸時代に渡来したといわれる落葉高木で、普通3裂する葉は互生し対生のカエデの仲間とは区別されます。卵形の樹形、よく茂る葉、紅葉の美しさなどで公園や街路樹によく使われます。単にフウといわれますが、アメリカフウと区別するためにタンワンフウと呼ばれることもあります。
雌雄同株で、今咲いている花は、雄花序は総状に集まってつき、花弁がなく茶~黒の葯だけが目立ちます。面白いのは、下向きに1個つく紅色の雌花序で、よく見ると小豆餡を細く搾り出した和菓子のように見えます。
秋、果が多数集まった直径2.5~3cmの集合果をつけ、栗のイガのような果序振ると翼のある種子が出てきます。

ムサシアブミ:武蔵鐙(西国に多い)

2007-04-19 06:55:01 | 植物観察1日1題


庭にムサシアブミ:武蔵鐙(サトイモ科テンナンショウ属)が顔を出しました。
何年か前買い求めた一本のムサシアブミが、秋には赤い果実をつけ、こぼれ種でしょうか何時の間にか庭のあちこちに生えています。テンナンショウの仲間は、栄養の具合で雌雄性転換することで知られていますが、最初の1本の株からどうして増えたのかよくわかりません。
林のやや湿ったところに多い多年草で、葉は2個つき、それぞれ3個の長さ15~30cmの大きい小葉があります。3~5月、葉の間から花茎がのび、仏炎苞に包まれた暗紫から緑色まで変化が多い筋が目立ちます。
名前の由来は、この仏炎苞の形を武蔵の国で生産された鐙にたとえたもので、武蔵の国に生えているということではないそうです。事実、ある図鑑では関西以西に分布するとしています。
葉が大きく高い位置にあるので全体写真にしにくく、アブミの部分だけを狙いました。左上に大きな葉の尖った先端が僅かに見えています。周囲に見える葉はフタバアオイです。

ミヤマハコベ:深山繁縷(深山の清らかさ)

2007-04-18 07:01:35 | 植物観察1日1題

高槻川久保の渓沿いの道にミヤマハコベ:深山繁縷(ナデシコ科ハコベ属)の花が咲いています。
川岸や沢沿いの湿ったところに生える多年草で、高さ20~30cmになります。平地のハコベに比べて花が1~1.5cmと大きく、花弁の切れ込みもはっきりしていて結構目につきます。
生えていた場所、葉の形など全体の様子はミヤマハコベの可能性大と見ましたが、図鑑によっては花弁の形など微妙に違うところもあって確信はありません。
それにしてもハコベとは思えないこの小さな花には深山の清らかさが満ちています。


ツルカノコソウ:蔓鹿の子草(アップで見たい花)

2007-04-17 07:00:22 | 植物観察1日1題

高槻川久保渓谷の道脇の湿地にツルカノコソウ:蔓鹿の子草(オミナエシ科カノコソウ属)が、よく見ないと見過ごしそうな小さい花をつけています。
木陰や沢のそばなど湿ったところに多い多年草で、茎はやわらかく、高さ20~40cmになります。
仲間のカノコソウに似て、白と薄紅の小さな花がびっしりついた花穂が鹿の子絞りに似ていることからきたカノコソウの名に、花後に走出枝を出し、先端に新苗を作るのでツル(蔓)の名が頭についています。ヤマカノコソウの別名がもあります。

シュンラン:春蘭(いまや山では珍しいジジババ)

2007-04-16 07:03:54 | 植物観察1日1題

渓筋の林道脇に珍しくシュンラン:春蘭(ラン科シュンラン属)に出会いました。
子供のとき田舎の山ではどこにでも見られる花でしたが、最近の都市近郊の山ではめっきり少なくなった感じです。
山野の落葉樹の下などに生える常緑の多年草で、春3~4月、太い花茎の先に直径4~5cmの淡い黄緑色の花を1個つけます。
花の下側につく唇弁は白色で、赤紫の斑点があり、このことからホクロ(黒子)の別名があります。
花に皺が多いことからジジババと呼ばれることもあります。街ではジジババがあふれているのに、山のジジババはなかなか見られなくなりました。寂しいことです。