新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

コケイラン:小蘭(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑯) 

2010-06-30 17:39:48 | 植物観察1日1題

女神湖の畔にコケイラン:小蘭(ラン科コケイラン属)が咲いていました。
日本各地に分布し、山林の木陰にはえる多年草で、高さは30~50cm、葉はふつう2個で長さ30~40cになります。5~6月高さ30~40cmの花茎に多数の花を総状につけます。萼片と側花弁は黄褐色、唇弁は白色で紅紫色の斑点があります。
和名の小蘭は、シランやガンゼキランの類を蘭といい、印象が似ていて小形という意味です。
別名にササエビネ:笹海老根があり、少しエビネに似ているが、葉が狭くて長いことから来ています。此処でみたコケイランは残念ながら葉が枯れていました。

アオチドリ:青千鳥(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑮ 

2010-06-29 06:44:54 | 植物観察1日1題

蓼科山の東北面にある御泉水自然園で見かけたラン、管理人らしき人に尋ねると、いつの間にか自然に生えていたのでテガタチドリの札をつけていたら、来園者から間違っているといわれたので、札は外しているとのこと。
専門家にしては割りといい加減だなと思いながら、写真に撮って宿で調べるとどうやらアオチドリ:青千鳥(ラン科アオチドリ属)ではないかということになりました。
花の色が青いからアオの名がついたそうですが、本州のものは花が紫褐色を帯びるものが多いといいます。唇弁の先が3裂するのが特徴です。
1属1種で、比較的少ない品種です。
ネットであたると、御泉水からそれほど遠くない菅平高原で、最近本種が増えているとの書き込みがありました。

マネンスギ:万年杉(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑭ 

2010-06-28 07:19:42 | 植物観察1日1題


木陰にスギのミニ盆栽のように直立しているのは、少々名前負けの感があるマネンスギ:万年杉(ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属)でした。
日本各地の山地の林下に生える常緑の多年草で、根茎は地中を長くはい、高さ10~15cmで、葉は鱗片状に密生します。
夏、円柱状の胞子葉を枝先につけます。
和名はいうまでもなく枝葉がスギに似ていて、長く青いことを意味しており、盆栽などにも使われます。
図鑑では枝ぶりが直立型のものをタキマンネンスギ、扇形のものをウチワマンネンスギというとありますが、写真はそのどちらなのかよくわかりません。

ヤマドリゼンマイ:山鳥銭巻(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑬ 

2010-06-27 07:43:40 | 植物観察1日1題

八島湿原周辺のあちこちに大型のしだの群落がありました。よく見ると2種類あって、葉身の途中に黒い胞子葉があるオニゼンマイ(昨日記事)と、もうひとつはヤマドリゼンマイ:山鳥銭巻(ゼンマイ科ゼンマイ属)です。じつは、ここで出会った自然ガイドに教わるまではオニゼンマイをヤマドリゼンマイと思っていました。
ヤマドリが住んでいるような場所に生えるということでこの名があるヤマドリゼンマイは、山地の湿原に群落をつくる夏緑性の多年草です。束生する葉は直立し高さ1mほどにもなります。最近尾瀬ヶ原でヤマドリゼンマイ多くなっているのは、乾燥が進んでいるためだという説があり、湿原といってもやや乾き気味のところを好むようです。
栄養葉と胞子葉の2型があり、胞子葉の葉身は狭く、成熟し胞子を飛散するころは赤褐色を呈します。
オニゼンマイもヤマドリゼンマイも地元ではともにゼッタと呼ばれ、若芽の葉先は人気の山菜となっています。地元でゼンマイとして山菜料理に出るのは、ほとんどがこのゼッタだそうです。
こんな話を聞いている途中にも、ほかの監視員の方から、大勢の山菜採りが入り込んでいて注意してきたが、最近ひどくなって困ったものだとの報告が届いていました。

オニゼンマイ:鬼銭巻(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑫ 

2010-06-26 15:15:42 | 植物観察1日1題
成長したオニゼンマイの群落


芽生え期の黒い胞子葉

宿泊した山荘の裏の林下に見事なシダの群落がありました。
オニゼンマイ:鬼銭巻(ゼンマイ科ゼンマイ属)です。
本州中部以北などに分布し、山中の湿ったところにはえる夏緑性の多年草。根茎は短くて太く、1回羽状複葉で高さ50cm内外の葉を5~6本の葉を斜上して束生します。
ヤマドリゼンマイに似ていますが、変わっているのは、葉の中央部から下へ数対の羽片が黒い胞子葉となることです。
この黒い胞子葉は、少し成長の早いところでは、縮じれて小さくなっていましたので、やがて欠落するものと思われます。
和名鬼ゼンマイは、形状がゼンマイに似て、粗大なことから来ています。



ヤマナシ:山梨(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑪)

2010-06-25 06:11:31 | 植物観察1日1題

八島湿原の遊歩道沿いにヤマナシ:山梨(バラ科ナシ属)の立派な古木が花をつけていました。
日本のものは古い時代に中国から渡来したという説があり、果実は小さくて固く、食用に適すとはいえませんが、果樹としての梨は本種を改良したものと考えられており、今でも梨農園の傍らに植えられて、自家不和合性である改良梨の受粉に一役買っています。
樹冠を覆うように咲く純白の花は、直径約3cmで散房花序に5~10個つきます。果実こそナシにかないませんが、花の清楚さにおいてはナシを凌駕するものがあります。
この花をみていると、楊貴妃が悲しむ姿に例えられた梨の花は(05年4月3日記事)もしかしたら、ヤマナシだったかもしれないと思いはじめました。


ミヤマザクラ:深山桜(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑩)

2010-06-24 10:54:20 | 植物観察1日1題

6月の蓼科・霧が峰を白く彩るコナシ類に混じって、少し目立たない白い花をつけているのがミヤマザクラ:深山桜(バラ科サクラ属)です。
山地から亜高山帯下部にかけて成育し、北国や標高の高いところで見られる落葉高木で、大きいものでは高さ15mにもなります。
別名シロザクラともいわれるミヤマザクラは、花が総状につき、花弁が丸くて切れ込みがなく、ほかのサクラに比べて花期が5~6月と遅いのが特徴です。
葉が完全に展開したあとに開花することもあり、サクラとしては美しさに乏しい地味な種類といえます。その代わり、黒く熟す果実の紅色の果柄と緑色の苞が目を引くといいます。

サルマメ:猿豆(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑧)

2010-06-23 14:59:45 | 植物観察1日1題

これも八島湿原周辺に咲いていたサルマメ:猿豆(ユリ科シオデ属)です。
本州中央部あたりの山地にはえる落葉小低木で、サルトリイバラに似ていますがはるかに小型で高さ10~59cm、枝に棘がほとんどなく、茎がつる状にならず、葉柄の巻きひげもごく短いことで区別されます。
雌雄別株で、写真の雌花は直径約6mmで花柱の先は3裂しています。
サルマメもサルトリイバラも草本が主のユリ科の中では珍しく木本です。

ヒメイズイ:姫萎蕤(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑦)

2010-06-22 07:20:47 | 植物観察1日1題

八島湿原の周囲に咲いていたのがヒメイズイ:姫萎蕤(ユリ科アマドコロ属)です。
山地や海岸の草地に生える多年草で、アマドコロに似ていますが、茎は直立し、高さ8~20cmと小型で、同じく稜角があります。
6~7月、葉腋に淡緑色の花がふつう1個ずつ垂れ下ってつきます。外花被片は3個、内花被片3個、中心部に葯が6個見えます。
萎蕤(イズイ)は、漢方でアマドコロの根茎のことで、滋養、強壮、強精、消炎、鎮咳に使用され、血圧降下、強心等の作用のあることが知られています。


オオヤマフスマ:大山衾(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑥)

2010-06-21 06:47:43 | 植物観察1日1題

蓼科・霧が峰周辺のあちこちで、注意しないと見落としがちなのに、よくみると結構目立つ、小さく白い花を見かけました。オオヤマフスマ:大山衾(ナデシコ科ミミナグサ属)です。
山地の草原や道端などに生える多年草で、高さは5~20cm、茎は有毛で細く、丈夫で分枝します。
初夏、白い花を細長い柄に、まばらな集散花序を腋生または頂生します。5個の花弁は宿存性の萼の2倍の長さがあります。
別名はヒメタガソデソウ(姫誰が袖草)だそうで、小さい花ながら、きれいな名をもらっているだけの品のよさがあると感じました。

タガソデソウ:誰が袖草(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花⑤)

2010-06-20 08:07:04 | 植物観察1日1題

霧が峰高原の3つの高層湿原のなかで最も知られていない踊場湿原は、やはり出会う人も少なく静まりかえっていました。
その周回路沿いで、名前も知らない、はかなげな白い花の草を見つけ写真に収めました。
帰って調べてみるとナデシコ科ミミナグサ属でタガソデソウ:誰が袖草という名を持つ草とわかりました。
低山から亜高山のやや湿った草地に生える多年草で、高さは30~50cm、茎は直立し、葉とともに白柔毛があります。
5~6月、集散状に直径約2cmで長楕円形の花弁を持つ白い花をつけます。
牧野博士によると、和名の「誰が袖草」は、花が白くて香気があることから、たぶん古今集の歌に由来するのではないかとされます。その歌は「色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも」だと思われます。
高原で、人知れず袖触れあったこの花が、このような優雅な名を持つことを知り、思わず嬉しくなりました。

マイヅルソウ:舞鶴草(鶴の舞というが)

2010-06-19 06:36:46 | 植物観察1日1題

蓼科から霧が峰にかけての樹林内で、いたるところにマイヅルソウ:舞鶴草(ユリ科マイヅルソウ属)の群落が広がっていました。
日本各地に分布し、亜高山帯の針葉樹林帯の木陰に生える多年草で、根茎は長く這い、高さは8~25cm、葉は2~4cmの柄があり、卵心形で長さ3~7cm、先は尖り、基部は深い心形になります。
5~7月、茎頂に白色の小さい花を多数総状につけます。
和名は、2枚の葉の葉脈の曲がり方を鶴が舞う姿に見立てたものといいます。
背の低いマイヅルソウの、それもあまりにも多い群落を見ると、少々名前のほうが勝っているような気がしてきました。

オサバグサ:筬葉草(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花③)

2010-06-18 07:08:17 | 植物観察1日1題

まだ花の少ない横岳坪庭に、オサバグサ:筬葉草(ケシ科オサバグサ属)が、花穂を伸ばしかけていました。
本州中部地方以北の亜高山帯の針葉樹林帯にはえる1属1種、日本特産の多年草です。
葉は根生し、長さ6~15cm、粗毛があります。和名はシダのように見える葉の形が櫛の歯のようで、機織のおさに似ていることから来ています。
花は夏、高さ20cmほどの花茎を1本だし、白い4弁の有柄の花を下向きに開きます。

ミネズオウ:峰蘇芳(八ヶ岳・霧峰周辺6月の花②)

2010-06-17 08:30:07 | 植物観察1日1題

標高約2,200 mの横岳坪庭の溶岩塊を白く染めていたのはミネズオウ:峰蘇芳(ツツジ科ミネズオウ属)の小さい花でした。
北半球の寒帯に広く分布し、1属1種、本州中部以北、北海道の高山帯にはえる常緑矮小低木で、幹は細く横に伏して地面を覆い根をだします。よく分枝し斜上し、高さ10~15cmになります。
長さ約1cm、幅2mm線状長楕円形で葉は厚くて密に対生し、縁は裏面に巻きます。
花期は6~7月、花は赤みを帯びた白色で枝先に3~5個つき、花冠は長さ3~3.5mmの鐘形です。
和名は山上にはえるスオウの意味で、スオウはアララギ、すなわちイチイのことで、葉が似ていることからいいます。

エゾノコリンゴ:蝦夷の小林檎 (八ヶ岳・霧峰周辺6月の花①)

2010-06-16 06:24:25 | 植物観察1日1題

エゾノコリンゴ


ズミ
 

遅れている梅雨が始まらないうちにと、蓼科・霧が峰方面に6月の花を訪ねました。
あとひと月もすれば、ニッコウキズゲをはじめ高山の花々が咲き乱れ、人出でにぎわう高原も今は静かです。今日からしばらくシリーズで八ヶ岳・霧峰周辺の6月の花のいくつかをご紹介します。
芽吹きはじめた浅緑の高原を彩るのが一般にコナシ、コリンゴ、ズミなどと呼ばれるバラ科リンゴ属の落葉小高木です。
よく見ると、蕾が真っ赤で、開いた花びらも紅色を帯びる木と、蕾も花も真っ白な木があることに気づきました。たまたま出会った現地の自然ガイドの方に伺うと、赤いほうがズミ(別名コリンゴ、コナシ、ミツバカイドウ)、白いのがエゾノコリンゴ:蝦夷の小林檎(別名ヒロハコリンゴ)で、両者は別種だが、両者を合わせてコナシ(小梨)といわれていると教わりました。
花色の違いだけではなく、ズミは葉に切れ込みがあることが多いのに対し、エゾノコリンゴは切れ込みがなく、花はエゾノコリンゴのほうが大きく、花柄も長いことで、慣れれば区別は容易ということでした。