新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

タチシオデ:立牛尾草(天生自然公園⑫)

2010-09-30 08:47:52 | 植物観察1日1題

タチシオデ:立牛尾草がまだ青い実をつけていました。
山野に生える多年草でシオデ:牛尾草に似ていますが、シオデは茎がすぐほかのものに絡み付いて伸び、タテシオデの茎ははじめ直立し、のちに上部がつるになるところがちがいます。また花期がシオデよりもすこし早く、黒い液果も白い粉をかぶったようになることで区別されます。
シオデ(07年8月31日記事)もタチシオデも、若芽はアスパラガスそっくりの味で美味しいそうです。



エゾシラネ:蝦夷白根(天生自然公園⑪) 

2010-09-29 08:46:25 | 植物観察1日1題

天生湿原にエゾシラネ:蝦夷白根(シソ科シロネ属)が花をつけていました。
山間の湿地に生える多年草で、高さは20~40cmになり、全体に微細毛があります。
対生する葉は長さ2~7cmの長楕円形披針形で、鈍頭の鋸歯があり、葉脈が目立ち、葉の裏面はわずかに紫色を帯びます。
8~9月、葉脇に白色で小形の唇形花を数個ずつ密につけます。
エゾシラネは、高さが1mほどにもなるシロネに比べて背丈が低く、またよく似た高さのヒメシロネに比べて葉脇につく花数が少なく、花冠も小さいことで区別されます。

ヒロハユキザサ:広葉雪笹(天生自然公園⑩)

2010-09-28 09:33:48 | 植物観察1日1題
ヒロハユキザサ:広葉雪笹(ユリ科ユキザサ属)が若い実をつけていました。
仲間のユキザサやヤマトユキザサなどより標高の高い亜高山帯~高山の針葉樹の林内に生える多年草で、高さは50~70cm、葉は広楕円形で長さ10~18cm、両面に毛があるユキザサと違い毛は目立ちません。ユキザサの中では雌雄別株のグループに入ります。

ユキザサは真っ白な花色を雪に見立ててその名が付いていますが、ヒロハユキザサの花被片は薄黄緑色で、別名ミドリユキザサとよばれます。
(山渓の「日本の高山植物」では、ヒロハユキザサとミドリユキザサを別種とし、ミドリユキザサの別名をヤマトユキザサ、オオバユキザサとしています。天生自然公園ではガイドの説明のとおりヒロハユキザサとしました。)

マイヅルソウ:舞鶴草(天生自然公園⑨) 

2010-09-27 07:11:02 | 植物観察1日1題

マイヅルソウ:舞鶴草(ユリ科マイヅルソウ属)の果実が雨にぬれて光っていました。
山地や亜高山帯の針葉樹林の下などに生える多年草で、湾曲した脈が目立つ2枚の葉の形を、鶴が舞う姿に連想してこの名があります。
白い小さな花はそれほど目立ちませんが((10年6月9日記事)10年6月9日記事)、直径5~7mmの赤い果実はよく目立ちます。
写真を撮ったとき、白色が混ざった果実があり、虫食いか何かと思っていましたが、図鑑を見ると、はじめはまだら模様だがやがて透き通るような美しい赤になる、とあったので合点が行きました。

エゾリンドウ:蝦夷竜胆(天生自然公園⑧) 

2010-09-26 07:28:19 | 植物観察1日1題

天生自然公園の湿原付近で咲いていたのが、エゾリンドウ:蝦夷竜胆とオヤマリンドウ:御山竜胆でした。
茎頂に固まって少し花をつけ、やや小形のオヤマリンドウにたいして、エゾリンドウは高さ30~80cmと背が高く、花も茎頂と上部の葉脇に5~20個段々につけることで区別できます。
エゾリンドウは山地から亜高山の草地や湿地に生える多年草で、切花用に売られているのは多くはエゾリンドウの栽培品だそうです。

カノツメソウ:鹿の爪草(天生自然公園⑦) 

2010-09-25 07:09:17 | 植物観察1日1題

天生自然公園の樹下に小さい花をつけていたのはカノツメソウ:鹿の爪草(セリ科カノツメソウ属)です。
北海道から九州にかけて山地の木の下にはえる高さ50~100cmの多年草で、根生葉や下部の葉は2回3出複葉、上部の葉は3出複葉、小葉は長さ2~5cmの広披針形になります。
8~10月、茎の上部に小形の複散形花序をつけ、花弁が内に巻いた白い小さな花をつけます。
聞いただけでは意味がわからなかった名前は、鹿の爪草で、根の形が鹿の爪を連想させることからきているといます。
山地のセリを意味するダケゼリ:嶽芹の別名もあり、古い図鑑ではヒカゲミツバ属としているのもあります。

カニコウモリ:蟹蝙蝠(天生自然公園⑥)

2010-09-24 06:05:56 | 植物観察1日1題

カニコウモリ:蟹蝙蝠(キク科コウモリソウ属)は、本州近畿地方以東の亜高山の針葉樹林の下などによく生える多年草で、高さは50~100cmになります。
葉はふつう3個つき、長さ6~10cm、幅10~20cmでカニの甲羅のような形をしていて、葉の基部はハート型、ふちにはふぞろいな切れ込みがあり、先端は短く尾状に尖ります。
8~9月、茎の先に白い頭花を円錐状につけ、頭花は3~4個の細い筒状花だけでできています。
水に棲むカニと空を飛ぶコウモリの2つの生き物の名前を含む珍しい例ですが、このコウモリは
コウモリに似るという意味ではなく、コウモリソウの仲間ということのようです。

コウモリソウ:蝙蝠草(天生自然公園⑤) 

2010-09-23 06:27:50 | 植物観察1日1題

葉の形がコウモリが羽を広げて飛んでいる姿に似るのでこの名があるコウモリソウ:蝙蝠草(キク科コウモリソウ属)は、本州関東から近畿地方、屋久島の山地~亜高山の森林内に生える多年草で、高さは50~100cm、葉は長さ8~10cm、幅は長さより広く13~15cmの三角状ほこ形で、頂裂片はもっとも大きく先がとがり、ふちに不ぞろいの鋸歯があります。
頭花はまばらな円錐花序につき、小花は6~10個つきます
近い仲間にいくつかの品種がありますが、葉柄に翼がない、茎を抱かない、生育場所などからコウモリソウと見立てました。間違っているかもしれません。

カメバヒキオコシ:亀葉引起こし(天生自然公園④)

2010-09-22 06:20:33 | 植物観察1日1題

葉の形が尻尾を出した亀に見えるというのでこの名がついたカメバヒキオコシ:亀葉引起こし(シソ科ヤマハッカ属)は、本州東北地方南部~中部地方の山地の木陰に生える多年草で、高さは50~100cm、対生する葉は卵円形で鋭い鋸歯があり、中央の裂片は尾状に長くのびます。
9~10月、枝先の花穂に青紫色の唇形花を多数つけます。
本家のヒキオコシは、延命草ともいわれ、弘法大師が諸国行脚の途中、山中で旅人が倒れているのに出会い、この草を食べさすとたちどころに回復したとの伝説があります。ヒキオコシ(06年11月14日記事)(0やこれに近いクロバナノヒキオコシ(05年10月27日記事)は、非常に苦くていかにも効きそうですが、このカメバヒキオコシはそれほどの苦味はありませんでした。帰って調べると、こちらは苦味が少なく薬用にならないとありました。

ツクバネソウ:衝羽根草(天生自然公園③)

2010-09-21 14:19:08 | 植物観察1日1題

天生自然公園の森の中で中心が目にも鮮やかな紅色をしている草を見かけました。
一瞬何かわからずガイドに尋ねるとツクバネソウ:衝羽根草(ユリ科ツクバネソウ属)という返事でした。それならば見慣れているはずなのに、中心部の紅色に眩惑されたようです。
ツクバネソウの花期は5~8月、花は輪生した葉の中心から出た花柄の先に1個つきます。萼片は披針形で4個、花弁はなく、雄しべは8個、めしべは1個で赤紫色、花柱は長くて、4個に分かれます。(08年5月19日記事)ttp://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20080519写真では、熟すれば黒色になる果実はまだ未熟で目立たず、周りの8本〈写真では1本欠けている〉の花糸にあたる部分が紅色で目立っていたのです。
黒く熟した果実が、輪生した葉の上につく姿が羽根つきの羽根に似ているのというのが、ツクバネソウの名の由来です。

ソウシシヨウニンジン:相思子様人参(天生自然公園②) 

2010-09-20 05:07:16 | 植物観察1日1題

天生自然公園の森の中で赤い実をつけたトチバニンジンらしき草をみかけ、ガイドさんに確かめると、仲間ではあるがソウシシヨウニンジンだといいました。漢字でどう書くのかと尋ねると相思相愛の相思だが後はわからないといいます。
よく似ているなと思いつつともかく写真に撮って帰り調べると、ウコギ科トチバニンジン属で、相思子様人参と書くことがわかりました。トチバニンジンとの違いは、果実の先端が黒くなることだけとのこと、そう思って写真をよく見ると、先端に花柱の跡が残っている中右の果実の先が少し黒くなりかけているようです。知っておれば反対側から撮ったのにと少し残念でした。変わった和名の由来はわからずじまいです。

シラヒゲソウ:白髭草(天生自然公園①) 

2010-09-19 08:56:21 | 植物観察1日1題

岐阜県立天生自然公園を訪れました。
探勝路は、岐阜県北部、白川村と飛騨郡河合町にまたがる天生峠から、天生湿原を経て、ブナやカツラの巨木の中を通り、籾糠山(1744m)に続きます。
登山口に程近い天生湿原は標高1400mにある高層湿原で多くの高山系の植物に出会うことができます。
花数の少ない秋の湿原で目立ったのはシラヒゲソウ:白髭草(ユキノシタ科ウメバチソウ属)でした。山地の湿ったところにはえる多年草で、白色の花弁の縁が糸状に切れ込んでいるのを髭に見立ててこの名があります。
根生葉は束生し長柄があり、心形の葉は茎を抱きます。
花茎は高さ10~30cm、8~9月、茎頭に直径2~2.5cmの白色花を1個つけます。
写真では、先が3裂した仮雄蕊の黄色い腺体がきれいに並んでいます。

ウチワゼニグサ:団扇銭草(見たままが名前に) 

2010-09-18 17:19:30 | 植物観察1日1題


高槻アクアピア芥川近くのトンボ池に、丸い葉っぱを盛り上がるようにつけた草がありました。
ウチワゼニグサ:団扇銭草(セリ科)です。
アメリカ合衆国南部の海岸地帯原産の多年草で、熱帯魚の水槽として入ってきたものが逸出したものと思われます。1987年に淡路島で発見され、そのご西南暖地を中心に帰化が確認されています。
茎は匍匐して節から発根し、葉は匍匐茎から互生して葉柄の先に直径1~5cmほどの円形の葉をつけます。
葉柄は派の中心について楯状になります。春から夏にかけて葉脇から葉柄とほぼ同長の花茎を出して、小さな緑白色の5弁花を数個ずつ固めてつけます。
別名にタテチドメグサ:楯血止草や、ウオーター・マッシュルームがあります。ウチワゼニグサを含め、いずれの名も見たままを名前にした感じです。

クログワイ:黒慈姑(クワイの本家はこれ) 

2010-09-16 20:50:20 | 植物観察1日1題

去年の10月10日にもこのクログワイ:黒慈姑を取り上げています。
“名前を聞いて思わず聞き返したのがクログワイ:黒慈姑です。それもそのはずクワイとは縁もゆかりもないカヤツリグサ科ハリイ属でした。名前の由来になったのは、地下茎の先に生える径7~18mmの黒い球茎で、これがオモダカ科のクワイに似ていて食べられるからだそうです。”
とありました。今年見たクログワイには花穂があり、小穂には白い蕊が出ていたので、カヤツリグサの仲間だということに少しは納得しました。
日本料理に使うクワイはオモダカ科の変種の球茎で中国から渡来したもので、それより前に日本でクワイといっていたのがこのクログワイで、渡来種のほうが知られるにつれて、球茎が黒いのでクログワイと呼ばれるようになったそうです。つまり本家のクワイが名前の母屋を取られてしまったというわけです。牧野図鑑でクワイの名は食べられるイ(灯心草)となっていることもこれで納得ができ、クログワイ、イ、クワイの関係も分ったというわけです。

アブノメ:虻の目(よく見ればそのようにも) 

2010-09-14 06:38:17 | 植物観察1日1題

田や湿地に生える1年草のアブノメ:虻の目(ゴマノハグサ科アブノメ属)は、東アジアの暖帯から熱帯に広く分布し、茎は柔らかく高さは15~20cm、根生葉は長さ1~2.5cm、上部の葉は小さくなります。
花は夏から秋、花柄は0~1cm、花冠の長さ4~6mm、淡紫色の唇形花を葉のつけ根につけます。
和名の虻の眼は丸い果実の形が、アブの目に似ていることから来ているというのですが、あまりにも小さく、目を凝らせて、想像力を働かせてやっとそんな気もするといった感じです。
茎が中空でつぶすとパチパチと音がすることから、パチパチグサの別名もあるそうですので、今度見かけたら、こちらも試してみるつもりです。