世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【米留学生数:中韓激増、日本減少だが…】世界大学ランキング雑感④

2013-12-09 00:02:47 | 世界共通

(前回からの続き)

 先月着任したアメリカのキャロライン・ケネディ駐日米大使は、日本における優先事項のひとつとして、日米間の学生交流の活性化を掲げているそうです。この背景には最近のアメリカにおける日本人留学生の減少傾向があるもようです。

 教育研究機関のイーストウエストセンターの調査によれば、日本からアメリカへ渡る留学生の数は2000年の約4.6万人から2011年には約2万人へと半分以下になってしまいました。これに対し、同期間の中国人留学生は6万人から19.4万人へ、そして韓国人留学生は4.6万人から7.2万人へ、それぞれ大きく増えています。こうした数字をみると、多くの日本人、とりわけ日本のメディアは、低成長下にある日本経済の現状と関連させて、つい「アメリカへの留学生数の増減傾向のこの違いは、日本と中韓両国の国勢の差を象徴している」などと論評しがち・・・。

 わたしはまったく違った捉え方をしています。これは日本人の学生の多くが、近年、アメリカの大学ではなく日本の大学を選択するようになっていることの裏返しの現象。ということは、日本の大学が、それだけ日本人の学生に「何もアメリカの大学に留学しなくても、日本のこの大学で自分のしたい勉強・研究ができる!」と思わせるだけの魅力をつけてきたことの表れ、と解釈できると考えています。

 そしてそんな日本の大学のなかに、理工系や自然科学系の有力学部・学科・研究機関を持つ5大学(東大、京大、東工大、阪大、東北大)が世界大学ランキング上位200位以内に入っているのは心強いかぎりです。

 以前もこちらの記事に書きましたが、国家戦略上、わが国においては理系人材の育成がとても大切だと感じています。理工学をはじめ、農学、生物学、そして医歯薬学の道を志す日本の若者の多くが、引き続きこの国の学校を自分の進路として選んでいけるよう、政・官・財・学のオールジャパン体制で理系の高等教育環境(大学、大学院、高専、研究機関等)の充実を図っていくべきだと思っています。

 さて、アメリカの大学で留学生を増やしている中国韓国ですが、別な見方をすると、これは両国の大学環境がそれだけ不十分なことを示しているといえます。つまり中国も韓国も、自国の学生に満足のいく高等教育の場を用意できていないということです。だからこそ中国・韓国の若者は海外留学をめざす・・・その結果としてアメリカの大学における留学生の数が増えることが、中韓両国にとって本当に喜ばしいことなのか大いに疑問ですね。優秀な人材が自国から他国の大学や企業等に流れることを「頭脳流出」と言ったりしますから・・・。

(続く)


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【大学「国際化」の功罪】世界大学ランキング雑感③

2013-12-07 00:01:37 | 世界共通

(前回からの続き)

 前回、イギリスの教育専門誌Times Higher Education(THE)の世界大学ランキング」の上位に登場する日本の5大学(東大、京大、東工大、阪大、東北大)の「International Outlook」(「国際化」度)が世界トップ10の米英系大学と比べて著しく低いことを個人的には前向きに評価していると書きました。その理由は、それだけこれらの大学が(外国人のサポートは少なくても)日本人の教員や学生の力量だけで世界トップクラスの教育環境を作っていることを示していると感じるから。それはとても立派なことだと考えています。

 今回の同ランキングに接してあらためて思うのは、あたりまえですが、大学は第一に、その国の国民の専門教育ニーズに応える場であるべきだ、ということ。日本の大学であれば、まずは日本人の学生や研究者の学究環境の最適化に最善を尽くすべき、と考えます。その意味で、日本の上記5大学は相当程度、国民の負託にこたえている、といえるのではないでしょうか。

 これに対し、同ランキングの「国際化」度が軒並み90前後のイギリスの大学は「ウィンブルドン現象」を起こしている―――他国からの学生や教員の存在感が高まる一方、地元イギリス人の影が薄くなっている―――ように感じます。同様の現象はスイスのチューリヒ工科大(総合14位、「国際化」度96.7)とかシンガポール大(同26位、94.3)にも見受けられますが、人口が数百万人規模の両国の大学ならともかく、人口6000万人を超える大国イギリスの大学がそれでいいのかな、という気もします。

 日本の大学に話を戻します。上で記したように、たしかに日本人の総合力が強いとはいえ、日本の大学もまた世界に門戸を広げるべきだとも思います。日本で学びたいという留学生や外国の研究者は大歓迎。日本の大学にこれまで以上に多様な発想や考え方が国境を越えて集まれば、それだけ新たな創造や価値が生み出されるとともに、その大学の国際的地位を高めると考えるからです。

 とはいっても、THEのスコアを良くしようという色気から、外国人を優遇しすぎるのはいかがなものか、と・・・。

 同じ実力を持つ2人の数学の教員がいたとします。一人は日本人A氏、そしてもう一人は中国人のB氏です。ある日本のC大学がA氏ではなくB氏を新しい数学の教員として採用しました。こうすればC大学の「外国人教員比率」は上がります。さらにB氏が中国人であることもあってC大学の数学科への中国や香港などからの留学生も増えました。これによって「外国人留学生比率」も高まります。その結果、C大学のTHEランキングは上昇し、世界的な評価がアップします。

 一方、C大学で数学を研究しようという日本の学生には、数学の授業が「難解」になります。担当教授の中国人のB氏は日本語がイマイチだからです。こうなると、「中国語」でも「英語」でもなく純粋に「数学」を学びたかった日本人にとってC大学の教育環境は低下してしまいます。A先生が指導教員であればそんなことはなかったのに・・・。

 これは極端な想定で、実際にはそこまで露骨な外国人偏重はないとは思いますが、東大など一部の大学が検討している「秋入学」移行を含め、大学の「国際化」を過剰に進めると、そんな本末転倒の事態―――日本の大学の環境が外国人には都合が良く日本人にはかえって悪くなるリスクがあることに留意が必要だと思っています。

(続く)


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【日本の大学の「国際化」度は低いが・・・】世界大学ランキング雑感②

2013-12-05 00:02:35 | 世界共通

(前回からの続き)

 Times Higher Education(THE)の「世界大学ランキング」でアメリカやイギリスの大学が上位に並んでいるのは「論文の引用頻度」「外国人教員数」「外国人留学生比率」といった、英語圏の大学が優位となる評価項目が含まれているからだと考えています。

 インターネット全盛のこの時代、英語は事実上の世界共通言語。だから、世界各地で閲覧等される論文の大半は英文のものだろうし、母国語以外の言語を学ぶ人の多くは英語を選択するでしょう。そんな彼ら彼女らは留学あるいは奉職するとしたら英語の通じる国の大学を選ぶことが多いはずです。したがって「論文の引用頻度が高く、外国人の教員や学生の割合の高い学校が良い大学です!」なんて基準で大学を評価したら、THEのランキングのとおりになるのは、ある意味で当然といえるでしょう。

 ところで、前回もふれたように、安倍首相は今年5月の成長戦略スピーチで「今後10年で『世界大学ランキング』トップ100に日本の大学10校のランクインをめざす」と述べています。どうやら現在進められている大学教育改革において、同ランキングが重視する評価項目の評点アップを目論んでいるように思えます。つまり日本の大学の「国際化」、もっと具体的にいえば、日本の大学における外国人の教員や留学生の数を増やそうという方針なのでしょう。

 で、ここで、日本の大学と外国の大学の「国際化」度について、THEの基準であるInternational Outlook(最高値:100)の数値で確認しておきたいと思います。

 「世界大学ランキング」の総合順位で200位までに入った日本の5大学の同数値は、東大29.6、京大27.5、東工大32.1、大阪大27.6、東北大29.3となっています。いちばん高い東工大でも30そこそこ。あとはどこも30未満という結果となっています。一方、世界トップ10をみてみると・・・第2位のオックスフォード大(90.2)を含むイギリスの3大学が90前後とたいへん高い値になっています(自国の大学の評価を高く見せたいからTHEは「国際化」を評価項目に入れたのかも!?)。アメリカの7大学は英大学ほどではありませんが、それでも日本の大学の倍以上、おおむね60~80程度の高い「国際化」度を示しています。

 こうした数字をみると、「日本の大学は世界トップレベルの米英大学と比べて外国人への門戸開放が遅れている。もっと彼ら彼女らを教員・留学生として受け入れて国際化を進め、THEのような権威ある(?)教育専門誌に評価されるような大学になるべきだ」などと、ついつい(安倍首相と同じようなことを?)考えてしまいがち、かもしれません・・・。

 でも本当にそうでしょうか? THEの評点ポイント「International Outlook」が低いレベルにあることがイコール大学の評価が低いということになるのでしょうか? 個人的な見解になりますが、私はそうは思っていません。むしろその逆で、「国際化」度が高くないところに日本の大学のクオリティーの高さの一端を見出すことができる、と考えています。

(続く)


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【トップ10は米英系大学】世界大学ランキング雑感①

2013-12-03 00:02:30 | 世界共通

 少し前(10/2)になりますが、イギリスの教育専門誌Times Higher Education(THE)が恒例の「世界大学ランキング(2013-14)」を発表しました。興味深い内容だったので、その概要をご紹介しつつ、いろいろと考えたことを綴ってみたいと思います。

 メディア報道等から確認した同ランキング結果の概要は以下のとおりです。
 ・同ランキングは6つの基準(①学術面による評価、②企業による評価、③研究論文の引用頻度、④学生1人あたりの教員数、⑤外国人教員数、⑥国外留学生比率)に基づいて世界の800大学を評価したもの
 ・第1位:カリフォルニア工科大(米)、2位:オックスフォード大(英)とハーバード大(米)が同スコア、4位:スタンフォード大(米)、5位:マサチューセッツ工科大(米)となっており、上位10位までがすべて米英の大学(米7校、英3校)
 ・日本の大学で上位200校に入ったのは5校(東大27位、京大52位、東工大125位、大阪大144位、東北大150位)でアジア諸国では最多。うち東北大を除く4校が昨年より順位が上昇。
 ・THEは上記の日本の大学が順位を上げていることに関し、日本の大学の国際的地位を高めようという政府の取り組みの成果が表れている、と分析するとともに、今後10年以内に世界の大学トップ100に日本の大学を10校ランクインさせたいとする安倍政権の方針を紹介

 で、このランキング結果を受けたわが国のメディアの反応は、ランクインした日本の上記4校が前回よりも順位が上がったことを好感しつつ、一方では上位200校のなかに日本勢が5校(すべて国立大学、早慶などはランク外!)しか入っていなかったこと、そして日本では1番の東大ですら世界では23位と、ハーバード大などの世界トップクラスの大学とはまだまだ開きがあることを指摘して、わが国の大学はTHEのような国際的な教育機関が重視するポイントをもっと強化すべき、といった感じだったか、と思います。

 さて、この「世界大学ランキング」―――誰がみても感じるのは、(このランキングが真に人類や社会の進歩に貢献している大学の順になっているかどうかはべつにして)この評価の仕方では「やっぱり英語圏の大学が有利でしょ」ということかな、と想像しています。まあTHE自身がイギリスの組織だから当然、という面もありますが、上記のとおりトップ10はすべて米英系大学、これを上位20位まで広げても非英語圏ではチューリヒ工科大(スイス)が14位に入っているだけで、あとはすべて北米とイギリスの大学です(20位にトロント大[カナダ]が入っていますが、まあカナダは英語圏といってよいでしょう)。

(続く)


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【リスクオフで結局は・・・】日本に首脳会談実施を申し入れる韓国③

2013-12-01 00:04:08 | アジア

前回からの続き)

 外交面では反日的な姿勢を強めつつ、お金の面ではじつはジャパンマネーにすがりたいという、何とも屈折した心情が窺える韓国・朴政権に、繰り返しになりますが、わが国の安倍政権はこれまでのところ上手に対応していると思っています。というのも、昨年8月の李元大統領の竹島不法上陸以降、日韓関係が悪化するなかにあっても、わが国は韓国に対して敵対的なアクションは何一つとっていないからです。このあたりは「日韓通貨スワップ」のその後の経緯にも表れています。

 2011年、欧州ソブリン危機が起こって世界市場が一斉にリスクオフとなった際、通貨危機再発におびえた韓国側の要請を受けて300億ドル(約3兆円)にまで拡大された日韓通貨スワップの限度枠は、その後は順次縮小され、今年7月には同スワップ自体が終了となりました(ただし「チェンマイ・イニシアティヴ」に基づく日本から韓国に対する100億ドルのスワップ枠は継続中)。

 安倍内閣の麻生財務相は、同スワップの延長を行わなかったことについて「韓国からの延長要請が無かったから。ただそれだけである。」といった主旨のコメントをしています。ここで重要なのは「それだけ」というフレーズのニュアンス。これはつまり、韓国が延長を求めなかったから日韓通貨スワップが終わったのであって、日本側から打ち切るように仕向けたわけでは決してない、ということ。韓国のほうが「日本のお金には用はない」との態度を示したということです。

 これで今後、何らかの危機発生で通貨暴落・外貨枯渇等でマンセー(万歳=お手上げ)状態に追い込まれても、韓国はその責任を日本になすりつけることはできないことになりました。だって、日本は何もしていないのに、韓国のほうから勝手にセイフティーネット(日本が持つ外貨を融通してもらうという枠組み)の外へと去っていったわけですから・・・。

 さて今後、韓国経済はどうなることやら・・・。いまは「リスクオン」真っ盛りですが、本ブログでいろいろ書いているように、近い将来、米欧中いずれかで借金バブルがはじけて世界の金融市場がリスクオフに転じ、韓国が通貨・債券・株のトリプル安に見舞われるのは避けがたいとみています。で、韓国は、あれほど忌避していた日韓首脳会談の開催を呼びかけてくるでしょう。プライドの高いかの国の朴政権は「安倍首相がしきりに会談しようというものだから、仕方なく応じることにした」(?)などと自国民に弁明しつつ、本当は、日本にお金の無心をする、という目的で・・・。

 そのときこそ、わが国は韓国に対して言うべきことは言えるよう、いまからしっかり準備しておくべきだと考えています。ご存知のとおり、韓国に求めたいことはじつにたくさんあるわけですが、まあ先方は切羽詰った状態となっているでしょうから、それら全部を要求したら可哀想かもしれません。それでも韓国が第一に欲するものが(おそらく)日本国民の貴重な資産=外貨準備となる以上、日本政府には最低でもそれに見合うだけの担保(金準備)を差し出すよう、韓国に強く求めてもらいたいものだ、などと思っています。

(「日本に首脳会談実施を申し入れる韓国」おわり)


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