新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

今年1年有難うございました 

2011-12-29 09:52:23 | 植物観察1日1題
大震災、原発、大水害など不幸な事が多かった2011年も暮れようとしています。
その間、”むかごの日記“は、何とか7年目も続けることができました。
ひとえに皆様のご支援のたまものと感謝しております。
今年はこれで終わりますが、引き続き来年もよろしくお願いします。
皆様方におかれましては、めでたくご越年あそばされますよう、心よりお祈り申し上げます。

見事に晴れあがった今朝、霜が降り道端の草は、また違った美しさ見せていました。


ヌルデ:白膠木(山で塩を摂る?) 

2011-12-27 16:55:38 | 植物観察1日1題
美しく紅葉して山野を彩っていたヌルデ:白膠木(ウルシ科ウルシ属)も落葉して、あとに房状の干からびたような果実が残っています。
よく見ると果実に白い粉状のものがにじみ出ています。
この白粉をかぶった核果を舐めると酸味のある塩味がします。その成分はリンゴ酸カルシウムとのことで、吸収されやすいカルシウムとして、食品添加物などとして利用されているものと同じだそうです。
シオノキの別名のように、昔の人や戦時中など物資不足のおりには塩の代用に使ったというのですが、塩分が含まれていないので代用になったのかどうか疑問です。
もともと幹を傷つけて出る白色の樹液を器具に塗ったことからヌルデの名がついたとされ、ヌルデシロアブラムシが寄生してできる虫こぶの五倍子(フシ)はタンニンの含有率が高く薬用や染料に用いられかつては鉄漿にも使われ、また吸水しにくい材は器具や護摩木に、樹皮は染料に、果実は蝋の原料にと今では忘れられていますが昔は結構有用な木だったようです。

マメガキ:豆柿(木の上で黒く熟す)

2011-12-25 08:35:41 | 植物観察1日1題

冬空に小さい実を鈴なりにつけた木が立っていました。
少し遠いので定かではありませんが、マメガキ:豆柿(カキノキ科カキノキ属)のようです。
東南アジア原産で、径1.5㎝ほどの液果は霜が降るころに黒褐色に熟し、甘くて餅に搗かれるなど一部食用にもされますが、若い果実を潰して柿渋を採るのが普通の用途とされます。


ヒサカキ:記紀にも出現する實 

2011-12-22 11:13:46 | 植物観察1日1題

神武天皇東征のおり、熊野から吉野に近い宇陀に到ります。
陣を張った“莵田の高城“(むかごの高槻11年12月22日記事)で歌われたという久米歌の一節に”…後妻が菜を乞わば、いちさかき實の大けくを こきだひゑね…“とあり、この”いちさかき”は)今のヒサカキ:ツバキ科ヒサカキ属)であるとされています。
歌は、古い妻が食べ物を乞うたらそばのき(今のカナメモチ)の實のように少しだけ削ってやれ、新しい妻が食べ物を乞うたらヒサカキの實のようにたくさん削ってやれ、と続くのですが、カナメモチの實も結構たくさんつくので、この例えの意味はよく分からないところですが、カナメモチの實には種子4個入るのに対しヒサカキの實には多数の種子が入ることをいっているのかもしれません。
本州の北端を除くいたるところの山地で見られるツバキ科ヒサカキ属のこの木の名は、榊より小さい葉なので“姫榊”がなまったものとか、榊でないので“非榊”から来ているなどの説があるともに、ヒサキ、ビシャ、ビシャギなど地方によって60種ともいわれるさまざまな呼び名があることでも知られています。関西ではビシャコとよばれることが多いようです。
関西以西では主に仏花となりますが、サカキの自生が少ない関東地方以北では神様にも供えられるといいます。

ムカゴイラクサ:珠芽刺草(むかごは刺さない)

2011-12-19 10:54:30 | 植物観察1日1題

道端に、冬になったというのにみずみずしい緑の葉をつけたムカゴイラクサ:珠芽刺草(イラクサ科ムカゴイラクサ属)がありました。
山地の陰湿地に生える多年草で、葉の脇にむかご(珠芽)ができるのが特徴です。
刺毛があり、蟻酸を含むので刺されるとひどく痛みます。
雌雄同株で茎の頂部に雌花穂がつきやや下部に雄花序がつきます。
茎に立派なムカゴがついていたのでおそるおそるとって口にしましたところ、口を刺されることもなくなく、少し甘みがあって、炒るなり煮るなりすれば食べられそうな気もしました。

クサギ:臭木(赤い衣のテルテル坊主)

2011-12-17 16:50:36 | 植物観察1日1題
夏、名に似合わぬ香りのよい花をつけていたクサギ:臭木(クマツヅラ科、クサギ属)が(05年7月31日記事))、冬というのにまだ実をつけています。
果実は核果で、直径6~7㎜の球形、熟すと光沢のある深い藍色になります。5個の萼片は実が熟すにつれて濃紅色になり、深く裂けて星状に開きます。
枝先に一つだけ残った果実は、まるで濃紅色の衣を着たテルテル坊主のようでした。


<イヌドクサ:犬木賊(当たったあてずっぽう) 

2011-12-15 16:56:19 | 植物観察1日1題
観察仲間とJR武田尾から温泉へ向かって武庫川沿いに歩いていた時のことです。
道端にスギナより大きく、トクサにしては少し小さい植物を見かけました。
私は初見でしたが、植物に詳しい同行の人が、名前を知っているのだが度忘れして思い出せないといいます。そこでスギナにイヌスギナがあって、トクサに似ているので、もしかしたらイヌドクサという名かもしれないな、といったら、件の人が思いだしたそれだといいます。全くの当てずっぽうが当たったというわけですが、念のために帰って図鑑をあたると確かにありました。
イヌドクサ:犬木賊(トクサ科トクサ属)は、日本各地の河原の砂礫地や、海辺の砂地に生える多年草で、茎は高さ30~100㎝、径3~5㎜、生時は表面がざらざらして、8~15本の縦溝が走ります。
和名はトクサに似ているが真物でないという意味で、生育地からカワラドクサの別名があります。

ヨコグラノキ:横倉の木(あちこちにあった)

2011-12-13 16:35:38 | 植物観察1日1題

観察の仲間でヨコグラノキ:横倉の木(クロウメモドキ科ヨコグラノキ属)というと、よく“ああ武田尾にあるあの木でしょう”という反応が返ってきます。
確かにJR武田尾駅の周辺の道端に4本ほどあって、なぜかそれぞれにプラスチックの名札がかかっています。木そのものは何の変哲もない落葉小高木で、花も小さく地味で目立ちません。あえていうとクロウメモドキ科の特徴である葉が2枚ずつ互生するコクサギ型葉序であるということくらいです。
この木が話題になる理由として考えられるは、山地の林内や砂礫地にまれに生える珍しい木であることと、ヨコグラノキという、聞いただけでは意味が分からない変な響きの名前のせいのようです。
その和名は、高知県横倉山で最初に採集され、この山の特産と思われて牧野富太郎博士によってつけられたそうですが、そののちこの木は各地で見つかりました。宮城県白石市には天然記念物に指定されている「ヨコグラノキ北限地帯」があります。

ショウジョウボク:猩猩木(ポインセチア)目立たぬが面白い花 

2011-12-11 09:16:36 | 植物観察1日1題

クリスマスが近づくと花屋の店頭を鮮やかな赤色(白、桃色も)で彩るのがショウジョウボク:猩猩木(ポインセチア)(トウダイグサ科トウダイグサ属)です。
枝の頂端に壺状をした黄緑色で目立たない花を10個前後総状につけますが、これには観賞価値はなく、その下の苞葉が鮮やかな紅色に着色し、濃い緑色した下方の葉との対比が非常に美しいので愛好されています。この赤い小総苞を顔の赤い猩猩に見立て猩猩木の名がありますが、最近はもっぱらポインセチアで通っています。メキシコ原産の落葉低木で、観賞用に温室で栽培され、多くはクリスマスに合わせるために短日処理されます。
観賞価値のないという花ですが、よく見ると面白い形をしています。
壺形の先につき出ているのは雌蕊と雄蕊で、その1本ずつがポインセチアの花にあたり、となりにあるカエルの口のようなものは腺体で蜜を分泌します。雄蕊、雌蕊が一つの蜜腺を共有するという特殊な構造になっているというのです。
蜜で光っている腺体をとって吸ってみると、甘い蜜が思いがけないほどたっぷり出てきました。

ロベリアソウ(ロベリアの仲間)  

2011-12-09 19:18:10 | 植物観察1日1題

薬草園にロベリアソウ(ロベリア草)キキョウ科ミゾカクシ属が咲いていました。
北アメリカ原産で、別名はセイヨウミゾカクシ、ニコチンに似た効果を持つ物質を含むとされとされ、英名がIndian tobaccoで、禁煙サプリメントとして利用されているといいます。
ロベリアソウと聞いて思い出したのが、園芸のハンギングなどでおなじみのロベリアでした。調べてみるとロベリアソウの学名はLobelia inflata、園芸品種のロベリアはLobelia erinus.Lで、両者は近い仲間でした。
ちなみに後者は、南アフリカ原産で、瑠璃蝶蝶、瑠璃溝隠、酸梗菜(漢名)の別名があり、匍匐性、矮性、高性などに分けられ、よく分枝してこんもりと半球状の草姿になります。
まとめてロベリアといわれるミゾカクシ属は世界に300~400種ほどあるといわれ、日本ではミゾカクシ(アゼムシロ)やサワギキョウが知られています。この仲間の花は5弁の唇形で左右対称、下方の3弁は大きく張り出すのが特徴です。

ツタウルシ:蔦漆(空中にのびる付着根)

2011-12-07 11:38:45 | 植物観察1日1題

12月に入ったというのにまだ青々したツタウルシ:蔦漆(ウルシ科ウルシ属)が目につきました。
触れるとかぶれが強いツタウルシも秋にはそれほどでもないというので、近づいて見ると若い枝に気根が伸び出ていました。
この気根でほかの樹木の幹などをはい登るわけで、一般に付着根といわれていますが、空中に垂れたままの状態ですでに気根が出ているのは、まつわりつく以外に何かの役目をしているのでしょうか。

ガガイモ:蘿藦・鏡芋(スクナヒコが乗って来た)

2011-12-03 07:51:52 | 植物観察1日1題
古事記によると、大国主の神が出雲にいるとき「波の穂より、天乃蘿藦(かがみ)の船に乗りて、ひむし(蛾)の皮を打ち剥ぎに剥ぎて衣服にし、帰(より)り来る神あり」と少名毘古那の神の登場を記述しています。
蘿藦(かがみ)は今でいうガガイモ:蘿藦・鏡芋(ガガイモ科ガガイモ属)のことで、神様がガガイモの果皮を船にして、海の彼方より渡ってきたというのです。
その神は名前を聞いても答えず、誰も知らないという中で、ヒキガエルがクエ彦が知っているはずというので聞いてみると、少名彦那命と知れます。このクエ彦というのが今でいう山田の案山子ということになっており、少名彦那は稲作文化の伝来者であることを示唆しているのではないかという説があります。
ガガイモの果実は長さ10㎝ほどもあり、熟すと割れて、中から長い絹のような毛のある種子が風に乗って飛び散る仕掛けになっています。
ガガイモの種子に生える毛は、種子の先端から出ていて、珠孔(花粉管が入るところ)付近の種皮が変化してできたことが分かります。種髪といわれるこの長い毛とともに種子の形も扁平で風散布に適したものになっています。
少名彦那が載ってきたというガガイモの船とはどんなものかと、夏に見つけておいた果実を見にゆきましたが、まだ未熟でしたので、失礼して少し割ってみました。どうやら、少名彦那命が渡来した時期は冬だったようです


オオミムラサキコケモモ:大実紫苔桃(食べられないコケモモ) 

2011-12-01 15:35:03 | 植物観察1日1題

高槻北部の神峰山自然園の入り口に、オオミムラサキコケモモ:大実紫苔桃(キキョウ科プラティア属)が名前の通りの紫色の果実をつけていました。
熱帯アジアの原産で、常緑の匍匐性多年草で7~10月淡紫色のミゾカクシに似た花をつけます。
パープルクランベリーの別名がありますが、クランベリーは果実が菓子やジャム、クランベリージュースなどの原料となるツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属に属する常緑低木のことで、本種とは全く異なります。名前にコケモモやベリーの名がついていても、形だけのことでオオミムラサキコケモモの果実は食べられません。
園芸用の外来種であるオオミムラサキコケモモが、何年も前から自然園に生えているのは少し不思議です。