新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

コミヤマカタバミ:小深傍食(葉の縁が丸い)

2012-06-30 09:38:32 | 植物観察1日1題

天生湿原に咲いていたコミヤマカタバミ:小深傍食(カタバミ科カタバミ属)です。
日本各地の亜高山帯の針葉樹林帯におおく見られる多年草で、根茎は細く地下をはい、先端部には古い葉柄の下部がうろこ状に残り、頂部から数枚の葉を出します。晩春高さ4~10cmの花茎を出し頂きに1花をつけます。
花色は白で、ときに淡紅色を帯びることがあります。
もう少し低い山地にはえるミヤマカタバミは、小葉の中央がへこみ角が鈍端であるのに対し、本種のはかどが丸みがある点が異なります。


ミヤマスミレ:深山菫(山に咲くから深山)

2012-06-29 06:18:09 | 植物観察1日1題

天生湿原の道端に咲いていた紫色の小形のスミレの名を、通りがかったパトロールの人に訊ねますとミヤマスミレ:深山菫(スミレ科スミレ属)と教えてくれました。あまりにもありきたりの名前にちょっと拍子抜けの感じでした。
山地から亜高山の林縁や草地に生える多年草で、根生葉は薄く、淡緑色で長さ2~3cm、幅2~2.8cm、
先は鋭くとがり、基部は深く湾入し、耳状に張り出した部分は互いに重なる場合もあります。
5~6月、根生葉から伸びた花茎に淡紅紫色の花を1個つけます。花弁は長さ1.2cm~1.5cm、距は長さ
6~8mm、喉部の色が抜けて白色となります。花色の濃淡には変化が多いといいます。

ノウゴウイチゴ:能郷苺(山に生えるオランダイチゴの仲間)

2012-06-28 07:08:33 | 植物観察1日1題

天生湿原の道端にノウゴウイチゴ:能郷苺(バラ科オランダイチゴ属)が白い花をつけていました。
聞いただけでは意味が分からない変わった名前は、発見地の岐阜県能郷村にちなみます。
亜高山~高山に生える多年草で、葉は3出複葉で根生し、小葉は長さ1.5㎝~3㎝の倒卵形で縁に粗い鋸歯があり、裏面は粉白色で伏亜高山~高山に生える多年草で、葉は3出複葉で根生し、小葉は長さ1.5㎝~3㎝の倒卵形で縁に粗い鋸歯があり、裏面は粉白色で伏毛があります。
6~7月、径1.5~2.5㎝の白い花を数個つけます。花弁は7~8枚でやや幅が狭い感じです。
仲間のシロバナノヘビイチゴと同じく、花のあと花床が膨らんで長さ0.8~1.5㎝の卵形となり、赤く熟して甘く美味しいそうです。

コウモリカズラ:蝙蝠葛(楯状の葉柄とコウモリ形の葉)

2012-06-27 06:21:07 | 植物観察1日1題



飛騨の板倉で紹介した飛騨市宮川町種蔵地区の棚田の石垣に這っているコウモリカズラ:蝙蝠葛(ツズラフジ科コウモリカズラ属)を見かけました。
本邦各地の山地に生える落葉つる性木本で、葉柄がやや楯状につくのが特徴です。葉身は腎円形で3~7浅裂します。5~6月、葉腋から出る小形の円錐花序に小さな淡黄色の花をつけます。る。萼片は6枚、花弁は9~10枚、雄花には雄しべ20本、雌花には3~4枚の心皮があります。
秋、核果を黒く熟します。
アルカロイドをふくみ、中国東北部では根を利尿薬として用いるそうです。
和名は葉の形がコウモリの羽根に似ていることからきているといいます。

ギンバイカ:銀梅花(ジューンブライドを飾る) 

2012-06-26 09:17:25 | 植物観察1日1題
3月11日記事で、実をつけたギンバイカ:銀梅花(フトモモ科ギンバイカ属)を公園で見かけ、花が咲くころまた見に来たいものだと書きました
昨日、この時季だと思い行ってみると、少し盛りが過ぎた感じでしたが咲いていました。
地中海沿岸の原産で、古くから南欧の庭園に植えられ、ゲッケイジュ、オリーブなどと共に地中海沿岸代表的な庭木になっています。
よく分枝して卵形から楕円形の樹形になり、葉は長さ2.5㎝~5㎝の楕円形か披針形で、対生または3個輪生で、葉の形質によって何種類かつくられています。
6~7月、葉脇ごとに直径2㎝の白色花を上向けにつけます。花弁は5個、雄蕊が多く、細い花糸がめだちます。
英語でマートル(myrtle) , ドイツ語ではミルテ(Myrte)から、ミルトスともよばれ、愛や不死、純潔を表徴するといわれ、花が結婚式などの飾りによく使われるので「祝いの木」などとも呼ばれます。
花嫁に純白が似合うのは、洋の東西を問わないようです。
和名は、花形がウメに似ることからきています。

キダチコマツナギ:木立駒繋(背景に救われる外来種)

2012-06-24 14:38:40 | 植物観察1日1題

一庫ダムのほとりに一群のキダチコマツナギ:木立駒繋(マメ科コマツナギ属)が咲いていました。
道路整備をした場所の緑化目的で中国などから導入された落葉小低木で、在来種のコマツナギ(05年月22日記事参照)と区別するためこの名がついたといわれますが、両者を同じ品種とする見方もあります。
在来のコマツナギより大きく高いものでは250㎝にも達します。コマツナギに比べて枝が多く、枝に葉や花序を間隔密に多数つけるのが特徴 です。
一面に黄色いアイオオアカウキクサに覆われた一庫ダムを背景に咲くキダチコマツナギは、背景の異常さで、自らの外来植物的特徴を打ち消されて、不思議に調和のとれた景色を現出していました。

アイオオアカウキクサ:合大赤浮草(無害というが)

2012-06-24 08:43:25 | 植物観察1日1題

能勢一庫ダムが一面黄色い浮草に覆われて異常な姿を見せていました。
ダムサイトに説明板があり、アイオオアカウキクサ:合大赤浮草(アカウキクサ科アカウキクサ属)というシダの仲間だとわかりました。
説明によると、アイガモ農法の飼料用に人工的に改良されたものだそうです。
毒性はなく、このダムの水道用水への影響はなく、環境省指定の特定外来生物に指定されているわけでもないとしています。冬も枯死せず1年中存在するが、定着する可能性は低いともしています。
しかし、この光景を見ると本当かなという気にもなります。問題はないというものの、有機農法で脚光を浴びたアイガモ農法、もとんだところで困った状況を現出しているようです。

ユクノキ(夏の能勢に積む白雪) 

2012-06-23 07:40:08 | 植物観察1日1題



能勢一庫ダムの周辺に珍しいユクノキ(マメ科フジキ属)が20数本あり、いま枝一面に白い花をつけています。
和名は秩父地方の方言で、花の白さを雪に例えたものといわれており、ミヤマフジキの別名もあります。
山地に生える落葉高木で、葉は互生し、奇数羽状複葉(まれに偶数)です。フジキによく似ていますが、若枝には赤褐色の軟毛が多く、小葉の裏面が白く、脈はほとんど隆起しない、花序は葉より短い、豆果にはほとんど翼がないなどの区別点があります。
6月ごろ咲く花は、フジキより少し大きく、枝先に12~25㎝の円錐花序を出し、白い蝶形の花を多数つけます。花序の軸には褐色の軟毛が密生するので、真白な雪とは参りません。
それでも、毎年は咲かないというこの珍しい花を見て大満足でした。

ヨコグラノキ:横倉の木(名前は有名だが)

2012-06-22 06:18:22 | 植物観察1日1題

昨年12月13日に取り上げたJR武田尾駅の周辺にある数本のヨコグラノキ:横倉の木(クロウメモドキ科クロウメモドキ属)のうち、いちばん大きい木に花が咲いているのが見えました。
ヨコグラノキという和名が、高知県横倉山で最初に採集され、この山の特産と思われて牧野富太郎博士によってつけられたというこの木は、聞いただけでは意味が分からない変な響きの名前や、山地の林内や砂礫地にまれに生えるコクサギ型葉序の珍しい木であることで有名ですが、高い木の上で、よくは見えないものの、葉の付け根に短い穂になって咲いている黄緑色の花は、それほど目立つものではありません。
秋に実る果実は、長さ約7㎜の長楕円形で、熟すと暗赤色になります.

サツキ:皐月(岸壁に健気)

2012-06-21 09:19:42 | 植物観察1日1題
名塩から武田尾に通じ廃線跡の道から武庫川の川べりの岩にへばりついたサツキ:皐月(ツツジ科ツツジ属)が、朱赤色の花をつけていました。
関東以西の川岸に分布し、また古くから栽培されているヤマツツジグループの常緑低木で、高いものでは約1mにもなり、枝は横に広がります。
旧暦5月に咲くという名のとおり、ほかのツツジに比べて開花は1ケ月ほど遅く、5~7月、径4~5㎝漏斗状の花冠の花を枝先に1~2個つけます。
古くから庭木や盆栽として愛好され、江戸時代には九州南部から屋久島などに分布するマルバサツキとの交雑が行われ、白、紫、桃、濃紅色、絞り、ぼかし、細弁、重弁など何千種もの園芸品種がつくられてきました。根強い愛好家が多いこれら交雑された園芸品種は、園芸上は総称としてサツキの名で呼ばれています。
どこででも見られるおなじみのサツキですが、本来あるべき川岸に咲く花は、どこかしら野生種の持つ気品を感じさせるものがありました。

ギンパイソウ:銀杯草(梅ではなく杯でした) 

2012-06-06 16:38:47 | 植物観察1日1題
少し地方へ行くと、町おこしの一環でしょうか、道路わきにいろいろな草花を植えて、通る人を楽しませてくれます。
そのなかに、白い杯状の花を上向きにつけた草がありました。名前を聞くとギンパイソウということでした。よく似た名前に、ユキノシタ科のギンバイソウ(銀梅草)、フトモモ科のギンバイカ(銀梅花)キンポウゲ科のキンバイソウ(金梅草)などがあるので、おもわずパ(半濁音)イですか、バ(半濁音)イですか、どんな字を書くのですかと訊ねました。
答えはギンパイ(半濁音)で、銀杯草と書くと知りました。
ナス科の多年草でニーレンベルギアの名でも知られ、ギンサカズキの別名があります。アルゼンチン、チリの原産で、葉は長楕円(ちょうだえん)状のへら形、葉身は長さ2、3センチメートルで長い柄があります。花は6~9月、葉と対生し高坏(たかつき)状に1個つき、乳白色、花径は2、3センチメートルで芳香があります。地表下の走出枝がよく発根し、分枝して地面を覆って茂るので、地被植物として庭や公園に植えられます。栽培は容易で3~4月、走出枝を切り取って植え付けるとよく活着するそうです。

ウツギ:空木(花糸の飾りは何のため?)

2012-06-06 09:20:48 | 植物観察1日1題



ウツギ:空木(ユキノシタ科ウツギ属)が満開です。旧暦4月卯月に咲くので“卯の花”の名で親しまれており、高槻市民の花にもなっています。枝先に白い鐘形の花がむらがって咲く姿はおなじみですが、葉の両面や、花柄や萼などに星状毛が目立つなど、白花としての清純なきれいさにやや欠ける気もします。
その花の内部を覗くと、10本ある雄蕊が特徴ある形をしているのが見えます。
雄蕊の白い花糸の両側に翼があり、翼の先端がぴんと突き出て、その先に黄色い葯がつく姿は、まるで灯がついた蝋燭のようです。
花糸を目立たせて、送粉者を誘う植物に、ネムノキやコアジサイなどがありますが、花弁の中に潜んでいるウツギの花糸が、このように凝った造作をしている意味はよく分かりません。


ムギ:麦(麦秋間近の近江路)

2012-06-04 13:49:40 | 植物観察1日1題

滋賀県近江八幡市安土町で

滋賀県を通ると、あちこちに今時珍しくなった麦畑が広がり、間もなく日本の原風景ともいえる麦秋
の季節です。
人類の最も主要な食糧であるコムギ(イネ科コムギ属)、オオムギ(イネ科オオムギ属)の歴史は古く、およそ1万年前に西アジアで始まったといわれています。
日本には中国を経て奈良時代以前に入ってきました。
そのうちコムギの仲間は1個の小穂に実が何個付くかで、普通形、2粒系、1粒系に分かれます。
普通系の中のパンコムギというのが現在最も多く栽培され、パンや菓子、麺類の原料に使われます。
マカロニやスパゲッティ―には2粒系のヂュラムコムギが使われているそうです。
オオムギは実の付き方で六条大麦と二条大麦に分かれ、日本で栽培されているのはほとんどが六条系で、押麦(麦飯)、麦茶、味噌・醤油などの原料になります。
ビールやウイスキーには二条麦が使われます。

クマガイソウ:熊谷草(熊谷直実の母衣)

2012-06-03 09:16:20 | 植物観察1日1題



奥伊吹山にクマガイソウ:熊谷草(ラン科アツモリソウ属)が咲いているというので見てきました。
袋状の唇弁を源平合戦で、平敦盛を討った熊谷直実の母衣(矢除けの布製の袋)に見立ててこの名があります。
山野の樹林の下に生える多年草で、近年自生地が少なっているといいます。ここでは、山荘の主人がよそから移植したものが、いつのまにか群生するようになったそうで、周囲の環境がよほど自然繁殖に適していたのでしょう。
茎の高さは20~40㎝、葉は大きくて直径10~20㎝の扇形で縦じわが目立ち、2個が対生状につきます。花は大形で、茎の先に1個つき、背萼片は淡緑色、唇弁は袋状にふくらみ、紅紫色の脈があります。
同じ仲間に、熊谷直実の相手役のアツモリソウがあり、こちらはやや小ぶりに見え基本的な花色が紅色です。白くていかついクマガイソウ、赤くてやさしげなアツモリソウとは、気の利いた名づけといえます。もっともいつぞや礼文島で見たレブンアツモリソウは、平家の赤ではなくて薄黄白色でした。

コンニャク:蒟蒻(農家は見ない花)

2012-06-02 07:32:00 | 植物観察1日1題

薬科大学の薬草園に珍しいコンニャク:蒟蒻(サトイモ科コンニャク属)の花(?)が咲いていました。
東南アジア、中国原産の多年草で、古くから渡来し、各地で栽培されます。高さ1mにもなり、球茎は扁平形で、3年ほどかけると直径30㎝ほどにもなり、これがコンニャクの原料になります。
雌雄異花で、数年たって球茎が大きくなると、初夏に花が咲きます。花は太い棒のような肉穂花序にびっしりとつき、暗紫色の大きい仏炎苞に包まれており、花の頃には葉はありません。農家の人は花が咲く前に大きくなった球茎を収穫するので、ふつうこの花を見ることはありません。
仏教とともに中国から伝わったというコンニャクは、当初味噌煮にしたものを僧侶など上流階級だけが口にしたそうで、庶民の食卓にのぼるのは江戸時代後期になってからだといいます。
現在群馬県が全国一の生産地として知られていますが、国産品保護のため馬鹿高い関税で保護されているのは、歴代首相が群馬県出身だからと、某大臣が発言したりして話題になったことがありました。
実際はそれほどでもないようですが、庶民的なおでんのネタも、国際的な農業問題のなかで苦しんでいるようです。