新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ヒカリゴケ:光苔(石垣の奥にかすかに光る)

2012-04-30 08:07:01 | 植物観察1日1題

参詣客でにぎわう駒ケ根市光前寺の参道の石垣の間に珍しいヒカリゴケ:光苔(ヒカリゴケ科ヒカリゴケ属がありました。1科1属1種の原始的で、かつ貴重なコケ植物だそうです。その名が示すように洞窟のような暗所で金緑色(エメラルド色)に光ります。
北半球に分布し、日本では北海道と本州の中部地方以北の冷涼な地域に広く分布し、洞窟や岩陰、倒木の陰などの暗く湿った環境を好みます。日本の自生地としては、この光前寺のほか、北海道のマッカウス洞窟、群馬県嬬恋村の浅間山溶岩、埼玉県の吉見百穴、東京都の北の丸公園などが知られています。
光反射の仕組みとしては、自力で発光しているのではなく、原糸体にレンズ状細胞が暗所に入ってくる僅かな光を反射することによるとされており、またレンズ状細胞には葉緑体が多量にあるため反射光は金緑色(エメラルド色)になるといいます。
フラッシュはもちろん駄目、自分の影をつくらず、外から入るわずかな光の角度も考えながら、その上、多くの参詣客が交代で覗き込む合間を縫って、参道の石垣の奥のヒカリゴケを撮るのは、相当難しく、かすかにそれとわかる程度に撮るのがやっとでした。

キシダマムシグサ:岸田蝮草(おなじムロウでも違う品種)

2012-04-28 07:13:20 | 植物観察1日1題

熊野古道紀州路の広川町から御坊道成寺までの路端で、あちこちで葉に斑が入ったマムシグサを見かけました。マムシグサは地方によって変種が多く、いろいろ名前がついた品種があると聞いていましたので、和歌山とマムシグサをキーにネット検索したら、キシダマムシグサ:岸田蝮草(サトイモ科テンナンショウ属)というのが出てきました。
愛知県と近畿地方に分布し、低山地の樹林下や林縁に生え、葉は1~2個で、5~7個の小葉からなり、小葉は倒卵形~長楕円形で、長さ6~25㎝、先は鋭尖頭で、全縁または鋸歯があり、中脈に祖って白斑が入ることが多い。仏炎苞は汚紫褐色で、時に紫斑をつけ、長さ14~25cm、舷部の先は細くなって糸状に伸び、筒部の2倍以上に長さになる。とありました。
寫眞でみると、葉が斑入りであることと、仏炎苞の先が細長く延びることがキシダマムシグサに一致します。
別名にムロウマムシグサがありますが、よく似た名前にムロウテンナンショウがあり、両者は違う品種なので間違わないようする必要があります。

トウダイグサ:燈台草(燈台とは昔の灯明台)

2012-04-26 08:53:44 | 植物観察1日1題

トウダイグサ:燈台草(トウダイグサ科トウダイグサ属)は、日当たりのよい道端や、畑、土手などに生える2年草で、トウダイグサの名は、全体の姿がむかし明かりをともすのにつかった燈台(灯架)に似ていることからきています。
高さは10~30㎝になり、茎や葉を切ると白い乳液をだし、有毒植物です。
3~5月、茎の先に放射状の枝を出し、黄緑色の総苞葉の中心に小さなつぼ型の花序をつけ、総苞内に雌花1個と雄花数個があります。
トウダイグサ属の仲間は、双子葉類に珍しく子房が3室あり、杯状花序といわれる珍しい花序と共にユニークな植物といえます。


オオシマザクラ(カスミではなかった)

2012-04-23 13:32:49 | 植物観察1日1題




能勢妙見山のケーブルを上がったところに、いろいろな山の桜が今満開です。
なかにも一帯に群生するエドヒガンは「黒川字奥瀧谷のエドヒガン群落」として川西市指定文化財(天然記念物にしてされている旨の教育委員会の看板がありました。
ヤマザクラやエドヒガンにまじって、白い花をつけている立派な桜があります。幹にはカスミザクラ:霞桜(バラ科サクラ属)の札がかかっていました。
ヤマザクラより標高の高いところに生えて、花期も1~2週間おそいというカスミザクラですが、どういうわけかここではヤマザクラやエドヒガンと同時に咲いています。ケヤマザクラという別名もあるくらいで葉柄や花柄に毛のあるものが多いというのですが、毛もそれほどはっきりしていません。
自家不和合性で雑種ができやすいサクラなので、いろいろ混ざった交雑種かもしれません。
教育委員会お墨付きの札がついた、この“カスミザクラ”は、枝いっぱいに白い花をつけて堂々たる姿で立っています。下手な疑念を吹っ飛ばす力がありました。

後記:後でこの桜を見た何人かから、これはカスミザクラではなくて、オオシマザクラであって、あの名札が間違っているという話を聞きました。このオオシマザクラは、むかしあの辺にあった料亭が植えたものらしいというのが、この地に詳しい人の話でした。

オノエヤナギ:尾上柳(駒ケ根の川岸で) 

2012-04-21 21:36:53 | 植物観察1日1題
春まだきの駒ケ根高原大田切川の遊歩道を歩いていますと、あたりはまだ冬樹の姿の中で、何本か、ひときわ目立つ薄黄色い花をつけた木がありました。花は花でも柳の雄蕊穂のようです。
案内していただいた地元の森林インストラクターのかたの話では、遠くて確かなことはわからないがオノエヤナギ:尾上柳(ヤナギ科ヤナギ属)ではないかということでした。
オノエヤナギは、牧野富太郎が四国の山中で採取し、尾の上(山の上)に生えるという意味で名付けたというわりには四国には少なく、中部地方以北の山地の水辺によく見られます。
高さは5~10mになり、葉は互生し、長さ10~16㎝、幅1~2cmの披針形で、先は細長くとがり、ふちには波状の目立たない鋸歯があります。
雌雄別株で3~5月、雄花の穂は長さ2~4㎝の円柱形、雄蕊の葯は黄色、雌花の穂は淡緑色を呈します。
カラフトヤナギ、ナガバヤナギなどの別名があります。



ミツバツツジ:三葉躑躅(地方名無しの本家?ミツバツツジ)

2012-04-20 11:36:31 | 植物観察1日1題
遅い春の伊那谷に桜にまじって咲いていたのがミツバツツジ:三葉躑躅(ツツジ科ツツジ属)でした。
このミツバツツジの仲間は、外見はみな同じように見えるので、ツツジ科のなかでも最も分類が難しいとされ、分布、腺点、毛の有無など細かい点で見分ける必要があるといいます。
関西地方でよく見かけるのがコバノミツバツツジですが、ほかにもユキグニ、トウゴク、サイコク、トサノ、アワノ、ハヤト、ヒュウガなど分布の地名を冠した数多くの品種があります。
伊那谷在住の森林インストラクターに教わったこの本家?ミツバツツジは、知名度は高いのですが、意外に分布域は狭く、関東地方から近畿地方にかけての太平洋側の狭い範囲にだけ自生しているそうです。
身近なコバノミツバツツジとの差異ははっきりとは区別できませんでしたが、全体に花がコバノにくらべて大振りのようにみえました。

イヌナズナ:犬薺  (本当に役立たず?)

2012-04-19 12:58:29 | 植物観察1日1題
花見に行った伊那谷の道端のあちこちに、タネツケバナにまじって、よく似ているが、関西ではあまり見かけない黄色い花をつけた草を見かけました。
案内をいただいた、大阪からIターンして、伊那に住まわれているという自然に詳しい方から、イヌナズナ:犬薺(アブラナ科イヌナズナ属)と教わりました。
アブラナ科の二年草で、茎は直立または根際から分枝し、高さ10~30センチメートル、全株に星状毛があります。根出葉はナズナのように切れ込まず、へら状楕円形で長さ2~4㎝、幅8~15㎜、茎葉は長さ1~3cmで、茎や葉に星状毛が密生します。道路端などに生育する個体では花茎は分岐せず1本立ちとなり、まばらな総状花序に黄色の4弁花をつけます。
果実は三角状のナズナと違い、扁平な線状楕円形になります。
イヌナズナのイヌはナズナに似て食用にならないという意味でしょうが、若苗を食用にし、種子が漢方薬になるという話もあります。
黄花のイヌナズナにたいして、花が白いところから名がついたシロバナイヌナズナがあり、こちらのほうは植物の遺伝子研究などで注目されています。(11年4月22日記事)
黄花のイヌナズナがイヌナズナ属で、シロバナイヌナズナはハタザオ属なので、両者は色の違いだけではなのかもしれません。

イヌノフグリ:犬の陰嚢 (さすが本家はリアル)

2012-04-15 21:32:44 | 植物観察1日1題

伊吹山の登山口付近でイヌノフグリ:犬の陰嚢(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)に初めて出逢いました。本来日本のどこでも見られたというイヌノフグリですが、最近はもっぱら外来のオオイヌノフグリ、タチイヌノフグリや、明治以前の渡来植物であるフラサバソウなどに押されて、今では山間部に行かないと見られないほどの珍しい植物になっています。
道端や石垣の間などに見られる2年草で、茎は下部で分枝し、葉は茎の下部で対生、上部では互生します。上部の葉脇から長さ約1㎝の花柄を出して、淡紅白色に紅紫色の筋のある小さな花を1個つけます。
果実は果で、長さ約3㎜、幅4~5㎜でやや膨らみ、2個の珠をくっつけたたような形が、犬の陰嚢(ふぐり)に似ているということでこの名があります。
今ではすっかりおなじみになった仲間のオオイヌノフグリは、小さくてもきれいな花で人気がありますが、最近では相当年配の方でも“ふぐり“知らない人が多くて、ときどき植物観察で、妙齢の婦人に意味を訊ねられて当惑したという話をよく聞きます。オオイヌノフグリもタチイヌノフグリも、果実はそれほどは似ていないといえますが、さすが本家のイヌノフグリの果実は名のとおりのリアルさでした。

ヒメナズナ:姫薺(よく見れば4弁花) 

2012-04-15 10:51:29 | 植物観察1日1題
伊吹山登山口の駐車場付近の広場にヒメナズナ:姫薺(アブラナ科)が一面に生えてました。
よく見ないと見落としそうな小さな草でしたが、ロゼット葉、8弁に見える花、それに楕円形の果実までつけています。
ヨーロッパ原産で、北アメリカやオーストラリアにも帰化しているロゼット状の越年生の草本で、楔形の根生葉は全円または粗い鋸歯があり、小さい毛があります。
早春に直立する花茎を伸ばし、先端に長い花序を出して直径3㎜ほどの白色の4弁花を穂状につけます。
花弁の先はハコベのように切れ込み、8弁のように見えます。
芝生の種子などに混入して渡来したものとおもわれ、札幌で初出したとか、1900年ごろ東京の上野公園で見出されたとかの話がありますが、今では各地に広がっているようです。

コオニタビラコ・小鬼田平子(さまよえる名前)

2012-04-11 12:08:11 | 植物観察1日1題

近所の田んぼに珍しくコオニタビラコ・小鬼田平子(キク科ヤブタビラコ属)が一面に生えていました。
春の七草の“ほとけのざ”はこのコオニタビラとされています。これにはこの草にとって少しかわいそうな名前の変遷があるようです。
今は通用しない古い名前が多い春の七草ですが、なかでも混乱しているのがこの“ほとけのざ”です。古い文献では七草の中にホトケノザとタビラコが両名並ぶのもあり(連歌至宝抄」)、両者は別種とされることもあったようですが、七草のホトケノザを牧野富太郎がコオニタビラコと同定してからは、いまではこれが広く受け入れられています。
コオニタビラコ:小鬼田平子となった旧ホトケノザは、水田に多い2年草で、田起し前の水田に放射状に平たく葉を広げる様子から田平子と名がつきましたが、ムラサキ科のキュウリグサも別名でタビラコと呼ばれることからこれと区別するため、よく似たオニタビラコの小形ということでコオニタビラコが正式の名になったといわれています。加えて、昔はサンガイクサ(三階草・三蓋草)といわれたシソ科の植物がホトケノザという名を得て、道端に多量に繁茂するようになってからは、七草の“ほとけのざ”は名前としては全く忘れられることになり、せっかく“ほとけのざ”という立派な名を持ちながら、他人に名を盗られただけではなく、オニの名までつくという悲しい運命をたどることになりました。その“ほとけのざ”は、いまでは田んぼで見かけることも少なくなって、草そのものも忘れられようとしています。


コウホネ:河骨(名前の由来)

2012-04-08 06:16:31 | 植物観察1日1題

冬の間水を干している公園の水生植物園に、コウホネ:河骨(スイレン科コウホネ属)の根っこが露出していました。
和名は、この横に這う太くて白い地下茎の形が白骨のように見えることからきています。
浅い沼地に生える多年草で、黄色のお椀状の花が涼やかで観賞用にも栽培されます。
干上がった園地で奇妙な形の根を見て、図らずも名前の由来に納得していました。

タマゴケ:玉苔(緑の針山)4月6日

2012-04-06 07:34:09 | 植物観察1日1題

半日陰の石垣に緑色の丸いをたくさんつけたきれいな苔を見かけました。
タマゴケ:玉苔(タマゴケ科)は、まるで緑の頭をつけた待針を刺した針山のようにみえます。
山道沿いの土の上などにふつうにみられる苔で、葉は細長く、もこもこと盛り上がって柔らかい手触りです。
春の訪れを告げるかわいい苔です。

キクラゲ:木耳(梅の木に咲いた)

2012-04-04 09:23:49 | 植物観察1日1題

梅の古木の太い枯れ枝に生えたキクラゲ:木耳(キクラゲ科)が、春の光を受けて褐色に光っていました。
秋から春にかけて広葉樹などに普通に群生し、円盤状、耳状など形態は変化に富みます。
乾燥したものが食品として売られているおなじみのキノコで、乾燥時には小さく縮み、湿ると元へ戻ります。
乾燥したキクラゲからは想像し難いくらい透明感のある美しさでした。

セリバオウレン:芹葉黄連(白色が美しい雄花)

2012-04-03 17:00:45 | 植物観察1日1題

雄花


雌花


何種類かのスプリングエフェメラルが咲く篠山市追手神社一帯で、少し離れたところにセリバオウレン:芹葉黄連(キンポウゲ科オウレン属)の群生地があります。
山の樹下に生える常緑の多年草で、葉はすべて根生、なかほどで多裂した2回3出羽状複葉で多数の小葉があります。春高さ7cmくらいの花茎を出し、茎上に柄のある径1cmほどの白い小花2-3個を開きます。雌雄異株、雄花は花弁状の萼片が5個、雄蘂が多数で葯は白色、雌花は紫色を帯び、花弁状の萼片が5個、へら状の花弁と雌蕊がともに10個ほどあります。
名前のもととなった中国の黄連とは別物だそうですが、同じように多肉の根茎は黄色く肥厚しており、やはり重要な薬用植物として、古くから胃腸薬などに用いられています。(セリバオウレンは年中葉を保つので、いわゆるスプリングエフェメラルには属さないとも言われています)

ユキワリイチゲ:雪割一華(開かぬが花?) 

2012-04-02 17:06:34 | 植物観察1日1題

追手神社にて

ユニトピア篠山にて(1)

ユニトピア篠山にて(2)
3月27日の記事で滋賀県甲賀市土山の瀧樹神社境内にユキワリイチゲ:雪割一華(キンポウゲ科アネモネ属)の群落を紹介しました。
せっかくの大群落が、天候のせいで十分に開花していなかったのが残念で、3日後、快晴となったので今度は、篠山市大宮前追手神社のワリイチゲを見に行きました。
着いたのは昼前だったためか、ここも花は半開きです。やむなく時間稼ぎに、2時間ほどかけて近くの金山へ登って再度神社へ戻りましたがやはり満開とはゆきませんでした。
遠征してからにはと、執念深く以前見つけておいたユニトピア篠山にまわりました。ここでやっと、夕陽を浴びて満開のユキワリイチゲに出会うことができました。
ところがその姿はいつも見なれている半開きの姿とは違い、寒中雪を割って咲き出でる楚々とした風情ではなく、いかにも開きっぱなしという感じです。花は開きさえすればよいというものでもないことを知りました。
篠山での半開きと満開のユキワリイチゲ、あなたならどちらがお好きでしょうか。