新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

カカオ(バレンタインデイの主役)

2008-01-28 07:06:24 | 植物観察1日1題

今年もバレンタインデイが近づき、デパートのチョコレート売り場の賑わいがニュースになっています。
チョコレートの原料になるのがカカオ(アオギリ科カカオ属)の種子です。
熱帯アメリカ原産の常緑樹で高さ5~10m、葉は長楕円形、長さ25cmくらいで互生します。
花は小型で直径1.5cmくらい、白色で花弁は5枚、萼は紅紫色で5裂し、幹や太い枝に直接つきます。
果実は長さ10cmくらいの長楕円形で40~60個の種子を含み、果実から種子を取り出し数日間発酵すると赤褐色となり香気が付きます。これを水洗いして乾かしたものがカカオ豆、さらに焙ってロールにかけたものがカカオペーストといい、これに砂糖、ミルク、香料を加えて練るとチョコレートになります。
カカオを栽培植物にしたのはマヤ文明で、コロンブスが西欧に持ち帰ったといいます。
最近のカカオの生産はアフリカが全世界の2/3をしめ、残りの大部分はアジアと南アメリカとなっています。輸入の統計ではどういうわけか日本は上位5位にも入っていません。
写真は幹に直接つくカカオの花で、京都植物園で撮りました。

タラヨウ:多羅葉(びっしりの実で鳥を待つ)

2008-01-26 08:08:21 | 植物観察1日1題

暖地の山地に生える常緑高木のタラヨウ:多羅葉(モチノキ科モチノキ属)が赤い実をつけています。
葉の裏面に傷をつけると直ぐに黒く変色するので、インドで葉にお経を書いたといわれる貝多羅樹(ヤシ科)になぞらえて多羅葉(タラヨウ)の名がついていますが、今ではもっぱら「葉書の木」という別名で樹木観察などでは人気の木のひとつになっています。
雌雄異株で、鋸歯のある分厚く大きい葉を持ち、4~5月葉の付け根に直径約8mmの淡黄緑色の花をつけます。(05年5月4日記事)秋に赤く熟す果実は直径6~8mmの球形でびっしりと集まってつきます。あまり美味しくないのか果実は1月も終わりというのにほとんどそのまま枝に残っています。

エリカ:(荒野とは程遠い雰囲気)

2008-01-24 07:03:55 | 植物観察1日1題

まだ花の少ない早春の庭の花壇に赤紫色のエリカ(ツツジ科エリカ属)の花が目立っています。
ツツジ科の属で世界に700種類以上あるといわれます。
「嵐が丘」の舞台となった丘に生えているヒースとはこのエリカの仲間です。「嵐が丘」の雰囲気とエリカの可憐な花とはすこし違和感がありますが、ヒースというとイギリス北部やアイルランドの荒地、荒野いう意味があり、そこに生えている独特の背の低い植物群落を指す言葉でもあります。
写真は、わが国で広く植栽されているジャノメエリカといわれる品種で、花の中の葯(花粉袋)が
蛇の目に見えるところからきています。

ヤブニッケイ:藪肉桂(香りの乏しい)

2008-01-22 07:28:47 | 植物観察1日1題

一月半ばの高槻川久保渓谷は、前夜降った雪が木々の葉に消え残っていました。
ヤブニッケイ:藪肉桂(クスノキ科クスノキ属)の、特徴ある緑の葉の上にも雪が残り、間から黒紫色の果実が顔をのぞかせていました。
本州関東以西から、琉球などに分布する高さ10mくらいの常緑高木で、海に近い暖地に多くはえます。葉は対生も互生もし、長さ6~10cm、革質で光沢があります。3行脈が目立ちますが2本の支脈は肩の辺りで消失します。
和名は藪に生える肉桂ということでしょうが、ニッケイほどの香りや辛味はありません。それでも種子から香油をとり、葉や樹皮は薬用にされます。別名にマツラニッケイ、クスタブ、クロダモがあります。

シャシャンボ:少々ん坊 (果実が梅鉢紋)

2008-01-20 07:31:26 | 植物観察1日1題

シャシャンボ:小小ん坊(ツツジ科スノキ属)の実が成っています。果実が丸くて小さいことからササンボが転訛し小小ん坊という名がついています。古名のサシブ、サシブノキもまた同じです。5~7月、白色または赤みを帯びた花を総状花序につけます。 (06年7月15日記事)
秋、紫黒色に熟す液果は、直径約5mmの球形で、白い粉をかぶります。果実を拡大して見ると、頂部に萼片が宿存し、ちょうど梅鉢紋のような面白い形になっています。
この実は甘酸っぱくて美味しく食べられます。沢山成っていたので採って帰り、果実酒につけました。どんな味の酒になるのか楽しみです。

オタフクナンテン:お多福南天(福を2倍に)

2008-01-18 07:13:57 | 植物観察1日1題

道路脇の植え込みに赤く紅葉しているのがオタフクナンテン:お多福南天(メギ科ナンテン属)です。
矮性の園芸品種で、色彩の乏しい冬に真っ赤に紅葉するので寄せ植えなどに人気があります。多分葉の形がナンテンよりふっくらとして丸っぽいところからお多福の名がついたのではないかと思われます。
原種の南天は“難を転じる”あるいは “成天“に通じるとし縁起物として喜ばれていいますが(06年1月4日記事)、これにもうひとつお目出度い”お多福が“ついたのですから、福がダブルに来るかもしれません。

トウネズミモチ:唐鼠黐(唐は透でも)

2008-01-13 09:08:11 | 植物観察1日1題

今年はネズミ年、植物名に動物が使われていることが結構多く、ネズミの名がついた植物も10種類ぐらいあります。ネズミといえばネズミモチがおなじみですがこれは去年の暮れに使ってしまいました。今日取り上げるのはトウネズミモチ:唐鼠黐(モクセイ科イボタノキ属)です。
中国原産の常緑高木で、日本に入ったのは明治の初期、東京では戦後緑の復興のためにこの木が多用され、今では各地にかなりの大木が育っています。
葉は卵状楕円形でネズミモチより大きく、葉を太陽に透かしてみると葉脈が明るく透けて見えるのが特徴です。そのことから“唐”を“透”ネズミモチと覚えればいいという人がいます。
花や果実もネズミモチより大きく、果実は球形ですので、ネズミモチの語源となった鼠の糞とは感じが違います。

ウスギモクセイ:薄黄木犀(実のなるモクセイ)

2008-01-11 07:01:40 | 植物観察1日1題

秋になると家の近くの道路端に植えられている10数本の木犀がよい香りを放ちます。
花が黄色いので単純にキンモクセイと思い込んでいましたが、先日よく見るとほとんどの木が緑色の果実を沢山つけているのに気付きました。
日本ではキンモクセイもギンモクセイも雄株しかないので実がならない(ギンモクセイについては異説もある)と聞いていたので、不思議に思って、改めて調べてみるとウスギモクセイ:薄黄木犀(モクセイ科モクセイ属)という品種があることがわかりました。
日本では主として西日本の庭園などに植栽されるギンモクセイの変種で、葉はモクセイよりすこし小さく、花は黄白色で、香りはやや少ないとあり、どの図鑑でも実がなるとしています。
キンモクセイと思っていたこの木がウスギモクセイかどうかは、花時にならないと確かめようがないので、次の秋にとくと見定めるとして、とりあえずこの実はウスギモクセイのものとしておきます。

ヤブツバキ:藪椿(茶花として愛用)

2008-01-09 07:22:01 | 植物観察1日1題

妻が初釜の茶花に使うというので、近所の山へ付き合ってヤブツバキ:藪椿(ツバキ科ツバキ属)をとってきました。ツバキは冬の茶花として古くから愛用されてきて、昔はこのヤブツバキを主体に淡い桃色や白色のウウスイロツバキと呼ばれるものが古書に登場します。
茶席では一期一会の心でその日だけのベストの花で客をもてなすことになっています。ツバキの場合、その朝今まさに開かんとする蕾を活けるのが亭主の心配りだといいます。
写真のヤブツバキは今の状態としてはまずまずですが、これを明日使うとすでに開き過ぎになってしまうそうです。
ということで持ち帰るには僅かに先端が色づいているくらいの蕾を選びました。
時季も早く、小さい花でしたが、素朴さも「花は野にあるように」という利休の心に通ずるものかと思いました。

マンリョウ:万両 (深慮遠謀?)

2008-01-07 07:13:44 | 植物観察1日1題

正月でセンリョウ:千両とくれば次は当然マンリョウ:万両(ヤブコウジ科ヤブコウジ属となります。千両よりも万両の方が歴史も古く由緒もあるように思えますが、センリョウは仙蓼花(センリョウゲ)の名で1542年の生け花の書「池坊専応分口伝」に出てくるのに、万両の名はずっと下って江戸時代後期にやっと書物に顔を出し、それも、まん里りょう、万里りょう、万量、万竜などを経て万両に落ち着いたといわれています。属も科も十両といわれて格下のヤブコウジに属しているのも面白いところです。
ところで、マンリョウの実は何時までも残り、どうかすると新しい実と去年の実が同居していることがあります。不味いので鳥にとって魅力がないということでしょうが、マンリョウなりの深慮遠謀があるという仮説もあります。それは①赤い色を出すアントシアンはローコストだが、美味しい実にするにはコストがかかる。②不味いと一気には食べられないので、種子を時間的にも空間的にも広くばら撒くことができるというのです。真実かどうかは別にして何によらず不思議で一杯なのが自然です。(写真は去年雪の万博公園で撮ったものです)

センリョウ:千両(果実に残る原初の痕跡)

2008-01-05 08:12:45 | 植物観察1日1題

マンリョとともにお正月の縁起木であるセンリョウは珍しい原始性をもっています。材部に導管(根から吸収した水を通す管で細胞の上下の隔壁が消えて管になったもの)がまったくなく、仮導管(管の途中に細胞壁の仕切りが残り水は横に開いた穴を介して通る)だけで成り立っていることです。進化的に古い段階の裸子植物はたいてい仮導管かなっていますが、センリョウは立派な被子植物で双子葉植物でありながら材の部分では原始段階で足踏みしていることになります。
その花も変わっていて(06年7月8日記事)古いタイプの離弁花類に属する被子植物で、花には萼も花びらもなく、ずんぐりした雌蕊の横腹から1本の雄蕊がつんと突き出ているだけです。花が終わると雄蕊が落ちますが、その跡が黒い点となって果実の先端に残ります。よほどよく見ないとわかりませんが、頂のはっきりした黒点は雌蕊の柱頭の跡で、横腹にあるかすかな小点が雄蕊の跡ということになります。

タケ・モウソウチク:竹・孟宗竹(話題の多い縁起もの)

2008-01-03 09:02:01 | 植物観察1日1題

初詣に行った島本町の若山神社近くの竹林です。
松と梅とともに歳寒三友といわれて昔からお目出度い植物となっているのがタケ:竹です。
徒然草に「竹の園生の末葉まで人間の種ならぬぞやんごとなき」という一節があります。昨日皇居で一般参賀が行われこの「竹の園生」のやんごとなき方々が国民の祝賀に応えられていました。
前漢の文帝の皇子、梁の孝王が、四時緑を保ち、四方に延びて茂る竹を愛でて、方30里の竹園を営んだことから人々はこれを“竹園“と呼びこれが皇族の雅称となったのです。
タケはさまざまな道具・器具、建築材、食用、庭木、薬用など昔から人々の生活と深い結びつきを持ち、詩歌、物語に取り上げられてきた話題の多い植物です。竹は木なのか草なのか、花が咲くのは何年毎かなど植物学的にも興味深い存在です。
写真は最もよく見られるモウソウチク:孟宗竹(イネ科)で、中国の二十四孝に出る、母のために寒中筍を掘りに行った孝子孟宗の名にちなみますが、漢名ではなく和名です。ちなみに日本に渡来したのが1736年(異説あり)といいますから、10世紀はじめの作といわれる竹取物語のかぐや姫は孟宗竹からではなく、在来種のマダケか何かからからということになります。

フクジュソウ:福寿草 

2008-01-01 08:47:14 | 植物観察1日1題

明けましておめでとうございます。
お蔭さまで「むかごの日記」も4年目を迎えました。
その間まがりなりにも毎日続けてこられたのも、読者の皆さんのご支援の賜物と厚く御礼申し上げます。
自分なりのこだわりで、一度取り上げた品種は花と果実など季節を異にするもの以外は重ねて記事にしない、鮮度第一で撮りおろしの写真以外は使わない、の方針で参りましたが、さすがにこの3年間で取り上げた植物の数が1000を超えるとなると少々きつくなっています。
昨年の年頭でも同じことをいっているのですが、寄る年波もあり、今年からは毎日などとがんばらず、気楽に続けさせていただこう考えています。
引き続きお暇の折にでも立ち寄りいただきますようお願いい申し上げます。
写真は、以前雪の残るポンポン山で撮ったフクジュソウです。