![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/c9/b3d4ba2e37aa9d46ab1374fd867ec57c.jpg)
高島市森林公園「くつきの森」の有名なハンカチノキのある広場の中心にユリノキ・百合の木(モクレン科ユリノキ属)の大木があります。
5月、黄緑色のチュウリップのような形の花をつけていた(05年5月28日記事)この木もいまはすっかり葉を落として、枝先にコップ状に残った外側の翼果を残しています。
足元に別名のハンテンボクの由来になった半纏のような落ち葉が重なって、その上に虫食いでしょうか松かさ状のままの集合果が落ちていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/92/ce302401533b6827998346b16bb6dc36.jpg)
5月初めこの花が咲く頃わざわざ大阪から見に行く人も多いのが、高島市森林公園「くつきの森」の
ハンカチの木(オオギリ科ダヴィディア属)です。
中国南西部原産で、自生地は標高2000mほどの林内とされ、花序の基部に2個つく総苞片がハンカチのように見える珍しい木です。
「くつきの森」公園内には、この木の高木が数本あり、花の時季には“ハンカチの木まつり”が企画されるなど人気があります。
訪れる人影もまれな初冬の公園では、ハンカチノキもすっかり葉を落とし、足元にはいくつか丸い実が落ちていました。果実は核果で直径3~4cm、黄褐色の卵形でした。厚くてほろほろ感のある果肉を取り除くと、中に深い縦溝のある核が入っていました。
1属1種で、ダヴィディア科として独立させる見解やミズキ科に含める考えもあるようです。
別名にハトノキ、オオギリがあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/16/15ea45517ac933036dc5dbf888c6a0d0.jpg)
高島市森林公園「くつきの森」に、昨日のアオギリに似た袋状の果実をつける木があります。
アオギリの5枚に対しこちらは3枚の果皮のオオモクゲンジ(ムクロジ科モクゲンジ属)です。
中国雲南省原産の落葉高木で高さ15~20mになり、関東地方以西に植えられています。
互生する葉は長さ50~60cmの奇数2回羽状複葉で、小葉は長さ4~10cmで縁は全縁です。
9月に枝先に大形の円錐花序を立て黄金色の小さな花を多数つけます。
10~11月に熟す果実は果で、長さ4cmほどの楕円形の袋状、果皮は風船のようにふくれ、黒色で硬い種子がつきます。
別名はフクワバモクゲンジで、ムクロジの漢名が誤って使われたとされています。
仲間に本州にも自生するといわれるモクゲンジ別名センダンバノボダイジュがあり、種子が数珠に用いられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/bb/faf3683c9df3c51d0f9ae96e099b06d7.jpg)
大きい葉をすっかり落とした公園のアオギリ:青桐・碧梧桐(アオギリ科アオギリ属)のしたに、面白い形をした果実が落ちています。
沖縄、中国、台湾、インドネシアなどに分布する落葉高木で、成長が早いことから街路樹や公園によく植えられています。
名のとおり樹皮は緑色で滑らか、枝先に集まって互生する葉は幅15~30cmと大きく、掌状に切れ込みます。
面白いのは果実で、雌雄異花の雌花の子房は5枚の心皮(花葉)からできていて、この子房が大きくなった果実は、熟すと心皮が1枚ずつばらばらに分かれておわん形になり、これが1枚ずつ離れて、種子はこの心皮についたまま風に飛ばされ散布されます。
このことから子房(雌蕊)は葉から出来ていることがわかるので、アオギリは被子植物の成り立ちの観察に好適だといわれています。
写真は少々細工して、比較のために大きな枯葉に、この変わった形の心皮に付いた種子を配して撮ってみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/29/184fec76a3c48bfc68aa36ac72c056d9.jpg)
榊の木に黒い実がなっています。高さ5~10mの常緑小高木で、山地に自生するほか、生垣や公園に広く植えられ、神社の境内にも多く見られます。(写真は近江神社境内にて)
古くから枝を神事に使い玉串として神棚に供えます。榊は国字で神事に使うことからできた字で、別名栄樹(さかき)は年中緑であることからきているといいます。
卵状長楕円形の葉は厚くて光沢があり、神事に使うので誰でもよく知っていますが、初夏につく白い小さい花や、秋に熟す黒色の果実はあまり知られていないようです。
関東地方より北国には自生しないため、関東以北ではサカキのかわりにヒサカキを神事に使うことが多いそうです。
写真は日当たりの関係からか葉色にすこし赤みを帯びています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/8e/39b7f6d207aea8009356b4907f040f4e.jpg)
三井寺の律院、法明院の近くにハナミョウガ:花茗荷(ショウガ科ハナミョウガ属)が赤い実をつけていると聞いてあるグループについて見に行きました。
暖地の林の中などに生える常緑の多年草で高さは30~60cm、根茎は分枝し、茎の節には鱗形状葉があります。長さ15~40cm、幅5~8cmの広披針形の葉の裏面には軟毛が多く、ビロードのような手ざわりです。
5~6月、10~15cmの花穂を立て、白地に赤い筋の入った卵形の唇弁の花をつけます。
晩秋、長さ1.5cmほどの広楕円形で赤色の果実を熟します。中にある種子を伊豆縮砂と呼び健胃などに用います。薄暗い林内で赤色の実と青い葉とが鮮かな対比をみせています。歴史的風土に囲まれた林内に生える花茗荷、花時にもう一度訪れたいものです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/9d/a87569d2346530c94c915d50c75e84a6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/c8/cea4e93591d0d4628cae0ed0b92e71c6.jpg)
葉の落ちきったシナサワグルミ:支那澤胡桃(クルミ科サワグルミ属)の枝に、枯れ残った果穂が垂れ下がっています。
中国原産の落葉高木でカンポウフウとも呼ばれ、日本には明治初期に入り、公園などに植えられています。高さは25~30mにもなり、樹皮は灰褐色で縦に深い割れ目が入ります。
サワグルミに似ていますが、偶数羽状複葉の中心の軸に翼があることで区別されます。
雌雄同株で花期は5月、緑色の雄花穂と赤みを帯びた雌花穂がどちらも垂れ下がってつきます。7~8月に熟す果穂は、長さ20~30cm、堅果には小苞が発達した翼があります。
枝先には冬芽が膨らんでいます。裸芽で柄があり、頂芽は大きく、側芽には副芽がつきます。下部にはいくつも花穂の芽も膨らんでいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/15/67a27fa496ead6f7a04f2db57ba0c533.jpg)
わが国でのボダイジュ:菩提樹は中国原産の落葉高木でシナノキ科シナノキ属に属し、釈迦がその下で悟りを開いたといわれる樹はクワ科のインドボダイジュであって、本種とは異なります。
中国では本種が寺院によく植えられたことから、日本でも寺の境内でよく見られます。
高さは10~15m、葉は互生し長さ5~12cmのゆがんだ三角状広卵形です。
6月ごろ香りのよい淡緑色の花が咲き、花序の柄には長さ5~8cmの淡緑色のへら状の苞があります。
苞から吊り下がるようにつく果実は堅果で直径7~8mm、短い星状毛が密生します。
シューベルトの歌曲「菩提樹」(Lindenbaum)は、洋種菩提樹といい本種の同属変種とされています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/94/08ce2f5036e0236e08a73a8bcf2aa0b0.jpg)
11月21日に取り上げた時はまだ赤い実と葉が残っていたカナクギノキ:金釘の木(クスノキ科クロモジ属)が、いつの間にか葉が落ち、実もなくなって裸木になっていました。
よく見ると、思いがけないほど冬芽が膨らんでいます。
赤褐色の葉芽はふつう長さ6~10mm、芽鱗は5~8枚、花芽は枝から30°ほど開出しますが横向きには曲がりません。仲間のクロモジの冬芽とよく似ていますが、少し大振りの感じです。
林間のあちこちに、基部が葉柄に向かって次第に細くなる特徴のあるこの木の落ち葉が結構目立ちます。夏の間はあまり気づかなかったのですが、落ち葉を見て案外どこにでも生えている木と知りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/d7/2af751a8055165bbd43e2da109618c3a.jpg)
京田辺市の甘南備山で見かけたビロードイチゴ:天鵞絨苺(バラ科キイチゴ属)です。
山地の日当たりのよいところに生える落葉低木で、茎は斜めにのび、枝にはカギ状に曲がった棘があります。
全体に柔らかい短毛が多く、葉などをさわるとビロードのような手触りがあるのでこの名があります。葉は長さ4~10cmの長卵形で、ときに浅く3裂し、縁には鈍い鋸歯があります。
4~5月白い花を下向きにつけ、5~6月に直径約1cmの球形の集合果を黄赤色に熟します。
図鑑には個体数は少なく、比較的珍しい種類とありますが、どういうわけか甘南備山ではあちこちで見られました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/94/099872f250ee090da24a3b35279aee8f.jpg)
アマチャヅル:甘茶蔓(ウリ科アマチャヅル属)が、黒緑色の丸い実をつけています。葉を噛むとわずかに甘味があるのでこの名があります。
林の縁などの生える蔓性の多年草で、巻きひげで他物にからみついてのびます。葉は互生しふつう小葉は5個ある鳥足状の複葉です。雌雄別株で8~9月黄緑色の小さな星形の花が咲き、秋直径6~8mmの球形の果実をつけます。
図鑑では、花祭りに使う甘茶はこれではなくアジサイ属のアマチャで、アマチャヅルは特に有用性がないなどと書かれていますが、念のために広辞苑を引くと、甘茶=アマチャまたはアマチャヅルの葉を蒸して揉んで乾かしたもの。飲料。4月8日の潅仏会に甘露になぞらえ用いる。とありました。