新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

サラシナショウマ:晒菜升麻(秋にはこんな姿)

2011-11-29 07:45:51 | 植物観察1日1題

晩夏、少し高い山で白い小さな花がびっしりついた長さ20~30㎝の穂を出していたサラシナショウマ:晒菜升麻(キンポウゲ科サラシナショウマ属)(07年9月10日記事)が薬草園で穂状にまま果実をつけていました。果実は長さ約1㎝の袋果で、先端に花柱が残存します。中に入っている種子には薄い翼状の鱗片があり、風に乗って散布されます。
面白くもない果実ですが、夏の花しか見ることがないだけに珍しくて取り上げてみました。

モッコク:木斛(庭木の王者というが)

2011-11-27 07:12:49 | 植物観察1日1題
モッコク:木斛(ツバキ科モッコク属)は、昔から葉や樹形を楽しむ庭木として、松に次いで庭園には欠かせない樹木とされ、モッコクのない庭は庭ではないなどとまでいわれています。
もともとは暖地の海岸に近いところなどに生える常緑の高木で、高さは10~15m、葉は枝先に放射状に集まってつき、長さ3~7㎝の細長い倒卵形で厚くて光沢があります。枝は密生して楕円形のまとまった樹形を作るところが庭木に好まれるところかもしれませんが、初夏に葉の付け根に下向きに咲く花白い花は小さくてあまり目立たちません。
10~11月に熟す果実は果で、直径1~1.5㎝の球形、果皮は肉質で不規則に裂開し、中から長さ約7㎜の橙赤色の種子が顔を出しますが、この実も観賞の対象になるほどのものではありません。
芯材、辺財ともに赤く緻密で堅いところから建築材や器具材のほか寄せ木細工などにも用いられ、別名にアカミノキがあります。

シオデ:牛尾草(果実も球状になるはず)

2011-11-25 09:19:17 | 植物観察1日1題

夏、小さい花を球状につけていたシオデ:牛尾草(ユリ科シオデ属)が黒い実をつけています。(雄花は07年8月31日記事) 山野に生えるつる性の多年草で、托葉が変化した巻きひげで他物にからみついてのびます。
雌雄別株で、果実は液果で直径約1㎝の球形、秋に黒く熟します。写真のは栄養の関係かきれいな球状になっていません
よく似た仲間にタチシオデがありますが(10年9月30日記事)、こちらは葉の裏面が白っぽく、果実も白い粉をかぶるといいます。望遠での撮影なのでよくは確かめられませんが、果実の色からこれは写真のはシオデとみました。

ヒシ:菱(葉も実もひしげた形)

2011-11-22 07:24:25 | 植物観察1日1題

池面一面に広がったヒシ:菱(ヒシ科ヒシ属)が紅葉して、きれいな模様を織りなしています。
三菱などで知られる二方向の平行線が交差して出来た形「菱形」は、もともと縄文土器にも描かれた形を、後の時代に菱の実(葉とする説もある)にその形が似ている事から「菱文」と呼ばれるようになったといいます。そしてそのヒシの名は果実(または葉)が押しつぶされたように拉(ひし)げていることからきているといわれています。
池や沼などに生える1年草で、長い茎を水底からのばし、水面に放射状に葉を広げます。
葉柄の一部がふくらんで浮き袋の役目をしています。この部分や葉が緑色なのがヒシ、浮き袋の部分や葉の裏面が赤いのがメビシ、また果実にある鋭い刺が2個あるのがヒシ、4個あるのがメビシと区別されますが、写真の葉や浮き袋の赤いのは秋になって紅葉したとも考えられるので、果実の刺の数からここではヒシと見立てました。
ヒシの実の棘は萼片が変化したもので、忍者の小道具にも使われたことで知られています。
ヒシの仲間の果実は昔から食用にされ、ゆでた果実は栗のような味がするそうです。

ツヅラフジ:葛藤(変化に富む葉の形)

2011-11-20 09:06:14 | 植物観察1日1題

葉に変化がある草木はときどきありますが、概してつる植物には葉の形に変化があるものが多いようです。
なかでもツヅラフジ:葛藤(ヅラフジ科ツツヅラフジ属)は、全く切れ込みのないものからカエデ切れ込むものまで、同じ木とは思えないほど葉に変化があることで知られています。
オオツヅラフジの別名があるのは、よくみられるアオツヅラフジより大形ということと思われますが、同じツヅラフジ科でもツヅラフジ属はツヅラフジ1種のみで、アオツヅラフジは別属のアオツヅラフジ属になります。

ヨメナ:嫁菜(婿菜に勝る) 

2011-11-17 13:27:04 | 植物観察1日1題

あまりにも身近にあるのでとっくに取り上げていると思っていたのに、まだだったのがヨメナ:嫁菜(キク科ヨメナ属)です。
田んぼの畔や土手などやや湿ったところにふつうにみられる多年草で、秋に咲く薄紫色の清楚な花が好まれて、一般には野菊の名で親しまれています。
ヨメナは万葉集では“うはぎ”として詠まれていて、「春日野に 煙立つ見ゆ 娘子らし 春野のうはぎ 摘みて煮らしも」(巻10-1879)とあるように、昔から早春にその若芽を摘んで食用していたことがわかります。
ヨメナの若芽を食べる山野草のなかでも芳香があり最も美味で、若芽をお浸し、油いため、汁の実や和え物、さらにはヨメナ飯などにします。
このように、食べてよし、姿も優しく美くしいところから嫁菜と名づけられたという説があります。
ヨメナは東海地方以西に分布するもので、関東や東北にあるものは、花の径がひとまわり小さいカントウヨメナといわれるもので、山菜として香りもヨメナに劣るといわれています。
ヨメナによく似たノコンギクとは、湿ったところに多い、葉はざらつかない、そう果に冠毛がほとんどないことなどで区別されます。
ヨメナに対してムコナとよばれるシラヤマギク(07年10月30日記事)の若芽も食用にされますが味は劣り、花も優美さに欠けます。

ヨモギハベリマキフシ:蓬葉縁巻五倍子(花かと見まがう虫こぶ)11月16日

2011-11-16 09:27:12 | 植物観察1日1題

ヨモギの花穂とみられる部分が赤く色づいて何かの花のように見えていました。
どうやらヨモギハベリマキフシ:蓬葉縁巻五倍子という虫こぶのようです。形成者はヨモギクダナシアブラムシで、葉のふちが、葉裏を内側にして折れ、表面がふくれて葉肉が少し厚くなる虫こぶで、桃赤色、紫褐色、緑黄色などを呈します。
ヨモギの仲間は虫こぶができやすいようで、手元の小さい本でも6種類載っていました。

イヌヨモギ:犬蓬(役に立たないヨモギ)

2011-11-15 13:02:39 | 植物観察1日1題


ロゼット状の葉

人里ではだれにもおなじみのヨモギですが、一昨日、昨日ととり上げたように仲間にはいろいろ変わり種があるようです。
役に立たないということでこの名がついているイヌヨモギ:犬蓬(キク科ヨモギ属)は、やや乾いた丘陵地などに生える多年草で、高さ30~80㎝になりますが、花をつけない茎は低く、先端にロゼット状に葉をつけるのが特徴です。ロゼット状の葉は長さ3~10㎝幅1.5~4㎝の広いさじ形で、ふちには大きい鋸歯があります。
花茎の葉は花期には枯れますが、長さ4.5~8.5㎝の倒卵形~さじ形で、ふちには大きい鋸歯があります。
頭花は直径約3㎜の球形で下向きに咲きます。

イワヨモギ:岩蓬(山奥にも広がる)

2011-11-14 10:35:19 | 植物観察1日1題

10年10月23日宝塚市郊外の西谷の森公園で見かけたイワヨモギ:岩蓬(キク科ヨモギ属)をとり上げました。
我が国における本来の分布は北海道の海岸や岩場などとされていますが、法面の崩れ防止のために吹き付けた種子にまじってか、長野県の道路脇で発見され、その後西日本から九州まで広がっているといわれます。
そのイワヨモギが、あまり人も通らない滋賀県甲賀市の山奥に花をつけていました。
高さは80㎝ほどで、葉は長さ10㎝位、2回羽状に深裂するので、ほかのヨモギと区別が容易です。
前回とり上げた時は、北海道という限定された地域に生える植物が、人為的とはいえ、南下して暖かい地域に広がっているのは珍しい例といると書きましたが、どうやら各地の山奥まで広がってもはや珍しい植物ではなくなっているようです。
 

カワラヨモギ:河原蓬(蓬に見えない葉)

2011-11-13 08:37:43 | 植物観察1日1題

カワラヨモギ:河原蓬(キク科ヨモギ属)の花が咲いています。
河原の名がついていますが、海岸の砂地にもよく見られる多年草で、茎の下部は木質化します。河原では直立しますが海岸では倒れることが多くなります。
根生葉を束生し、花がつく茎と花のつかない茎とがあり、どちらも葉は糸状に細かく切れ込みますが、花がつかない茎は白い毛でおおわれていて、花のつく茎の葉とは別種のように見えるといます。
いま足元に見える緑色の茎葉は(枠内写真)来年に向けての新芽のようですが、花がつく茎になるかどうかはわかりません


カナビキソウ:鉄引草(居候の遠慮?)

2011-11-12 09:56:59 | 植物観察1日1題

道端に黄色いひじきのような草が見えました。
黄葉したカナビキソウ:鉄引草(ビャクダン科カナビキソウ属)です。
山野の日当たりのよい草地に生える半寄生の多年草で根はほかの草の根に寄生します。
高さは10~25㎝になり、互生する葉は長さ2~4㎝の線形で先がとがります。4~6月葉脇に外側が淡緑色で内側が白色の小さな花を1個ずつつけます。花弁はありません。(08年5月29日記事)
果実は長さ約2㎜の楕円状壺形で中には種子が1個入っています。熟すと脈と脈との間に網状の模様が目立つというのですが、写真では、未熟なのか、撮影が下手なのかはっきりしません。
葉も花も果実も小さく控えめで、何やら寄生生活で遠慮しているように見えます。

ウツクシマツ:美し松(今も昔も旅の疲れを癒やす)

2011-11-10 18:16:05 | 植物観察1日1題

休憩に入った名神高速道菩提寺PAに見事な形のウツクシマツ:美し松(マツ科マツ属)が植わっていました。
アカマツの変種で主幹が真っ直ぐには伸びず、株元から多くの幹に枝分かれして独特の美しい樹形となります。
園芸品種の多行松に似ていますが、ウツクシマツは自然性で、高さは10mを超え、滋賀県湖南市美松山だけに、それも群生することで知られ、大正13年に国の天然記念物に指定されている珍しいものです。
なぜこのような樹形になるのか、またなぜこの地方だけに生育するのか確かなことはわかっていませんが、この地一帯は岩土で表土が非常に薄いため根の発生が妨げられ、幹の成長に変化が生じたのではないかなどといわれています。
広重の「東海道五三次 水口」に描かれているというウツクシマツ、現代の東海道ともいえる名神高速の休憩所にあって旅行く人の疲れを癒してくれています。

後日談:菩提寺PAで美し松を見てまもなく、天然記念物に指定されている滋賀県湖南市平松の自生地へ行ってきました。「むかごの高槻」記事
昭和56年10月昭和天皇の行幸を仰いだという自生地には、いろいろな樹形の美し松が山腹に群生していました。現地の説明版によると、この樹形は特殊な土質の影響とされてきましたが、最近の研究の成果では劣性遺伝によるものと解明されたということです。
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(対照的な一本立ちの“ローマの松”は11年4月3日に取り上げています)


バジル:メボウキ:目箒(種で目の掃除)

2011-11-09 21:22:00 | 植物観察1日1題

シソ科の植物には茎や葉に強い香気があるものが多く、ちょっと触れただけでも、植物組織に含まれている揮発性の精油成分が発散されてよい香りが漂います。
なかでも、バジル(シソ科メボウキ属)は香りが高く、イタリア名のバジリコの名でも知られる代表的なハーブで、イタリア料理に限らず西洋料理全般に用いられます。
バジルはインドを中心とする熱帯アジアが原産で、葉は長さ5~6㎝ほどの光沢ある緑色の卵状披針形で対生します。
夏から秋にかけてシソによく似た白色または淡紫色の花を咲かせます。
茎、葉に強壮・殺菌作用があるので昔から薬用としても利用されてきました。
種子はグルコマンナンを多く含むため、水分を含むと乾燥状態の約30倍に膨張し、ゼリー状の物質で覆われます。食物繊維を豊富に含むことからダイエット補助食品としても利用されているそうです。またゼリー状の物質で目の汚れを取る目薬とされ、和名のメボウキ(目箒)の名はそこから来たといいます


イワダレソウ:岩垂草(岩場より砂地に多い) 

2011-11-07 06:57:22 | 植物観察1日1題

近頃公園の広場などの草地を覆うように広がって小さい花をつけているヒメイワダレソウをよく見かけますが、グランドカバーとして移入された外来種が広がったものです。(07年6月29日記事)
薬草園で本当のイワダレソウ:岩垂草(クマツヅラ科イワダレソウ属)が花をつけていました。
海岸の砂地や礫地に多く生える多年草で、茎は地面をはい、節から根を出して広がります。葉は対生し長さ1~4㎝の倒卵形でやや厚く、上半分には粗い鋸歯があります。
花は直径2㎜ほどと小さく、苞の間からわずかに顔を出します。円柱状の花穂は咲きすすむにしたがって長くのび、果実はコルク質になった萼に包まれます。
長く伸びる花穂の形を岩場から垂れると見ての名前と思われますが、実際は岩場より砂場に多く生えます。
花をよく見るとランタナ(七変化)に似ています。それも道理、おなじクマツヅラ属でした。

ヤマジノギク:山路野菊(属はハマベノギクだが)

2011-11-06 07:56:56 | 植物観察1日1題

大阪教育大学柏原キャンパスの裏山を上って、大阪方面の展望が開ける岩の多い山腹に咲いていたのがヤマジノギク:山路野菊(キク科ハマベノギク属)でした。
日当たりのよい乾燥した草地などの生える2年草で、根元からよく分枝して高さ30~100cmになります。茎や葉には粗い毛が多く、根生葉は花のころには枯れてしまいます。茎につく葉は長さ5~7㎝の倒披針形で、茎の上部の葉は線形になります。
花期は9~10月、直径3~4㎝と野菊の仲間としては大きい頭花を散房状につけます。舌状花は淡青紫色、総苞片の先が鋭くとがるのが特徴です。
アレノノギク(荒野野菊)の別名がありますが、生えていたところは確かに荒野ふうでしたが、花の様子はヤマジノギクの方が似合っていました。