新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ジャノヒゲ:蛇の髭(瑠璃色の遊び具)

2006-01-31 07:02:58 | 植物観察1日1題
ジャノヒゲ:蛇の髭(ユリ科ジャノヒゲ属)は、密生する細い葉の形からリュウノヒゲ(龍の髭)とも呼ばれ、各地の山林の陰に生える多年草です。初夏から夏高さ10cmくらいの花茎に白い花を総状につけますが、よく知られているのは秋から冬につける瑠璃色のきれいな実(種子)です。
子供のときこの実をフクダマ(福玉?)といって竹鉄砲の弾にして遊んだ記憶がありますが、ハズミ玉といって幼女の遊びにも使われるそうです。
葉の茂り方を能に出てくる老翁の髭にたとえて長寿をかついで植えられこともおおく、軒先などによく植えられるので階前草の別名もあります。

ヘクソカズラ:屁糞葛(実もまたよし)

2006-01-30 06:53:43 | 植物観察1日1題
林縁に冬日を浴びてなにやら黄金色に光る珠が見えます。
近づいてみると見事に実をつけたヘクソカズラ:屁糞葛(アカネ科ヘクソカズラ属)です。
(8月25日記事)かわいそうな名前のゆえに夏の花も顧みられることが少ないのですが、
このきれいな実も、同行の友人がこの名を聞いただけでがっかりしたような顔をしましたので偏見はなかなか消えないようです。
夏のころのように、枯れた蔓も黄色い実もつぶすとあの臭があります。
それでもクリスマスリースや自然工作などにも使われると聞いてすこしはこの草のためにほっとした気持ちになっています。


シャリンバイ:車輪梅(霜の花)

2006-01-29 07:49:00 | 植物観察1日1題
厳しい寒さが続きます。
道路わきの植え込みのシャリンバイ:車輪梅(バラ科シャリンバイ属)の葉に白い霜がおりて花のようになりました。
枝や葉が輪生状に出て花が梅に似ているところからこの名がありますが、一見輪生状に見える葉は、実際には枝の上部に密生して互生しているものです。
海岸などに多く生える常緑の小~低木で高さ1~5m、よく分枝し公害にも強いので公園や道路わきの植え込みなどに広く使われています。
木の様子も、生育地も、使われ方もよく似ているのにトベラ がありますが、シャリンバイは葉の上部に鈍い鋸歯があり、秋冬には葉の一部や葉柄が赤紫色を呈し、秋には黒紫の実をつけますが、トベラは葉が常時緑で主脈の中心に外側へ捲くことが多く、球形の朔果は3つに裂け中に粘膜に包まれた赤い実があることなどで両者は区別できます。(12月30日記事)

キミノセンリョウ:黄実の千両(雪の台に乗って)

2006-01-28 08:15:53 | 植物観察1日1題
各地で観測史上初めてという大雪に見舞われています。連日、豪雪地帯の皆さんのご苦労が報道されています。
ここ高槻でもこの冬は例年になくすでに何回も積雪をみました。雪国の方には申し訳ありませんが幾つになっても景色がすっかり変わる雪の朝はなにやらうれしい気分です。
庭のキミノセンリョウ:黄実の千両にも雪が積んでいます。
センリョウ(1月6日記事)は、葉の下に実がつくマンリョウと違いセンリョウは実を葉の上につけます。雪の上に顔を出した黄色い実の頂にかわいい黒い点がついています。子房に合着していた雄蕊の跡と思われます。

ヒメガマ:姫蒲(白兎がくるまったのはどちら?)

2006-01-27 07:10:30 | 植物観察1日1題
万博公園を歩いていると北風に乗って綿毛のようなものが無数に飛んでいました。風上のほうへ辿ってゆくと池のほとりに群生するヒメガマ:姫蒲(ガマ科ガマ属)(8月2日記事)の蒲の穂が風に吹かれて小さく白い毛をつけた種子(蒲絮)を飛ばしているのでした。
因幡の白兎の伝説では、皮を剥がれた兎がこの白く柔らかい綿のような種子にくるまって傷を治したと一般には思われていますが、本当は、昔から蒲黄(ほおう)と呼ばれて止血薬として用いられてきたガマの雄花の黄色い花粉にくるまったというのが正しいそうです。
冬枯れたヒメガマの向こうにカモの一群れが仲良く泳いでいました。

イワタバコ:岩煙草(身を縮めて冬を越す)

2006-01-26 07:06:46 | 植物観察1日1題
8月谷水の滴る岩場に涼しげに咲いていたイワタバコ:岩煙草(イワタバコ科イワタバコ属)(8月6日記事)が、いますっかり葉を落として身を潜めて冬を耐えています。
夏、名前の由来である長さ10~40cmにもなる幅広の緑の根生葉が垂れ下がります。
実は、写真の縮緬状に丸まった緑色の塊こそがこの大きな葉になる冬芽の休眠越冬の姿なのです。春になってこの皺がぐんぐん伸びて葉を広げてゆく様を観察するのは感動的ですらあります。
イワタバコニはこんな寒さしのぎの特技があるため、本来熱帯植物が多い仲間の中でこれだけが日本の北のほうにまで分布しているのだと説明する人もいるそうです。

ギンドロ:銀泥 (花芽を抱く) 

2006-01-25 16:46:46 | 植物観察1日1題
万博公園の空中回廊ソラードの道筋に葉の裏面が銀白色でよく目立つ高木群があります。
別名ウラジロハコヤナギともいわれるこのギンドロ:銀泥(ヤナギ科ヤマナラシ属)は、一般にポプラといわれるセイヨウハコヤナギと同じ仲間です。
葉が落ちたいまは真っ白い幹の色でも目立だっています。
空中回廊で真近に見る枝先に冬芽が膨らんでいました。春、葉が開く前に花の穂が垂れ下がるそうですのでこの中で花芽が膨らんでいることでしょう。
こ冬芽が開くころもう一度訪れることにしましょう。

マロニエ:西洋橡の木(苦い思い出)

2006-01-24 06:55:35 | 植物観察1日1題
フランスの街路樹で有名なマロニエ(トチノキ科トチノキ属)は、日本での種名をセイヨウトチノキともウマグリともいいます。わが国でもときに公園や街路端に植えられています。初夏トチノキに比べて大形の白色に赤みを帯びた花をつけます。果実は大きく、果皮に棘があります。
いつぞや、マロニエの実といわれながら、あまりにもクリに似ていているのでかじってみたらものすごく苦かったという”苦い”思い出があります。
冬芽を包む鱗片は乾いていて、トチノキのように(12月13日記事)(11月13日記事)粘りません。

タブノキ:椨の木(イヌかタマか)

2006-01-23 06:54:54 | 植物観察1日1題
枝先に集まってついた厚い皮質の葉の中心部に、まるく大きい冬芽が覗いています。
いまの時期、この大きい冬芽が、タブノキ:椨の木(クスノキ科タブノキ属)を識別するのに役立ちます。
本州、四国、九州、南朝鮮、中国などに分布する代表的な暖温帯照葉樹のひとつで、海岸沿いに多く、魚付き林としても大事にされています。材がクスに劣るということでイヌグスの別名があるのですが、実際には大木に育つこの木の材は、建築、家具、枕木、染色、線香の糊など様々に使われてきました。そのため百を越す地方名があるということです。特に老木の中心部の材は、比重が0.9を超える緻密さで、木目が巻雲紋といわれ喜ばれるほか、腐食に強く古代から船を造るのに用いられてきました。そんなことからイヌグスではなくタマグスとも呼ばれています。
元伊勢といわれる丹後一ノ宮の籠(この)神社の社前に堂々とした古木が何本かあります。宮司さんに尋ねましたら“玉楠”別名はタブノキとおっしゃっていました。あたりまえですがイヌよりタマのほうが高尚に聞こえますね。

コブシ:辛夷(花の下の一葉)

2006-01-22 07:04:54 | 植物観察1日1題
厳しい寒さが続いています。
木々の冬芽もそれぞれの仕方で寒さを凌ぎながら春を待っています。
純白の花で早春の野山を彩るコブシ:辛夷(モクレン科モクレン属)は、演歌にも歌われてあまりにも有名なので、早春の山に白い花を見ると、とくに本州西部以南では、コブシと同じころ咲き、花もそっくりのタムシバをコブシと混同する人も多いようです。
このコブシとタムシバの区別するのには、コブシは花のすぐ下に葉が1個つき、タムシバにそれがないことです。
寒さしのぎでしょうか、やわらかく暖かそうな毛皮を着たコブシの冬芽をよく見ると、花芽の下にしっかり葉芽がついています。冬芽でも区別できるということですね。

ニシキギ:錦木(冬芽の奴さん)

2006-01-21 07:21:56 | 植物観察1日1題
晩秋真っ赤な葉で目立っていたニシキギ:錦木(ニシキギ科ニシキギ属)が、(11月13日記事) いま、すっかり葉を落とした冬姿のなり、この木の特徴であるコルク質の翼が一段と目立ちます。
発達した広幅の翼とその上に乗っかった冬芽が、ちょうど子供を背負った奴さんのようでとてもユーモラスな形です。
写真は花博記念公園鶴見緑地で撮りました。

モミジバスズカケノキ:紅葉葉鈴懸の木(冬芽を抱く古い葉)

2006-01-20 07:04:25 | 植物観察1日1題
並木道に多いプラタナスと呼ばれるのは、スズカケノキ、アメリカスズカケノキとこの2種の雑種であるモミジバスズカケキの総称です。万博公園の西大路通りにある立派なプラタナスの並木道は、このうちのモミジバスズカケノキで、緑、褐色、白色のまだら模様に大きく剥がれ落ちる樹皮が特徴です。
この大きい葉が散った跡に冬芽がついています。通常大きい葉が散った跡(葉痕)は昨日のチャンチンのように丸い葉痕と、葉の養分の通り道であった維管束の跡が目、口、鼻などに似て人面のような形を呈し、その上部に冬芽がつきますが、アメリカスズカケノキは、冬芽が葉柄の付け根に包まれる形でつきます。このため葉痕は丸くならず写真のように周囲に維管束の跡が残る形になります。写真の冬芽はごく最近まで枯葉の軸の根元に包まれていたというわけです。
今の時期この木を見かけたら落ち葉の根元の穴とと冬芽をつき合わせて確かめてください。

オーストラリアチャンチン:豪州香椿(ツバキでない椿) 

2006-01-19 06:59:38 | 植物観察1日1題
冬の花の代表の“椿”の字は日本のツバキにあてた日本で作られた国字だそうで、中国での“椿”は香椿(チャンチン)といわれ、日本のツバキとまったく違う羽状複葉を持つセンダン科の落葉高木だそうです。
このチャンチンは日本では珍しく、なかなかお目にかかれませんが、先日鶴見緑地でオーストラリアチャンチンと名札のついた木を見かけました。
すっかり落葉しているので葉の形は不明でしたし、この木が中国のチャンチンとどれだけ違うのかもわかりませんが、少なくとも日本のツバキとはまったく異なる木であることだけはよくわかりました。
写真はその冬芽です。すごくかわいい顔をしていたのでアップしました。

ユリノキ:百合の木(たたまれた半纏)

2006-01-18 07:04:15 | 植物観察1日1題
ユリノキ:百合の木(たたまれた半纏)観測史上例を見ないといわれる豪雪、厳寒が続いていますが、草木たちは確かに春の準備をすすめています。
大阪の鶴見緑地公園でユリノキ:百合の木(モクレン科ユリノキ属)のかわいい冬芽を見つけました。ユリノキは、花の形からチューリップツリーともいわれる北アメリカ東部原産の落葉高木で成長が早いので公園や街路などによく植えられています。 (5月28日記事)この木は葉の形が半纏に似ているのでハンテンボクという別名でも知られています。その半纏がたたみこまれた姿で小さい冬芽にくっきりと張り付いているのです。
これぞ造化の妙としばし感激して見とれていました。


キダチアロエ:木立盧会(鉢植えの万能薬)

2006-01-17 06:55:45 | 植物観察1日1題
ずいぶん昔になりますが、冬、仕事でスイスへ行ったついでに、暖かい所へ周ろうとポルトガルに寄ったとき、至るところに紅赤色の穂状の花をつけ草を見かけました。花は見かけないものでしたが草の形は見慣れたアロエそのものでした。葉肉を傷や火傷に、汁液を胃腸薬にと、家人が万能薬だといっていつも鉢植えを絶やさないからです。い
昨年年末同じ花を白浜で見かけました。このキダチアロエ・キダチロカイ(ユリ科アロエ属)は、南アフリカ原産の多肉性多年草で、どうやらかなり温暖の地でないと花を咲かせないもののようです。
和名のキダチロカイは、江戸時代に属名のAloeをロエと読み“盧会”の字をあてたのをロカイと音読みにしたことに始まったという面白い話があります。