新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

サンシチソウ:三七草(本能寺攻めに準備した薬草)

2010-10-31 07:52:48 | 植物観察1日1題

明智光秀が本能寺に向かうとき、保津から嵯峨に通じる今でいう明智越えの途中の“土用の霊泉”に三七草を漬けてそれを鎧の下に秘めて進軍したと伝わります。
サンシチソウ:三七草・山漆草(キク科サワギク属)は、慶長年間に中国より渡来した高さ50~150cmの多年草で、葉は互生し、大形で羽状に分裂します。秋、深黄色の管状花だけの頭花を散房状につけます。
光秀が用いたように、古くから、葉をもんで外傷、止血、打ち身、はれ物に薬効があるとされてきました。写真はある薬科大学の薬草園で撮影したものです。

アオイゴケ:葵苔(苔の名でも苔ではない)

2010-10-30 13:44:54 | 植物観察1日1題

葉がフタバアオイに似て、苔のように丈が低いことからこの名があるアオイゴケ:葵苔(ヒルガオ科アオイゴケ属)は、本州関東地方以西、四国、九州、沖縄に生育し、世界の亜熱帯から熱帯にかけて広く分布します。
茎は地を這って群がり、葉は小さく腎形で、4~8月黄色く小さい花が葉脇に1個ずつ開きます。
写真は高槻芥川沿いの池端の草地で見かけたもので、一帯は外来植物が多いところなので、どこかから持ち込まれた外来のカロリナアオイゴケかもしれません。

オオカナダモ:大カナダ藻(害だけでもない) 10月29

2010-10-29 06:24:18 | 植物観察1日1題

山中の田んぼの縁にコンクリートの水槽があり、どういうわけかそこにオオカナダモ:大カナダ藻(トチカガミ科オオカナダモ属)が白い花をつけていました。
南アメリカ原産の多年草で雌雄異株の沈水性植物、日本には大正時代にはいり、各地の池、湖沼、、日本では河川等に群生しています。
長さは1mを超え、葉は茎に密につき3~5輪生、広線形で縁には細い鋸歯があります。
日本には雄株のみ帰化し、6~10月、雄花は水面に柄をのばし直径1~1.5㎝3弁の白い花をつけます。
繁殖力が強く各地で害草化していますが、アナカリスの名で売られて水槽植物にされるほか、細胞の観察がしやすいので観察材料に使われるなど、使い道もあるようです。
(写真は水中から引き揚げたものです)

トチカガミ:鼈鏡(スッポンの鏡) 

2010-10-28 06:22:49 | 植物観察1日1題

環境省カテゴリーで準絶滅危惧種に指定されているトチカガミ:鼈鏡(トチカガミ科トチカガミ属)が、高槻市津之江公園の池に生えていると聞き確かめますと、工事今か何かの関係でいまあくあぴあ芥川に引っ越ししているとのことでした。
和名トチはスッポンのことで、光沢のある丸い葉を鏡に見立ててこの名があるといます。
別名にずばりスッポンノカガ、カエルエンザのほかトウガメバス、ドチモなどがあります。
池や沼に生える多年草で、葉は長い柄があり、直径4~7㎝の円形で基部はハート形、葉の裏面にスポンジ状のふくらみがあり、これが浮き袋になっては葉は7水面に浮かびます。
密生すると葉は水面より立ち上がり、浮き袋もしぼみます。
雌雄異株または同株で8~10月直径2~3㎝の白い花をつけます。

ヤノネグサ:矢の根草(紅葉する矢じり形の葉)

2010-10-27 09:02:12 | 植物観察1日1題

葉の形を矢の根(矢じり)に見立ててこの名があるヤノネグサ:矢の根草(タデ科タデ属)の葉がきれいに紅葉しています。
水辺や湿地に生える高さ約50㎝の多年草で茎には下向きの小さなとげがあり、下部は地をはいます。互生の葉は長さ3~8㎝の卵形~広披針形、基部は切形または浅い心形、托葉は筒形でふちに長い毛があります。
花は枝先に10数個集まってつき、花被は5深裂し、上部は紅色、下部は白色です。紅葉と花が同時に見られたヤノネグサです。

エビヅル:海老蔓(色ほどではなかった味) 

2010-10-26 05:20:36 | 植物観察1日1題

植物観察をしていて、食べられるというものをためしてみるのも楽しみの一つです。
花の時見つけておいたエビヅル:海老蔓(ブドウ科ブドウ属)を、もう熟しているかなと思い少し回り道して確かめに行きました。
エビヅルはきれいな葡萄色になっていました。
葡萄と書いてえびと読み赤色の濃いのを意味しますが、これはエビヅルなどの熟した実の色からきていているそうです。
熟すと甘酸っぱくて食べられるというエビヅルの実は、きれいな葡萄色にはなっているものの、まだ充分に熟していないのか美味というほどではありませんでした。
葉の切れ込みに変化が多いというエビヅルですが、写真の葉はあまりにも切れ込みが深く、西日本に多いというキクバエビヅルかもしれません。

サクラバハンノキ:桜葉榛の木 

2010-10-25 15:48:57 | 植物観察1日1題

宝塚市郊外の西谷の森公園には、珍しいサクラバハンノキ:桜葉榛の木(カバノキ科ハンノキ属)が自生しています。
湿地に稀に生える落葉小高木で、高さは10~15m、直径20㎝位になります。
葉がサクラに似ていることからこの名があると思われますが、それほど似ているようにも思えません。ハンノキに比べて、花序や果穂がひとまわり小さいこと、特に樹皮が古くなってもハンノキのようにわれ目が入らず、灰褐色で滑らかなことで区別されます。


イワヨモギ:岩蓬(南下する植物)

2010-10-23 06:52:27 | 植物観察1日1題

宝塚市郊外の西谷の森公園で見かけたイワヨモギ:岩蓬(キク科ヨモギ属)です。
我が国における本来の分布は北海道の海岸や岩場などとされていますが、法面の崩れ防止のために吹き付けた種子にまじってか、長野県の道路脇で発見され、その後西日本から九州まで広がっている模様です。
高さは80㎝ほどで、葉は長さ10㎝位、2回羽状に深裂するので、ほかのヨモギと区別が容易です。
北海道という限定された地域に生える植物が、人為的とはいえ、南下して暖かい地域に広がっているのは珍しい例といえます。


イヌヨモギ:犬蓬(役に立たたないヨモギ) 

2010-10-22 06:08:45 | 植物観察1日1題

役に立たないという意味でこの名があるイヌヨモギ:犬蓬(キク科ヨモギ属)は、各地の日当たりのよい、やや乾いた低い山地に生える多年草で、根茎は太く、高さは30~80㎝になります。葉は長さ5~8㎝の倒卵形またはさじ形で、縁には大きい鋸歯があります。半をつけない茎は下部が倒れて上部にロゼット状の葉をつけます。花期は9~10月、花茎は高さ30~100㎝、頭花は直径約3㎜の球形です。
一見ヨモギとは見えませんが、葉のにおいは確かにヨモギでした。


センボンヤリ:千本槍(春・秋で花も葉も異なる)

2010-10-21 06:44:45 | 植物観察1日1題

秋の閉鎖花


春の花


春と秋の2回花をつけるのがセンンボンヤリ千本槍(キク科センボンヤリ属)です。
春の花は直径1.5㎝ほどで白い舌状花で縁取られています。開花する春の花は稀にしか結実しないのに対し、夏から秋にかけてつける花は、常に蕾のままの形で決して開かない閉鎖花で、自家受粉によってこれだけが実を結びます。
センボンヤリの名は、秋の閉鎖花が、形も春の花より大きく、かつ1株から何本も抜き出て高く伸びることからついたもので、おなじ伝でフデクサの名もあります。ほかの別名にムラサキタンポポがあり、こちらは春の花の舌状花の裏が紫色を帯びていることからきているとなっていますが、写真で見るように、春の葉は縁に欠刻がある卵形であるのに対し、夏以降の葉は長い倒卵状長楕円形になります。葉の形といい、色といい、葉の様子からムラサキタンポポの名があるといえないこともなさそうです。
園芸でおなじみのガーベラは同じ仲間で、古い図鑑ではガーベラ属としているものもあります。
(センボンヤリのそう果は、07年12月12日記事をご覧ください)

ツクシハギ:筑紫萩(筑紫とは限らない)      

2010-10-20 05:56:14 | 植物観察1日1題

宝塚西谷の森公園のあちこちにすこし厚ぽったいような萩の花が咲いていました。
園芸品種かと思いましたが、自生種のツクシハギ:筑紫萩(マメ科ハギ属)と教わりました。
本州、四国、九州に分布する高さ2~4mの落葉低木で、小葉は長さ2~5㎝の楕円形、表面は無毛、裏面はまばらに伏毛があります。
花期は8月~10月、花は淡紅紫色で長さ1~1.5㎝。旗弁の周辺や裏側、竜骨弁の基部などが白いので、全体としての花の色はや淡く見えます。

ママコナ:飯子菜(飯粒付きの花)

2010-10-19 07:15:21 | 植物観察1日1題

宝塚西谷の森公園で見かけたママコナ:飯子菜(ゴマノハグサ科ママコナ属)です。
山地のやや乾いた林下に生える半寄生の1年草で、高さは30~50cm、長さ2~8㎝の長卵形の葉を対生します。
7~9月、紅紫色の唇形花をつけます。下唇の内側に白い隆起が2個並んでいるのを飯粒にみたててこの名があるといわれていますが、未熟な種子が米粒に似ているからという説もあるそうです。
ママコナの花序の苞には長くとがった鋸歯があることで、ミヤマママコナ、シコクママコナなどと区別されます。(写真:花の上部)

ヌマダイコン:沼大根(大根には似ない) 

2010-10-18 07:03:03 | 植物観察1日1題

岸和田市東部の神於山の谷筋で見かけたヌマダイコン:沼大根(キク科ヌマダイコン属)です。
谷沿いなの湿ったところに生える多年草で、やや薄暗いところに多く、茎は上部で枝分かれし、高さ30~100㎝になります。
葉は対生し長さ4~20㎝、幅3~12㎝の卵形長楕円形で、少ししわがあり、縁には鈍い鋸歯があります。
写真では花と葉を同時に撮るために背丈の低いのを選びましたが、実際には茎の上部はよく枝分かれし、もっと高くなります。
9~10月、枝先に直径5~8㎜の小さな頭花をまばらにつけます。頭花は白い筒状花だけでできていて、舌状花はありません。
沼に生えて、葉がダイコンに似るのでこの名があるといいますが、それほど似ているとも思えません。

ミミズバイ:蚯蚓灰 (ミミズの頭というが )

2010-10-17 06:18:57 | 植物観察1日1題


岸和田市東部の神於山一帯でミミズバイ:蚯蚓灰(ハイノキ科ハイノキ属)が、枝に青い果実をびっしりつけていました。
本州関東地方南部以西、四国、九州の暖地に生える常緑高木で、高さは10mくらいになります。
葉は互生し、長さ7~15㎝の狭長楕円形、表面は濃緑色で光沢があり、裏面は灰白色になります。
7~8月、葉の付け根に直径7㎜程の白い小さな花をかたまってつけます。
果実は翌年の秋、長さ1~1.5㎝の卵状長楕円形で、熟すと黒色になります。
別名にミミズノマクラがあり、枝に果実が並ぶ様子をミミズが頭を並べているように見えるからというのですが、ミミズの頭よりネズミの糞に例えるほうがしっくり来る気もします。
ミミスリハ、ミミスベリ、トクラベなどの別名もあるということですが、いずれも由来は不明です。

イワショウブ:岩菖蒲(粘るは何のため?)

2010-10-16 07:07:49 | 植物観察1日1題


葦毛湿原のシラタマホシクサに混じって咲いていたのがイワショウブ:岩菖蒲(ユリ科チシマゼキショウ属)です。
亜高山帯の湿原にはえる多年草で、根生葉は線形で長さ10~40cm、花茎は高さ10~40cm、白色~淡紅色の花を総状につけます。花はひとつの節から3個ずつつきます。
花序や花柄などに腺毛があり粘り、小さい虫が飛来してくっつくのでムシトリグサの別名があります。
シラタマホシクサノ群落の中で、わずかに頭ひとつ背伸びして、存在感を発揮していました。