新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

キバナノコマノツメ:黄花の駒の爪(晩夏の花と実・八方尾根5)

2012-09-30 23:12:25 | 植物観察1日1題

標高2060mの八方池周辺はさすがに花も遅く、一輪だけでしたがキバナノコマノツメ:黄花の駒の爪海道、本州中部地方以北、四国の高山の湿った草地や渓流沿いの岩隙などに生える小形の多年草で、根茎は短く、横にはいます。
腎円形~腎心形の葉は先は丸く、薄くて短毛があり、光沢がありません。
葉脇から長さ2~6cmの花茎をだし、黄色の花を1個つけます。上弁と側弁は長さ0.7~1cm、唇弁は大きく褐紫色のすじがあり、距はごく短くなっています。
和名の黄花の駒の爪は、葉の形を馬のひずめにたとえ、黄色の花をつけることからきており、高山植物にふさわしい気の利いた命名です。

オヤマソバ:御山蕎麦(晩夏の花と実・八方尾根4)

2012-09-29 21:44:31 | 植物観察1日1題

八方尾根の霧に浮かんでいたのがオヤマソバ:御山蕎麦(タデ科オンタデ属)です。北海道の日高山脈、本州東北地方、日本アルプスなどの高山の砂礫地などに生える多年草で、よく分枝して高さは15~50cmになり、茎は太くしばしば紅紫色を帯び、枝は稲妻形にまがります。
花は7~9月、白色または淡紅色を帯び、円錐状に多数つきます。
花や3稜形の果実がソバに似ているところから御山蕎麦の名がついています。

イワシモツケ:岩下野(晩夏の花と実・八方尾根3)

2012-09-28 00:25:24 | 植物観察1日1題

五竜アルプス平や八方尾根のあちこちでイワシモツケの果実がきれいな模様になっているのを見かけました(寫眞枠内)。萼片が花のあとそり返り、果期まで残ったものです。
そのイワシモツケが八方池の近くで1株だけ遅い花をつけていました。
本州近畿地方以北の山地帯~亜高山帯の日当たりのよいところに生える落葉低木で、よく分枝し高さは約2m、標高の高いところですより小形になります。
5~6月、枝先に直径6~7mmの白い花を散房状に多数つけます。花弁は5個でほぼ円形、雄蕊は約20個で花弁とほゞ同長になります。

イワイチョウ:岩銀杏(晩夏の花と実・八方尾根2)

2012-09-27 07:28:57 | 植物観察1日1題

八方池の近くに、イワイチョウ:岩銀杏(リンドウ科イワイチョウ属)の花がわずかに咲き残っていました。
本州中部地方以北、北海道の亜高山帯~高山帯のやや湿ったところに生える多年草で、しばしば群生します。ミズイチョウとも呼ばれ、いずれも腎臓のような形の葉をイチョウに見立てたものです。7~8月、葉の間から高さ20cmほどの花茎を立て、直径1~2cmの白い漏斗状の花を数個つけます。
花は深く5つに切れ込みふちには波状のしわがあります。
長短花柱性で、株によって長い雄蕊と短い雌蕊、短い雄蕊と長い雌蕊のタイプがあります。
寫眞ではよく分かりませんが、花冠の裂片の中央部に鶏のトサカに似た突起状の襞があるのも特徴です。

アカモノ:赤物(晩夏の花と実・八方尾根1)

2012-09-26 09:08:54 | 植物観察1日1題


9月1日八方尾根を八方池まで登りました。季節が少しずれましたが、登山道で見かけた花や実の主だったものをシリーズで取り上げます
栂池や八方尾根で、足元に目立った赤い実はアカモノ:赤物(ツツジ科シラタマノキ属)でした。
果実が赤く熟し、食べられるのでアカモモ、これがなまってアカモノになったといわれ、イワハゼとも呼ばれます。
山地~高山の草地や林の縁などに生える高さ10~30cm常緑小低木で、6~7月わずかに赤みを帯びた白い鐘形の花を下向きにつけます(06年10月23日記事)秋に真っ赤に熟す実は直径約8mmで、萼が成長して多肉になり、さく果を包み液果に見えます。

ミソガワソウ:味噌川草 (晩夏の花と実・栂池自然園13) 

2012-09-25 08:26:27 | 植物観察1日1題

高山植物に属していながら、平地にもよくあるような姿かたちであることからか人気はいま一つで、何回も出会いながら“むかご”にもとりあげてなかったのがミソガワソウ:味噌川草(シソ科イヌハッカ属)です。
亜高山帯の草地や深山の河原などに生える多年草で群生することが多く、茎の高さは0.5~1mで細毛があります。長さ2~10mmの葉柄があり、長さ6~14cm、幅2.5~8cmの広卵形~広披針形の葉には鈍い鋸歯があります。
7~8月、茎の上部に花穂をつくり、紫色の唇形花を開きます。花冠は長さ2.5~3cm、筒部が長く、下唇は3裂し、中央裂片に紫色の点があります。
和名の味噌川草は、木曽の味噌川に多いからとなっていますが、葉に特有の香りがあるので“味噌香草”ではないかとの説もあります。
いずれにしても、人気の薄さはこのさえない名前が原因になっているのかもしれません。
(8月31日撮影)

ヤチトリカブト:谷地鳥兜 (晩夏の花と実・栂池自然園12) 

2012-09-24 12:26:11 | 植物観察1日1題


トリカブトの仲間は交雑が多く、各地に地方名がついた品種があり、素人では区別することは難しいものです。
晩夏の栂池高原に咲いていてのが、地元の情報ではヤチトリカブト:谷地鳥兜(キンポウゲ科トリカブト属)ということでした。
北アルプス、雨飾山、志賀高原など日本海側の亜高山帯~高山帯の湿った草地や湿地に生える多年草です。葉の終裂片は卵披針形で、花の頂萼片の上部はやや尖ります。
“ヤチ”は谷地で、湿地に多いことを意味しています。
ヤチトリカブトは栂池高原の草原の上に顔を出して、その深い青紫色で目立つ存在でした。

モミジカラマツ:紅葉落葉松 (晩夏の花と実・栂池自然園11) 

2012-09-23 08:36:07 | 植物観察1日1題

8月末の栂池高原にモミジカラマツ:紅葉落葉松(キンポウゲ科モミジカラマツ属)の遅い花が残っていました。
本州中部地方以北、北海道の亜高山帯~高山帯の湿った草地に生える高さ20~50cmの多年草で、根生葉は直径5~30cmの円形~半円形状で掌状に中~深裂し、裂片には鋭い鋸歯があります。
7~8月咲く花は花弁はなく、白色の多数の雄しべが目立ちます。
和名は、葉をモミジに、花を唐松に例えたものです。
この時季のモミジカラマツは花の上には、キンポウゲ科特有のイガイガのある集合果が見えています。
(8月31日撮影)

エゾシオガマ:蝦夷塩竃(晩夏の花と実・栂池自然園10)

2012-09-22 17:04:01 | 植物観察1日1題

栂池高原に多いオニシオガマ:鬼塩竃は05年9月4日記事で紹介していますが、湿地帯に黄白色の花をつけたエゾシオガマ:蝦夷塩竃(ゴマノハグサ科シオガマギク属)も見えました。
本州中部地方以北、北海道の高山帯の草地に生える多年草で、束生しほとんど分枝せず、高さ30~50cmになります。
葉は互生し、へりには大きさのそろった重鋸歯があり、根生葉は花期には消えます。
7~9月、上部の葉脇に黄白色の花が1個ずつつき、花冠の長さは約1.5cm、上唇は細長く尾状にとがり、下唇は浅く細長く3裂し、中裂片ごく小さくなります。
和名の“塩竃”は、葉まで美しい(ハマデウツクシイ→浜で美しい)というところからきているといい
この仲間の多くは細かく切れ込んだ葉をもっていますが、このエゾシオガマの葉は三角状披針形で、切れ込みのないグループに属します

ミヤマホタルイ:深山蛍藺(晩夏の花と実・栂池自然園9) 

2012-09-21 17:41:46 | 植物観察1日1題

栂池高原の標高の高いところに位置するモウセン池に影を映していたのがミヤマホタルイ:深山蛍藺(カヤツリグサ科ホタルイ属)です。
本州中部地方以北日本海側の亜高山帯~高山帯の高層湿原や池沼に生える多年草で、茎の高さ10~40cm、基部は鞘状になった葉に包まれます。
7~9月、長さ4~7mmの小穂が1~数個集まってつき、茎のような苞が直立しているため、花序は茎の途中から出ているように見えます。(仮側生花序)
少穂の鱗片は長さ約3mm、花被片は刺針状で6個です。
水面に映る姿はなかなかのものです。
(8月31日撮影)

ミヤマホツツジ:深山穂躑躅(晩夏の花と実・栂池自然園8) 

2012-09-20 06:58:19 | 植物観察1日1題

栂池高原のあちこちにホツツツジが咲いていました。
地元の案内書を見ると、ここには花柱が曲がるミヤマホツツジ:深山穂躑躅(ツツジ科ミヤマホツツジ属)とふつうのホツツジ:(ツツジ科ホツツジ科)の両種があることを知りました。
花のつくりは基本的にはよく似ていますが、ホツツジの花柱が真っ直ぐ突き出るのに対し、ミヤマホツツジの花柱は上向きに大きく曲がるのが特徴です。
以前は両者は同じホツツジ属に分類されていましたが、現在は葉や花序、苞などの形態的な違いから別の分類群として扱われているそうです。
(8月31日撮影)

ハリブキ:針蕗(晩夏の花と実・栂池自然園8) 

2012-09-19 09:31:05 | 植物観察1日1題

栂池高原の遊歩道から見下ろせる低い位置に赤い実がなっていました。
ハリブキ:針蕗(ウコギ科ハリブキ属)です。
本州紀伊山地以北、四国、北海道の亜高山帯~高山帯下部の針葉樹林下に生える落葉低木で、茎は太くてほとんど枝分かれせず、高さは0.5~1mにとどまり、茎枝のは細長く鋭い刺が密生します。茎の先端に大きな葉が2~4個つき、葉身は直径20~40cmのほぼ円形で、基部は深いハート形、掌状に7~9裂し裂片はさらに不規則に切れ込み先端には不揃いな鋸歯、鋸歯の先端は針状にとがります。
花は6~7月、枝先に円錐花序をつけ直径約4mmに緑白色の花をつけます。
果実は液果で、長さ6~7mmの倒卵状球形で、赤く熟します。
ウコギ科でタラノキの仲間のように見えます。別名もクマダラ、刺が少ないのをメハリブキというそうです。
(8月31日撮影)

サンカヨウ:(晩夏の花と実・栂池自然園7)

2012-09-18 14:35:24 | 植物観察1日1題

サンカヨウ:山荷葉(メギ科サンカヨウ属)については08年5月20日の記事でこんなことを書いていました。「こし高い山に咲く花は、うまく花期に合わないとなかなか見る機会がありません。サンカヨウも、夏山では何回かきれいな藍色の果実を見ておなじみなのに、花を見たのは今回の北尾根が初めてでした。」8月末の栂池高原のサンカヨウも果実でした。
本州鳥取大山以北、北海道の深山の木陰に生える多年草で、高さ30~50cmとなり、葉は茎の中部くらいから上に楯状に2個つき、幅20~35cmの広腎臓形で2深裂し、不ぞろいな鋸歯があります。
花は6~8月、散房花序に3~10個つき、萼片6個、雄しべ6個、白い花弁も6個です。
道行く人々は、白い粉をふいたような藍色の果実を見て「ブルーベリーのようだ。食べられるのかしら」などといいながら通ってゆきました。
どの図鑑にも食べられるとは書いていませんでした。
(8月31日撮影)




ベニバナイチゴ:紅花苺(晩夏の花と実・栂池自然園6)

2012-09-17 08:02:25 | 植物観察1日1題

7月初めの栂池自然園の遊歩道で、真っ赤な花で目立っていたのはベニバナイチゴ:紅花苺(バラ科キイチゴ属)が、赤い実をつけていました。http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20120715
中部山岳地方北部の、雪の多い日本海側の亜高山帯~高山帯の林縁や沢沿いに生える落葉低木で、よく分枝して高さ約1mになります。
葉はふつう3出複葉で、頂小葉が最も大きく広卵形で先は尖ります。
6~7月、枝先に濃紅色で長さ1.5~2cmの花を1個下向きにつけます。花弁は完全には開きません。
夏赤く熟した果実は直径約3㎝の集合果で食べられますが、葉影に下向きに成っているためかトレッカーに食べられることもなくあちこちに残っていました。失敬して口に含むと少々大きい種が気になりました。(8月31日撮影)

クロクモソウ:黒雲草(晩夏の花と実・栂池自然園5)

2012-09-16 14:25:55 | 植物観察1日1題

栂池高原を歩いて、展望湿原への登りにかかる手前に銀明水といわれる水場があります。
周遊ルートを少し外れた水場でのどを潤していると、流れの上方の岩場ににクロクモソウ:黒雲草(ユキノシタ科ユキノシタ属)が見えました。
本州中部地方以北と大峰山系、四国の亜高山帯~高山帯の渓流に沿った湿った岩場や草地に生える多年草で、高さは10~30cm、葉はすべて根生し、長さ1.5~6cm、幅2~8cmの腎円形で、縁には大きな卵形の鋸歯があります。このことからキクブキという別名があります。
ユキノシタ属には珍しい黒っぽい花は、7~8月花茎の上部に直径6~8㎜の小さな花を円錐状に多数つけます。花弁は黒褐色で5個あり、花盤は暗紫色でよく発達し環状に隆起し雌蕊を取り囲みます。雄蕊10個は花盤の縁につき長さ約1mmで花弁より短くなります。
和名黒雲草は花の色からで、生えている場所からイワブキという別名もあります。
(8つき31日撮影)