新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

イベリス:常盤薺 (イベリア地方生まれの)4月30日

2011-04-30 08:03:14 | 植物観察1日1題
この時期、庭先の鉢植えなどでよく見かける純白の花がイベリス(アブラナ科イベリス属)です。 スペインに多く見られたので、スペイン地方の古名イベリアにちなんで名づけられました。トキワナズナの別名もあります。
上から見ると一つの丸い花のようですが、近づいてよく見ると、長短2個ずつの白い4弁の小さな花が集まって一かたまりになっています。
これを横から見ると、一つ一つの4弁花には花柄があって、散形花序となっていることがわかります。
真白なイベリス・センペルビレンス種が多いですが、ピンクのイベリス・ウンベラータなどもあります。

オトコヨウゾメ(男の名前の優しい花)

2011-04-29 08:49:59 | 植物観察1日1題
オトコヨウゾメ(スイカズラ科ガマズミ属)の花が咲いています。
山野の日あたりのよいところに生える落葉低木で、高さは1~3mになります。葉の長さは3~7㎝で薄く、裏面脈上に白い長毛がまばらにあり、乾けば黒くなるのが特徴です。
晩春、2枚の葉のある短枝の先の長さ1~2㎝の柄の先に、薄紅色を帯びた白い花を5~10個ずつ垂れ下がってつけます。
この変わった名前の由来は定かではありませんが、ガマズミ類をヨソゾメ、ヨツゾメなどと呼ぶ地方があり、ガマズミ似ていて、本種の果実が細く痩せていて食用にならないことから男を冠してオトコヨウゾメとなったのではないかとの説があるそうです。

ヒメフウロ:姫風露(舶来もの?)

2011-04-28 15:23:48 | 植物観察1日1題
何年か前に、近所の方から名前を知らないがといっていただいた草花が、こぼれ種で毎年花をつけるのですが、帰化植物か何かと思っていたところ、京都府立植物園でヒメフウロと名札がついていたのでおや?と思いました。
図鑑ではヒメフウロ:姫風露(フウロソウ科フウロソウ属)は、塩を焼いたような臭気があるのでシオヤキソウの別名がある石灰岩地に生える高さ20~60㎝の1年草~越年草で、花は淡紅色で直径約1.5㎝、がく片に腺毛があり、5個の花弁には濃い2個の筋が目立つとあります。
じつはこのフウロソウなら、伊吹山で撮影したものを07年9月3日に取り上げていますが、植物園のものとも、庭に咲くものともどこか様子が違います。
ネットで検索してみると、イギリス原産か何かの種がヒメフウロの名で売られていて、あちこちの庭で普通に咲いているというような記事がありました。
植物園が間違った表示をするとも考えられませんが、石灰岩地に咲くヒメフウロと、どこの庭にも見られるヒメフウは、同種なのか、同名異種なのか、疑問が残ったままです。

イスノキ:(虫こぶは有名だが)

2011-04-25 18:53:23 | 植物観察1日1題

何種類ものアブラムシが虫こぶをつくり、なかでもイスノフシアブラムシがつくるイスノキエダナガタマフシは、木化するとオカリナのような笛になるので、ヒョンノキの別名まであるイスノキ(マンサク科イスノキ属)は、虫こぶで知られるほどには、春4~5月に咲く風変わりな花はあまり知られていません。
ふつう雌雄同株で、葉脇に円錐花序をだし、上部に両性花、下部には雄花がつきます。両性花には褐色の毛におおわれた雌蕊があり、上部は2裂します。雄蕊は5~8個あり、葯は紅色、雄花では雌蕊は退化し、花糸も短くなっています。
赤い葯の表面がは滑らかに見えて、花粉がないようですが、花のついた枝をしばらく置いておくと台の上が真っ白になるほど花粉が落ちます。(最近紹介したフサザクラやシロモジも同じでした)
イスノキは、材が緻密で固く、ツゲと同様に古くから櫛に用いられたことが知られており延喜式に宮中でイスノキの櫛が使われたとの記述があり、平常宮跡からイスノキの櫛が多数発掘されたといいます。
宮中では今でも婚儀などで実際にイスノキ櫛が使われるとか、昔は、天皇は一日使えば捨て、皇后は2日使って捨てたという話などもあります。
一般にはあまり知られていないイスノキですが、結構話題の多い木です。

ケヤキ:欅(めだたずとも役割しっかりの花) 

2011-04-23 14:32:35 | 植物観察1日1題

住まいの近くに高槻市民の木であるケヤキ:欅(ニレ科ケヤキ属)の見事な並木があることは、一度ご紹介しました。(06年11月12日記事)
その並木が今一斉に新芽をふきだして、みずみずしい緑に変わりつつあります。
散歩していると足元一面に細かい粒のようなもので敷き詰められています。冬芽や花芽を包んでいた鱗片葉や苞、がく片などが落ちたもののようです。
普通はあまり気づかないのですが、若枝をよく見ると小さな花がついています。ケヤキは同じ枝に雄花と雌花がつく雌雄同株で、葉の展開と同時に短枝(もっぱら花・種をつけて増殖の役割をする枝)に開花します。雄花は新枝の下部に数個ずつ集まってつき、4~6裂する花被と4~6個のおしべがあります。雌花は新枝の上方の葉脇にふつう1個ずつつき雌蕊は1個、花柱は2裂し、柱頭の上面には乳頭状の突起が密生します。雌花には退化した雄蕊が残るものもあります。目立たない花ですが、結構しっかりした形を持っています。
10月ごろ熟した果実は、小枝ごと風に乗って散布されてゆきます。

シロイヌナズナ:白犬薺(犬とはいわせない)

2011-04-22 20:22:16 | 植物観察1日1題

最近の植物関係の記事にしきりに現れるシロイヌナズナ:白犬薺(アブラナ科ハタザオ属)の名はすっかりなじみになりましたが、どういうわけか見たことがありませんでした。そのシロイヌナズナが、洛北宝ヶ池界隈の道端に群れをなして生えているのを見かけ、あるところにはあるものだと変に感心していました。
イヌナズナのイヌはナズナに似て食用にならないところからきていますが、黄花のイヌナズナにたいして、よく似た本種が白花なのでこの名がついたのですが、こちらのほうは役に立たないどころか、最近の植物学の研究材料としてなくてはならないモデル植物となっています。
シロイヌナズナは、ゲノムサイズ、遺伝子数ともに顕花植物としては最小の部類に属し、一世代が約2か月と短く、室内で容易に栽培でき、多数の種子をつけ、自家不和合成をもつなど、モデル植物として多くの利点を有するため、世界各地で研究材料として使われています。
なかでも花の発現構造を決めている遺伝子の研究として有名なABCモデルが、シロイヌナズナとキンギョソウを使った研究から生まれたことで知られています。
役に立たないどころか、今やなくてはならないシロイヌナズナは、不名誉な名前の返上を訴えているようです。

マルバコンロンソウ:丸葉崑崙草(少々名前負け)

2011-04-20 15:50:08 | 植物観察1日1題
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花の白さを中国の崑崙山の雪になぞられたといわれるコンロンソウ(07年4月27日記事)
は、奇数羽状複葉で、長い葉柄があり、小葉が長さ3~7㎝の長楕円披針形で、高さ30~50cmと全体の形も大型であるにたいし、このマルバコンロンソウ小葉は円心形で長さ1~3㎝と小さく、全体の高さも10~20㎝と小形です。
山野の林内に生える越年草で、4~5月茎上に総状花序を出し、白色の花を数個開きます。
コンロンソウはともかく、マルバコンロンソウのほうは、あまりに小形で、崑崙山の雪になぞらえるにしては少々荷が重いようです。

ニオイタチツボスミレ:匂立坪菫  

2011-04-19 17:59:57 | 植物観察1日1題
観察仲間が、地面に這いつくばってスミレの匂いを嗅いでいました。
ニオイタチツボスミレ:匂立坪菫(スミレ科スミレ属)に違いないといいます。鼻を近づけてみると確かに淡い芳香がありました。
各地の日当たりのよい草地に生える有の多年草で、全体に白い短毛があり、花期の葉はタチツボスミレの葉に似て弱々しく、果期には茎高は30㎝ほどにもなります。
花は濃紅紫色で、中心部が白く抜けます。
和名は花によい香りがあり庭に咲くスミレということす。
葉に毛のないケナシニオイタチツボスミレというのもあるそうですので、写真では確かめられませんがこちらかもしれません。

ヒメスミレ:姫菫(ヒナもヒメもある)

2011-04-18 17:23:23 | 植物観察1日1題

宝塚西谷の森公園で咲いていたのがヒメスミレ:姫菫(スミレ科スミレ属)です。
先日足助でヒナスミレ(昨日記事)を見ていたこともあり、ヒナとヒメで似ていたので、帰って公園の資料をよく見るまでは、うっかり混同していました。
ヒメスミレは広く人家の庭や道端の日当たりのよいところに生える無茎性の多年草で、花期の葉は細長い三角状で、葉柄はなく、裏面は帯紫色、夏になるとこの葉は名前とは不釣り合いなほど大きくなります。
花は濃青紫色で、直径1~1.5㎝と名の通りスミレよりやや小さく、細長い距があります。

ヒナスミレ:雛菫(雛のようにかわいい)

2011-04-17 10:12:23 | 植物観察1日1題

スミレ属は世界に広く分布し、400種以上あり、そのうち約50種もある日本はスミレ大国といえるそうです。
身近なスミレですが、種類が多いうえに変化に富むため同定が難しいものの一つです。
三州足助のカタクリ群生地で見た淡紅色のスミレは、地元が出した資料ではヒナスミレ(スミレ科スミレ属)とありました。
図鑑では、山地の林内に生え、葉はすべて根生で三角状卵形、基部は深い心形、直径1.5㎝の淡紅色の花の側弁は無毛または微毛があるとしています。
和名の雛スミレは全体に繊細で、花が美しくかわいらしいところから名づけられたとあります。もともと可憐なスミレの中でも、優れてかわいいと名がつけられたヒナスミレは、さぞかし満足していることでしょう。

フサザクラ:房桜・総桜(桜とは縁遠い) 

2011-04-12 20:35:23 | 植物観察1日1題
一度は見たいと思いながらも、野山へ出かけることが少ない時期に咲く花は、なかなか見る機会に恵まれないことがあります。昨年、桜のころに咲くのかと思って、わざわざ遠方へ見に行ったのに、散ってしまっていてがっかりしたフサザクラ(フサザクラ科フサザクラ属)もそんな一つです。
今年こそはと思って、3月末、昨年秋、一帯に多数の木を見ていた貴船川の上流を訪ねました。
山地の谷間など湿潤の好んで生える高さ8m位になる落葉高木で、早春、葉の出る前に開く花は、両性花で、がくも花冠もなく、垂れ下がる雄蕊が目立ちます。雄蕊は多数あり、葯は長さ7mmほどの線形で、白い糸状の花糸につきます。雌蕊は多数で、柄があり柱頭が広がります。果実は翼果で、10月頃褐色に熟し、風に乗って飛ばされます。(09年11月13日記事)
この花、どこかで見た気がすると思ったらフサザクラと類縁関係にあるというカツラでした。ただしカツラは対生、フサザクラは互生の違いがあります。
崩れやすい谷あいの崖地に好んで生えるフサザクラは、倒れた主幹から、直立して枝を立てる習性があります。厳しい生育環境とその影響に巧みに適応する知恵をもつ賢い木でもあります。

花が房状なのはわかりますが、なぜサクラなのかわかりません。葉がクワに似ているので、タニグワの別名があります。

イタリアで見た植物たち 

2011-04-11 08:48:52 | 植物観察1日1題



3月のイタリア、タイトなスケヂュールで植物観察時間もない急ぎ旅でした。ところどころで見る草木は、日本でも見られるもののほか、同じ仲間のようで花期が違ったり、草本が木本だったり、日本のものと似ているようで違うものが多いといった感じでした。
見かけた植物のいくつかをコメント抜きでご紹介します。

イタリアのサクラ?

2011-04-08 15:05:08 | 植物観察1日1題

3月中旬、イタリアの各地に、花をつけたサクラ?の木が目につきました。
チェリーかと聞くと、現地のガイドはチェリーとはいわないと答えました。
全体を見ればどう見てもサクラですが、アップで見ればサクラ以外のようにも思えてきます。結局はサクラかサクラ以外かわからずじまいでした。

イタリアポプラ(スリムな木が目立つイタリア) 

2011-04-06 10:26:47 | 植物観察1日1題
ポプラの名で知られるセイヨウハコヤナギ(ヤナギ科ヤマナラシ属)は、明治以降日本に導入され、横幅の広い樹形を示すアメリカ原産のカロリナポプラもありますが、一般によく知られているのは、北大の並木で有名なスリムに高く伸びた形のイタリアポプラ(black popula,)Populus nigra)といわれる品種です。
確かにイタリアを旅すると、あちこちでこのイタリアポプラを見かけます。


同様に2月15日に取り上げた、これもスリムなイタリアン・サイプレス(西洋糸杉)もよく目につきました。
イタリアの気候風土が、スリムな樹形を生むことに関係しているのだろうかと考えたりしました。





記イタリア笠松(交響詩になった松) 4月3日事のタイトルを入力してください(必須)

2011-04-03 19:53:13 | 植物観察1日1題
イタリアボローニャ出身の作曲家レスピーギの交響詩“ローマの松”の松とはどんな松かかねてから興味がありました。
イタリアの各地で見られたその松は、幹の上部が傘を開いたような樹冠になっていて、その名も笠松、英名でもアンブレラパインというと聞きました。
ガイド氏の話によると、必ずしも自然のままではきれいな笠松になるわけではなく、多少剪定しているというのですが、見た限りではほとんどすべてがきれいな笠松になっているので、本当にそうかなと思ったりしました。
地中海の北岸地域に分布する二葉松で、松ぼっくりは受粉から3年目に熟し、種子は食用になるそうです。
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