新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

タカトウダイ:高燈台(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原⑤)

2011-07-31 14:36:56 | お知らせ」

杯状花序といわれる壺形の花のトウダイグサの仲間でも、背が高いのでこの名があるタカトウダイ:高燈台(トウダイグサ科トウダイグサ属)は、その独特な花の構造でよく目立ちます。
山地や丘陵の草地に生える多年草で、高さは50~80cmになり、茎や葉を切ると白い乳液がでます。
葉は互生し、長さ5~6cmの長楕円形で、茎の先には4~5cmの葉が輪生します。
花期は6~7月、葉の付け根から放射状に枝をだして、総苞葉に抱かれた小さな壺型の杯状花序をつけます。総苞葉は長さ1cmほどの広卵形で花より目立ちます。
ふくらみはじめた子房にいぼ状の突起が見えます。


カラマツソウ:唐松草(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原④)

2011-07-30 15:34:32 | お知らせ」

長い雄蕊が目立つ花を、カラマツの葉に見立ててこの名があるカラマツソウ:唐松草(キンポウゲ科カラマツソウ属)は、高山の草地や山地の林縁にはえる多年草で、高さは50~120㎝、葉は2~4回3出複葉で、長さ2~3㎝の倒卵形の小葉がつきます。
7~9月、茎の上部に白色または淡紅色を帯びた丸い花を多数つけます。花は直径約1cmで、花弁はなく、長い雄蕊が球状に多数集まってつきます。
八島湿原ではきれいに咲いていたカラマツソウは、少し低い女神湖の周辺ではすでに果実になっていました。


ヨツバヒヨドリ:四葉鵯(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原③)

2011-07-29 13:49:55 | お知らせ」

車山肩から急坂を沢渡へ向かって降る斜面に、ヨツバヒヨドリ:四葉鵯(キク科フジバカマ属)の群落が続き、高原の早い秋の訪れを告げていました。
葉が4個ずつ輪生するのでこの名がありますが、必ずしも4個とは限らず3個のものや5~7個つくものもあります。
山地や亜高山の草地に生える多年草で、高さは1mほどになります。
葉は長さ10~15㎝、幅3~4㎝の長楕円状披針形で、ふちに鋭い鋸歯があります。
花期は8~9月、頭花は紅紫色を帯びるものが多いですが、白に近いものも見られます。

ヤナギラン:柳蘭(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原②)

2011-07-28 21:09:11 | お知らせ」

ヤナギラン:柳蘭(アカバナ科ヤナギラン属)は、関西近辺の池畔などでも見られることがありますが、やはり信州の高原のほうがお似合いです。
葉が柳に似て蘭のような花が咲くというのでこの名がありますが、蘭とは遠いアカバナ科です。
高さは1m以上ほどもある大きい草花で、地下に匍匐枝をのばして繁殖するのでしばしば群生します。
早朝に紅紫色の花を開き、4枚の花弁の中には8本の雄蕊と1本の雌蕊があって、雄蕊が先熟し、雌蕊はそのころは下方に湾曲湾して柱頭は開きません。しかし雌蕊が成熟すると花柱は真っ直ぐになり柱頭は4つに割れて反巻します。
種子には白い毛があり、風に乗って散布されます。

ニッコウキスゲ:日光黄菅(信州花紀行・霧ヶ峰から八島湿原①)

2011-07-27 17:21:49 | お知らせ」



今年も信州の夏を訪ねました。いつもの通りの蓼科、霧ケ峰界隈に、今年は中央アルプス千畳敷カールへもまわりました。
しばらくの間、シリーズで、今まで取り上げていない信州の花を中心に、地域の定番的な花も再登場させます。
霧ヶ峰の夏といえば、なんといってもニッコウキスゲ:日光黄菅(ユリ科ワスレグサ属)です。このところシカの食害で、昨年などはみじめな状態であったのが、シカ防御柵の設置で車山肩の一角は見事なお花畑となっていました。
もっとも2重の柵が邪魔をして、花に近づくことができず、写真を撮るにも苦労しました。
地元の人の話では、相当球根を植えこんだとのことで、花は多いものの、少々人工的な感じはぬぐえません。
ニッコウキスゲの名は、日光に多くキスゲに似ているということからきているとのことで、
牧野図鑑では、もともとの名はゼンテイカ:禅庭花で、花に短柄があるのを特にニッコウキスゲというとあります。
本州中部に分布して、やや湿性の亜高山帯に生える多年性草本で、葉幅はヤブカンゾウより狭く、キスゲとは葉幅が似ます。花色は濃い黄色で、ヤブカンゾウのように黄赤色でなく、キスゲのようにレモン色でもありません。
花はキスゲとちがって朝開いて夕方しぼむ一日花です。
ワスレグサ属は世界に20種ほどありますが、ニッコウキスゲは日本独特のものです。

タイミンタチバナ:大明橘(橘には似ないが)

2011-07-22 18:17:50 | お知らせ」

成ケ島では見かけたタイミンタチバナ:大明橘(ヤブコウジ科タイミンタチバナ属またはツルマンリョウ属)です。
暖地の山地に生える常緑小高木で、高さは5~13m、若枝は紫色をおび、葉は互生し、長さ5~13㎝の倒披針形または長楕円形で厚みがあり、表面には光沢、鋸歯はありません。
雌雄別株で、3~4月、直径3~4㎜の小さな緑白色花が数個ずつかたまってつきます。
果実は直径5~7㎜の球形で、秋には黒紫色になります。
大明橘の名は原産地が中国だと思ってつけたといい、別名にヒチノキ、ソゲキがあります。ソゲキは、枝を折ると容易にさけることから削ゲ木となったといいます。

ハスノハカズラ:蓮の葉葛(あるところにはある) 

2011-07-21 14:10:35 | お知らせ」

成ケ島全体を望める対岸の生石岬には、かつての由良要塞の砲台群が今も残っています。
ここに、見たいと思いながら今まで出会えなかったハスノハカズラ:蓮の葉葛(ツヅラフジ科ハスノハカズラ属)の群落がありました。
海岸に近い林のふちなどに生える常緑のつる性木本で、ハスの葉のように、葉柄がハスのように葉柄が葉の裏面に盾形についているのでこの名があります。
西日本には比較的に多く、関東にはないといいますが、生石岬の道端にはそこらじゅうという感じで生えていました。
互生する葉は長さ6~12㎝、三角状卵形で裏面はやや白っぽくなります。
雌雄別株で、7~9月、葉のつけ根に淡緑色の小さい花が多数つき、果実は直径約6㎜の球形で、11月ごろ赤く熟します。

フウトウカズラ:風藤葛(成ケ島の植物②) 

2011-07-20 10:44:23 | お知らせ」


昨日のクサスギカズラとアスパラガスもそうでしたが、ある二つの植物が仲間だと聞いて意外に思うことがよくあります。
成ケ島で見かけたコショウの仲間というフウトウカズラ:風藤葛(コショウ科コショウ属)もそんな一つです。
海岸近くの山林に生える常緑のつる性木本で、茎の節から気根をだしてほかの木や岩に這い登ります。葉は互生し長さ5~10㎝の長卵形で先がとがり、厚くて5本の脈が目立ちます。雌雄別株で、5~6月、葉と向きあって長さ3~8㎝の穂状花序を垂れ下げ、冬に果実を赤く熟します。コショウと同属で、茎・葉に香気があるものの、果実には辛味はありません。
フウトウと聞いて、どういう意味かと怪訝に思っていたところ、外国の植物「風藤」によく似ていたので、誤ってフウトウカズラとつけられ、シーボルトも「Piper Futokazura Sieb.」と命名したというのですが、その風藤がまた謎のままです。

クサスギカズラ:草杉葛(成ケ島の植物①) 

2011-07-19 15:22:00 | お知らせ」

昨夏に続いて今年も淡路の成ケ島へ行ってきました。今まで取り上げてない植物をいくつか紹介します。
クサスギカズラ:草杉葛(ユリ科クサスギカズラ属)は、海岸の砂地や岩場などに生える蔓性の多年草で、針状の葉のように見えるのは、葉状枝と呼ばれる枝で、長さ1~2㎝、節に束生し、本当の葉は鱗片状に退化しています。アスパラガスと同科・同属で、アスパラガスも茎や葉の形態が同じです。
クサスギカズラの名はこの葉状枝をスギの葉に見立てたものです。
茎の下部は木化し、上部は他物にまつわりついて、長さは1~2mになります。
雌雄別株で、初夏、クリーム色で長さ3~4㎜の鐘形の小さな花をつけ、果実は直径7㎜ほどで熟すと薄汚れたような白色を呈します。
肥大した根は、砂糖漬けにして食用、あるいは別名でもある天門冬という漢方薬になります。

ナデシコ:撫子(やったー!!なでしこジャパン)

2011-07-18 08:00:25 | お知らせ」


今朝、女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会決勝戦で日本のなでしこジャパンが、PK戦の末、世界ランキング1位の米国を破り見事優勝しました。
この“なでしこ”、撫でたいくらいかわいい花というのが名前の由来で、万葉の昔から愛情、母性愛のシンボルとして詩歌にも歌われてきました。また”大和撫子“ともいわれ、従順で献身的な日本の女性を象徴する花でもありました。
その“なでしこ“は、今朝、優しさ、可憐さだけではなく、健気で、たくましい日本女性の代名詞として世界に名をとどろかせました。
TVにくぎ付けで眠い朝、庭に出てナデシコ(カワラナデシコ)の写真を撮りました。夏の盛りに咲き誇る今朝のナデシコは、誇らしげに胸を張っているように見えました。
世界的になった“なでしこ”ですが、英名はpinkです。Pinkはもともと突き刺す、ジグザグに切るといった意味で、なでしこの花弁がジグザグに切れ込んでいるのでpinkになり、その色からpinkが桃色を意味するようになったと考えられています。ただpink色は英語では日本のように扇情的という意味がないそうですから一安心です。
いずれにしても、快挙のあとはなおさらpinkよりも“なでしこ”の方がぴったりです。

トマト:(自家和合成になったナス科) 

2011-07-17 08:52:23 | お知らせ」

ミニトマトのベランダ栽培に挑戦してみました。
生ごみに油粕、米ぬかを混ぜた手作りのたい肥をすきこんだ土に、某ウイスキー会社開発の割高な苗を植えこんだプランターのミニトマトが収穫期に入りました。
成績はすこぶるよくて、たくさん実がついた1房を数えてみると43個もありあました。味も上々です。どうやら苗代を上回る回収は間違いなさそうです。
トマト(ナス科ナス属またはトマト属)は南アメリカメキシコ地方の原産とされ、本来はつる性の植物で、ふつうは1年草として扱われる多年草です。実際には葉の付け根に出る芽を枝分かれしないようにこまめに摘み取り、まっすぐに育てます。
潅水量が多すぎると果実が割れ、少ないと障害果が発生するため、高品質な果実を作るためには潅水量の細かい制御を必要とする作物で、潅水量を減らすことで高糖度な果実を生産することができるが、収量は減少するそうです。その辺のところもにらみながら栽培を続けるつもりです。
“親の意見と茄子の花は千に一つも仇はない”ということわざがあります。しかしトマト、ナス、ピーマンなどナス科植物はもともと自家不和合性ですが、農業作物としては、自家受粉が可能で確実に結実しなければ都合が悪いので、自家不和合性を失ったものだけを選別改良してきたのだそうです。いったん自家不和合性を失うとその子孫はずっと自家和合性となります。自家不和合性などの言葉もない昔に、人間に役立つ品種に改良した先人の知恵には驚かされます。

アメリカホド(お百姓は知らなかったが)

2011-07-14 18:18:43 | お知らせ」

近所の畑の縁に、それも2ケ所、薬玉のような暗紅紫の花をつける蔓植物がありました。
畑仕事のお百姓さんになんという品種ですかとたずねたら、2人とも、作物ではなく自然に生えたものだから名前は知らないという答えでした。
たまたま外来植物の図鑑をめくっていると、特徴あるこの花の写真があり、北アメリカ原産のつる性多年草のアメリカホドまたはアメリカホドイモ(マメ科ホドイモ属)だとわかりました。
調べてみると、この植物、農家の方が知らないという割には、結構話題が多い有用な植物だとわかりました。
日本には明治時代に北米から青森へ輸入されたリンゴの苗木に種がついてきたとされており、当時から東北地方の農家では、地下にできるイモを産後や病後の栄養補給に食べていたといいます。また、きれいな花が咲き、甘い香りがするので観賞用にも植えられました。
イモは原産地でもネイチブアメリカンの栄養源になっていたというのですが、原産種は必ずしもおいしいものではなかったのを、日本で改良されて、いろいろな栄養素を含む健康食品として、アピオスの名で商品化されているそうです。
今度お百姓に会ったときは教えてあげるつもりです。
日本のホドイモについては、06年8月7日08年11月17日に取り上げています。

ベニバスモモ:紅葉李(実も紅色)

2011-07-13 09:04:56 | お知らせ」

サクラのころ、ちょっと変わったサクラかとも見えたベニバスモモ:紅葉李(バラ科サクラ属)が、確かにスモモですといった風に、これも紅色の果実をつけています。
観賞用に改良された西南アジア、コーカサス地方に分布するミロバランススモモと野生のスモモとの雑種と考えられており、葉がついているあいだ中紅色の葉を観賞できるほか、サクラを小ぶりにした花や、生食できる果実も楽しめるので、最近庭木や公園樹として広く植えられるようになっています。
李下の冠にならぬよう、美味しそうな実の写真を撮ってそそくさと木の下を離れました。

マヤラン:摩耶蘭(生駒山麓にもあった希少種)

2011-07-10 14:15:35 | お知らせ」

夏場で花の少ない枚岡公園で珍しいマヤラン:摩耶蘭(ラン科シュンラン属)に出会いました。
摩耶山で最初に発見されたのでこの名があるマヤランは、本州関東南部から九州の主として常緑広葉樹林の中に散発的に発生する腐生の多年草で、葉緑素を持たず、葉は鱗片状に退化しています。
花は7~8月、茎頭に数個まばらにつき、白地に紅紫色のまだら模様があり、萼片は倒披針形で長さ2㎝、唇弁は長楕円形で、長さ約1.5㎝、先端はとがり、中央の2条の畝が明瞭です。
摩耶山のある兵庫県でもレッドデータブックで緊急の保全対策が必要とされるAランクに指定されているとかで、発見されると地元の新聞のニュースにもなるくらいの希少種に生駒山麓で出会えたことはすくなからず感激ものでした。

ゴウダソウ:合田草(真田六文銭)

2011-07-09 15:24:20 | お知らせ」

道端に咲いていたと4年前に取り上げたゴウダソウ:合田草(アブラナ科ギンセンソウ属)が(07年5月13日記事)、今年も同じところに生えて、そのままドライフラワーになっていました。
ヨーロッパ南部原産の越年草で、高さは70~90cm、4~5月上部で分枝した枝に4弁の紅紫色の十字形花を総状花序につけます。
おもしろいのは開花結実後つける径3㎝くらいの扁平な円形の鞘で、形が月(ルナ)に似ているというのでLunariaの属名があります。
果実は扁平な短角果で、ほぼ円形~楕円形、2枚の果皮の間に隔膜があり、隔膜と果皮の間に扁平で翼のある種子がはいっています。果実の先端の突起物は宿存する花柱です。
ゴウダソウは明治時代にフランスから種子を日本に輸入した合田清氏の名をとったものですが、果実の隔膜が銀色になることからsilver shilling(銀貨)、moon wart(月のいぼ?)の英名があり、日本でも銀扇草、大判草など、銀や貨幣にからめた別名があります。
斜陽に透かして見る果実は本当に小判のようで、なかでも6個の種子が行儀よく並んでいるのは真田の六文銭そっくりでした。