古事記によると、大国主の神が出雲にいるとき「波の穂より、天乃蘿藦(かがみ)の船に乗りて、ひむし(蛾)の皮を打ち剥ぎに剥ぎて衣服にし、帰(より)り来る神あり」と少名毘古那の神の登場をかたっています。
蘿藦(かがみ)は今でいうガガイモ:蘿藦・鏡芋(ガガイモ科ガガイモ属)のことで、神様がガガイモの果皮を船にして、海の彼方より渡ってきたというのです。
そのガガイモの果実をとり上げたのが
昨年12月3日の記事で、 その時はまだ完熟前で船になってはいませんでした。
2ケ月ほど後、同じ場所を通りかかると、つるはすっかり刈り取られていて、ところどころに雨に打たれてカビが生えたようなガガイモの果実が転がっていました。念のためにと、いくつか拾って帰りベランダに放り出しておいたのを思い出して、何日か経って見てみると驚いたことに、乾燥した鞘が割れて、種髪といわれる白く長い毛をつけた種子が、いっせいに飛び立ちそうになっていました。
ガガイモの種子に生える毛は、種子の先端から出ていて、珠孔(花粉管が入るところ)付近の種皮が変化してできたことが分かります。種髪といわれるこの長い毛とともに種子の形も扁平で風散布に適したものになっています。
ふっと息を吹っ掛けると種子はふわふわと飛び去り、あとに少名毘古那の神のかわいいお船が残りました。
(”かがみ”の漢字が出ていません)